メコンとジックの馴れ初めが判明しますよ~
吸水性に優れる大判タオル、弾むようなボリュームの馬鹿売れ新商品「エルフーン印のモフモフコットン☆タオル」を手に、メタグロスの少女の元へ近寄ったがブレザー制服が、身体にピチッと張り付いてロリ巨乳ボディが引き立てられて、非常に目の毒だった。
幸い、下着は見えていなかったが。
プラスとマイナスの境界線に立っている、相反する魅力を持っている……など、心の中だけに留めておき、本題に入る。
ペタン座りしながら渋々タオルを受け取り、ツインテールを覆う形に広げる少女に追い打ちするようだが、明瞭にしたほうがこの子の為になる。
「戦いの途中で気がついたんじゃないかな、自分は一度も戦った事が無いって。どれだけ頑張っても今のメコンには勝てないって」
「……………………」
無言ながら肯定の意。
最適と思われる技を使用するも、その技の潜在能力を全く引き出せず、数打ちゃ当たるも通じない。
確かに当たっていればメコンも只では済まなかったが、少女には悪いがジックもメコンも「当てられる気が一ミリ足りともしなかった」のが本音。
「みずでっぽうを覚えさせている理由、威力が低い基本技だけどその分エネルギー消耗の効率が良いんだ。鍛えればそれなりのパワーにもなる、トレーナーとポケモンの努力次第でね」
整然と配備された脳内ネットワークデータベースには、そんな仕様は見当たらず「この程度なら」と、意に介さず防御より攻撃を優先させていたが、ダメージ蓄積量が計算結果よりも遥かに早かった。
それはみずでっぽうのダメージが、データベースに表示された数値よりずっと高かった、数発受けて防御行動の優先順位を上げなければ、思わぬ事態に陥り簡単にメコンからの接近を許してしまった訳だ。メコンは歩いて距離を詰めただけに関わらず……
「……………………」
「ペース配分も考えてなかったように見えた、無闇に攻撃して体力が消耗すれば自ずと戦闘力は減る、知らなかったでしょ?」
「…………(コクンッ)」
トレーナーを持たぬポケモンという点が土台にある配慮をしても、彼女の戦い方は非効率の集合体。
スパコン並みの頭脳を持つメタグロスは、例え野生だとしてもトレーナーと互角以上の頭脳戦を繰り広げる……は、野生としての目撃情報が不確定なので推測に過ぎなかったが、駆け引きなんてあったモンじゃない。
「俺はメコンに指示を与えただけ。完璧に実行してくれたメコンは偉い! キミはトレーナーと一緒に戦うポケモンを侮っていたけど、一緒に戦うってこういう事なんだって、武力行使みたいになって申し訳ないけど……理解して欲しかったんだ」
(ジックさん……❤ 私は心から信頼しておりますから……二人の力で呼び込んだ勝利……二人の共同作業……ポッ……❤~❤)
発光器官が天然のピンクキャバレー、ヒウンシティの裏路地に在る大人だけのお・み・せ。
ジックに抱きしめられて、優しい言葉を耳元で囁かれ、○○○の×××の妄想してるんだって分かりやすい……清純な見た目ながら、オスというオスを誘惑するHカップ、ご奉仕するのが大好き……締め切りに追われているドーブル先生が、薄い本のモデルにしたいって、トンデモ依頼してくるエロい子なのだ。当然ジックは断ったけど少しだけ興味あったなど言えない!
