無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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第77話 ナンバーズ その②

「ウソや……」

 なのはのブレイカーに匹敵する威力、熱量を持った砲撃がヘリを捉えた。

 爆音と熱風は離れた場所にいる騎士甲冑を持ってして防御態勢を取らざるを得ないほどで、純粋な破壊力はスターライトブレイカーに匹敵するであろうことがわかる。

 そしてヘリはあくまで輸送用。それを防ぐような装甲は無い。そもそも、ヘリをそこまで頑丈にすると飛ばせない。

 爆煙は長く視界を妨げ、ヘリへの通信も未だ通じない。

「私は、何をしてたんや……」

 事態把握が自分の仕事、役割だ。

 後手に回った時点でシオンには敗北する。分かりきっていたことだ。自分より速く硬いなのはを止めたのは自分。自分が向かうと言ったのも。

 知った時には手遅れだったのかもしれない。シオンを相手にするという本当の意味を、知るのが遅過ぎた。ウタネが何故数年の自由を捨ててまで自分たちに協力してくれたのか。それほどまでにシオンが危険だと分かっていたからではないのか。だからこそ全部隊兼任というハードスケジュールを呑んでくれたのではないのか。自分たちを気遣うあまり、呑気している自分に殺意が向いていたのではないか。当然だ。理解するのが遅過ぎた。

 闇の書も同じだ。知った時には完成寸前。自分は全てを把握できる立場にありながら、手遅れになるまで何も知らず、何もできず、ただ周囲に、敵にも味方にも気を遣わせただけ。夜天の主という借り物の皮を被った、ただの出来損ないの七光り。

 ヘリの一つも守れないで、何が対凶悪犯罪か。何が最高の部隊か。頭である自分がこれでは、無理を言って引き込んだ彼ら彼女らになんと詫びればいいのか。

「ごめん……」

 言葉が見つからない。言葉で済むとも思えない。あの時リインフォースの代わりに自分が消えるべきだった。こんな主がいなければ、みんなはより強い部隊に編成されていたはずだ。知識と判断力と実力を併せ持つ、優秀な隊長の下に。

『はやてちゃん⁉︎無事ですか……⁉︎』

 絶望に打ちひしがれている中、有り得ない通信にハッとする。

「シャマル……? シャマルか⁉︎ヘリは無事か⁉︎」

『ごめんなさい! リインフォースが通信は通さないでくれって聞かなくて! 砲撃は防御してくれてます!』

「……!」

 ヘリからの通信。まだ間に合うと再び顔を上げてヘリへ向かう。

「リインフォース! リイン……ふぉー……す? 誰?」

 爆煙が晴れたヘリを見たはやては、そこにいる何かに呆気に取られる。

 黒と黄色を基調とする全身を覆う装甲。重々しい見た目の通り、ガシャン、と各動作を固定して行なっている。その背後のヘリには焼け焦げ一つなく、その身が砲撃を受け切ったことを証明している。

「俺は悲しみの王子! R! X! ロボライダー!」

「その声、リインフォースか……? なんやそれ」

「キングストーンだ!」

「キングストーン⁉︎」

「例え全てのエネルギー(衣服)を失っても、キングストーンがある限り俺は蘇る(装甲を得る)! 何度でも!」

「どんだけ全裸嫌いなん?」

「ボルティックシューター!」

「無視かいな」

 リインフォースが両手を胸の前にやると、ハンドガンのような銃が握られる。

 そしてそれを砲撃手の方へ無造作に、撃つ。

「あっつぅ⁉︎」

 ノーチャージとは思えない……先の砲撃を上回る暴力が周囲の空間を焦がしながら直進する。直撃したビルは粉砕、カケラ一つ許さず焼却され、鉄筋が焦げた煙が上がる。

「あたって……ない! 逃げられた!」

「逃さん!」

「消えた⁉︎はぁ⁉︎」

 外れた事をはやてが確認する前にリインフォース(?)は姿を消した。

『はやてちゃん⁉︎何の音⁉︎』

「いやわからへん。リインフォースイキイキしとんで。砲撃されて絶望してたんがアホらしくなってきたわ。闇の書もよくよく考えれば私のせいや無いしな。やっぱどうでもええな。おっぱいやおっぱい。シャマル、覚悟しいや」

『はやてちゃん⁉︎頭壊れました⁉︎』

 

 ♢♢♢

 

