無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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多分三人称のような視点がメインに進めるかと思います。今のところの方針です。


第61話 勧誘

「まぁそんなこんなで、機動六課が設立できたわけや」

「それで、その、二人をフォワードとして迎えたいんだ。色々厳しい仕事になるだろうけど、その分学ぶ事も多いし、昇進の機会だって増える」

「それに、クロノ提督の戯言に付き合わせてしもたんもあるし……どやろか、新人イビリも無い、訓練は少数集中、実戦アリ。二人には、またとない機会やと思うんよ……ん?」

「取り込み中かな?」

 フェイトとはやてが二人を勧誘していると、なのはがひょっこりと顔を出す。

「ええよ、ごめんな」

「うん……で、早速だけど、試験の結果ね。魔力や能力には問題無し。通常のルートを通しても十分に突破可能なものと判断しました」

「!」

「ですが、規定は規定。シオン嘱託局員にクリーンヒットは無し。クリア条件は満たせていません。なので、この試験では不合格とします」

「……はい」

「ですが、彼……シオン嘱託局員にクリーンヒット、という条件はBランク試験には高過ぎる目標と判断しました。なので、試験監督の立場から、リインフォース試験官、クロノ提督へ抗議を行いました」

「えっ⁉︎」

「その結果、クロノ提督の一週間謹慎、リインフォース試験官の魔導師ランクツーランクダウン、権限の一部剥奪が決定しました」

 クロノ・ハラオウン提督は不謹慎な言動という事で、しかし状況が状況なだけに周囲への連帯もあったが、クロノ提督がそれを否定、自分が一人で罰を受ける事を選んだ。

 リインフォースは講習免除。代わりにランクダウン。さらに階級はそのまま、権限が一定期間剥奪される。

「えっ、その……それは、私が模擬戦を選んだから、でしょうか……?」

「まぁ、そうだね。クロノ提督から謝罪も来るだろうし、リインフォース試験官は……挨拶に行けば色々優しくしてくれると思うよ。あんなだしね」

「は、はい……」

「いえ! クロノ提督から謝罪なんて……」

「ええんよ、どうせ内輪もめやしな。顔覚えてもろとき。なんなら私からコネ使てもええんやで? 後リインフォースは気にせんでな。もっと落としてええくらいやから」

「すぐ上がっちゃうだろうけどね」

 リインフォースの実力は認めざるを得ないのか、諦めたような雰囲気の三人。

 実際、リインフォースは主である八神はやてより戦闘面では優れている。暇だからと事件現場へ乱入し、犯罪組織を壊滅させ丸投げするという破天荒な行動を繰り返した結果、重大犯罪専用の爆弾の様な扱いを受けている。そのため、普段の仕事は恐ろしい程に少ない。それこそ、一日中寝ていても問題無いほどに。

 努力を積み上げたなのはやフェイト、はやてとは、対称の昇格状況と言える。

「それに、クロノ提督直々に再試験手続きをさせて貰えるそうだから、明日か明後日には、また試験を受けられるよ。もちろん、二人が良ければ、だけどね」

「あ、ありがとうございます!」

「じゃあ、私への返事はその後でええよ。ゆっくり考えて、自分がしたい事するもよし、クロノ提督から紹介してもらうも良し。提督って立場より、クロノ・ハラオウンって人を相手にした方が、印象はええはずや。頑張りなね」

「「ありがとうございます!」」

 

 ♢♢♢

 

「……シオンは、どう思たん?」

「別に。オレに届く事はない」

 はやてが投げた問いに、柱の陰から回答するシオン。

「そんなん誰だってそうやん。なんかあらへんの? 才能が〜とか」

「無い。が、まぁ。フェイト」

「なに?」

「お前とあの青いのは似てる。それくらいだ」

「スバル? なんで?」

「……いいや、別に。忘れてくれ」

「テキトー言うたんか? 思わせぶりな発言だけやと狼少年になるで?」

「知るか。オレを信用するかどうかはお前ら次第だ。こっちから信用してくれなんて言わねぇよ」

 あくまで嘱託。正式に身を置く立場で無い以上、裏切り、離脱は十分にあり得る。それを強調するが、なのは達からすれば理外の発想であるため、それは優しさにも取ることができた。

「じゃあ……あの二人と一緒に戦う事に、不安はある?」

「別に。最悪オレだけでも生き残るからな」

「そう。なら、大丈夫だね」

「シオンも結局はリインフォースを助けてしもたし、根は優しいのよな。二人とも難儀な性格しとるわ」

 にひひ、と笑うはやてに、鋭い殺気が刺さる。

「ふん、なら手始めにお前を殺してやろうか、新部隊長殿」

「ふふ、堪忍や。ええやん、嘱託の立場で隊長なんて、前例無しやで?」

 殺意さえコミュニケーションと分かっているはやては軽く流し、話題を変える。

「隊員がゼロじゃあ長の意味ねぇだろ。そんなんで丸め込まれると思うなよ」

「まぁまぁ、その代わり好きに動けるんだから、いいじゃない」

「あのなぁ……その好きに、ってのはお前の教導手伝ったりフェイトの事務処理手伝ったりこのバカ殺したりだろ? 実質全部隊兼任じゃねぇかよ」

「えっ」

「そうなんだけど……色んな人と関われるし、楽しいと思うよ」

 高町なのは一等空尉。

 航空戦技教導隊第五班。不屈のエース・オブ・エース。

 その宇宙の膨張と同じレベルで成長すると評された才能と、持ち前の前向き、一途な思いで管理局の前線を支えた伝説の一人。

 基本は遠距離だが近距離もそつなくこなし、縮地やバインドを巧みに使い必殺の砲撃へ繋げる熟練者。過去撃墜された記録は一度のみ、その他全てが常人の許容を超えた働きを持って任務を完遂している。機動六課の中でも最高戦力に評される。

