これについては感想でもメッセージでも意見を頂けると幸いです。内容はともかくできるだけ読みやすい形を目指したいので。
(追記:アンケートも設けました。よろしくお願いします)
「……と、まぁ、彼女たちの戦力は見た感じこのくらい……になる」
聖王協会の一室でカリムとクロノ、三隊長の前でモニターに情報を映し解説するリインフォース。
「ふーん……トンとか使われてもサッパリなんやけど、0.5トンって言うと魔法でどのくらいなん?」
「そうだな……まぁスバルのディバインバスターくらいじゃないか?」
「パンチ力がそんなレベルかいな。というかパンチ力ってなんなん?」
「まぁ、スペックの指標だ。ちなみに、彼女たちの全力となるとフォワードは即死だろうな」
「ほう」
クロノが何故か感心する。
割と良い地位についているクロノが下級も下級、可能性があるだけの新人に謝罪をした件が思いの外ストレスになっていたのかもしれない。
「この際というか必要だから言うのだが、私はあの状況、バイオライダー状態でバイオブレードも構えていた。あの時点でならフェイトのソニックくらいなら余裕を持ってカウンター即死させられるんだが、片足を斬るに留まった。多分私以外なら返り討ちにあっていた」
「それ本人の前で言う……?」
仮にも執務官であり一部隊の隊長であり機動六課最速(魔法のみの最速。能力込みではシオンとリインフォース、生身ではソラ)を誇るフェイトが声を漏らす。
「うん。言わなければならない。フェイトに勝てる魔導師は、特に犯罪者では多くない。というかほとんどいない。なのにそれが少なくとも三人」
「じゃあやっぱり……」
「ああ、シオンが……主犯でなくとも協力しているというのは間違いないだろう。それを踏まえて先の……騎士カリム?でしたか?の予言を考えると、シオンと何者か……おそらくスカリエッティとが協力し、管理局の崩壊を狙っていることはほぼ確定と言っていい」
「……あのシオンが、か」
「クロノ提督、私は闇の書の完成以前のシオン様を知らない。なのは達と違う立場で接していたあなたから動機等、思い当たることはないでしょうか」
顎に手をやり考え始めたクロノにリインフォースが促す。
なのは、フェイト、はやての見解では『なのはを墜とした犯人を捕まえ(殺し)に行ったがその技術が面白くて協力している。ウタネはそのくらいでは死なないと思っているのだろう』という快楽犯そのもののイメージに固まっていた。
「ふむ……シオンは、あれはあれで義理堅い。ウタネが関係するなら尚更だ。ウタネが心配ないと言うなら問題は無いだろう。使えそうな道具を拾ったから、修理したら持って帰る……くらいじゃないか。シオンが管理局崩壊を望んでいるとは思えない」
「道具……?」
「この魔法でないエネルギー系統、アイエス?と言ったかな。その技術をそっくりそのまま持ち帰ることができればシオンはより強くなる。雑に」
「なるほど。ありがとうございます。では三隊長の快楽犯の線とクロノ提督の強化予定の線で賭けをしませんか?かけるものは……魂、なんてどうです?」
「リイン?正常か?壊れてるか?」
「……多分壊れてるな。昨日からどうもおかしい。服は多めに買い足して三着は持ち歩いているというのに」
ヘリの中といい、リインフォースの言葉に混じる言葉。特に脈絡も無い上意味も不明なため放っておく以外に対処ができないのが悩ましいものだった。
リインフォース本人は発言時は無意識らしく、周囲の反応でようやく判別できるレベルだ。
「大丈夫ですか?シャッハに部屋を用意させますが」
「ああ、いいえ、大丈夫です。今のところ変な発言以外に症状は無いのて」
「そうですか。はやての家族ともなれば手厚い援助をしますよ?」
「ありがとうございます。しかしそれははやてにお願いします。私は援助を受けられる立場にないので……」
「……」
その場どころか、全ての援助を拒否する言い方にはやてが暗くなる。考えられる理由は二つ。闇の書として犯してきた罪の数々。もしくは、ヴィーナスの一員となった自身には本当に必要無いか。後者はともかく、前者は改編した主に全責任を押し付ける事ではやては良しとしていた。リインフォースや守護騎士がどう感じているかは、聞き出したりはしないが。
「私の能力でも予言に近いことができればよかったのですが……」
