無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第97話 五人目

「ゆ、る、さ、な、い〜?どう許さないんですかぁ?」

「時間停止、跳躍、逆行、全てに対応できる。クアットロの幻影を見破ることもできない。許さないまま死ねばいい」

 

 汎用的に使える強力な能力、時間系に対応していることは先の事態から明確だな。そしてクロックアップや幻術と、それぞれのプライムの分野も対応できると見ていいだろう。それが二人だ。

 はぁ……はやてを逃がせていれば有用な人材としてシオンに献上したものを……はやてにさえ手を出さなければ良かったものを……

 

「だからどうした。そんな事は関係無い。時間系の対応、プライム、戦闘機人。何一つとして私に勝てる要因にはならない。自分の限界がそれだと言っているだけだ」

「戦闘機人は完璧ですよぉ?互いのデータを共有し、それだけ成長速度を速くする……個人の成長しか望めない人間より遥かに上の存在です♪」

「そうだな。そんなつまらない存在など屠っておかなければな」

「ッ……!自分の立場分かってますかぁ?どう調理されるかを怯えるだけの存在ですよ⁉︎」

「はぁ……言っただろう。お前たちだけは絶対に許さんと。私に人間の尊さが云々など聞けると思うのか。お前たちと私は同じく人に作られたものだがな、私は人型をとるだけのプログラムだ。データリンクなどしなくとも、古今東西全ての技術知識を併せ持つ存在だ。成長し続けている時点で私の遥か下にいると言っているようなものなんだ」

 

 能力を選択、右手にソレを持つ。

 縦に広い銃身を持つ青い銃。バーコードの様な模様を持つカードを差し込み、銃身を前へ。

 

「ツヴァイ、はやての治癒を頼む。あと数秒待てば十分だ」

「です!」

「お前たちは基本から外れている。ならば私達の領域だ。私達に慈悲や倫理観など期待するなよ、所詮は暇つぶし、結果悪くとも全て良し、な連中だ。だが……守ると決めた相手を傷つけられた時は何がなんでも報復するぞ……」

 

 行動が終わるまでの数秒の時間をツヴァイに稼いでもらう。

 銃を頭上へ掲げ、トリガーを引く。

 戦闘機人に対する攻略として、まずプライムの能力を特定することから始めるべきだろうが……面倒だ、力技でいいだろう。

 

「私の象名は夢。そうなりたい、こうあればいい、全ての夢を叶えるもの。お前たちも幸福な夢を見よう。それだけが最高の時間だ」

 

 やはり私はヴィーナスの一人。私の納得のため、無限月読はその手段だ。

 

《KAMEN RIDE…… DE-END!》

 

 全身が青い装甲に覆われ、顔には無数の板が刺さる。

 

「ゲッ……仮面ライダーディケイド⁉︎」

「仮面ライダーディエンドだ。夜天の全てを見せてやる。お前たちは世界に勝てるか?」

 

 二つ目の能力。並行世界からあったかもしれない未来を手に取る。

 手にしたそれはただ一枚のカード。ただそれだけで十分。

 

「沈まぬ黒い太陽。影落とす月。唯一性だの蓄積だのでは無い。もっと単純な事だ。限りなく近い概念同士引き合ったのだろう。効果無く私の中に在り続けたのもそのためだ。元々、私の中にあったのだからな。この私ははじめましてになるが、私は知っているぞ。お前たち四人を。遥か昔から共にいたことをな」

 

 巨大なバックルにカードを入れる。ケータッチというらしいな。

 そして表示された画面を順に押していく。

 

《YATEN・SHITEN・NACHTWAL・YURI・DEARCHE・STERN・REVI》

 

 それぞれ本や蛇、焔や雷といったマークに強い懐かしさと喜びを覚える。

 バックルを装着、七枚のカードが胸の装甲に投影される。

 

《FINAL KAMEN RIDE……》

 

 カードをさらに装填、トリガーを引く。

 

「さぁ、全員集合だ……わずかな時間だが、楽しもう」

 

《DE-END!》

 

 虚空に撃ち込んだ銃弾は、複数の影が重なるように実態を映す。

 幼少期のはやて、なのは、フェイトに似た色彩の違う三人と、ウェーブのかかった金髪の少女。

 今の基準……この世界のそれぞれのオリジナルと同等の魔力を纏いながら目を開ける四人。

 

「む……これは……小鴉の融合機か」

「ああ、私だよ」

 

 よかった。もしかしたら私と出会っていない世界かもと思ったが、認知してくれているようだ。

 

