ラウラが軍隊をクビになった場合の話   作:赤いUFO

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しばらくこの作品は筆を置く。
ラウラの学園生活はもうISと関係ないから書かない。

とか言ってたくせに書いてるバカがいますよ。
はい、二重の意味で嘘つきになりました。申し訳ありません。
でも思いついて書いたら思いの外書ける書ける。。

楽しんでもらえるといいなぁ。


凸凹コンビの始まり

「はぁ……今年ももう終わりかぁ……」

 

「人に後ろから抱きつきながら憂鬱そうな声を出すな」

 

 後頭部に柔らかく大きな胸の感触を当てられながらラウラは体を離させる。

 見れば、ラウラを羨ましそうに見ている男子が数名視線を向けている。

 

 そんな2人にアデーレが疑問に思って質問してきた。

 

「お2人は仲が宜しいですね。ですが、入学当初はあまりお話しはされてなかった筈ですが?」

 

 入学したばかりの頃のラウラは学内で浮いた存在だった。対して社交的なモニカは友人も多く、ラウラとの接点はなかったように思える。それこそラウラに対抗意識を燃やしていたアデーレの方が話しかけていただろう。

 

「なに?アタシとラウラの馴れ初めが気になるの?」

 

「そうですね。私からすればいつの間にそんなに仲良くなったのか疑問ですし」

 

「ラウラはね。アタシの恩人なの。入学して少し経った後に助けてもらったんだ」

 

 懐かしむようにモニカは目を閉じる。

 

「本当に、ラウラがいなかったらアタシ、どうなってたか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラウラ・リットナーは入学当初からとても目立つ少女だった。

 小柄な体に流れるような銀の髪。赤と金のオッドアイなどの容姿に加えて学年首席で入学式で講壇に立ったこともあり、学業・運動成績ともに優秀。

 

 そういう完璧な印象からか、なんとなく近寄りがたい雰囲気を持っており、いつも独りで居ることが多かった。

 話しかければしっかりと答えるし、問題のある態度をしているわけでもない。

 しかしどこか一歩引いた距離感で接してくる彼女に徐々に話しかける者は少なくなっていった。

 それはラウラ自身が当時、学校という場所に居場所を感じていなかったのが1番の原因かもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ」

 

 小さく息を吐いて学校に備え付けられているベンチに座って息を吐いた。

 なんというかとても疲れる。肉体的にではなく精神的に。

 

「どうにも、場違いな気がしてならんな……」

 

 周りに馴染んでいないのはラウラ自身が1番分かっている。

 しかし、今まで上か下かの人間関係しか構築してこなかったラウラにとって同世代が多く集まる空間というのは未知の場だった。

 

「情けないな……」

 

 自分を姉のように慕ってくれるアニータも勇気を出して周りに近寄れた。

 ならば自分ができないでどうすると自らを叱責する。

 それでもやはりこの学校という空間において自分が異物のように思えてならないのだ。

 

「せんせ……おばあちゃんをこれ以上心配させるのもなぁ……」

 

 入学して一月程経ち、未だ友人関係を構築できていないラウラを義祖母は心配している。

 だがラウラ自身、周りとどう接すれば良いのか解らない。

 普通の人間として生きようと決めたわけだがそもそも軍という特殊な場所でこれまでの人生の大半を過ごしてきたラウラだ。一般的な同世代の少年少女と共通の話題などある筈もなく。それが余計に自分が異物だと感じてしまう。

 

「いや、おばあちゃんは関係ない。大切なのは私が、ここでどう過ごしたいかだ」

 

 大切なのはそれだと思い直す。

 純粋に友人は欲しい。首席挨拶で自分で言ったようにここで過ごす日々が後に思い出しても輝かしいものになるように。

 

「なんとか、しなければ……」

 

 ラウラは座っていたベンチから立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モニカ・ペーツはその日、特に用事があった訳ではなく気分で普段はいかない方向に足を運んだだけだった。

 散歩ついでに何か気に入った物が在れば購入しようという程度にフラフラしていた。

 

 歩いていると一軒の服屋が目に留まる。

 

「お!なんかいい感じのお店!」

 

 自分の家周辺にある服屋は何が置いてあるのか大体察しが付くが、初めて入る店なら何か気に入る服があるかもしれない。

 購入するかはともかく、商品を見るだけでも楽しいものである。

 期待半分を胸にモニカは入り口を通る。

 

「いらっしゃい……ん?」

 

「あれ?」

 

