無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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物語は一歩も進みません。じゃあリリカルなのはじゃなくてもよくね?と言いたくなると思いますので、進むまで待つか、我慢するか、お気に入りなどなどから削除しましょう。


第74話 機動六課の休日

「さぁ!」

 翌日、私の部屋でドンと来い、とソラが手を広げる。

「……なにが?」

 なにしてんのかサッパリな私は思ったままを口にする。

 そして面倒な予感がしてソファに体を沈める。

「だってさ、昨日ははやてが気絶しちゃって色々誤解が出たしさ、今日は休みだってスバル達は遊びに行っちゃうしさ。ウタネとか別にどうでもいいしさ。気晴らしにシオンと遊ぼうかと」

 ソラがカーテンをシャッと開け、休み気分の私にはとても辛い日光が部屋に入り込む。

「そりゃ気絶するよ。60%でもヒトじゃないもん。まぁその意味では私もついてって良かったかな。でももうシオンに変わりはしない。このままウタネとして六課にいる」

「えー? 嘱託はシオンなんでしょ?」

「昔馴染みやフォワード以外は私とシオンの見分けなんてそうつかない。それに、私たちは元々機動六課の部隊じゃなくて雇われだし。とりあえず今日は現状把握と情報共有だ」

「雇う? 私たちを? はぁ?」

「ソラ、八神さんを知ってる口ぶりだけどね」

「ん、まぁね」

「夜天の書の所有権は私。リインフォースも、守護騎士も、私の管轄」

「はぇ? あー、でもなんか、そんな感じだったかな?」

「リインフォースはもうこっち側。次も用意されるらしい」

「んー、まぁ、条件的には? 良いのかな?」

「ロリコンに言って通ってるからオッケー。可愛いし」

「色合い似てるもんねー……自分の理想として見てない?」

「うん? そんな事ないと思うけど。そう思う?」

「思わない。けどここに来て変わったならあり得るかなーって。あ、そうそう、なんで部隊名ヴィーナスなの?」

 今より好き好きしてる世界でもあったんだろうか。

 私が嫌悪以外でそんなに感情出さないと思うんだけども。

「なんでって……知らない。嘱託で動く時からシオンが決めてたらしいから」

「でも今いるのアインスだけなんだよね」

「やっぱりアインスって名前なんだ」

「んあ、そっか、この世界じゃリインフォースのままなんだ」

 シオンにも聞いてたけど、ツヴァイかぁ……見てみたい気持ちもある。この事件終わったらシオンに頼んでみようかな。

「まー呼び方はいいでしょーね。あ、そっか。複数系にしたから?」

「は?」

「一応さ、VNAじゃん、ぶいな。で、S付けてぶいなす。愛と美の女神だよ。シオンにしてはナルシスト気味なネーミング?」

「ふーん。愛と美、ねぇ……」

 まぁそもそも、増えたし。VNAでも無くなってる気もするけども。少なくともリインフォースはハッキリしてないし……まだいっか。揃うまでは。

「みんな美人だし? 私たち全員人類悪みたいなもんだし? ピッタリだと思うよ?」

「私は別に人類悪のつもりは無いよ」

「えー? 人が終わるのが嫌だから滅ぼすってさー、人を憐んでのことじゃないの?」

「……私のは、ただのワガママだよ」

「ふーん? まぁそれはそれでいいや。シオンはあなたを生かすためってのと、『』に憧れてって感じかな」

「さぁね。私がシオンに願ったのは詩音が社会に適応することだけだよ」

「じゃあウタネが適せない原因を取り除くため……はただの殺人鬼だね。おっと、安易に殺人鬼の単語使うと怒られるね」

「憧れてんだっけ。なんか闇の書事件で会えたらしいけど」

「マジで? カルデアにもいるけど……よっぽど気が向いたんだろうね。闇の書程度じゃ無理矢理なんてできないだろうし」

「そうなの?」

「ロストロギアたってもさ、所詮は古今東西の魔法を集めた魔導書なワケよ? 所詮はヒトの延長線。ミッド、ベルカの両方が使えて、魔力SS程度もあれば常人から見ればほぼ近いものにはなるわけさ」

 魔術と魔法のアレだね。再現可能か否か。

「うん」

「でもアナタの……発作の裏返し? その身の能力の一端? は誰にもマネできない。例えこの世界の魔導師を集めても世界中を射程に入れることも、物質の性質を維持したまま変化させるなんて意味わかんない事もできない」

