無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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なんかあったので。供養


閑話 最終戦 シオン別ルート

 何故ウタネ(アイツ)は、オレを選んだのか。

 自分以外を選ぶのは分かる。アイツじゃあ、どうあっても壊れてた。

 周囲の環境、世界と合わない自分に、耐えられない筈だ。なんとか押し殺して、社会に適応しようとした結果の多重人格(コレ)だってのは、重々承知だ。

 ならば何故……オレなのか。

 オレより世間に馴染める人格、性格など無限にあるはずだ。人類滅亡を目論む様な性格に、わざわざしなくても良かったはずだ。そのへんの思考はしっかりできる頭のはずだ。

 オレは選ばれるほど社会に適してない。それは誰よりも、ウタネよりも分かってる。間違いない。

 では逆に。オレより社会に反する性格。

 自分より下を作る事で自分はまだ優れていると錯覚する方法。能無しのいじめっ子なんかがそれだ。

 別にそれでもいい。ウタネが自分を守るためにはそれでもいい。

 オレの名前を使うとして、『シオンよりはマシなんだ』と思えるような人格でも良かった訳だ。

 どちらにせよ、ウタネは救われた。

 ウタネでは無く、ウタネと同じではないステータスの別の誰か。ソイツがいれば良かったんだ。何も性別まで別にする必要も無かった。女でも良かったんだ。女で、気弱で、脆弱で。それでもウタネは救われた。

 だが、アイツはオレを選んだ。

 ならば、オレがする事はただ一つ。

『選ばれなかったオレだったかもしれないオレ』の代わりに、ウタネを守る。

 これは、どのオレ(……)でも同じ思考だと感じている。確信している。そう作られたものだとしても、それを肯定している。

 しかし元は何もできない女の身体。オレも未来視以外の何もできやしない。

 ──だからこそ。

 だからこそだ。この特典(チカラ)

 オレにあった可能性。オレの立場で使っていた可能性。

 この世界(オレ)ではない可能性(オレ)

 それを引き出すのがオレの特典。

 鏡合わせに在ったハズのシオン。

 それをこの世界に引き寄せる。

 それがオレに与えられた特典。

 数多に存在したかもしれないオレの……未来視では無い……それぞれの能力を扱う能力。

 何故原作と差異がある能力なのか、何故原作に劣っていたり優れていたりしていたのか。それは、原作ではなくオレの能力だったからだ。

 オレ自身が鏡なんじゃなく、オレを写す鏡。

 同時に存在するには、許容されないオレ。

 だから、二つ。ウタネとオレで、一人ずつは背負えるだろう、在ったかもしれないシオン。

 だから。

 

「もう殺す。逃げるなら、今のうちだ……逃す気は、無いが」

 

 右手の刀の先を、地面へ落とす。力は込めず、把持するだけ。

 足は肩幅、両肩を脱力、ブラリブラリと身体を揺らす。

 ……射程は、多分半径100。制御次第。おそらく不能。

 ……速度は、ニキュニキュの瞬間移動速度でおそらく光速。時間系能力を見切るナンバーズでも、単純に動体視力を超えるぶんには問題無い。

 刀一本だが、原作も片手で発動していた。できないはずがない。

 

「オレを超える無謀……その残酷さを知るがいい……」

 

 自分にとっての最適を探す。

 スタートするに必須の加速、それを得るために身体を揺らし、筋繊維を弛緩させていく……

 

「杓子!」

 

 身体が勝手に動く。

 決まっているかの様な乱雑なルートをただただ走り、射程に入った全てを斬る。

 スタートした時には既に目的地にあるニキュニキュの移動速度。視界など望むべくもなく、過程など望むべくもなく、ただ刹那に刀を振ることだけ。

 外からはどう見えているのか。

 それを考える暇もない。

 次々と現れるナニカ。

 それはナンバーズだったり、その辺のガレキだったりするのだろうが、一瞬で視界から消える。現れる、と察知した時には既に消えているソレを確認する事はできないが、とにかくそれを斬る。

 何も、無くなるまで。射程にあるもの、全て。

 このナンバーズを倒すには、全て消すしか無い。

 逃げる暇すら与えず、斬るまで。

 その機械部品のカケラすら、その機能を失うまで。

 

「……!」

 

 セインの助けか、地面を透過するナニカがある。

 だが問題は無い。

 この特典の前には、透過能力など特別なものではない。

 即座にニキュニキュをバイオライダーへ変え、地中を追う。

 速度は落ちるが幾分かは視界が利く様になり、狙いも付けられるようになった。方向も分かる。

 切るのではなく、突く。移動の速度にブレーキをかけることなく標的を害する。

 疲労するまで、ただ斬り、突き、抉る。

 

「……ふぅ」

 

 全てが更地になり、能力が切れる。

 無人のビルもレンガほどの大きさにまで刻まれたガレキの山に、ナンバーズとそれについていたガジェットも全てが倒れ伏している。

 既に生き絶え、何人いたかも分からない。

 杓子の範囲は砂漠よろしく真っ平ら。さて。どうするか……

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