「シオンの予知は使えないし、ってところかな。闇の書事件の時はシオンは全貌を知ってた風だったけど」
「うん、シオンの予知はただ予測の精度が高過ぎるだけの、シオン自身の技能だ。それに闇の書は……シオンは予知でも何でもなく知っていただけだ」
「知ってた……?」
「これ以上は強く口止めされている事項に触れる。すまないが、話せない」
「ならリインフォース。ヴィーナスについて……教えてくれないか」
クロノが提案する。
誰にとっても謎でしかないヴィーナス。個人個人との関わりはあれど、その全貌は全く掴めない。
「うん……まずヴィーナスというのは間違いだ。名前はブイ、エヌ、エーでブイナと読む」
「ふむ」
「これもあまり喋るべきじゃないがな。はやての後見人ともなればまぁ、信用してもらう為にも話しておこうと思う。最初はウタネだけだった。それからシオン、ソラ……と加わって、それぞれのイニシャルから取ったものなんだが、私もまだ自覚が無いし全員揃ったわけでもないから変更は無かった」
「イニシャル……?ってなんだっけ、フェイトちゃん」
「……頭文字のこと。でもそれでもおかしくない?誰も合ってないと思うけど」
「うん。私たちに名前は関係無いからな。まぁその名前はどうでもいい。私たちは管理局のような組織だったものではなく、全員が対等に力関係を置く。ウタネが上下関係を嫌っているからこうなったそうだ。それに合わせてシオンも敬語を使わせなかったりソラも敬語を使わなかったりしている。かくいう私も、正直申し訳ないがこういった口調が多いのもそのためだ。後はそうだな……何かあるか?」
説明がされたのは上下関係と口調のみ。クロノが求めたのはそんなものでは全くない。
「組織であるからには何か目的があるのだろう?それも無いか?」
「うん……あるにはあるが、いや、ないか。まぁ、結果が同じだけで手段や動機は全員別だ。まぁなんだ、世界のあぶれ者の集まりだな」
「結果、とは?聞いていいかな?」
「……それが一番話しづらい。とは言え、ウタネを知るならそれに行き着くだろう。私が話していない、と言う事であれば多分問題ない」
「ウタネちゃんが……」
「ウタネが……」
「「「最後の目的とするもの……」」」
ウタネ、シオン、ソラ、リインフォース……それらが望み、目的とするもの。
より分かりやすいとしてリインフォースが示したウタネ。その最終目的。
「人類……生命の、根絶……?」
一番付き合いの長いなのはがまずそれに行き着く。
「それだ……!闇の書事件の後、明確に口にしたぞ」
クロノやフェイトも同意し、それと結論付ける。
「じゃあリインも⁉︎なんでや⁉︎」
「落ち着け、落ち着いてくれ……目的とは言ったが、結果的にそうなるだけだ。それも、行き過ぎてしまった結果だ。そうするつもりはないし、それを計画してるわけでもない」
「じゃあ……どうして?」
フェイトが問う。
「ウタネの目的は『生命の価値』だ。生きとし生ける全ての果て、最後の最後で残る人間の、生命の意味。それを無価値と悲観したからウタネは全ての根絶を望む。積み上げたものが多いだけ、それを失うのは辛いからな。ゼロの時点で終わらせてやろうという哀れみだ。まぁそれは聞いているだろう。問題は、ウタネはその無価値とする自身の哲学を、世界中から批判され、反論を受け殺されたいんだ。命には価値があり、意味があるとな」
「それも聞いてる……」
「ウタネによって世界が終わるのは、ウタネが意味を信じられなくなった時だ。信じさせる事ができなくとも、可能性があるとウタネが思う限りは何も起こらない」
「……シオンや、ソラは?リインフォースは?」
「シオンはウタネを生かすこと。とは言ってもトリガーは多分ウタネが死ぬことじゃない。ソラは抑止力と言っていた。世界を守ろうとする存在がなぜそこに行き着くのかは本人に聞かなければわからない。私は……まだわからない」
「わからへん?」
「VNAに入れる以上、どこかでそうなるはずなんだが、自覚が無い。シオンを偽っていた時のウタネには、戦力と在り方が条件と言われている。在り方についてはハッキリしないが、戦力についてはその望みがあって、それを実行できる力があるかどうかが判定のようだ」
「戦力……って、どのくらい?私らでも大丈夫なんかな?」
「戦力はそうだな、その世界のVNAを除いた全てに勝てるくらいじゃないか?」
「……管理局も?全部?」