瞳孔にハート模様を刻みながら、自分で自分を抱きしめながら、尾ビレを左右へプルプルさせてるメイドさんは放っておいて……
「メタグロス、キミは……生まれたばかりなんじゃないかな? そう考えたら色々と辻褄は合う」
彼女を発見した電脳空間。あんな場所で生活していたとは思えない。
【Valestein】なる英名のみ覚えていた。記憶喪失の類かと思ったけど違う、生まれたばかりだから本当に何も分からない、知らないだけなんだ。
その【Valestein】だけ覚えている理由は不明だが……あの戦闘方法から分析するに、パワーはジックのどのメンバーよりも高かった。
しかし避けられるよりも単純に当てられない、技の使い方があまりにも拙劣で、防御の姿勢も取れずメコンからの攻撃はノーガードで受けっぱなし。
脳筋、は言い過ぎだがハイレベルの地力だけに、頼って鎮圧させる事しか出来なかったのだろう。
アームハンマーでの攻撃後、自らのパワーを制御しきれないのか体勢を乱しており、次のアームハンマーを繰り出すまでの動作も長く、やろうと思えば既にメタグロスを戦闘不能に出来ていた。
それも生まれたばかりで戦い方を知らないと考えたら、納得だが。
「……戦っている内に、違和感を覚えました……いくつかの技は所持しております、しかし力の使い方をわたしは理解していない、戦った経験が無い……記憶になくとも身体が教えてくれました……」
戦闘不能になった少女へ、自然治癒力を意図的に瞬間向上させる、すごいきずぐすりのスプレーと、麻痺症状を速やかに取り除けるまひなおし、無言ながら頷いてくれた彼女の了承を得て、全身に散布及び塗布していく。
じしんを放った時。これはまだ相手が奇策を繰り出したと解釈できたが、得意である……ハズの打撃戦でも当たらない、当てられない。
特別回避性能に優れてないランターン相手に、ポケモンが技を繰り出す源、パワーポイント略してPPの息切れ間際まで振るったのに、結果は自分が疲れただけであった。
「自分の思った通りに身体が……動かなかったんです……距離や空間なども計算しているにかかわらず……ランターン、いえ、メコンさんの方がずっと速く動けていたと勘違いしておりましたが、わたしの攻撃が鈍かった……精度に欠けていた……そう、ですよね……?」
幼くも透き通って鼓膜を擽られる、クリアなロリボイスもバトル前よりメランコリック。
疑問が確信へと変わり、何らかの現象が起こり電脳空間にて生まれついた。
最強という呼び声すら在るメタグロス種とて、全くの戦闘経験皆無ならば戦いに慣れて、適切な鍛え方をされ、種族以上の力を引き出せているメコンに敵いっこない。
メコンが最初から本気(ジュエルハイポン)を繰り出していたら……避けられない、耐えられない、無残な物だっただろう。
「装甲も……恥ずかしながらわたしが〝焦る〟感情を浮かべてしまってから、性能が落ちた……みずでっぽうの威力が上昇したのではなく、わたしの防御力が低下していたのですね……とくせいはクリアボディなのですが、心的な問題が……」
HPは全回復、状態異常も取り除かれたが、あれだけ無表情だった少女が目線を落とし、何処へ断腸の思いを発散すればいいやら、拳を握りしめるあまり細胞を構築する磁力が、蒼い電流の如く零れ出す。
「強く……なりたい……ですっ……わたしはどうすれば強くなりますか……?」
メタグロスとしてじゃない、この星に生まれた不思議な生き物、ポケモンとしての本能が行く末を決定づける事になろうとは。
「メタグロス、キミにその気があるなら俺は努力させて貰う。キミを強くしてみせるっ、今は何もしらないだけ、これから知っていけば良い! 視野を広げれば良い! 俺だけじゃなく皆も教えてくれるからさ!」
「そーニャそーニャ! 仮住まいするんニャらついでに強くなっちまえばいいのニャ! ネリが戦闘教授してやってもいいニャ♪」
「そだね~! ギスギスした雰囲気ってのは嫌だし、これを機に仲良くやってけたらなーと思うよ。貴女が今後どうするか、決まるまでこの家に居るんだから、出来る時になら付き合ったげるよ!」
「ホホホ……ミノホホホ……」
