ーーじゃあ行くぜ!
ーーマッハキャリバー!
「衝撃の!」
「フルドライブ!」
「ファーストブリットォォォ!」
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
対立するは弟子と夫。
あの(皆さんご存知)伝説の決闘が、今ここに。
「ある一人のXジェンダーの子供の話だよ。その子は生まれながらに何かを察する能力のみに秀でていて、意図しないものにも気付けたりしたんだ。その子は親族の死やペット、虫などからいずれは全て死んで、消えてしまう事を幼いながらに痛感した。でもそれはあくまで自分の感情。親に、周囲に言えばどんな反応をされるかは、察するに余りあった。きっと自分はおかしいと、そんな暗いことを考えるなと、解決にならない言葉を使われるんだと。それからは何にも興味を示す事ができなくて、自分を否定する情報だけを集める様になっていった。そうしないと、自分以外の全てが間違ってる様に思えてしまうから。成長していく中で自分の性が現れてくると、それも否定するように、対立の概念……男性性を持って、自分の性をゼロにしようとした。やがてその男性性を維持する時間が長くなっていくと、それ自体が独立して行動できるまでになった。それから暫くは意識を預ける事によって、自分を認識しなくていい様に、世界が自分を認識できないように殻に篭った。その男性性は世間の言う男性らしく、力をつけ、誠実で、知識もあり、偏見も無い、理想になるための努力をした。その努力を隠し、あくまで元の、女性として生活する為に髪を伸ばし、私という一人称を用い、か弱く、家事ができるものとして振る舞った」
簡潔に、話したつもりだ。
魔術や発作、転生についてを伏せた上で、私という人間……人格についてを表現するに相応しいと思う。
「それが、ウタネちゃんとシオンやと」
「多重人格、というにはおこがましいけどね。結局自分で自分を騙してただけ。違う自分に頼りきり。嫌な事からはすぐ逃げ出す。そんな人間だよ、私って。Xジェンダーってのも引いたかな、軽蔑したかな。まぁいいけど。それならそれで私は貴方達から距離を置く。言いふらしていじめるのも責めないよ、そういうものだからね」
「姉さん」
「私の長所なんて、ただ勘がいいってだけ。身体も、頭も良くない。病気はしなかったけど、精神だけは取り返しのつかない程病んでた。自分は間違ってる、間違ってるはずなんだって。間違ってないとおかしいんだって」
「姉さん!」
「……なに?」
「もういいだろ。もう前とは違う。コイツらは前の奴らとは違う。そりゃ驚きはするだろう、認識が変わることもあるだろう。だがお前を責めたりはしない。お前を正しいと言ってくれる。お前を肯定してくれる。お前にだって、何処かに居場所を持って良いんじゃねぇか?」
「……らしいよ。みんな。どうかな、この一人芝居。小銭投げるくらいには楽しめる? 見る価値も無いかな」
「全財産投げるわ。それでウタネちゃんが楽になるなら」
「……は?」
「私も投げる。お小遣い全部。少しでも教えてくれたことや、ジュエルシード、闇の書のこと、ウタネちゃんがいなかったら、ダメだったもん」
「私も。ウタネがいなければ、どこかでまだ心に闇を抱えてた。過去に縛られてない私があるのは、ウタネのお陰だよ」
「……は?」
「私は全存在を投げます。夜天の書とはやてを救ってくれた、主のために」
「……は?」
『……はぁ、僕もいいだろう。君のお陰で助かった事もあるしな。給料二ヶ月分くらいなら投げる。三ヶ月はプロポーズだから勘弁してくれ』
「はは、僕もそんなにないけど投げるよ。ジュエルシードの時は本気で助かったからね」
「……は?」
