無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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風早 海月様、誤字報告ありがとうございます。
こんな会話ごとトブことも多い作品にわざわざありがとうございました。
『三人目』の「まぁいい。レリックの蒐集と共に明らかになるだろう」→「総力戦?」の間の会話、何話してたのか私も忘れちゃったので暫く(or永遠に)あのままです。他も抜けてるかもしれないですけど……


第83話 二人目 その②

「はぁぁぁぁぁ!」

「ふむ……局員としては中々やるな。だがオレには及ばない」

「きゃあっ!」

 

 刀を鞘から抜く事もせず、ただギンガの始点を止め、蹴り飛ばすシオン。

 

「お前がオレに……ヴィーナスに持つ羨望はな、ただの幻想だ。ただの自作自演。その気は無かったが、勘違いで踊らされてただけだ。すまん」

「違います! あなたは事実、私たちを救ってくれた! 四年前……私たちの恩人は管理局ではなく、ヴィーナスです!」

「だから……オレに救われたお前らを危機に追いやったのもオレだってんだ。お前はただそうやって生きてきたのか? なのは達から全てを聞いているなら、オレかもしれないと考えることもできただろうに……」

「なんの事ですか」

 

 追撃は無く、対話による情報を得ることが可能と判断したギンガは構える事なく話を続ける。

 

「オレが嘱託として過ごした数年のことだよ。あー、闇の書の時から聞いてたら、か。まぁオレってのはそういう存在だってこと。こういう立ち位置は初めてじゃない」

「ますます分かりません……何が目的なんですか!」

「オレの目的な……お前ら六課なら分かりきってると思ってたが。オレって分かりにくいのかね? まさかなんだ? スカリエッティと同じ指名手配にでもなってるのか?」

「少なくとも、捕らえるべき犯罪者として」

「……はぁ、なんでそうなるんだ? まぁスカリエッティは仕方ねぇかもしれんが……他はいいだろ別に。今まで出た被害は計算したか? レリックってオモチャと、その回収を妨害した局員の無力化……ちょっとした怪我だ。まぁ今日はココ制圧するらしい。半壊くらいか? その辺あんま聞いてねぇけど。人的被害は多少出るだろうが……」

「それが……許されるとでも?」

 

 対話は不能と考えたのか、再び構えを取るギンガ。

 

「許されねぇか? 苦労はするだろうがリインフォースが直せるだろ。蘇生に比べりゃ簡単だ」

「蘇生? まさか……生き返らせたから許せ、なんて言うんじゃないでしょうね」

「そのつもりだ。この事件で死ぬとしたら、ナンバーズかスカリエッティだ、他はなんとかしてやる」

「確証がありません。そうするというのなら、今すぐ投降を」

「そりゃ無理だ。犯罪ってのは分かってんだよ。前も今もな。全部が終わる前にやめちまったらそれこそどうにもできん。オレなら言い訳して口八丁で乗り切れそうだけどな」

「……! あなたには! ヴィーナスには失望しました! 強大な力を持ちながら、悪意もなく対価を求める事もなく平和に殉ずる者と信じていたのに!」

「ふぅ……」

 

 カートリッジ数発。その全てを込めた拳は……

 

「それは正しい。そして同時に間違いだ。オレ達はオレ達それぞれの理想を求める。お前らの言う理想的な平和ではなく、現実的な理想をな。オレにとってお前はその礎、第一歩だ。お前らの確保も別段、何も悪いことじゃねぇ。今より性能は大きく向上する」

「がは……ッ!」

 

 シオンの防御を穿つ事はなく、ただただ無常に、カウンターで腹部に撃たれた拳で沈められるだけ。

 地下でのそれは、何処の誰にも認識される事は無かった。

 

「オレ自身の未来予知……お前の挙動は数秒後まで読み取れた。正々堂々しないのは悪かったな。全部終わったら付き合ってやる」

「ギン姉!」

「す……スバル……」

「よう。そっち行ってたのはノーヴェとウェンディだったか。思ったより早かったな。どっちかは壊せたか?」

「シオン……!」

「んー、そりゃ名前は割れてるか」

 

 援軍と思われるスバルに対しても動じない。

 ウタネ同様真紅に染まった左目は冷静に物事を捉え考察する。

 