「私も賛成ですよ! 是非とも私にリベンジしてください♪ 明日は日用品の購入にミナモデパートに行きましょう! メタグロスさんは少なくとも暫くはこのお家の住人です、お仲間です! 一緒に協力して行けたら嬉しいですよぅ♪」
一匹だけ理解不能な輩は居たけど……
生まれたばかりで演算処理もミスだらけ、欠陥コンピューター。
戦闘も呆れかえるほど惰弱な自分に、居場所を与えてくれた。
メタグロス種特有、強ポケとしてのプライドは在るが、こんな現状ではビッグマウス。
今の自分は弱い、野生として生きていくにしても強い事にデメリットはない。
現実から目を逸らさず、この者達の下で納得いくまで住ませて貰い、強くなる為のプロセスを学ぶ。効率を最重視した上で自分には何が足りていないのか、打算的に導き出したのが
「……お願いします、メコンさん、爽羽佳さん、ネリさん、かたくりこさん、ジック……さん、無礼な発言、態度をお許し……ください……わたしを暫く預かって貰いたいです……強く、なるまで……」
手甲を取り外し初対面より誠意を感じられる、立場を弁え可愛らしくツインテールが垂れ下がった。
こんな時でも無表情だけど、明らかに彼女は感情を持っている、自らの意思が在る。生まれた……と言い換えるべきか。
ジックはメタグロスが最短距離で自己能力を開花させる為に、利用されていると気づいているけど別に良い。
少しの間かもしれないけど、名も無きこの子と過ごしてみたくなったんだ。出生も分からず機械的かと思えば、不安定な面があまりに多く、恵まれた潜在能力を引き出せず苦難するこの子を。
このままサヨナラ、そんなの出来ないっ、放っておけない、ちょっとでも支えたくなってしまう湧き上がる何かがある。
「じゃあ改めてよろしくっ!」
手を差し出す一人と人化三匹、器用に砂ミノを凝縮変化させ棒、のような物体を作る一匹。
代わる代わる握手、行為の意味は理解しながらも強さとは結びつかない。
「よろしく……です」
流れ作業のように握手を交わす。種族が生まれながら持ち得る能力では、自分が圧勝しているのにこの人達は自分より強いっ、掌から感じ取れる熱量。このミノムッチだって自分より……
最後のジックとの握手でも、彼女は混乱時の渦巻き顔など黒歴史だと、言わんばかりの無表情っぷりだったけど、「この人の元で修行すれば強くなれる」と、メタグロス種には縁の無い言葉〝直感〟した。
強くなったら出て行く、ボールには入らない、共存法の定めはあるが、彼女の立場は「半分野生」なので意思を尊重し無理矢理ボールに押し込めない。
要するに「貴方の手持ちになりたい」意思を通わせ契約を交わすのがゲットだとすれば、彼女は強くはなりたい、が、手持ちになる気はサラサラ無い。ボールを投げたって呆気なく弾かれてしまうだろう。
ゲットするのが目的じゃないんだからいい、だけど暫くは仲間として扱う。彼女が納得すればその時は野生に帰るなり、他のトレーナーを見つけるなり……好きにすればいい。
こんなイレギュラーも発生するから、部屋をしっかり作っておいて良かったと、自画自賛したくなる出来映えのマイハウス。
喜色満面しながら腕を組むも、氷タイプ並の身体の冷たさと、生き物としての、延いては女の子としての芳香がメタグロスには存在しなかった。 言い換えれば体温と体臭、生き物として身につけていて当たり前の要素が彼女には無かった……負ぶった時から気がついていたけど、鋼鉄の身体だから冷たいという理由じゃないだろう。
まるで少女の心境を表すかのように……
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蒼き少女の専用部屋は、シングルベッドが殺風景の空間中心に、ポツッと置かれているだけなので、今晩だけは青き少女と同室。
メタグロスの少女は気にしないと、部屋よりも空虚に発するが半分お客さん扱いなのでそういう訳にもいかない。
「……メコンさん」
「は~い、なんでしょうか?」
各住人の個性が溢れる私室。メコンは水タイプに相応しく浅瀬、中層、深海をテーマにした原寸大アクアリウム。
サニーゴやヒトデマンのクッション、天井につるされた半透明のブルンゲル型照明器具。
