無気力転生者で暇つぶし   作:もやし

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ストーリーがうろうろしている……


第15話 質問

 旅行が終わって数日間。私は彼女たちと会っていない。正確には、互いが互いを避けていた。

 私は元々関わらないようなスタンスを取っていたけれど、別に話をしないわけでは無いし避ける事もしていなかった。高町家は別だけども。

 高町さんはアースラでの一件から明らかに変わった。あの友人二人と私が話していても近寄るどころか姿を消すし、登下校も一人で、以前とは違う道を通っているようだった。

 ユーノからは念話も無い。高町さんに止められてるか、私の様にどうするべきか悩んでいるのだろう。ユーノの目的は高町さんだろうと管理局だろうとジュエルシードが安全に確保されれば達成される。高町さんを巻き込まないだけ、むしろユーノの状況は好転してると言ってもいい。

 学校の授業中にそんなことばかり考えている。その度先生に怒られ、問題を解かされるが、平均の少し上辺りの回答をして黙らせている。私も随分と馴染んだものだ。以前は……生前は、こんな体験はした事がなかったのに……

「おい!聞いとるのかフタガミ!」

「へっ?」

「最近弛んでるんじゃないか?転校生だからってなんでも許される訳ではないぞ。お前の評価は決して高くない」

「はぁ……すみません」

「勉強に関しては十分理解してる様だがな、真面目な態度を身につけないと社会で後悔するぞ」

「はぁ……」

 わざわざ私の席まで来て言いたいだけ言って戻っていく体育会系のゴツい先生。

 これだよ、これ。結果さえだせばいいはずなのに真面目な態度だの礼儀だの目上を敬えだの。反乱を起こさない為の洗脳だよこれ。そんなだから教科書丸暗記の落ちこぼれが量産されるんだよ。

 予想していたとは言え少しイラついたので教師の右足薬指と小指を薄く空気で固定する。一生開かないまま生活しろ。

 あー……つまんない。 いざ自分がその内の一人として体験してみると、ロクなもんじゃない。関わらず見てるだけなら楽しめるのに……

「ではこれで授業を終了する。次の授業は今日やり残した問題から始めるので、ある程度は予習しておくように」

 こうして授業がいつも通り終わる。何の授業だったかすら曖昧なまま半日を無駄に過ごしていく。高町さんは既に消えている。ユーノは連れて来てないだろうし、教室移動も無い。10分暇だ。どうしようか……

