無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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会話が多いと地の文減るのだけど……難しい


第21話 作戦

 ロストロギア、ジュエルシード。

 青い宝石にローマ数字を描いただけのように見えるコレは、願うものの願いを叶える力を持つという。

 その力を制御できないものは願いを暴走させ、誤った叶え方であったりを実現する。それは魔法を持つ高町さんやフェイトさえ苦戦させる程の力だ。

「こんなものがねぇ……」

 そんな危険物を、私はベッドで片手に眺めている。

 触った感じも何もなく、本当に見たままのもの。変に重いだとか魔力を垂れ流してるだとかは一切無い。

 以前、というか今日あの海から貰ってきたジュエルシード。ナンバーは11。

 適当にご飯が食べたいだのと願っては見たものの一切動きは無く、早々にこの未知なる物質への興味が無くなりつつある。フェイトが強制発動させたと聞いたけどどうしたんだろう……そんなに膨大な欲望を持ってるとは思えないんだよね、フェイトって。

「あー、つまんない。魔法だの吸血鬼だの色々あるくせにさ。なんか面白い事しないのかね……別に私を巻き込めってんじゃなくて、見せ物みたいな……」

 外から見る人の世界は面白いのに……今こうして退屈な時間を過ごしてる。願ってる間が幸福だって聞いた事もあるけど、それを受け入れてしまってもいいくらいにはつまらない。

「あー、このまま死ぬまで寝てようかなー」

「そうだな。それさえ渡してくれれば寝てればいい」

 世界に向けた愚痴のつもりが、答えが返ってきてしまった。

「……は?」

「……ごめん、流石に管理局を敵にはできなかった……」

「ユーノ、それは仕方ない。それ自体は気に病む事じゃない。問題は、なんで私の家に無断で上がり込んで来てるのかって事だ」

 黒い子にバインドされたユーノと高町さんが部屋の入り口に連れられている。

 黒いのは既に私のベッドのすぐ近くまで来ていた。

「ジュエルシード程のものであれば観測自体は簡単にできる。なのはかフェイトのものになったのであれば別段問題は無かったが、それがどちらでもないとなれば当然動くさ」

「は、せっかくの駒のピンチにすら動かない組織が偉そうに。あの時分かった風に喚いてたのは演技だったの?」

「……言い訳をすればジュエルシードの複数同時起動が想定外だったことや敵からの妨害が予想より手強かったことだが、それについてはどう思って貰っても構わない。結果的には君たちを騙す事になってしまったのだからな。だが、君がそれを持ち出すこともこちらの敵意を買う事に繋がると考えなかったのか?」

 やはり動けなかったのか。管理局相手にそうするだけの力がフェイト……のバックにある。それを超えるのは高町さんでは不可能だ。

「……私が行かなければ、少なくとも高町さんは以前あなたの言った通りになっていたし、下手をすればフェイトもそうだった。だから、最終的にはそっちに渡すんだから貸しておいて、というのは通用しないのよね。つまらない」

「そうだな。なのは達の身の安全については感謝する。だからと言ってそれを許すこともできない」

「お堅いね。私も一応高町さんと同じ扱いなんでしょう? ルールに違反してはないと思うけども。臨機応変にいこうよ」

「それはこちらに許可を得てからの話だ。臨機応変とルール違反は違う。分かったらそれを渡せ。下手に封印せず願いを叶えたらどうするんだ」

「それなのよね、私も帰ってきてからずっと何かしら願ってみてるけど一切動きが無い。つまんないし、この疑問に答えが返ってくれば高町さんに渡すわ」

「……なんだと?」

 毅然としたクロノの表情が崩れる。

「ねーユーノ。これ封印してないよね?」

「う、うん。今の僕じゃ封印できないし、ウタネも無理だ。なのはもフェイトもそれに触ってないんだから、そもそもしようがない」

 封印していないということはただその機能を持つだけだ。つまり今まで通り、願いを叶える力をそのままに。

 なのに、私が何を願っても動かない。流石にこれは解決しておくべき問題だろう。今後のためにも。

「だからさ、この謎を解けばより一歩進めると思うのよ」

「何の一歩だ?」

「……ロストロギアの……解明?」

「質問に質問で返すな。だが……まぁいい。先の件もあって許可が下りた。今回限り、それ限りだ。それ一つだけを今回限りで所持する事を許可する」

「ほんと!」

 仕方ない、とばかりの態度だったが公的に認められた発言。これで自由に持ち歩ける。

「ただし! ここからが重要だ、よく聞けよ。万が一そのジュエルシードを発動させたり、破損、紛失、フェイトに奪われるなどがあった場合」

 人差し指を立て、そこで一度言葉を切る黒いの。

「ばあい?」

「君が全責任を負って裁判に負ける」

「負けるとこまで確定かー……厳しいなぁ……」

「そうなれば君に安息の地は無い。例え管理外世界であっても逃げられはしないだろう」

「うーん……」

 正直な話、魔法について殆ど実感のない私には高町さんとフェイトの魔法がイメージのほぼ全て。管理局がその魔法で、威力が高いだけなら私は負けない。なんなら今まで通りの生活すら可能にできる。

 かといってそうなってもいいという訳でも無い。私にとって何ともなくても、業を煮やした管理局が高町さんに矛を向けるかもしれない。解決はできるけどひたすらに面倒くさい。