勿論彼女の種族、ランターンや進化前のチャンチーを象ったオブジェを配置し、幻想的な空間を演出。
淡いブルーと濃いブルーのグラデーション加工されたウォールペーパー、薄型カーペットはブルー&ホワイトグラデーション、ソファーやルームチェアはマットグレーでシックに纏めている。
ハウスキーパーとして毎日お掃除しているので、髪の毛一本たりとも落ちていない。かたくりことジック以外の部屋だけは各自に清掃を任せているから、場合によっては散らかっていたりするけどメコンはそんな心配は無い! 彼女を泊めるには適任だ。
「貴女は何故、ジックさんの手持ちに?」
戦い疲れた身体を木の香りが堪らない、サウナも備えた極上ユニットバスでご入浴。剥き出しとなった丸太を組み合わせ、背もたれの角度や浴槽の深さまで、家主や手持ちに合わせている尋常で無い拘りようだ……
ツリーハウスが特徴的のヒワマキシティ出身の大工さんと、相棒のドッコラーさん達に感謝を。
部屋の隅っこに敷かれた折りたたみマットレス上で、ネリから借りているキャミソールとショートパンツは、黒地に青紫のストライプが縦並びに入っており、右端にはデフォルメされたネリの似顔絵がデザインされている。家事を一手に引き受けるメコンが取り付けた物だ。
少女には着替えが無い、胸やら身長やらの関係でネリのルームウェアでも少しサイズがマッチしてないが、明日まで我慢。
それだけならまだしも、何と少女は
【下 着 も 付 け て な い】
……あんなに動き回っていたミニスカロリ巨乳美少女。見えそうで見えなかったが、実際はいてない つけてない ので、全年齢向けギリギリの描写であった。
水浸しになった彼女の色々な部分が透けなかったのは、まさに洋服がリアルタスキ。妖怪一足りないが最高の仕事をした。
なので、無防備にも体育座りしてるから、お肉の盛られない鼠径部が隠されず、本人も脚で隠そうとする気が毛ほどもなく(別の意味でも)、同性なのに顔面クリムガンなメコン。
「……えっ~とですね、私はジックさんに助けられたのです。水タイプのポケモンは溺れる事はありません、ですが」
メコンのは大きすぎる、ネリは下はいいけど上は足りず、爽羽佳も同じ。
残念ながら胸の攻撃力の高さとその他の部位が比例しないメタグロスの少女は、身体に合うブラジャーを付けられず、ミナモデパートで購入するまではノーブラとなってしまうが、本人は下着の必要性が分からなかったらしい……服を着ているから問題ないと。問題大ありです……
「私の実家はトクサネシティの近く、百二十七番道路から百二十八番道路に存在する海底なのです」
まだチョンチーであり、どこもかしこもロリだった少女はメイドっぽくもなければ、メコンという名前も無かった。
父と母、家族で楽しく海底のお散歩中に、とても大きな渦潮が発生し、おおきなしんじゅやハートのウロコ、ビビットカラーのかけらなどが宝物のように落ちていたこの一帯は争い毎も起こらずのどか、両親達も安心して遊ばせていたが突如、巨大な渦潮が彼女達三人を巻き込み海の底に広がる景色、碧く神秘に輝ける宝石を破壊しながら、トクサネの海岸近くで漸く収まった。トクサネに避難勧告が発表され、殆どの住民が氾濫を覚悟し逃げる準備を終えていたくらいの驚異であった。
後日判明した事だが、強大な渦潮の正体は伝説のポケモンが関連した現象であったらしい。
伝説のポケモンにもチョンチー一族やトクサネ住民を、破滅させる意思は無く力が強すぎるあまり、ごく稀にこういった驚異が襲いかかることがどの地方でも在るらしい。
だからこそ簡単には見つからぬ場所で、静かにひっそりと、暮らす……存在すら曖昧に、概念その物が意思を持った〝伝説は伝説のままであって欲しい〟……とある海神が遺した悲しくもあるセリフ。
トクサネは無事だったが、飲み込まれたチョンチー一家は広大な海で散り散りに。
泳ぐことも許されず気絶してしまった一匹のチョンチーは、ミナモの浜辺に漂流し――――
「助けてくださったのが……一人の男の子、十歳の頃のジックさんだったのです……!」
家族旅行でホウエンに訪れていた幼きジック。 水タイプが日光浴でもしているのか、もしかしたら友達になれるかも?