「アタシはそうね、屋敷建てられるくらい投げていいわ。ウタネがいたから、なのはとフェイトは分かり合えたし、私たちとも知り合えたんでしょ」
「私は……うん、私もアリサちゃんと同じくらい工面する。私の異常を知ってても、変わらず接してくれたウタネちゃんになら」
「……は?」
「な。少なくともここのメンツはお前を肯定してくれる。それぞれ理由はあれど、嫌悪の対象にはならないってことだ」
「……わかんない。わからないよ。みんながそこまで言う意味も、シオンがそんなに信用できる意味も」
「意味なんてねぇよ。オレはお前の生活を守る。信用なんてどーでもいいんだよ。それに、お前は事実変わりつつある。他人との敷居は低い方が、今のオレたちにはプラスになるぞ?」
うーん……シオンの言う事は正論なんだろう。
私が変わっていってること、今の私たちには他人の裏切りなんて取るに足らない問題であること、ここのみんなが私を拒否しないだろうこと。
それでも私は、やっぱり答えが欲しかった。その場その場の楽しさより、その先の意味を。
「いや、それもどうなん? シオン」
「うるせぇな、一般障害者は黙ってろ」
「あ! それ差別やで⁉︎」
「オレが治してやったんだからいいだろ。完全に治るまでだ」
「む……それもそうやな。でも恩人やからって何でもできると思わんといてや」
「どうせ身体がどうこうとか言い出すんだろ」
「……心読んだ? エッチ」
「読まなくても分かるわバカ。いいだろ、こうやって姉さんの支えになれるんだ、少しは許せよ」
「……なんやそのイケメン。惚れるわ」
「やっぱ無しだ。はやての全財産没収でこの話は終わりだ」
「そんな殺生なぁ⁉︎六人家族やで⁉︎」
「内五人はこっちで面倒見るから安心して逝ってくれ」
「ごめんてぇ〜なかよーしよーやぁ〜」
「クロノ、家無しが一人出た。正義の機関なんだろ、保護してやれ」
『そうだな、素質もあるし裏の人体実験に回すか……』
「あぁ、丁度身内も今居なくなったそうだ」
『都合がいいな、流石シオンだ』
「『はっはっはっはっはっはっは!』」
「この悪魔どもォォォォォォォォォォォォォォ!」
三人の内輪漫才が終わる。
かなーりブラックジョーク的だったと思うけど。本人がいいならいいや。
「はー……いや、笑った笑った。冗談だよ、お前の生活は姉さんがいる限り保障してやる。お前用のデバイスも今設計だけしてるから待ってろ」
欠伸をしながら、それらしい紙の束を黄金の揺らめきから取り出すシオン。
「……ほ?」
「夜天の書の中からオレの能力だけ抜いたコピーと杖だな。リインフォースとのユニゾン適性も調整するから、その時だけは時間くれ」
「待って待って待って、話飛び過ぎや、私に? デバイス?」
「ああ。闇の書戦で使ったのと同じにするつもりなんだが……嫌だったか」
「いやいやいやいやいや! それはありがたいねんけど……」
「じゃあ何だよ、金は取らねぇから安心しろ。作り直すのも面倒だから文句があるならさっさと言え」
「尚更や⁉︎」
「何が」
「なんでそこまで私にするんや? ウタネちゃんの過去とは関係あらへんやろ?」
「それこそ知るかよ。姉さんがそうしたいってんだ、そうしてやるさ」
「イケメン……!」
「クロノ」
「わーごめんて!」
「姉さんの過去についても分かっただろ、本人がこんな感じだからお前らで変えたいなら何とかしろ。今まで通りでもいい、関係性を変えてもいい、これ以降会うのも御免でもいい。学校で言いふらしてイジメ、リンチも結構だ。こっちはそれに従う」
こんな感じとは。
「そんな事……するわけないやん、なぁ?」
「うん!」
「勿論」
「そうかい。そりゃどうも。あ、そういえば管理局的にはいいのか、クロノ」
『何がだ?』
「確かデバイス作るのも資格いるんだろ? デバイスマイスターだったか?」