「うん。管理局も、犯罪組織も、魔法生物も全て。でなければウタネが合わないからな」
「人間には無理やん……」
「そう、話は大きくズレるが、気になっているのはそこなんだ。ウタネの能力はともかく、シオンの能力があったとしてもそれに該当するほどか、と言う点だ」
「確かに……私となのはとの模擬戦の後は倒れたって言ってたし、あの時なら……」
シオンの能力はウタネやソラと違って負荷という概念が存在する。
能力の唯一性に準ずる神秘という物差しに応じた負荷をその存在に受ける。模擬戦や総力戦、闇の書戦でもその負荷は限界に近かった。よって本来、シオンはVNAの戦力基準である世界への勝利には該当しないはずである。
しかしウタネ、ソラはそれを全く疑わない。魔法でも十分に管理局の上位魔導師を上回れるリインフォースから見れば、それは無視できない疑問だった。
「それもさっき言うてたオリジナル……じゃダメなん?」
「ああ。今思えば明らかにおかしい。言ったとおり存在容量は生い立ちからも存在年数からしても私が上。それに、この能力はオリジナルなんかじゃない。どこかのオリジナルを借りてくるニセモノ前提の能力だ。だがシオンと私で差がある。時間停止も、シオンは四秒だけなのに私は九秒だ。なにか……」
シオンの能力がオリジナルであるというのなら、引っ張ってきたとされる異世界のオリジナルの能力と差がある理由は?リインフォースが使う場合は異世界のオリジナルと差異が無い理由は?
「リインフォース、すまないがシオンの考察は後にしてくれ。騎士カリムが混乱の極みに達してサッパリ動かなくなった」
「む……申し訳ない。自分勝手なのも私たちの悪いところだ」
「まぁ大体は理解した。硬いものを硬いまま柔らかくできるウタネの能力は取り敢えずめちゃくちゃだしな……やっぱり嘱託に誘うべきだな。騎士カリム、あなたの専属でどうですか。強いですよ」
クロノの提案にカリムは笑顔のまま断固拒否する。
「あなたが引き受けたくないのでしたらお断りします。訳アリなんでしょう?」
「んん、まぁ、扱いが面倒というのは確かですね。しかしウタネに対してなら裁判という切り札もありますので」
「裁判?」
「ええ、ジュエルシードの件と闇の書事件、それぞれ自由を許した代わりに失敗すれば全ての責任を負って裁判に負けるという条件を付けていたのです。それがどうもトラウマのようで」
「まぁ……どこか名家の生まれで?」
「いや、どうも一般の家庭のようです。家族はおらずシオンと二人暮らし。それ以外の情報は一切出てこないので諦めました」
「そうですか……まぁ、本人が望まないのであれば無理強いはしません。それに、今回の件で協力してくれているのでしょう?」
「……まぁ。シオンと偽っての完全にアウトなものですが……そうでもしなければウタネを使うことはできませんから」
「ふふ、はやてとクロノの企みであれば告げ口などしませんよ。この予言に対する備えはしておきたいですし」
「そうですか、では今のままで……はやて」
「うん。ウタネちゃんも今のままでええと思うし……」
「本当はアイツらの力を借りずに終わらせたいんだが……シオンが敵ともなるとそうもいかないからな」
「うん……今日はありがとな、カリム、クロノ君」
「ああ。久しぶりにみんなの顔が見れてよかったよ」
「ええ、みなさま、今後もはやてをよろしくお願いします」
「「はい!」」
「ああ。私たちにとっては唯一の使命だ」
これで、予定であった情報共有とカリムの予言、リインフォースの見解などを共有し終え、査察対策も十分とされ解散となった。
♢♢♢
「んー、惜しいな、これはこっちだ」
「んー!」
ヴィヴィオが置いたパズルのピースを置き直す。
別に勝ち負けでもないのに悔しそうにするヴィヴィオ。
「そう怒るな。間違ったのはヴィヴィオだ。ならあと三つ、全部自分でやってみな」
「うん!」
挑戦させること、楽しみを譲ること、対等な存在として認めてやること。全部やらなきゃいけないってのが子守の辛いところだな……
「なぁ、なんでなのはなんだ?」
「?」
「あぁ、別にダメとかじゃないんだ。単に気になってな」
「……」
何故そんな事を聞くのか、という顔。
雛鳥は初めに見たものを親と信じて疑わないそうだが……初めて優しくされたから?単にそれなら良い。別になんて事ない、普通の理由だ。