「まぁいいや、高町さん、そうなってもいい?」

「えっ? あ、うん……よくわかんないけど」

「じゃあそれで。管理局も大変だね」

 決してこちらも楽なわけではないが、皮肉。

「わかった。くれぐれも注意してくれ。ちなみに僕が来てからの流れは全て録音、録画されている。言い逃れはできないからな」

「ちょっ、そういうのは事前に断るんじゃないの?」

 仮にも女の部屋だぞ。仮にもだけども。

「裁判の日程だが……」

「わかった、オーケー。ただ次からはお願い」

 管理局、割といい性格をしてるかもしれない。

「冗談だ。君が完全に協力してくれると言ってくれればこちらも相応の態度を持つさ……生憎味方以外には厳しくてね。そして、君にもそろそろ覚悟して貰おう。向こうとこちらでジュエルシードが揃いつつある。ジュエルシードの数が確定する近いうち敵……プレシア・テスタロッサ、フェイト・テスタロッサへの攻撃作戦を行う。その際君にも来てもらう。これは強制だ」

「プレシア?」

「元管理局の魔導師だ。研究職もしていた優秀な魔導師だよ。何が理由でこんな事をしてるのかはまだ分からないが、フェイトの本名や紫の魔法での次元跳躍からすぐに引っかかった。最大魔力は記録だけでSS、ハンパで挑んでも即消し炭になる」

「えーと……まだよく分かってないんだけど、魔力量の目安は……」

 確か魔力の保有量と、実戦での2種類のランクがあったよね? 保有量はそのままの意味で、実戦は保有量が少なくても上手さだとかで上がるとか。大抵ランクは変わらないらしいけども。

「うん、僕は今色々忙しくてはっきり分からないが……AAAか AAA+あたりか。君の身近ななのはやフェイトがAかAA程度だろう」

「で、単純に何倍くらい?」

「Aまでと違い、S以上は幅がとても広い。数倍以上の差があると覚悟した方がいいな」

「……作戦内容は?」

「こちらとしてもまだプレシアの目的が分からない。ジュエルシードを集めるだけではなく、その先があると考えて間違い無いとは思うが……それを確かめる為に、プレシアの拠点へ向かう」

「無謀だ……と笑ったら?」

 ライオンにネコが数匹で挑むことだと説明した割に鉄砲玉な作戦。足元もおぼつかない状態じゃあ目的を探るなんてとても不可能だ。

「今君を騙せた事が無謀でないという証明になる」

「は?」

「ふふ……僕たちは囮にもなるのさ。もちろん、死ぬわけにはいかないがな。僕たちが捜索する風に突入し、事実目的を探す。見つかればそれでいいし、フェイトやプレシアに攻撃されれば調査そっちのけで防戦し、時間を稼ぐ。その間にエイミィ……アースラから転移ルートを確立し、魔力を伴わない映像機械を大量にバラまく」

「ふーん……質問。二つ……三つ、いい?」

「ああ。疑問は解消しておくに越したことはない」

「じゃあ。その映像機械ってのは?」

「単純なものだが、地球でも売ってる様なカメラとラジコンだよ。本当に録画だけするロケットさ」

「……そんなの、すぐ落とされるでしょ」

 見た感じ、設置型の自動迎撃とかもできる魔法だってありそうなのにそんなのが役に立つとは思えない。

「ああ。十や百じゃすぐだろうな」

「そりゃそう……んん⁉︎百⁉︎」

「取り敢えずあるだけやったから……数万はある。これを繋げたルート複数から同時に流す。いくら膨大な魔力とはいえこれだけを落とすなら本拠地に絶大なダメージが入る。止めることは不可能だ」

 黒いのが開いたモニターにはGもかくやと言わんばかりの機械の山。敵の戦力が分からないから対処不能なレベルに持ってくのはいいけど……犯罪者それぞれに毎回こんな事してんの? 人材不足ってそういうのが理由じゃない? 

「わかった……なんかすごい疲れた。魔導師は機械も使うのね」

「ん? どういうことだ?」

「んーん。やっぱり私の知ってる魔術師とは違うなって。質問ももういいや」

 彼らは決して、文明に頼ることはしなかった。例外はいたけど、それは魔術師の資質がある『人』だった。この管理局の様に人類と共存する道は、あり得たはずなのに。

「まぁいい……それではこれで失礼する。君はこのままだが……なのはとユーノはどうする?」

「私もここでいいの。家もそんなに遠くないし」

「じゃあ僕もそれで。どうせ付いて行くしね」

「分かった。全員ここで解散だ。帰りにフェイトに襲われるなよ」

「分かってるの。大丈夫」

 高町さんの返答を聞くと拘束を解き、すぐさま光に消えた。

 私と高町さんも特に何も話さず、高町さんとユーノを家から送り出した。

 プレシア・テスタロッサ、と黒いのは言った。フェイトがその子であるなら、目的を聞き出せるかもしれない。

「……バカバカしい」

 私はあくまで不干渉。必要に迫られるか面白くない場合以外は関わらない。義務や責任なんかで動くのは面倒極まりない。

 窓から高町さんが見えなくなったあたりで、私は意識をベッドに沈めた。




クロノの言う機械はハンディカメラに四輪付けた様なものと思って下さい。特にモデルがあるわけでもないので……
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