「……」

 寝るか。ぼっちの生徒は休み時間寝るのが正解って言ってた気がするし。

「起きなさい」

「寝てないのですけども」

 金と紫のお嬢様……名前は……忘れた。普段から話す人でも名前知らないなんてよくあるしね。名前呼ばないし。

「じゃあさっさと話しなさい。なのはと何があったのよ」

 昨日まで普通にしてたくせに何で今になって……高町さんが何か漏らしたんだろうか。

「別に何も」

「なら何で避けてるのよ」

「別に。私は私から行動する事は稀だから」

 机に突っ伏し、話す気は無いと意思表示する。

「それでも話す機会はあったでしょ?なんでなのはが逃げるのよ」

「知らない。女の子の日が長引いてるんじゃないの?」

「そんな事言わない!今朝なのはが漏らしたわ。あの旅行で何があったの?」

「……」

 机を揺らされる。

 やっぱり漏らしたか。やけにしつこいと思うとそういう事。

「しょうがない。じゃあ聞くけど、どこまで知ってる?」

 顔を上げ、一応は話してみる。

「ほとんど何も。あの旅行で何かあったとしか」

「そう……じゃあ簡単に。高町さんはやりたい事をしてはいけない事だとされて葛藤してる。それだけ」

「なによそれ……ちゃんと説明しなさい!」

「もう無理。これ以上は言えない」

「なんでよ」

「それがルール。そのやりたい事が何かは言えないし、知るべきじゃない」

「ま、まさか……アリサちゃん……なのはちゃんが……」

「え……なに……」

 二人が少し離れ、コソコソ話し始めた。

 数分後、チャイムが鳴り授業が始まった為離れるが、その後すぐに二人で何処かへ消える。私は寝たフリしてた。

 そして午前最期の授業を聞き流し、お昼を食べようとしたところで二人が来る。

「大体話は推測できたわ」

「本当に?精度予想は?」

「まぁ86%はあるわね」

「へー……」

 絶対ハズレだようん。魔術も無いこの世界で魔法なんて結論に達する訳が無い。勘以外で当てられたらもはや読心か未来視系の能力者だよ。

「信じて無いわね⁉︎才女二人が大真面目に考えて出した推測よ⁉︎」

「分かったから怒鳴らないで……聞いてあげるから」

「じゃあ付いてきなさい。人のいない所に行くわよ」

「なんでよ……面倒なんだけど……」

「あら、当てられるのが嫌なのかしら?」

「……はぁ、いかにも小学生の安い挑発だけど、乗ってあげる」

「そうこなくちゃ」

 ニッと笑う金髪お嬢様。

 そのまま二人に連れられ、閉鎖されている屋上への階段の最上階の踊り場へ。

「じゃあ言うわよ」

 金髪お嬢様はクリスマス前の子供のようにウズウズしている。

「どうぞ」

「さてーー結論から言うと、大人の階段を上ったわけね」

 さて、という探偵お決まりのセリフとドヤ顔から始めるあたり、余程自信があったと見える。

「うん?」

 しかし大人の階段、というのが分からない。まだハズレと断定するのは早い。

「まだよ、まだ結論に達するまでの説明があるわ」

「うん……」

 私を指差し、少し仰け反るお嬢様。

 紫お嬢様は既に後悔しているような顔色をしている。何か喋りなよ。

「まずなのはが変わった場所と時間よ。あの時は旅行先という非日常にあったわ。そして、ウタネ。あなたはやりたい事はしてはいけない事、と言った。更にそれは人に言えないものだとも」

「うん」

 旅行を非日常であるという認識ができるあたりその辺の小学生とはレベルが違う。量産型女子大生よりマシな思考をしてる。

「そして私達は、そう、第二次性徴期に入っていてもおかしくない年齢にあるわ!」

「うん……?」

 第二次性徴……性がより現れ始める身体の成長。性に関する発達が顕著になる時期の事。確か七〜九歳程度で始まるはずだったから、小学三年生は普通八か九歳か。なら十分に第二次性徴が現れていい年だね。問題には全く関係無いけども。

「つまり!なのはも恋や性に目覚めた訳でしょ!そしてウタネはそれを偶然か何かで見てしまった。人には中々言い辛いものね。この推測なら現状に当てはまり、あなたの言葉にも説明がつくわ。どう?」

「……はぁ、成る程。たしかに現状に則した堅実な推理だと思う。そう言えるよ」

 しかし現実とは全く違うけどね。

 んー、でもそうかぁ、恋とか性とか……そういう年頃かぁ……

「単なる金持ちと思ってた?驚いたでしょ!」

「うん、凄く大爆笑。所詮はその程度の生物って事よ。じゃあそういう事で。お昼食べないと勿体ないから」

 まぁ実際魔法について勘付かれてないなら一切興味無し。実害は無いから放置、というより逃走したい。私は自慢し合うのに慣れてないならイエス、ノーで答えて終わりにしたい。