だが……聞いたところコイツは人造魔導師素体。別の理由をインプットされてても不思議じゃない。誰かに興味を持て、と言った具合の。問題は、それをコイツが認識できて、かつ口に出せるかという点だが。
「悪かった、そんな泣きそうな顔するな。パズルもできたし、ご褒美にデザートだ」
「うん!」
……ひとまず、危険は無い。としたい。今日一日、隙をいくらか晒してみたが……うんともすんとも。
だが、だからこそ気は抜かない。オレが斥候を送るならまず信用を得る。だからこそ、コイツは全てが見えるまで信用しない。
『ただいまー』
「……!」
「ん」
なのはの声を聞くとすぐにも飛んでいく。比喩表現だぞ。普通に走ったからな。
「よう、クロノは元気だったか」
「ユーノ君は忘れてたのにクロノ君は覚えてるんだ……」
「アイツには良い思い出がねぇからな。まぁいいや、役割はもう終わったな。帰るぞ」
シオンの代わりにと呼ばれた時も断れば裁判、管理局に損害があれば裁判、なのはたちにも何かあれば裁判……アイツはなんなんだほんとに。オレが動くしかない条件しか突きつけてこない。逆に、アイツがオレを動かせる全てをアイツは把握してる。なんだホントに。アイツが別の転生者だったらもう手に負えんぞ。
「あ、うん。ありがとうね」
「ああ、じゃあな」
「むー」
「ん」
なのはとすれ違い部屋を出ようとすると、なのはに抱きついていたヴィヴィオに髪を掴まれる。
「なんだ、デザートか?なのはに貰えよ」
「……」
「にゃはは、ウタネちゃんを気に入ったかな?」
「良いことないぞ。こんなロクデナシを気に入っても」
「やだー」
「やだじゃない……ふぅ、またくるよ。おやすみ、ヴィヴィオ」
別れ際だけでも優しくしようと、ウタネに戻して声をかける。
「……?」
なのにヴィヴィオはオッドアイをパチクリさせるだけ。
一日接してたシオンに慣れきっていたのか、ギャップについていけない感じかな。
「ほらヴィヴィオ、ウタネさんにありがとうって」
「ありがとう」
「はい。じゃあね」
舌足らずな発音で意味もわからず感謝の意を口にしたヴィヴィオ。
さて、この後どうし……ん?
「そういえばなのは、ソラ……見てない?」
「え?ううん、見てないけど……」
やっば……まさかずっとトレーニングしてるんじゃ……!
「なのは!トレーニングルームにリインフォース呼んで!他の局員は近づかないように!」
「えっ⁉︎あ、うん!」
なりふり構わずトレーニングルームへ走る。
バカか私は……!ソラの自主トレを半日以上放置なんて……⁉︎
「ソラ!」
「ん?」
魔力放出に任せてズバン!とドアを開ける。オートドアだから多分壊れたけどそれどころじゃない。
開けただけでも卒倒しそうなほどの湿気と熱。
真夏の密林の奥地にいるのさえ生温いようなほどの鬱陶しさ。
「ぅげぁ……平然としない!今すぐ中止!クールダウン!」
「えー、いいじゃん、たまには」
「よくない!鏡見えてる?見えてないね!曇り放題だもんね!」
半日以上タントウとやらを続けたソラの肉体は六課の前線ブレイカーを受けた40%なんてものじゃないくらい膨れ上がっていた。なんで私がソラを見上げてんのよ。
「テンション高いねー、良いことあったー?」
「悪いことが今目の前で起きてんの!さっさとその筋肉しまって!」
「筋肉しまうってどうなの?まぁいいけど……20%くらい?」
「全部!」
「全部したら站椿耐えられなくなっちゃうよ」
「もう十分でしょ。半日経ったよ」
「三日くらい……ダメ?」
三日も姿勢維持しようとしてるこのゴリラはもうダメだ。私と対極にいる。
「ぶっふ……げほっ!ウタネ様⁉︎この熱気は……⁉︎」
「あ、ごめんね。コイツのせいだから」
走りながら咳き込み……咳き込みながら走ってきたリインフォースに室内を示す。
「え……ソラ、ですか?アレ……?」
「あれって!酷いね⁉︎」
「アレだしソレだよ。早く終わって」
「えー……りょーかい。っと……ふう!」
取り敢えず終わってくれて、筋肉がしぼむ。
膨れた筋肉は筋肉操作でどうにかなってるんだろうけどさ、皮とかどうなってんの。ダルダルになりそうなんだけど。流石に一緒に戻るか。
「ソラってさ、子守とか得意?」
「んー?人並みかなぁ?カルデアキッズは手がかからないし?いや、手はかかるんだけど」
「あーそっか……じゃあ前は?一応一般家庭だったんでしょ?」