「あんま意味ないと思うが一応、こっちの用件だけ言っとく。お前とギンガ、ヴィヴィオの三名を生きたまま確保することが条件」

「ギン姉は……」

「別に。腹パンしただけだ。多少内臓やらに効いてるだろうけどな」

「ギン姉をどうするつもりですか!」

「さぁ? 強化するとは言ってたが。まぁ、損にはならんだろ」

「ふざけるな! 戦闘機人が……スカリエッティが、どれだけの人を苦めているか!」

「はっ……そんな些事、一々気にしてらんねぇな。なんだ? お前もリインフォース寄りか? 一人一人が理想の世界を作れるとでも?」

 

 ギンガを肩に抱え、右手の刀でスバルを指すシオン。

 開かれた左目は青みを帯び、冷静に観察していることがよく分かる。

 

「〜〜〜〜〜〜ッ!」

「はぁ……オレに会ったら逃げろ、とか言われてないのかね。それでも……やるか?」

「行くぞ! マッハキャリバー!」

 

 怒りを拳に乗せ、金の瞳でシオンを敵視する。

 

「仕方ない……破壊でストレスが飛ぶなら付き合ってやろう。もう少し遊んでみるか」

 

 意識を失ったギンガをバインドで縛り、更に刀も捨てる。

 右手を前に突き出し、人差し指から小指へ、最後に親指で握り込む。その動作の中、右腕が虹色を帯び、赤、オレンジ、黄色といった具合の色彩を持つ何かが右腕を武装するように覆っていた。

 それはリインフォースの見せた『アルター』能力であることが分かる。発動時の挙動はほぼ同じであることからの推測。違いは、発動に他の物質を必要としていないこと。

 

「オレの自慢の拳だ……じゃあ行くぜ。衝撃の……!」

 

 シオンの右肩後ろから生えた3枚の羽根のようなもの、その1枚が消失し、スバルへ向けて加速。

 スバルもそれに対応するよう、加速を始める。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「ファーストブリット……!」

 

 真正面から何の小細工も無く拳が衝突する。

 高エネルギーは硬直を許さず、接触と同時に爆発、互いを吹き飛ばし煙が上がる。

 

「っと……!」

「く……」

 

 スバルは数度地面を蹴りながら下がることで衝撃を逃し、シオンは飛ばされるまま壁に激突。

 スバルはそれを好機と踏み、追撃をかける。

 

「マッハキャリバー!」

「ったく……普段のナンバーズよりつえーんじゃねぇか、お前」

「リボルバー……!」

「撃滅の……」

「シュート!」

「セカンドブリットォ!」

 

 カートリッジ3発と2枚目の羽根が激突する。

 

「く……!」

「きゃあっ!」

 

 2度目の激突。

 シオンは同じように壁へ、スバルも飛ばされるが転がりながら受け身を取ることに成功した。

 

「ち……」

「ギン姉を! 返せぇぇぇぇぇ!」

「く……抹殺の! ラストブリット!」

「IS! 振動破砕!」

「「おおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」」

 

 3度目。

 高まった互いの加速と暴力は威力を逃がすことを許さず、押し合いの形に留まる。

 

「……ッ! マジか……!」

「カートリッジロード!」

「っ……!」

 

 追い討ちのカートリッジ。

 形では互角なもののスバルが押している状況に、シオンも想定以上なのか現状を受け止められない表情。

 シオンの肩は限界が来たのか、裂傷と共に血が飛んでいる。

 スバルは元々カートリッジの負荷にさえ耐えられないのか、全身とデバイスが軋みを上げ、自分の振動に負けるようにガタガタと震えている。

 

「うおおおぉぉぉぉぉぉぉ!」

「な……っ⁉︎」

 

 押し合った威力をそのままにスバルの左上段蹴り。

 拳に全力を注いでいたシオンは回避など間に合うはずもなく、3度壁に沈む。

 

「はぁっ……はぁ……っ!」

「ぐ……っ」

「ギン姉……! ギン姉……!」

「っ……この気配……なのはか」

「スバル!」

「……シオン⁉︎」

 

 バインドで簀巻きになったギンガへよろけながらも近寄るスバルに、後を追って来たティアナとなのはが叫ぶ。

 