『本気で作るのか……だがまぁ、アースラにも資格持ちがいるのでね、名前だけ借りるのもやむなしだろう』
「ブラックだねぇ、じゃあ遠慮なく借りるぜ。資格取るにも時間かかるからな」
「私は何かしようか?」
「いや? 必要だったら声かける。あ、夜天の書はオレが預かるぞ?」
「うん。どうせ使えないし」
「じゃあそうだな、うん、何もねぇや」
「オッケー」
「それに、お前が夜天の書を持ってないとな。あくまで所有権は八神はやてだ。そうじゃねぇと姉さんが管理局に出向かなきゃいけなくなるからな」
『……管理局に属さない個人がロストロギア保有か、今思えば大問題だな。ウタネ、やっぱり嘱託でもいいから局員にならないか?』
「やらないって言ったよね」
『そこをなんとか。お前らの異常な能力よりそっちの方が管理局には問題として映るかもしれない』
「やだー」
「クロノ、もうはやてを嘱託にして夜天の主と登録しろ。ヴォルケンリッターとリインフォースも付ければ十分だ」
『だがモノが無いんだろ?』
「この旅行から戻れば二日で完成させる。登録時は本物いるだろ。姉さん、悪いがクロノに渡してくれねぇか」
「えーいいの?」
「いいさ、ちゃんと登録すれば良し、無理に奪おうってんなら良い度胸だ、塵も残してやらねぇ」
殺意でもない、ただ当たり前に管理局との全面戦争を想定するシオン。
それを無謀と笑うのは管理局だけだ。私は安心して見ることができる程には、シオンの能力の限界は高い。
「……結局はそうなの? 折角仲良く無関係に仲良くできそうなのに」
「元々管理局とオレ達は対等じゃねぇからな。こっちが過ごしやすい様に配慮する限りは下手に出てやろうってだけだ。戦力は桁が違う」
「ふーん……八神さんもそれで良い?」
「二人がええなら。元々私には意見する立場もないしな」
「ふーん? まぁいいや、はい。よろしくね」
夜天の書をモニターからクロノに手渡し、確認させる。
『ああ……了解した。切るぞ』
「ああ、頼む」
クロノのモニターが切れる。
「えー……じゃあどうするんだ、アリサ。姉さんについてのアレだろ? もう終わったから出てってくれ」
それで満足したように、飽きたシオンは退出を促す。
「まだよ」
「後何かあるか? 十分話しただろ……じゃあ、姉さんは右目が見えない。これでどうだ」
「まじで?」
フェイト。肩落としといて気付かないの……違う、落ちたの左だ。私のミスじゃん。
「……なんでバラすの」
「いいだろ別に。能力より遥かにマシだと思うけどな」
「シャマル呼ぶか? 魔法なら治せるんちゃう?」
「あ、そっか。それは確かに」
「いや、治すな」
「えー? なんで?」
「治るとは思わないが、万一治ると能力を制御できなくなる可能性がある」
「……今の景色が見えなくなるって事?」
「ああ。お前の見てる景色は視力の回復で消える可能性が考えられる」
「えぇ〜……強い能力には絶対弱点があるとか嫌いなんだけど」
人間は絶対長所と短所があるって考え方、嫌いなのよね。
根暗を真面目、破天荒を活動的とか言い換えるのとかさ。屁理屈以外の何物でもないじゃん。
火力が高い技には消費が大きいとかさ。諦めない心が格上を上回るだとかさ。信念がー努力がー友情根性協力過程練習──
「分かってる。強い奴は強い。ザコは天地がひっくり返っても敵わない。それを踏まえた上で、だ。生活も戦闘も困ってねぇんだ、可能性の排除くらいしろ」
「む〜……それもそうか……わかった」
確かに、皇帝特権は無くならないとはいえこの世界の基準になる魔法が使えない以上能力が無いのは厳しい。しかも能力が消えるだけならともかく発作がまた出てくる可能性すらある。それだけは避けたい。
「よし、じゃあ終わりだな」