「クロハネ⁉︎何その格好⁉︎カッコイイ!」

「カッコいいか……?我はなんというか、ダサく感じるぞ」

「貴女は、消滅したと聞いていますが」

「え?そうなの?僕は昨日普通に会ったよ?」

「レヴィよ、夢でも見てあったのではないか?」

「王様も⁉︎ユーリは⁉︎」

「私も昨日会いましたよ、レヴィ。ただ、はやてさんはディアーチェと同じ背丈だったと思うのですが……」

「ユーリ、呼んですぐですまないが、はやてを治してくれないか?」

「え?あ!はい!」

 

 挨拶より先に治して貰うべきだったが、まぁいいだろう。死ぬわけではないのだし。

 

「……まぁ、異世界に呼ばれた、ということなのであろう?ならば多少の食い違いは許容しよう。シュテル、それで良いな?」

「ええ。私と王が同じ世界、レヴィとユーリはまた別の世界から呼ばれたと。異世界というより並行世界のようですが」

「それで、何の用だ?我らはエルトリア侵略に忙しいのよ。もしつまらぬ理由で呼んだのならうぬがその対価を支払うことになるぞ?」

「うん。まぁ理由と言っても呼んだのは個人的なものだ。はやてたちの平穏を脅かそうとする者を消してもらいたくてな」

「ふん、つまらん!そんなもの勝手にしろ。どうせそこのメガネと陰気であろう。面倒な枷などつけるからそうなるのだ」

「王。並行世界ということは我々の世界と少なからず繋がりがあります。この世界でナノハが死ぬようなことがあれば、我々の世界でもそういう可能性が高くなります」

「そうなるのか。まぁ、貧弱なものよ」

「私はナノハとの再戦を約束しています。それは絶対でなくてはなりません」

「む……」

「王様!僕もオリジナルが死ぬのはヤダよ!」

「むむ……」

「ディアーチェ。私もシュテルとレヴィに賛成です。手を貸してください!」

「むむむ……!」

「どうだろう、王。後で礼もする。はやてを傷つけた奴らをどうか」

「あくまで小鴉のためと言うのだな!その献身ぶりに応えてやる!ゆくぞ!シュテル!レヴィ!ユーリ!」

「「「おー!」」」

 

 シュテルたちには助かった。どうも意固地な部分があるのがなぁ。

 

「王、少し紫天の書を」

「む?何に使うのだ?」

 

 シュテルがディアーチェから紫天の書を受け取り、片手に抱える。

 

「ありがとうございます。こほん。祝え!過去と未来、あらゆる覇道を越え、その世界を闇で覆い支配する我らが王。その名もロード・ディアーチェ。眼前の塵芥を滅し、新たな闇の歴史を刻む瞬間である!」

「シュテルよ、なんだそれは」

「……いえ。このシチュエーションは言わなければならない気がしましたので。ありがとうございました」

「シュテるんカッコいい!僕もそれやりたい!」

「どうぞ。祝え、から好きにしていいですよ」

「もう貸さぬぞ」

「えー⁉︎」

「レヴィ、夜天の書でよければ使ってくれ」

 

 私が言えた事ではないが……マテリアル、随分と自由なことだ……戦闘機人が固まっているぞ。

 

「クロハネありがとう!よーし!祝え!強くてスゴくてカッコいい王さまのちょースゴイところである!」

「……レヴィよ、黙っておれ。気持ちだけで十分だ」

「えー!」

「レヴィ、やはりあなたが喋ると王の品格を落とします。堅苦しいことは私に任せ、あなたは王の片腕として力を振るってください」

「むー!オッケー!クロハネ、ありがとね!」

「さて……」

 

 夜天の書を戻してもらい、戦闘機人に向き直る。

 ガジェットの分をウタネ様に回してしまっているようだから早めにしないとな。

 

「小鴉、ユーリの手を煩わせたのだ、貴様もやれ」

「……?」

「はやて。王の言う小鴉ははやての事です」

「えっ!あ、そうなん⁉︎えとな、えぇ⁉︎」

「……なんだ?話し方だけでなく頭も緩くなったか?」

「王、どうやら……と言うよりもこの世界には我々のことは知らないのでしょう。手間かとは思いますが一から説明しなければなりません」

「確かにな。記憶処理は万全だったはずだ」

「違うんだ、王。そもそもこの世界では面識は無い。だからその、見た目の事とかも説明しなければならないんだ」

「我らを呼ぶなら何故その説明をしておかんのだ!我はせぬぞ、うぬが責任を持て。五秒で済ませよ」

「五秒⁉︎えーと、はやて!すまん!」

 

 月読ではやてにマテリアルと紫天の書、ユーリとエグザミアについて説明をする。実質一秒も経ってないからセーフだ。

 