「防がれた……⁉︎」

「あらー……」

「いやまって! 来る」

「退避!」

 青いボディスーツの二人がハードショットの発射を見る前にビルから迅速に飛び降りる。

 撤退が少しでも遅れれば自分が撃ったエネルギー全てとリインフォースの魔力エネルギーを上乗せしたハードショットにより灰も残らなかっただろう。その点でも自分たちの一芸だけでは無いという優秀さを感じずにはいられない。

「なんなのあの威力⁉︎」

「抜き打ちであの威力……アイツ、ホントに人間か……⁉︎」

 一瞬先まであったはずのビルが焼け焦げている破滅的破壊力に打ちひしがれていると……

クライシス(お前たち)! 悪に生きる道は無いと知れ(服を着て襲ってくるとは良い度胸だ)! 来い(よこせ)!」

 何もなかったはずの空間に突然現れる殺意。

「ひっ⁉︎」

 いかに優秀と自負しようとも、ただの威嚇射撃を避けた程度ではこの任務に不必要だった全裸アルターの取り越し苦労とその後数分放置への悲しみと怒りの処刑人の前では寿命がほんの少し伸びただけだが。

「誰だお前は!」

「俺は怒りの王子! R! X! バイオッ! ライダッ!」

 青い装甲と鋭い刀のようなものを構え、名乗りを上げる。

 その実態は測れないが、先の射撃により相当トンデモナイ戦力であることは二人にも瞬時に理解できた。その射撃がただ接近するまでの軽い威嚇射撃だと知れば心底震え上がるだろうが。

「撤退です♪ IS、シルバーカーテン」

 瞬時に二人の姿が消える。

 しかしそんな事を許す全裸戦士ではない。

「それは逃さん! キングストーンフラッシュ!」

 ベルトのバックルからエネルギーが放出され、逃げだそうとしていた二人の姿が明らかになる。

「「⁉︎」」

「お前らのその能力も、俺には通用しないぞ! バイオブレード!」

 バイオブレードの刀身が輝き、必殺の殺意を帯びる。

 逃げれば背中、向かえばカウンター、投降したなら斬首。即死以外有り得ない状況に陥ってしまったクライシス(人違い)。

「ヘヴィバレル、ノーチャージショット!」

 狙撃手が先の砲撃程ではないが射撃を数発、瞬時に撃ち込む。

 しかしそれは全てバイオライダーの体をすり抜け、背後のビルを破壊する。

「弾が……⁉︎」

「すり抜けた……⁉︎」

「そんな攻撃、今まで何度も受けてきた! 行くぞ!」

『ライドインパルス!』

「⁉︎」

 上空から迫った何者かの攻撃をバイオブレードで防ぐ。

 襲撃者はボディスーツ二人とバイオライダーの間に着地し、バイオライダーと対峙する。

「まさか、初撃を防がれるとはな」

 三人目のボディスーツ。紫のショートカットが驚愕を口にする。

「俺は果てしない戦争の歴史に生きている! そんなもので俺が倒せるか!」

「クアットロ、ディエチ、下がっていろ。お嬢とアギトは既に撤退している。追手が来る前に奴を仕留めて離脱だ」

「トーレ姉さま、ソイツマジにヤバイですぅ!」

「危険……」

「望むところだ。IS、ライドインパルス」

 手足に再び紫の羽のようなものが展開される。

 対峙するバイオライダーは構えたまま動かない。

「はぁぁぁぁぁ!」

「トゥア!」

「ぐっ……!」

 高速機動で背後に回っての足刀。躱すか受けられるかを想定してもまさか完全に後出しで先手を取られるとは夢にも思うまい。最も、バイオライダーが動かなくても攻撃は突き抜けただろうが。