「だから! 私たち無視して終わろうとするんじゃないわよ!」
「……なんだよ」
「うやむやになったけどアンタの能力! 話せって言ったわよね⁉︎」
「……言ったな」
「じゃあ話しなさいよ」
「あー、これは姉さんの嫌いな、弱点アリの強力能力になるから遠慮、ってのはアリか?」
「ナシ」
「すずか、お前吸血鬼だろ、そっち説明してやれよ」
「そらしてもダメよ。すずかも聞くかもだけど、まずアンタからよ」
「あー……そうだな、オレの能力……一言で言えば異世界の鏡だ」
私も助け舟は出さなかったので逃げ場を失ったシオンが諦めた様に話す。
転生について触れてしまいそうだけど、大丈夫かな。
「は?」
「異世界って概念は分かるか? 漫画や小説に出てくる、今いる世界とは別の価値観や概念のある世界だ」
「そりゃ分かるわよ」
「オレは、その異世界に存在する能力を使う事ができる」
「無敵か! アンタバカ⁉︎」
唯一のただの人間、金髪お嬢様がキレる。
……というかいい加減名前覚えないと怒られそうだな。誰だっけ。
「うるせぇ、最後まで聞け。使う際、オレという概念に異世界の能力の概念をぶつけて、無理矢理コピーするんだ、鏡に映った影を使うんじゃなくて、鏡に能力をぶつけた窪みを使う。だから、オリジナルと全く同じってわけでもない。それは時間を止める時間だったり、テクニックだったりだ」
「その窪みが負荷なの?」
「ああ。負荷って言い方も違うかも知れんがな。オレという鏡に窪み、ヒビが入り、他の窪みを作れなくなる。それがオレの死だ。能力の大きさ……神秘という概念が高いほど、窪みは大きくなる事がわかってる」
もちろんヒビ以外で死ぬ事もある。能力の負荷で死ぬ場合の話。
「やから、弱点やと」
「ああ……お前らに言うべきじゃないと思うが、オレやリインフォースを使う以上言っておく、この負荷はお前らのエクセリオンやらとはレベルが違う」
「……」
「いいか、特にはやて」
「はい⁉︎」
「さっきリインフォースに心を読む程度の能力を使わせていたようだが」
「うん……能力名はよおわからんけど」
「読心という能力はまぁよくあるもんだ、そう大きな負荷じゃない。が、そんな能力でさえエクセリオンと同じくらいの負荷になる」
高町さんのエクセリオンモード。聞いただけだけど扱いを少し間違えるだけで本人もデバイスも甚大なダメージを受けるらしい諸刃の剣。
さっきなんとなく使わせただろう能力がそれ程のものとは考えもしなかった八神さんの顔が青ざめる。
「え……⁉︎」
「シオン様!」
「黙れ、お前の為だ。いいか? オレの能力は鏡に石投げつけてるようなもんなんだ、どんなに小さかろうが、傷は傷。回復までにそれなりの時間はかかるし、下手すりゃ何回かで割れる」
やめてくれ、というリインフォースの抗議を一蹴、説明を続ける。
「で、でもシオンはあんなに使ってたやんか!」
「ああ使ってたさ、限界ギリギリまでな。だからオレは闇の書を倒す為にリインフォースに半分やってもらうつもりだったし、リインフォースを残すのにも躊躇った。お前は知らないだろうが総力戦の後はぶっ倒れたりもした。そんな能力なんだ、コレは。だからもうオレはそうそう使う気は無いし、必要無い環境を維持していたい」
八神さんだけを見据え、深く念を押す。
それだけ、負荷というのは大きいのだと、取り返しがつかないのだと諭す。シオンの能力を持たず、他人に強制できるのは八神さんしかいないから。
「回復魔法も、効かへんのやろ」
「ああ。身体ではなく存在のフレームの様な概念だからな」
「……リインフォース、ごめんかった」
「いや、気にするな。あのくらいであればそう大したものではないし、な?」
「うん……」
「ふ、負荷は連続使用した場合だ! 事件中の様な連続使用でなければ大丈夫だ! こんな事ではやてが気に病む必要はない……!」