「知らないよーそんなの。私が私を自覚したのがカルデア登ってた時だし、同郷ってのも聞いてから感覚的に知ったものだし」
「それも気になるけどいいや。ふーん。じゃあもういいよ。リインフォース、ごめんね。コイツが抵抗したら押さえ付けて貰おうと思って」
「あ、はぁ……まぁ、はい。では失礼します」
「ごめんねー」
リインフォースは敬礼をして去っていく。敬礼もいいって言ってるのにな……
結果的に用もなく呼びつけてしまった……申し訳ない。
「え、なに?私が暴れると思ってた?」
「いや、私の力じゃ抑えられないし。そのままやってたら色んな計器が壊れちゃうから」
「……あ、ごめん」
「いいよ、未遂だし。次は外で……もやらないでね。40%以上は人目を気にして」
雑コラ……というか、顔と身体の印象がズレ過ぎててキモイんだよね。ゴリラの写真に日本人形の顔だけ合成した感じ。実際それよりヒドイけども。
「なんで?強いのに?」
「気持ち悪いの!40はまだマッチョだなぁで済むけど60からはダメ!」
「そこが分かんないんだよねー。カルデアでも別に……カルデアでもそんなに解放した覚えないや。宝具使えたし。えっちゃんいたし」
「実はゲーティアに負けてました?って?」
「そんな訳ない。まぁドクターいないと無理だったけどね。ヒトとして道を選ばなければ私だけでやれたよ」
「ふーん……それはそうと、やっぱりヴィヴィオについて知ってるよね」
「ん……」
「話せとは言わないよ。ただ犯人も想定できたんじゃないかなと思ってさ。けど言わないってことは、それがあるべきってことでしょ」
「そうだね。私たちは本気でやればこんな事件は簡単だと思う。だけどここは他の世界。私たちの能動的な行動は在るべき世界から離れてしまう。だから、私は少なくとも受動的。ウタネもできればそうしてね。期待してないけど」
「あらそう……じゃ、おやすみ。湿気どうにかしといてね」
「どうにか……?換気はしとく。おやすみ〜」
説得も流石に無理だと判断して自室へ向かう。
もうダメだ……割と熱気でやられてる……ふぅぅぅぅぅ……
♢♢♢
「ふーむ。どうだね?なにか見つかったかい?」
「いいえ。仮面ライダー、BLACK、ディケイド……どれもそれらしいものは出てきません」
「やはりか……まったく……映像を見せるなり『キングストーン……⁉︎てつを専用じゃないのか⁉︎おのれディケイド!』なんて急に叫んで引き篭もってしまうとは。やはり彼の能力だろうね。ところで、娘たちはBLACKRXには勝てるのかな?」
「無理ですね」
「即答かね」
「データを見た限り、ライドインパルスの倍は速く、攻撃はまともに受ければ即死です。更にこのロボライダーとバイオライダー、切り替えにタイムラグがありません。つまり、ヘヴィバレルを無傷で受ける耐久力を持ちながら透過能力を持つ事になります。更に遠近で溜め無し即死攻撃です。射撃には威力減衰が見られませんので射程は無限と想定されます。さらに地中でも難無く追ってくる上……」
「ふぅ、もういい、もう大丈夫だ。分かっていた事だがね。だが解析はできる。対策もな。ツキイチで見せて貰った能力もまぁあらかた解析できてしまったしな。彼がいなければ娘たちにはこんな強化はしなかった」
「えぇ、彼による強化案、
「いや……あれほどの能力だ、負荷を考えるとそう使うこともあるまい。汎用的に使うだろう能力の対策さえあれば十分だ。AMF付きガジェットもあることだし魔導師どもは相手にもならんさ。あぁ……異世界の能力か……次元世界ではない、根本から違う世界……分からない事が多過ぎる!だが!だからこそ心躍り胸弾むというものだ!そうだろう⁉︎」
「えぇ。まぁ、彼にも管制人格にもその異世界へ行く手段を持たないようなのでそちらへの侵攻は不可能ですが」
「まぁ……いいさ、それは後だ。まずこの世界を変えてから考えるとしよう。あぁ、実に楽しみだ!」
行間について
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78話までと同じ
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79話のように空ける
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