 聞きやすい店員の声。見てみると、その人物はモニカの知っている人物だった。

 

「リットナーさん」

 

「モニカ・ペーツか」

 

 ラウラ・リットナー。

 成績優秀だが友人関係はなく、どこか孤高な雰囲気をした銀の少女。

 モニカも同じクラスというだけで接点のない相手だった。

 

「リットナーさんはもしかしてここでアルバイトしてるの?」

 

「そうだな。そちらは?」

 

「アハハ。私は散歩。ちょっと良さそうな感じの店だったから入ってみて」

 

「そうか」

 

 店を褒められたことが嬉しく小さく笑みを浮かべるラウラ。

 それを見たモニカも少し驚く。

 

(わ、キレー……)

 

 あまり誰かと話すことのないラウラが笑うところなどクラスの誰も見たことがないのではないだろうか?

 話しかけるのも精々彼女に対抗意識を燃やすアデーレくらいしか見たことがない。

 モニカは少しだけラウラに興味が湧く。

 元々人懐っこいモニカだ。ラウラ相手でもきっかけさえあれば普通に話しかける。

 

「リットナーさん!あたし、この店初めて入ったから。もし良かったらこの店で人気の品とか教えてもらって良いかな?」

 

「ん?あぁ、いいぞ。最近売れてるのは――――」

 

 商品の説明を始めるラウラ。

 それは流行とかではなく本当に売れている物を教えてくれているのだろう。

 説明はたどたどしく、完璧超人だと思っていた彼女が慣れない感じで商品の説明をする姿がとても新鮮だった。

 

(キレーな子だと思ってたけど今はカワイイ?ううん、どっちもかな。かわいいとキレーを両立させてる子って感じ?)

 

 モニカの中でますますラウラに対する興味が増す。

 

「どうした?呆けて」

 

 不思議そうな顔をするラウラにモニカは手を振って否定した。

 

「う、ううん!なんでもないよ!せっかく教えてくれたし、これを購入しようかなって」

 

 値段も手頃なワンピースを手に取る。

 デザインもモニカの趣味に合っていた。

 

「そ、そうか……私の説明では解りづらいと思うんだが……」

 

「そんなことないよ。一生懸命説明してくれて、嬉しかったし。それに良いモノが見れたしね」

 

「?」

 

 モニカが何を言っているのか理解していない様子で首を傾げるラウラ。

 その姿がまたかわいいと思ってしまう。

 

 会計を済ませ、袋を抱えるモニカ。

 

「リットナーさん。また明日ね!」

 

「え?あぁ。また明日……」

 

 店を出たモニカ。続いてさっきまで店内にいた男性客2人も外に出る。

 店長が店の奥から出て来たのはその数分後だった。

 

「ラウラちゃん、ちょっといいかしら?」

 

「はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当にかわいい子だったなぁ」

 

 学校で見るのとは大分印象が違うクラスメイトの姿にモニカは頬を緩めた。

 

(明日は昼食を一緒にって誘ってみようかな。リットナーさんのことがもっと知りたい)

 

 そう考えて家路に着いていると知らない男性が話しかけてきた。

 

「ちょっと良いかな?」

 

「へ?」

 

 話しかけてきたのは20歳前後の男性だった。

 顔は整っている方で清潔感の服装。一見して好印象を持たれやすい外見の男性とスポーツマンのような見た目の男性の2人。

 しかしモニカは見知らぬ相手として警戒する。

 

「なんで、しょうか?」

 

 モニカは警戒心を露にする。

 女尊男卑の風潮が社外に流れ始めて女性に媚を売る男性が増えた一方で、女性に敵意を持つ男性も増えた。

 だから見知った男性ならともかく、見知らぬ年上の男性ともなれば警戒する。

 複数ならばなおのこと。

 

「君、良いね。もし良かったら僕らとこれから一緒に遊ばないかな?」

 

 ナンパ、だろうか?