 青い刀身は装甲をいともたやすく斬り裂き、右足首が切断、トーレの機動力は大幅に落ちる。即死させられなかったのはせめてもの救いか。

「トーレ姉さま⁉︎」

「セイン! 手を貸せ! 撤退だ!」

「はいよー」

「なに……⁉︎」

 対峙していた紫のショートカットが地面から突如現れた水色に抱えられ地面に消える。

「さようならー♪ 次は相応の準備をしますのでぇ♪」

 茶髪のメガネが消える前に挑発する。

 その挑発行為が服中毒限界を耐えていたバイオライダーの逆鱗を引きちぎり地雷を踏み抜いた。

「絶対に逃さん! お前たちのアジトに連れて行って(着ている服で妥協するからそれを)貰うぞ!」

 バイオライダーの身体が瞬時に粒子化、セインのIS・ディープダイバーで透過している地面を難無く追う。更には追い付くわけでもなく一定距離を常に維持し続ける。

「マズいって! アイツ何⁉︎っていうか一度に三人は重いんだけど! トーレ姉はともかく二人は走んなよ!」

「セインちゃん! アレから走って逃げるのは殺される!」

「そーだけど! これからどーすんだよー! 逃げ続けても局員が集まってくるぞ!」

「お嬢はどこだ! 術式を先に展開して貰い振り切るぞ!」

「それだぁ! ルーお嬢さま⁉︎転移魔法の準備をしておいて貰ってよろしいでしょうか⁉︎今ヤバい追手がいて即逃げたいんですけど!」

『……わかった。後三秒待って』

「了解です! ありがとうございます!」

 セインはルーテシアへ連絡、撤退の手筈を整える。

 三秒後確実に退避するためにそれまでのルートを頭で考える。とはいってもそう長い時間じゃない。攻撃が来るにせよせいぜいが二度。ギリギリだが躱せないこともない。

「ルーお嬢様におんぶにだっこ! しっかりつかまってて下さいねー!」

 背後の青い処刑人(殺意の塊)から三秒間を稼ぐべく三人を抱えたまま地中を泳ぐセイン。

「とーちゃくっ! お願いします!」

 物陰に気配を消して隠れていた召喚師と融合機に合流する。

「……わかった」

 転移はすぐに行われ、バイオライダーも地上に出る。

「逃げられると思うな!」

『リインフォース⁉︎もうええ! 六課じゃ探知できてへん! 引いて!』

「キングストーンの力を持ってすれば転移を追うことなど造作も無い! 今日壊滅させてやる! これ以上の悪事はこのリインフォースが許さん!」

『だからなんやそれ! ええから! その体潰すんだけは許さんで!』

「む……わかった。これで終わりだ」

『そもそもいっこや言うたやん』

「……一種類ずつしか使ってない」

『屁理屈やんなーそれ』

「うん。ところで服の替えはあるか? まだ全裸なんだが」

『ほー……じゃあヘリ来ぃや』

「了解。制服の替えでもあるのか?」

『んー? リインのストレスは後で解決したるから、先に私のストレスを解消してぇや。シャマルはもうへばってもうてな』

 はやてからナニをされたのか、息が荒く真っ赤になっているシャマルがモニターに映される。

「……うん、別にやめろとは言わないが、日中の勤務時間内では控えようか。私が六課を気遣ったのがバカみたいじゃないか」

『私かてヘリとかみんなのこと想てたのにその後すぐにバカみたいな戦力出してくるもん。アレ威嚇射撃やったら私らどーせいっちゅーねん』

「うん、ボルティックシューターは実際のところ即死武器でもあったんだがな。せめて原型は留めておこうと思ってビルに撃ったんだ。決して外してないからな。命中精度は100%だから。さらにスパークカッターも爆発四散するからやめておいた。なんでこう即死させてしまうんだろうな。能力が強過ぎる」

『……もうええわ。フォワードもなのはちゃんたちの方も終わってるから、今日は戻ろ。データだけはちょうだいな』

「記憶から直接抜き出すとかできないのか。夜天の書」

『非人道的すぎるやろ、それは』

「私が人から抜くことはできるのに私がアウトプットするには私が書くしかないんだな……ツライところだ」

『なんかそういう能力はないん? 許可したるで?』

「うーん……考えた事を紙に書くなんて能力があるだろうか……? 漫画なら超高速があるがあれも自分だしな……テレパシーで記憶を送ってそれを誰かにさせるか? それもなんだかな……仕方ないか。数日以内には終わらせる」

『普通は1日2日でやることやで』

「じゃあ早急に必要な事だけ今日纏めておく。明日話そう」

『了解や』

 モニターが切れ、バイオライダーの姿のまま取り残される。

「……やれやれ、何を考えているのやら」

 ゲル化する気力も無く、歩いて合流を目指すリインフォースだった。




その時、不思議なことが起こった!
ナンバーズをビビらせたかっただけなのに気が付けば打ち切り展開になりかけていた。はやてがいなければ(ナンバーズが)即死だった。
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