「わかんなくはないでしょ。柔らかいまま硬くする、くらい分かって」

「相反することを同時に存在させる事がそもそも理解できないよ!」

「ならソラの能力も分かんないんだけど。普段は私と変わらないくらいなのになんで急にああなるの? 鬼ってそもそも何?」

「えー……なんでって……力み? 開放のカタルシス? 技を超えた純粋な強さ? それがパワー?」

「聞かれても……」

 ソラの能力解放はそりゃあもうマッスル全振り。

 昨日はビル殴り壊して瓦礫投げるとかしてたけど生木引っこ抜いて投げてた時はもう言葉も無かった。

「まぁ抑止力が人類悪自称してるし気にするだけ無駄か」

「それはわかんないよー? 殺しても転生するなんて癌細胞そのものだし」

「あなた死んでないでしょうに」

「そーだけど! 万一があるじゃん!」

「まぁね……取り敢えず情報出して」

 転生談義が面倒になってきた。やることやって寝たい。

「んー、でもさ、情報共有ったって何も無くない? 相手もハッキリしないんでしょ?」

「うん……まぁ、そこなんだよね。心当たり無い? ココより先の世界も行ってんでしょ?」

「ないよー、そもそもフェイトが犯人側だっていう事件だって知らないしさ、闇の書事件だってシグナム達のこと知っててもその事件を知らないと犯人だーって言えないじゃん」

「ん……それもそうだ。何年後かも分かんないんだよね……じゃあさ」

 確かに、私だって八神さんが闇の書の主だなんて守護騎士と一緒にいる場に出くわさなければ知らないままだった。人と人の裏の繋がりを知らないまま疑うのはキリが無い、か……

「うん」

「もうどっか適当に今までの続けてていいよ。いらない」

 じゃあぶっちゃけソラいらない。

 シオンの様に推理ができないソラはただの筋肉だ。部隊にもリインフォースがいれば十分すぎるくらい機能するし、ソラが事務処理とかできるなんて聞いてない。まして周囲にいたのは非戦闘要員か完成してるサーヴァント。訓練の教官なんて私並に向いてないだろう。じゃあ、いらない。

「酷いね⁉︎」

「戦闘の時は呼ぶから。あとは面倒だからどっか行ってて」

「もっとヒドイ⁉︎都合良い戦闘力か私は!」

「掃除屋ってそうじゃないの?」

「……そうだけど! 私が行ったとこはまだ間に合ってたよ!」

「ふーん」

 抑止力は世界崩壊寸前の事後処理専門と思ってたけど違うのかな。

 まぁ、私は絶対そうならないからどうでもいいんだけども。

「興味なさそー……じゃあさ! アインスと話して来ていい⁉︎私たちについて!」

「いいけど……」

「やった! じゃあね! バイバ──ん?」

 やった! でカーテンを引き千切り、じゃあね! で私の寝てるソファと形だけの事務デスクを蹴り飛ばし、バイバイ、でドアに手をかけようとしたソラが止まる。

 そして丁度よくコンコンとノック。

「はい! どうぞ!」

「勝手に入れるな」

 私の部屋だぞ。

「失礼します。ソラさんいま──ウタネさん⁉︎敵襲ですか⁉︎」

「そこの筋肉だよ。何用?」

 遊びに行ってるはずの青い子が部屋を見てドン引きしてる。後から来たオレンジも。

「私に用?」

「あ、はい! その、休日で申し訳ないんですが、少し手合わせをお願いしたくて!」

「ウチのスバルがすみません!」

「なんで謝んの。というか敬語じゃなくていいよ! 私の方が下だしね! あ、でも私はあんまり敬語使わない! ごめんね!」

 普通に考えたらコイツゴミだよね。マスターとしての立場が完全に板についてる。相手が神でもタメ口なの意味わかんない。ん、ロリコンは神と崇められる要素が無い。そして私も神相手だろうと敬語にする気は無い。純粋に必要ならする。