「お、おぉ!そーかぁ、マテリアル……ええなぁ、もっと前に会いたかったなぁ」

「まさか本気でやるとはな……猶予くらいやろうと思っていたが」

「王。あのメガネでない方は砲撃タイプのようです」

「そのようだな」

「そこで、私に一つ作戦が」

「よし。述べてみよ」

「はい。まず私があの砲撃手とここから距離を取りながら戦います」

「ふむ」

「あのメガネは他の皆さまでどうぞ」

「それは作戦ではない!シュテル貴様、砲撃の試し撃ちがしたいだけであろう!」

「王……だめ、でしょうか……?」

「レヴィ、ユーリ。あの幻術師は我らのみでやるぞ」

「おー!シュテルんいいなー!」

「シュテル、頑張ってください」 

「やりました」

「まったく……もうよい。小鴉とその融合機は他に当たってやれ。仕事があるのであろう?」

「そうか。なら頼む。撃破対象にあの二人を設定してある。あの二人を殺せばお前たちも消える……まぁ、元の世界に戻るだけだが。お前たちなら問題無いだろうが、被害を出さない限り戦闘法は任せる」

「良い。遊ぶだけだ。被害など出るはずもなかろう。我らをバカにしすぎだ」

「では頼む。はやて、元の仕事だ。ガジェットの殲滅だ!」

 

 ♢♢♢

 

「ヴィヴィオ!」

「ママ……!」

 

 ウタネとヴィータと別れて少し。ゆりかごの玉座へ到達したなのはの目にまず入ったのは拘束されたヴィヴィオだった。

 

「随分と早かったですねぇ。ゆりかご内部にも相当数のガジェットがいたはずですが」

「そんなもの、脅威にはならない。大規模騒乱罪で貴女を逮捕します。速やかに武装を解除して投降しなさい」

「お断りします。はぁ……夜天の主は動揺が手に取る様に見えたのに、アナタは何も示さないんですねぇ?ただただ管理局のために自分を殺して働いて、楽しいですかぁ?そんな人生、私ならまっぴらごめんです」

「ッ!」

 

 同情の目を向けながらヴィヴィオに触れようとしたクアットロに一瞬の躊躇いもなく砲撃。

 クアットロに砲撃は当たりはしたものの立体映像のようにすり抜け壁を抉る。

 

「幻術……IS'シルバーカーテン。どれもこれも嘘と幻。本体は当然どこかにはいますけど?外も相当数……三桁は幻術体がいますから、特定なんて誰にもできません」

「ヴィヴィオを離しなさい。そうすればシオンに引き渡すのはやめる」

「離します〜」

「な……」

「た・だ・し。私たちの王、聖王として、ですが」

「っ⁉︎ヴィヴィオ!」

「……!あ……!っあ……」

 

 ヴィヴィオからエネルギーが放出される。

 なのはですら抑え込むエネルギーは、狙って放出しているのではなく、抑えられず漏れ出したものだとなのはは理解した。

 幼少の自分がブレイカーを集めきれなかったように、これはあくまで末端のエネルギーでしかないのだと。

 

「ゆりかごの無限のエネルギー、聖王の鎧。古代ベルカ王族の固有スキルとして存在するそれは、この子をして完成する」

「ヴィヴィオッ!」

「ママぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 虹色のエネルギーがヴィヴィオを包み、その肢体を書き換えていく。

 

「ママ……いたい、こわいよ……ママ……!」

「ヴィヴィオ……!」

 

 身体はなのはと同じ程に、エネルギー収束も乱れなく、全身に黒の装甲を纏い聖王の名に相応しい神々しさを感じさせる威圧感。

 それを見てなのはが半歩引く。

 

「ッ……!」

「あなたは、誰……?」

「ヴィヴィオ!私だよ!なのはママだよ!」

「……知らない。知らない人は、敵だ」

「……!」

 

 互いの足元に魔法陣が展開される。

 

「さぁ陛下?私たちの敵は全て滅ぼさねばなりません。手始めにあの侵入者を……」

「うるさい!」

「……!」

 

 腰低く進言するクアットロを裏拳で叩く。

 先の様にすり抜けはしたが、そのまま霞のように消える。

 

『ふぅ、独裁者ですね、まるで。さぁ陛下。侵入者を倒しましょう?』

「……」

『では、私はこれで。親子での殺し合い、存分に楽しんで下さいね〜♪』

 

 モニターからもニヤついた顔とヒラつかせた手で煽り倒すクアットロ。

 悲しいのはなのはもヴィヴィオもそれを気にかけていないという点だ。

 

「仕方ない……ヴィヴィオ!私と少し遊ぼうか!」

「名前を呼ばないで!」

 

 




クアットロって「陛下ぁ?」と独り言しか言ってないイメージなので口調おかしいかも……ナンバーズ全員おかしいかも……
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