 しかしやはり知らない男性ということで警戒心の方が強い。

 

「いえ、その……もう帰らないと、ですから……」

 

「そんなこと言わずにね?ほら俺らが奢ってあげるし」

 

「本当に困りますので!」

 

 今度は強く拒絶するが、片方の男の手がモニカに伸びており、振り払おうとするが相手の力が強くて解けない。

 

「大丈夫。とっても楽しい遊びだから」

 

 ここでモニカは相手の態度に恐怖を覚え、周りに助けを求めようとするが、視界に人影がない。

 それを見計らって声をかけたのだろう。

 近道しようとして人通りのない道を通ったことが完全にマイナスになってしまった。

 男性のひとりがモニカの口を塞ぐ。

 

「大人しくしてればさ。痛い思いしなくて済むから。ね?」

 

 モニカの手から買ったばかりのワンピースの入った袋が落ちた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人気のない路地裏連れてこられたモニカは現実逃避からこんなことってホントにあるんだなーとぼんやりと考えていたが、地面に押し倒されたことで意識が現実に引き戻された。

 男のひとりが伸ばされたモニカの両手と口を押さえ、もうひとりが太腿に乗ると折り畳み式のナイフを取り出して胸の辺りからゆっくりとモニカの服を切り始めた。

 

「あぁ。いいよ、その表情!すごく興奮する!」

 

「思ったとおりだ。良い身体してるね。撮りがいがある」

 

 携帯端末でゆっくりと切られて露になるモニカの肌を撮影される。写真なども撮られながら胸の谷間などを指でなぞられた。

 そんな中で撮影していたスポーツマン風の男が質問してきた。

 

「そういえば、さっき店の店員と仲良さそうに話してたけど友達?何なら、これから呼んで一緒に楽しもうか?きっと今君の写真を送れば来てくれるよね」

 

 そう言ってモニカの携帯に手が伸びるがナイフを扱う男の後ろから声が聞こえた。

 

「おい。私の同級生に何をしている?」

 

 言葉が届き、後ろを振り向くより早く、首根っこを捕まれモニカから引き離された。

 驚きの声を上げる前にモニカの手を押さえていた男の顎に横から拳を入れて脳を揺らした。

 

 男の力が緩んだのを察してモニカを起き上がらせる。

 

「すまない、遅くなってしまった。無事か?」

 

「リットナー、さん……どうして……?」

 

「店でこの2人がお前のことをジッと見ているのを監視カメラを見ていた店長が気づいてな。もしなにかあったら事だからと送って行くように言われたんだ」

 

 そこでラウラは手にしていた先程落とした袋を渡す。

 

「これが落ちているの見つけて何かあったのかと思ったが、途中で知り合いにお前が男2人に路地裏に連れ込まれたのを見たと教えてくれたんだ」

 

 だから間に合ったと安堵の息を吐くラウラ。

 

「クソッ!?なんなんだよお前……」

 

「彼女のクラスメイトだ。大人しく警察に引き渡されることをお勧めする」

 

 ラウラが言ったクラスメイト。その関係を口にされてモニカは少しだけ胸ズキリとする。

 

 逆上した男はクソクソと呻きながらナイフを振り上げてラウラに襲いかかってきた。

 

 闇雲に振るわれる刃物を2回避けた後にラウラが男の股間を蹴り上げる。

 

 その容赦も躊躇もない対処にはさすがのモニカもうわ、と声を洩らした。

 手から落ちたナイフを拾う。

 

「まったく。こんなものをぶんぶん振り回す奴があるか」

 

 ラウラの発言は一見こんな危ないモノを振るうなという意味に聞こえるが。こんな短い刃物を振り回しても当たるわけないだろうという呆れからの発言だった。

 もっともその意味に気付いている者は他に居なかったが。

 折り畳み式のナイフを畳まずにラウラは股間を押さえている男に近づいていく。

 

「この手の刃物は、こう使うんだ!」

 

 ナイフの刃が一直線に男の顔に目掛けて進む。

 刃が、眉間へと到達する瞬間。

 

 ――――やめなさい、ラウラ!?

 

 ピタッと刃が進みを止める。

 

「あぁ。分かっているさ。先生……」

 

 刃物で誰かを刺してはいけないと当たり前のことを教わった。

 だから、誰かを守り、助ける為でもやってはいけないのだ。

 ラウラはナイフを畳む。

 刃物が目前に迫った恐怖に襲われた男は失禁しながら座り込み、怖ろしいモノを見る目でラウラを見た。

 もうひとりも脳を揺さぶられ意識を刈り取られている。

 男2人を無力化したことを確認してラウラは座っているモニカに視線を合わせた。

 

「服を破かれたのか。私の上着――――ではサイズが合わないだろうな」

 

 モニカの胸を見て困ったように息を吐くラウラ。

 そこで別の男が現れる。

 

「もう事が済みましたか」

 

「えぇ。警察には?」

 

「もう連絡を入れましたよ。すぐに到着するでしょう」

 

「ありがとうございます」

 

 見知らぬ40代程の男が現れて、警戒するモニカだがラウラが説明する。

 

