……自分でくどいなと思ってきたので次から2000程度に抑えられるといいな〜と思います(希望)。締めるの苦手というかなんというか……
『大当たり〜!やーおめでとうございます!特賞のペアチケット!どうぞ〜!』
『おースゲー』
『ホントに当たるんだね!』
カランカランと軽いベルを鳴らして叫ぶ……組合?のおじさん。周囲にいた人達は当たったのを羨むのではなく見直した……というより、よく出来たものだとでも言うように見ている。
恐らく当たりなど入っていないと思っている人が大半なのだろう。それを私のような子供に掴ませる事で、特に旅行先で迷惑もなく細々と無駄遣いしてもらい、それを見た他の客に品物を多く買って貰おうという魂胆……と読んでいるのだろう。
「……どうも」
そのへんはどうでも良いので軽く会釈して受け取り、そそくさとその場を離れる。
二泊三日の温泉旅行……困ったなぁ。帰り道でため息をつく。
別に狙った訳じゃない。単に日常品の買い物をしていたらたまたま一定額を超え、福引券を貰った。で、ものは試しと特典『皇帝特権』を発動して回してみた。すると白と赤……
分かりきった小学校の授業中、まじめに受けるのもバカらしいので暇つぶしにと特典のランクを試してみたところ、オリジナルと多少の差異はあれどA+ランク相当のものと言うことが判明した。このランクだと技術はもちろんの事、肉体面……つまり神性など、生い立ちに関するそのものを会得する事もできる。ただ私も借り物の知識なのでよくわかってないけど……ひたすらに便利である事は確かだ。
「あ、これ今度の連休か」
学校があるからと行かない理由を作るつもりが狙ったように三連休。こっちに来てから特に何かしたいわけじゃないし……行ってみても良いかなぁ……
しかしなんだろ……つまんないな……
♢♢♢
旅行当日。
「うーん、中々豪華なのね」
相変わらず子供一人で来られるものではなかったけれど、校長の時の様に何故か来られた。認識系をズラしてるんだろうけど、便利なのかなんなのか……ロリコンって過保護なのかな?
連れられた旅館はそれなりに立派で、生前地元引き篭もりだった私には縁の無い様なものだった。街中の騒がしい旅館と違い、自然の中にあり……良くも悪くも、人目に付きにくい。
「あれ?ウタネちゃん?」
人目に、付きにくい……
「誰?」
紫の髪の少女……同級生だろうか。
「同じ学校の生徒なの。ちょっと知り合いでーーあっ!」
「逃げてったわよ⁉︎」
金髪の少女……こちらも同じだろう。
「ちょっ!待って!待ってぇぇぇ!」
兎にも角にも全力疾走。
なんでなんでなんで⁉︎福引なんてそうそう当たるものでもなし、そんなに複数で来られるなんてどんな……あー、普通に旅行かー。
高町家はそれなりだろうけど、連れ?の二人、金髪と紫色は何処と無くお嬢様って感じの雰囲気だった。同じ学校ともなればアレか、『悪いけど三人用なんだ』みたいなアレがあるという事か。
「どこ行くんだ?」
「……どうも」
おかしいな、二十メートルくらいはあった上に全力で走ったはずなのにな。
なんで
「高町家はアレですか、特殊訓練でも受けてるんですか?」
「いや?普通に剣術をやってるだけだ」
「普通の人間は二十メートルを一秒で動く事はできません」
百メートルで速くて十秒。五分の一にして二秒。しかも汗をかいて無いどころか息も上がらず疲労のそぶりがない。オリンピックなんてやりたい放題ではなかろうか。
「ま、取り敢えず合流しようぜ?見た所一人だろ?俺達がいれば何かあっても助けられるし、なのは達といた方が気楽だろ?」
優しく提案する恭也さん。助けられる事はないし決して気楽ではない。不安で一杯だ。
「……わかりました」
かといってこの状況で断る理由は無い。強いて言えば魔法関係やらを上げるけど、そんなのは日常に存在しない。ので取り敢えずオッケー、という事にする。
「じゃー行こうか。荷物も持つよ」
「どうも」
単純なスピード、パワーは明らかに負けている。更に先程の驚異的な速さだ。高町さん達が話してから私を視認するまで数秒あっただろうに、それを踏まえて私が走って三〜四秒で追い抜かれる。前回の事もあるし正面で立ち会って縮地で不意打ちをするという状況ならともかく、逃げるには不利過ぎる。
「なぁ母さん、フタガミちゃんがたまたま一人で来てたんだけど……」
「あらまぁ!ご一緒にどう⁉︎私はいつでも歓迎よ⁉︎」
なんだこの人。
その背後には高町さんら三人が控えている……口は上手い方ではないし素直に負けておいた方が良さそうだ……
「……わかりました。ご一緒……させて下さい……」
不本意極まり無いが、これも仕方がない。後手の三人の方が難敵だ。
歳上に関しては態度を一貫して対応できる。自分が最年少なら尚更楽だ。自分が最年長ならそれもそれで楽だ。だけども同年代は難しい。特に今の高町さんの様に中途半端な距離感の場合、どう接すればいいのか分からない。コミュ障のつらいところ。
「こちらこそ!恭也!ウタネちゃんの荷物持ってあげなさい!」
「そりゃいいけど、母さんは?」
「私はウタネちゃんと部屋の変更を頼みに行くわ!」
「そんなのできるのか?」
「なんとかなるわよ!」
「そうか……」
凄まじい勢いだ。息子さん困ってますよ、お母さん。それに絶対無理でしょ。
♢♢♢
「なんという事だ……」
なんとかなってしまった。
有無を言わせぬ桃子さんの勢いにお嬢様二人の圧力、たまたま通りかかった変更願い先のお客さんの快諾。それらもろもろの事情により荷物等の移動を私達がする条件付きで部屋の変更ができてしまった。無理を言ってるのだからこの取引はかなり安い。見知らぬ老夫婦、受付の人、面倒に付き合わせて本当に申し訳ない……
「ウタネちゃんウタネちゃん!一緒に温泉行かない⁉︎」
「なのはの友達なのよね?なら私達の事も知っておきなさい!」
「えと……よろしくね?ウタネちゃん」
「うん……えっと……サラダバー!」
箭疾歩で三人の背後に移動、そのまま走り出す。マナー違反?今は気にすら事じゃない。私にそんな趣味はない!