子供らしい純な想いを秘めながら、ドキドキして近づけば……遊んでるって雰囲気じゃ無い。
もう少しでポケモントレーナーとして認められるのにっ! まだボールを持つことが許されていない少年は、考えるより先にチョンチーを背負い両親の元へ駆け出していた。
「手厚く看病してくださりました……あの方は命の恩人です、ジックさんは「治したのはお父さんとお母さんだよ!?」と、仰りましたけどそれでもですっ、何れ両親の元を離れて一人立ちするのであれば、今がその時ではと」
利益を顧みず必死で背負ってくれた少年の背から、気を失いながらも想いが伝わり家族と離ればなれになった不安な心が安らぎを得ていく。
代金は大人になったら利子付けて返すからっ! 無茶言って乗り込んだのは、海上を滑るように爆走するボートにはジックとチョンチー。
旅行が終わるまでの間、やりたかった事も行きたかった場所も犠牲にして、だだっ広いホウエンの半分以上を占める海で呼びかけていた、この子の両親は何処ですかって。
「見つかった……のですよね?」
「ええっ……! 最後の最後に、夕焼けのミナモシティの浜辺で! 偶然にも私達が出会った場所にお父さんとお母さんが噂を聞きつけて、見つけてくれたのです!」
身体を締め付けずシルエットを太く見せてしまうが、寝心地優先なリップル素材の長袖パジャマに着替えたメコンは、詰め物でも入れてんのかって女子から泣きつかれて揉みし抱かれてしまう ザ・ビッグバスト。
デパートにはメコンにフィットするサイズが、取り扱っていないのでワンオフ品として設計され、プラスとマイナスが集まり、一つの大きなプラス記号とマイナス記号を形成し、電流が迸るエフェクトが袖口と尾ビレの開口部にプリントされている。結構ポップだ。
自分サイズ……なのに、中心部のボタンを二つ程閉められなくなっているから、みっちみちの乳袋に追従する谷間のダークホール……これは 命中率百%の いちげきひっさつわざ!
なんか硬くて太そうな物体を差し込めそうだが、そんな展開にはなりません。
太ったのではなく【また成長しちゃった】のだろう。胸がデカけりゃ苦労もデカい。
「私もジックさんも、両親を説得して承諾してくださいました。あの方の初めてのポケモンとして八年間ずっと過ごしてきました……イッシュ地方やシンオウ地方への旅も得て、再びこの地に戻り拠点を作り上げたのです」
二人が出会った思い出の街、なんと運命的なのだろう。
メコンの実家ともアクセスが可能で人口率も多く依頼要請もし易い。人口が多ければバトルを挑まれる確率も高く、それだけ経験を重ね強くなれるし、戦うだけがポケモンではないとバトルとは異なった育て方、戦略を求められるコンテスト会場、メコンの下着以外が困らず大体何でも取り扱っているデパートなど。
ここしかないだろう、貯金も一気につぎ込んで真に自立した証を、大切な仲間達と共に暮らせる場所、そして帰るべき場所。
「……メコンさんにとって、大切なんですね、ジックさんは……」
「えぇ、とっても! 旅は一段落しましたが私はずっと、ずっとあの方と共に在ります」
メコンとは今日出会ったばかり、ほんの僅かしか彼女を知らないけど礼儀正しくお淑やかな女性であり、ジックを心から慕っていると、興奮気味に語り二の腕でおっぱいを挟み込んでいる姿からも分かる。
ジト目で三つ目のボタンが外れるか否か、冷静に観察している少女も、サイズがマッチせず切り落とされた形状になってしまう、キャミの上半分からE……いやFくらいはありそうなバストを露出させているのだが。縦縞なので余計に段差が強調され……この部屋エッチすぎる。
「旅の途中に爽羽佳さん、ネリさん、かたくりこさん、ここには居ませんけど沢山のポケモンと知り合って、仲間に迎えて、何時も上手くいった訳じゃありませんけど、トレーナーの下で生きる悦びを感じました」
「トレーナーの……下で生きる悦び……?」
「人もポケモンも、一人と一匹の力だけでは限界があります。伝説のポケモンなら話は違うかもですが、私は伝説ではありません、特別な能力も持たないランターンです。みずでっぽうだってジックさんと旅に出るまでは、下手な物でしたよぉ……的に届くまでに途切れてしまったり……」
「トレーナーの下に居れば強くなれる……」
それだけじゃない。
自分だけでは入国すら出来ず、憧れるだけであった別の地方への進出。