「んー、でもソイツにせっかくの休日潰してまで相手してもらう価値は無いと思うけど……」

「ひどいねー、近接格闘技なら割と極まってるよ?」

「使えるだけで使わないくせに」

「んふふー! その辺似てるって言われたよ!」

「誰に」

「ホンモノの息子?」

「ナニソレ」

「んふふー。さ、スバル、行こっか」

「あ、はい! お願いします!」

 もうソラと同じ次元での会話は無理かもしれない。いるよね、自分がわかるんだから相手も分かるだろみたいな……シオンなら分かるだろうから私にもわかるだろみたいな……

 言葉を厳選して一言で理解せしめてほしい。

「……えっと」

「ん?」

「ウタネさん、シオンの時のこと、あまり覚えてないとのことでしたけど……私が訓練を希望したの、覚えてますか?」

 オレンジの子がおどおどと聞いてくる。自己紹介は一通りされたけど忘れた。判別はできるからいいよね。

「んー……ごめんね、知らない……と思う。でも言ってたなら私で良ければ代わりはするよ?」

「ホントですか⁉︎」

「う、うん。シオンのせいだし……」

 シオンが敵だとするなら普通の魔導師であってもらっちゃ困るし……

「それ、今日お願いしても大丈夫ですか⁉︎」

 おおう、凄いやる気だぁ……

 うーん、今日かぁ……やるのはいいけど体力がなぁ……

「ちょっと待ってね」

「あ、はい。すみません」

「リインフォース。来い」

 声色を殺して呟く。

 すると隣にはリインフォースが……いなくて、代わりにモニターが開かれた。

《なんだ? 休日だろう?》

 ベッドで身を投げ出しているリインフォースがダルそうに話す。

「あのさ、この子と訓練するから、体力回復お願いできない? それにフォワードが休みなだけで私たちは待機なんだけど」

《真面目だなぁ……まぁ、別にいいぞ。それで出勤ということにしてくれ》

 フェイトから現状報告を受けた限り、リインフォースは年々私に近づいていってるらしい。

「じゃ、終わるまでに来てね」

《ああ》

 通信を切る。

 私は、プライベートはともかく仕事でこんなダラけるだろうか。上司? の通信くらいせめて座る? ……いいや座んないや。そもそも出ないや。

「はい。じゃあ行こっか」

「お、お願いします!」

「そんな畏まらなくても……私は別に殺したりしないから……」

「い、いえ、そうじゃなくて……」

「んー?」

「ホテルの警備の時のこと、本当に気にしてないのかと思って……」

「……気にしてないけど」

 ミスショットだっけね。

「そうですか」

「……え、なに?」

 急になんだ。不意打ちか? 隙見せたら撃つってか? ないぞ? シオンへの恨みはシオンに向けよう? 

「いえ。局内で聞いていたヴィーナスとはイメージが随分と違うなと」

「は? どんな?」

「曰く、単騎で国を滅ぼす。曰く、仲間内でさえ能力を知らず、連絡も最小最短で滅多にない。曰く、高額な報酬でしかその力を振るわない」

「はぁ〜?」

「いえ、実際のところ合ってましたよ。歴戦の魔導師が総手でかかっても手が出ないほど強くて、他人への興味と意欲と記憶力と協調性が無く、働くのが面倒だ、ということで」

「んー、合ってるよ。合ってるけどね? てゆーか誰? そのウワサ」

「部隊長です」

「よし。殺そう」

 なんだアイツ。昔の健気な関西弁少女はどこにいったんだ。私か? 私が闇の書に関与したからか? 奪ったから性根が捻れまくったのか? 

「ちょっ⁉︎殺さないって言ったばかりじゃないですか⁉︎」

「いや、あなたたちを殺さないだけであって八神さんは別だから……!」

 少なくともリインフォースは殺しても死なないと本人が言ったらしいし、ならなんかするでしょ。死んだらソラに代わり……は管理局がカルデアになるからダメで、リインフォースが変身するでしょ。

「ダメです! やっぱりシオンより殺意が軽いじゃないですか!」

「軽くないよ。私たちの平穏は守らないと。だから殺す」

「他にやり方が無いんですか⁉︎」

「あるんだろうけど考えるの面倒。ウワサを否定して回るより元凶を見せしめにした方が早い」

「……先に報告しますよ?」

「指名手配はやめてね。あと裁判」

「切り替え速いですね」

「裁判に関してはね。多分私が管理局で裁判すると0-100で相手が悪くて証拠があっても私が負ける気がするし」

「えぇ……」

 全責任を負って裁判に負ける。そして死刑なり指名手配なり。

「まーいいや。ソラと同じとこでいいよね」

「あ、はい! 切り替え早いですね!」

「……トゲがある?」

「ないです!」

「そ。じゃあいいや」

 絶対良くないけどね。

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