「まーちーなーさーいー!」
「待てと言われて待つやつがあるか!」
「待ってよぉ〜!」
「うるさい!ほっといてよ!」
「あの事言いふらすよ!」
「おっけーおっけー、みんな仲良くしなくっちゃね。仲良……ぶっ!」
「「「きゃっ!」」」
数秒離れたところで止まったはずなのに、突進を止めないバカ三人に吹き飛ばされ、ゴン、と壁に激突する。壁へこんでるし、生身の人間なら死んでたかも……こわ。
「だっ!大丈夫⁉︎」
「うん……なんともないから、ほっといてくれると……」
「前もそんな事言って大丈夫じゃなかったの!お母さんに見てもらうの!」
「やめて!桃子さんだけはマジで!お金あげるから!」
絶対ロクな事がない。確かコレは前に飛ばされた時に出来た傷から頭を能力で補強したんだ。私が自分から使った能力は私が解除しない限り基本的に永続するから、多少の事ではなんともならない。怪しまれるから解除しようかな……でもその場合もういっかい頭切らないとだから……面倒だな。やめとこ。
そしてもう一つ。今思うと、お金どうなってんだろ。
「あら〜大丈夫?少し横になっておきましょうか」
「……あの、確かに部屋に入ってましたよね?」
私が走ったのが部屋から数メートル、それから遠ざかるように走って……何回角を曲がったか覚えてないけど、それなりに距離があるはずだ……なんなんだ……高町家……
「えっと……取り敢えず携帯貸して貰えませんか?少し電話したいので」
「あら、いいわよ!一日三十六時間まで使っていいからね!」
「申し訳ないが一台で三十六時間は使えません」
二台使えば四十八時間、という時間計算をしているのがあった気もするけど……まぁいいや。
「〜〜〜♪」
ふんふんふーん、と鼻歌まじりにある番号をプッシュ。するとノータイムで繋がる。
聞かれてはマズイので高町さん達から少し離れて話を始める。
《何の用だ?》
「ようショタロリコン。そっちにいた時お金用意するって言ってたよね?財布には私の所持金の域を出ないくらいしか入って無かったし通帳らしいものも見当たらなかったんだけど、どうなってんの?」
《あー……そう言えば何もしてなかったな。面倒だったから》
アノヤロウ。欠伸してやがるぜ。
「おい、死活問題だぞ。このままだと高町家に居候することに……!」
多分簡単に居候させてくれるだろうけど、それはダメだ……絶対に……!
《わかった。旅行中に家のタンスに通帳作って入れておいてやる。口座もな。中身はまず二百万。それから毎月五十万入れる。上限は三百万。それ以上は不自然だ》
「いや、十分なんだけども。うん、まぁオッケー。ありがとう」
小学生単身で援助無しにそれはおかしいでしょう、どう考えても。
《お前の餓死なんぞ見ても面白くないからな》
「そうだ思い出したからついでに。学校手続きの時とか校長の様子がおかしかったけどアンタの仕業よね?」
《ん?校長?あぁ、アレか。流石に親無しは手続きが面倒だろ?》
「役所とかも絡むんだっけ?知らないけど。まぁすんなりいって助かったよ」
《お前の立場でどうにも出来ん事はこちらから勝手に介入する。それでいいな?》
「はいはーい。どうも。それじゃ」
返答を待たず携帯を閉じる。くたばれ。
以前表現の幅が狭い、語彙のないラノベってこの上なくつまらないよね、という話をしてて一瞬死んでやろうかと思いました。