海に住むポケモン以外、毒タイプに炎タイプに虫タイプ、仲間や友達と遊んで戦って、人化した利点を活かし働く事もあった。
ポケモンは人間よりもずっと強い生き物。だが人間と一緒に暮らせる生き物。
人化したって変わりない、彼らと、彼女らと共存して人間は生きている。どちらも欠けてはならないんだ。
「一番嬉しいのはニックネームを授けてくださった事、ですかね!」
ジックと共に歩むことを選ばなければ、自分は一生涯〝チョンチー〟か〝ランターン〟で幕を閉じていたかもしれない。
ポケモンと人間は感性が異なる点があるので、ポケモンからすればわざわざニックネームを付ける必要が無い。大勢の群れでも周波数を使い分け同じ〝ランターン〟呼びでも、ポケモン側からすれば一匹一匹別の〝ランターン〟なのだから。
ニックネームを与える、つまるところ新しい人生の始まり……は言い過ぎかもしれないが、一つの種族としてでなく、存在として扱われる意味がある。
あの二人だって同じ、〝ただのオニドリル〟と〝ただのマニューラ〟から、〝爽羽佳〟と〝ネリ〟、トレーナーの手持ちとなる事を選んだから、唯一無二のネームがアイデンティティとなったのかもしれない。
(名前……ニックネーム……必要性が感じられません……そんな物が無くても強くなれるハズです)
少女にはまだ理解出来ないだろう。正式な手持ちでは無いし一ヶ月後には姿を消している可能性も捨てきれない。
彼女がジックの手持ちになる選択肢を取るなら、それはメコンにとっても嬉しいけど……
ジックは強制しない、俺の手持ちになれと強引にボールに収める真似はしない。
約束したからには少女に戦闘経験を積ませ、技の洗練度を上げて、非常に恵まれたポテンシャルをフルに発揮できる努力をするだろう。
その結果、少女がこの家から消える事になったとしても……意思を尊重して引き留めようとは思っていない。
「さっ、お休みしましょうかメタグロスさん! 明日も貴女にとって良い日でありますように! スヤァァ……」
デパートで少女に必要と思われる品、特に下着は入念にスリーサイズを計って貰わなくては……
サイドテーブルに「バニプッチよりあま~くてつめた~いお菓子特集」というグルメ雑誌にカラフルな付箋が挟まれ、氷菓をいっぱい食べてるから胸があんなに……? いらん勘違いをしているメタグロス。
ポケモンの技をイメージした秘密基地模様替えグッズ、○○マットを作り出している会社から、同じ模様の掛け布団が発売されたのがメコンが使っているなみのりデザイン。
爽羽佳はそらをとぶ、ネリはネコにこばん……覚えねーだろという突っ込みは受け付けていないらしい。かたくりこはむしくい、不良品じゃありません、こういうデザインなんです!
「早いっ、もう寝てしまったみたいです……おやすみ……です……」
いっぱいねるから おっぱいもそだつ
フニャ顔ランターンには寝ていても、しっかり声は届いたようでライトを数回ピコピコ点滅。
ジックに発見されるまで眠りについていたが、いざ起きている状態から布団に入ってみれば、どうやって寝ればいいのか分からない。
真似をして目を瞑れば、フッ……とスイッチが停止したような、深い場所へ潜っていくかのような、外界へ連れて行かれる気持ちを察知したが悪くない。
(これが寝る……なるほど、こうやって一つずつ知っていけば……つよ……く……)
なって、どうするんだろう。
やせいとして、ひとざとはなれたばしょで、いきていけばいいのかな。
夏は夜、バルビートが仄かな光を月へとたゆたう、旧暦は文月。
彼女のフローチャートには「強くなる」以外の記入は無い。これから見つけるのか、必要無いと無表情に下すか。
思いも寄らぬ会遇を果たしたジック達と、感情表現が希薄なメタグロスの少女。
寝息は一切聞こえなかったが、メコンが朝ご飯を作り終えるまで、目を覚ますことは無かった。
本来はげんきのかけらを使うべきなのですが、きずぐすりの方が状況に合っていると思ってのチョイスです。
下着が見えそう...ではなく最初から穿いていなかったし、付けてもいなかった危ないオチでした! これが成人向けだったら(以下略)
メタグロスにNNは付けられるのでしょうか...その前に手持ちになるのでしょうか、続きをご期待ください~!
@hiero_osie ツイッターしてます b
今は別の作品書いてるので、終わったら蒼鋼少女書きますね~! がんばるぞ!