「……時間切れだ。スバル、面白かったぜ、お前。それなりに」

「……! 待て……ギン姉を……!」

 

 スバルの両足首をバインドし、何事もなかったかのようにギンガを抱えるシオン。

 その体は3度壁に埋まったとは思えないほどに無傷で、強いて言うなら舞っている土煙が気になる程度、というほどまでに回復していた。

 

「表……リインフォースとトーレ達、他は……はぁ……いらん事するな、アイツら」

「シオン! 待って!」

 

 目で外の状況を把握したのだろうシオンが移動しようとすると、なのはが止める。

 シオンはそれを受け、行動を中断。

 

「ん?」

「シオン! 私たちの味方ならギンガを解放して! ウタネちゃんも争いは望んでない!」

「あー、よく生きてたな。それは良かったよ。んー、お前らの味方、は少し違うな。だから貰ってく。スバル、お前はお前の勝ちだ、そのままでいい」

「敵じゃないなら! 目的を教えて! 今のままだと管理局はあなたをスカリエッティと同じに追うことになる!」

「目的、ねぇ……やっぱりオレ、分かりにくいか? 新人どもはともかく、お前なら理解できると思ってたんだが……姉さんも同じなのか? んなワケ無いと思うが。クロノには謝っといてくれ。もう少し待ってくれって」

「納得できないの!」

「しろ。まぁ、もう限界だ。じゃあな」

 

 敵意でも殺意でもない、ただ赤い視線を残しシオンとギンガは闇へ消えた。

 

「待って……シオン……」

「ギン姉……」

 

 なのはとスバル、二人の失ったもの、届かなかった自責の念は大きい。

 唯一、僅かではあるが客観的に状況を見られたティアナはより、シオンへの違和感とそれを見出すきっかけすら掴めなかった自責に駆られる。

 機動六課スターズ分隊、その戦力の大半がシオン一人に弄ばれた結果となった。

 

 ♢♢♢

 

 単身脱出したリインフォースは、焦燥に駆られていた。

 自身が脱出した瞬間に閉じた穴。自身を包囲しているガジェットはゆうに50を超え、穴を塞ぐガジェットが内部へ攻撃するかどうかはもはや祈るしかなかった。

 本部全体を覆うAMF結界は直死の線がびっしりと覆っており、解除は簡単と踏んだものの線を切っても反応が無い。

 ガジェット一つ一つが一定の範囲の結界を張っており、それがガジェットの総数……3桁ほど、空が辛うじて覗く程度の密度……が重なっているのなら、結界の線の数にも、反応が無いことにも納得できる。

 リインフォースが下した判断はやはり単身外に出ること。フォワード達の位置さえ掴めない現状、敵でも味方でも見えた方へ急ぐことにした。

 

「……アレか。迎撃部隊狩りだな」

 

 結界一枚を通るのに10は切ったガジェットの残骸を蹴り飛ばし、空に反応を見る。

 以前襲撃に来た戦闘機人の誰かだということが分かる。

 

「数は……二人か。幾分マシだ」

 

 敵の数は最低四機は確認されているため、半分近くなら十分だと判断、空へ飛ぶ。

 

「お前か。足は直ったのか?」

「……夜天の管制人格か」

「まず確認しておこう。君たちは何人いる? 戦力が高いのは? 管理局にとって最も危険度の高い場所は?」

「それを聞いてどうする」

「私が向かって処理する。以前の通りだ。お前では私に勝てん。撤退を勧めるが」

 

 リインフォースは当然、トーレが以前とは違う雰囲気を纏っていることに気付いていたが、挑発した方が情報が抜けると考えていた。

 

「みくびられたものだ」

「そっちは初めてだな、やってみるか?」

「夜天の書も持たず、二対一でも構わないと」

「うん、まぁ。もっと呼ぶなら待つが。できれば全員集めてくれ」

「IS、ライドインパルス!」

「っと。無駄だというのに」

 

 トーレの不意打ちの手刀も完璧に対処。

 感想を言う余裕さえあった。

 

「一筋縄ではいけませんね」

「ああ。私が使う。お前も援護しろ」

「了解」

「ん?」

IS'(プライム)、ライドインパルス!」

「んん⁉︎」

 