必死に八神さんに非が無いことを説明してるけど、本人が泣きそうな顔してたら意味無い。
「いいんだよ、リインフォース。はやてはそうしておけ。いざって時に家族の無理を押し通す様ならはやては家主失格だ。だから、それでいい」
「しかし……!」
「過保護なんだよ。姉さんの言う家族としてってのは介護しろって事じゃねぇぞ」
「……」
「はやてもそのうち歩けるし、デバイスを持てば魔法も使える。その間できない事を手伝ってやればいいんだよ」
どっちもどっち。
私が言っといてなんだけど、正しい形なんて分からない。
それが分からないままが正しいって意見は、嫌いだ。
「シオン、少し厳しいよ。リインフォースだって闇の書の時に負荷は十分体験してる。分かってて使ったんだから、それでいいじゃない」
「……っ、違う、オレはだな」
「能力も説明した、デメリットも話した。もう魔法については聞いてるんでしょ。ならおしまい。リインフォース、ホントに大丈夫なんだよね?」
「勿論です」
問題無い。と言いたい。見たところ不調も無いみたいだし、嘘とは思えない。
因みに、私達に嘘をつく事も許可してる。というかあらゆる行動、八神さんの意思による私への謀反でさえ。まぁもっとも、夜天の書の真の主となってしまった私が死ねば消えちゃうから、それだけは無いんだけど。
夜天の書の主でなくなり、世界を壊そうとした時には。また戦ってくれると嬉しいな。
「だってさ、八神さん。エクセリオン使って無茶した高町さんが死んでないんだから、全然大丈夫だよ」
「なんか悪意を感じるの!」
「んまぁ、そうだね。高町さんがついこの間まで一般人だったなんて誰も信じないよ」
「酷い⁉︎」
「そう? シオン、言ってあげて」
「……SSランクのプレシアの魔力資質を受け継ぎ、相当な訓練を経たフェイトと初戦から互角程度。数百年の歴史はあるであろうヴァルケンリッターの一人と戦闘、カートリッジ以外での敗因は見当たらず。更にはそれらの中でも最大火力を誇り、最大に近い耐久を持つ。一般人代表、なんか言ってやれ」
「か……わ、こ、この裏切り者ォ!」
多分知識が無くてもとんでもないレベルだと言うのがわかると思う。
フェイト戦は魔法に触れてすぐだったし。特訓はしたけどそんなレベルじゃない。
「この前いいって言ってたのに⁉︎」
「うるさいわね!」
「よし。じゃあ解散だ。寝る」
「待ちなさいよ! 言わせるだけで終わり⁉︎」
「終わり。マジでめんどくせーんだよ。なのはの耐久だとかフェイトの露出だとかお前の変態なんて話すだけ無駄なんだよ」
「またその話⁉︎」
今度はフェイトに飛び火。
まだ薄いまま、というよりもっと薄くしそうでさえある今日この頃。
「うるせぇな、反論するならバリアジャケットどうにかしてから言え」
「だって、あれ以上防御増やすと減速するから……」
「なのはに縮地教えてもらえ。ウタネの言う分には空中でも使えたらしいから互換は効くだろ。それはそれとしてなんで歩法が空中で使えるんだ? 聞いてから何度か想定したが再現不可能なんだが」
「なんでだろう。私は普通にしたつもりだったんだけど」
高町さんは不思議そうにするけど、シオンの想定は一切間違ってない。私も未だ信じられない。
私みたいに足場を作っても意味は無い。相手と同じ高さの、同じ足場にいてこそのものと思ってたのに……事実、私のは空中にいたフェイトに見切られてる。
「分からん。じゃあ……そうだな、ちょっとやってみてくれ。ついでに一般人に魔法も見せればいいだろ」
「ここで? 観光地とはいえ目立つよ」
「あー、安心しろ。それは大丈夫だ。人目には付かない」
シオンはそう言って、準備だ、と机や荷物を部屋の端に追いやった。