「この人がお前が連れて行かれるのを私に教えてくれた知り合いだ」

 

「止められずにすみません。ですが、間に合ったようで良かった」

 

 柔和な笑みと声でそういった男はモニカに表情が見られない位置に立つと先程とは打って変わって冷淡な声でラウラに小声で話す。

 

「あまり面倒をかけるな。自分の立場を考えろ」

 

「申し訳ありません。お手数をおかけします」

 

 彼はラウラの昔の職場の人間で今は彼女の監視役のひとりだった。

 モニカが連れ去られるのを見たのは本当に偶然だったようだがラウラに知らせてくれた。

 そうこうしている内にパトカーのサイレンが聞こえてくる。

 

「来たか。ほら。もう大丈夫だ。頑張ったな。怖かっただろう」

 

 そう幼子を安心させるような声でモニカの頭を撫でるラウラ。

 大丈夫。その言葉に震えて、表情と視界が歪んだ。

 

「う……うぐ……」

 

 気が付けば安心して泣いていた。それも、ラウラの胸に寄りかかって。

 

「もう大丈夫だ。大丈夫だからな」

 

 安心させるように何度も頭を撫でてくれるラウラ。

 それは、警察官が到着するまでずっとそうしてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 モニカの涙と鼻水塗れになった服を怒ることなく、到着した警察に現場の説明を終えた後、モニカの様子から調書は後日という話になった。

 破けた服は警察が上着を用意してくれたのを着て、家まで送ってくれた。

 

 調書を取った時に聞いた話だが、男2人はここ最近。女性の裸や強姦の写真や動画を撮影してそれらをネタに口封じと金などを貢がせていたらしい。

 数名の被害者の写真や動画が発見され、実刑は確実だろうと警察の人が言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いつも通りひとりで昼食を摂ろうとするラウラに今日は話しかけてくる少女がいた。

 

「リットナーさん。もし良かったら一緒に食べない?」

 

「え?」

 

「この間のお礼もしたいし。それにもっとリットナーさんと話したいから」

 

「いや。言っては何だが、私はあまり喋るのは得意ではないぞ」

 

「それでも、だよ!」

 

 手を差しだすモニカ。

 あの時は随分頼もしく見えた少女が今はこうして躊躇いがちに自分の手を取っている。

 そのギャップがまた可愛らしいとモニカは感じた。

 

 この日から2人は一緒に行動することが増え、互いを名前で呼び合うのに時間はかからず、学内でもちょっとした名物コンビとして扱われることとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っていうことがあったの!」

 

 この日からモニカを通じてラウラの交流関係は広がり、完璧超人のレッテルは良い意味で剥がれることとなる。

 自分たちが当たり前に知っていることややっていることで驚いたり斜め上の反応をするラウラに少しずつ親しみを覚えていったのだ。

 

「そう言えば入学して少しして生徒が男性に襲われたとホームルームで言ってましたね。それってモニカさんのことだったんですね」

 

「いやーホント。あの時は危なかったなぁ。もうダメかと思った」

 

「それにしても、ラウラさんは格闘技も嗜んでるなんて……」

 

「ただの護身術だ」

 

「いやいや。あの躊躇いのなさは”護身”じゃないでしょう」

 

「昔、男を黙らせるならアレが1番だと教わったのでな」

 

 話を終えるとモニカが話題を変える。

 

「長期休みに入ったらどっか遊びに行こうよ!あ、アデーレも一緒にさ」

 

「わ、私もですか!?」

 

「いいじゃん!人数は多いほうが楽しいし!!」

 

「し、しかしラウラさんは……」

 

「ん?私か?私もアデーレと一緒に過ごしてみたいな。今までは学内だけだったから他の場所で過ごすのも良いと思っているが」

 

「うう……」

 

 今まで何かと対抗意識を燃やして突っかかってきた手前、必要以上に慣れ合うのも抵抗があるのだろう。本人は気にしていないが。

 

「いや?」

 

 少し残念そうに視線を下げるラウラにアデーレは居た堪れなくなり答える。

 

「分かりました!なんでしたら勉強以外でラウラさんに勝負も挑みますからね!」

 

 その答えによし落ちた!とガッツポーズをするモニカ。

 

 

 

 

 

 日々は積み重なり、少しずつ変化を与える。

 当たり前に訪れる毎日。しかし同じ日など無い1日1日が彼女たちに小さな成長と変化を与え続ける。

 その結果が良き思い出となるか、悔やむモノとなるか。

 結果は、まだ先のこと―――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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