「ねぇ?」

「私の方は緊急以外では頼まないから、なのはの手伝いお願いね」

 フェイト・テスタロッサ・ハラオウン一尉。執務官。

 なのはの良きライバルであり、親友。とある事件を原因とし二度執務官試験に落ちており、一時期力を落としていたが、三度目で無事合格、再び力を取り戻す。超スピード、超天然、超低装甲、超過保護、超優しい、超極端な人物。近接においては機動六課1と言っても過言では無く、日々シグナムにその座を狙われている。

「ちょっと?」

「教導な……まぁ、模擬戦相手にくらいはなってやるさ。メニューとか考えんのは無理な、面倒だから」

 フタガミシオン嘱託局員。クロノ・ハラオウン提督の直属であり、彼以外の命令を拒否する権利をクロノ提督から授かっている。

 なのは、フェイトを過去に指導、二人を完全に上回る能力を持つ。

 守護騎士四人を同時に、なのはとフェイトを同時に相手取り尚余裕を見せつける。しかし無理はしていたようで、闇の書事件以降それと言った能力を使用した形跡は無い。事実上、機動六課の最大戦力。

「えぇ?」

「勿論。1週間で私たちに追いつけ、なんて無茶言い出しそうだしね」

「聞こえてるぅ?」

「言うつもりだったが。追いつけるだろ」

「えっ、本気? 本気で聞こえてへんの?」

「訓練は急ぎつつ、無理しない程度だよ。体に負担がかからないギリギリ。それ以上は認めないからね」

「じゃあなんや、やりたい放題か?」

「長くなるだろうな」

「うふふふふふふ〜」

「無茶するよりずっといいよ」

「ぐふはふはふはふ……ブッ⁉︎」

 近づくはやてをかかと落としで地面へ沈めるシオン。

 その後横っ腹を蹴り飛ばし、壁にめり込ませる。

「何してんだテメェ。後1ミリでも近づいてみろ、その首と腕、同時に飛ぶぞ」

「へ、へへへへ……じ、じょーだんやんか……へ、へへ……この純粋無垢なはやてちゃんがそんな事するわけ……へへ、そんな睨まんといてや……な、笑って笑って……殺意も……抑えて……消そう……? 隠したまま切るんも無しやで……?」

 八神はやて二等陸佐。機動六課の首謀者。

 闇の書に選ばれる優秀な才能と、ウタネに主権を奪われたまま形だけ手に入れた夜天の書の持ち主。シオンの存在を隠蔽するための表向きの『歩くロストロギア』

 シオンに夜天の書のほぼ完全なコピーと、リインフォースとのユニゾン適性を再調整してもらい、その体裁を保てている。

 長所は高望みした志による統率力と、借りパクしている膨大な魔力、魔法。言わばシオンの影武者。借りを作りつつ何も返せない自分に対してか、それを良しとして何も要求しないシオンに対してか、行き場の無い負い目は限度を超え、態度と性欲が増長した。男性性を得ようとしたウタネに倣い、〇〇〇リ化を目論んでいるが周囲が全力で止めている。

「黙れ。夜天の書の権限無くすぞ」

「それは堪忍や……無くなったら管理局にいられへん……」

「ま、まぁまぁ、はやてちゃんも反省してるし……」

「してねぇだろ。何回目だ? 五回は夜這いかけられてんだが」

「えぇ……」

「はやて……」

 まさかの蛮行につい顔が引きつる二人。

「ちょっ! なんやその目! 汚物を見る様な目ぇせんといてや! 男がしてるよりええやろ⁉︎」

 壁にめり込んだまま泣き喚く部隊長。この様を先程のフォワード二人がみていれば、即座に辞退を申し出た事だろう。

「される側からしたらどっちも一緒だよ……男よりマシだけど」

「流石に寝てる間とかはちょっと……男よりマシだけど」

「なんや、それ。どんだけ男嫌いや」

「えっ! いや、そういうわけじゃ、ないんだけど」

「まぁどうでもいい。オレは帰るぞ」

 飽きてきた、とばかりにあくびをし、帰路に着くシオン。

「なんでよー、ご飯行こーやー」

「あ?」

 無表情のままだったが、それでも威圧には十分な殺意を含んでおり、二等陸佐を涙目にする程度は十分であった。

「じょ、冗談や……また気が向いたら、お願いします……」

「あ、待ってシオン、私車だから送ってくよ?」

「いや、いい。まだ局にいるからな」

「……?」

 帰る、と言いつつ局に残る、矛盾することを残して歩き出す。

「じゃあな」

「うん……」

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