「待ちなさい」

 そうは問屋がなんとやら。髪を握られバランスを崩す。

「なによ。髪持たなくてもいいじゃない」

「髪引っ張るくらいしないと止まらないでしょ」

 くそう、よく分かってらっしゃる。そこまで親しくない筈なのに。

「じゃあ何用?」

「腕相撲よ、腕相撲してあなたが負けたら、本当を話しなさい」

「えぇ……」

 こちとら皇帝特権待ちですよ?同じ年で同じ様なレベルの金髪お嬢様に負ける筈無いし……別に受けていいか。何故か負けそうな予感はするけど。

「まぁいいや、一回勝負ならいいよ」

「グッド!さぁすずか、やっておしまい!」

「えぇ⁉︎私⁉︎」

「当たり前じゃない!私より適任よ!すずかだって知りたいでしょ⁉︎」

「そうだけどぉ〜」

 ビシィ!と効果音が見えそうな程金髪お嬢様が紫お嬢様を指差し、そこから少しイチャイチャしている。

 というか大丈夫?紫お嬢様大人しめに見えるけど。

「はい、丁度よくここに机があるから、右手出しなさい」

「はぁ……」

「う、ウタネちゃん、お手柔らかに……」

 右手を組み、金髪お嬢様がその上に手を乗せる。すっごいすべすべした手だ。しっとりとしていて、それでいて不快に感じるベタつきは無く、なんて言うか気持ちいい感じ。

「レディー、ファイッ!」

「……っ!」

 開始と同時に肘にかけられた衝撃たるや。大の大人を相手にしているような……誤魔化しじゃない力を感じる。

 魔力放出で即死は免れたけど、まだ劣勢。というよりこの力じゃ勝ち目ない。

「く……」

 魔力放出を皇帝特権で自然な感じに誤魔化してるけど、紫お嬢様も必死なのは必死そうだ。それが全力を出しているのか、私が耐えているのが信じられないのかのどっちかわからないけども。

 これで確信した。旅行での違和感、この紫お嬢様の資質だ。人間じゃないな?

「……どれ?」

「え……?」

「なんのことよ?」

「紫お嬢様にさせたって事はあなたも知ってるんでしょ。どれよ。言えば素直に負けてあげる。隠すなら勝って帰る」

「なんなの?負けそうだからって意味不明な事言わないで」

「そうまでして隠す気持ちも分かる。高町さんまで知ってるかは知らないけど、二人の間で共有してるのは分かった。私だって秘密は守る。あなた達をどうこうしてトラブルを起こすつもりも無い」

 先に二人についても調べるべきだったんだ。一般人であったとしても、私の生活を脅かす可能性は充分にあるんだから。

「今この勝負が始まってからは高町さんよりあなた達の方が脅威になりうる。ここなら人は来ないなら話しなさい」

 そもそも能力で階段の踊り場から蓋をしてる。絶対に誰も来ないし、見られない。

「だからなにを」

「いいよ、アリサちゃん」

「ちょっ、すずか⁉︎」

「話すよ、ちゃんと話す。私の事よりなのはちゃんが心配だもの。ちゃんとした理由を知っておきたいの」

「えっ、あの推理間違いなの⁉︎」

「なんで当たってると思ったの……?」

「だってあなたが言い出したじゃない!」

 おっとぉ……?ヒートアップですかな?

「アレはちょっと思い付いただけで確信は無かったのにアリサちゃんが無理矢理持っていったじゃん!」

「はいはいだめだめだめ……争うのはやめようか。今は紫お嬢様の事を話してくれればいいから」

 金髪お嬢様が投げた着火剤にしっかり火を付けた紫お嬢様。堪らず仲裁に入る私。

「ごめん……じゃあ一つだけお願いしていい?」

「なに?」

 十数秒で落ち着いて、話の仕切り直し。

「私の話す事を絶対に口外しない事、なのはちゃんの事を正直に話す事を」

「それは二つじゃない……?最初から言ってるでしょ。そっちが正直に話すならそうするって」

「分かった……信じるから」

 言葉だけで信じるとは安いね?

「私……実は……」




文字数が減らない。何故か?
1、不必要な描写や、不必要な文がある
2、場面を切るのが下手
3、そもそもまともに書けてない

多分全部だと思う

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