 リインフォースが無抵抗で攻撃を受ける。

 攻撃の威力こそ変わらないものの、それまでは認識できていた攻撃がリインフォースに捉えられなくなっている。

 

「……加速……の割にダメージはそこそこ……時間干渉、クロックアップか」

「流石、オリジナルを知るだけあるな」

「戦闘機人の肉体はそれにも対応できてしまったのか? シオンの能力をコピーでもしたか。させたのか?」

「言う必要は無いな」

「ふむ。だが……あー、管理世界だな……まぁいいか、フェイトが見ているなら多分。いいぞ、二人相手、フェイトが戦闘域外から視認、いいシチュエーションだ。はは、ピッタリだな」

 

 リインフォースも能力を選択。

 その選択に夜天の書は必要無く、夜天の力はそのままリインフォースと言える。

 

「このカード、知ってるか?」

「?」

 

 どこからか取り出したカードを親指と人差し指、中指で持って見せるリインフォース。

 バーコードのような模様と、絵柄が入ったカード。腰にはいつのまにかバックルというには大きい白の部品をつけたベルト。

 それを持っている人差し指でトントンと叩き、絵柄が自分に向くようにひっくり返す。

 

「変身」

《KAMENRIDE》

 

 カードをバックル部分に挿入すると全身を白と黒の装甲が多い、腰のベルトから赤の板が複数出現、回転しながら顔に刺さるような演出を終えて全体に赤の色彩が入る。

 

「仮面ライダーディケイド。知ってるかな。今回だけだ。私はもう破壊者などと呼ばれたくないからな。そして……」

《KAMENRIDE》

 

 再びベルトに別のカードを挿入、姿が変わる。

 

「仮面ライダー555。うん。とてもピッタリなシチュエーションだ」

 

 一人で納得しながら、さらにもう一枚。

 

「ごほん……よし、付き合ってやる。十秒間だけな」

《start up》

「セッテ、援護だけしろ。プライムの判断は任せる」

「了解しました」

 

 フェイトでさえ捉えられない光速の空戦が始まった。

 

 ♢♢♢

 

「ほーん」

 

 現状、動けるのが私とリインフォースだけ、という事を直感する。

 今まで立っていた機動六課のみんなは地に倒れ、他の局員は言わずもがな。

 建物にへばりつくガジェットの数は飴に群がるアリの如く。通信どころの騒ぎじゃないだろう。半壊してるし。ぶっちゃけ能力で無敵シェルターしてなければ私も死んでたかも。いや多分誰も死んでないんだけどね。

 リインフォースは空に、迎撃部隊を狩っていた奴らを止めに行った。こっちの援護には期待できない。ついでに夜天の書渡してない。

 ソラは「やっぱごめん! 見て見ぬフリはこの環境じゃムリ!」とか叫んで六課に走ってった。せめて転送魔法使おう? 使えないのかな? 

 

「うん……主要人物は魔法ごと封殺、外の警備はガジェットとあなた達……気が抜けたトコに畳み掛ける作戦はまんまと成功したワケだ」

「そうだ」

「ふーん……で、手が余ってるから私に五人も付けちゃったワケだ」

「元々ドクターの作戦だ」

 

 建物からそう離れてない場所。

 その前方にピッチリスーツの女の子たちが五人も。あらあら、あらあらあら。

 会話には戦闘の白髪に眼帯の子が応対してくれてる。話せる分マシかな。

 

「ふーん……で、君たちがエッチなスーツなのは私の欲情を煽ろうってのが目的なワケだ」

「ち……っ違う! これはまた別の目的があってだな……!」

「ふーん……まぁ、どうでもいいけど……はぁ……めんどー。なんでそんなことしちゃう? 予想と違うなー」

「予想?」

「管理局自体に手をつけても、まさか私にくるとわぁ、って感じ?」

「……ふざけているのか?」

「別に? だってアレでしょ、隊長クラスが出てきてもいいくらいの準備はしてるんでしょ?」

「当然だ。彼は我々が必要な能力を提供してくれた」

「イイカンジに利用できた?」

「そうなるな」

「ふーん。私の弟はそんな企みに利用されてしまう程度の器なのか……その程度の企みは無視してしまえる程の器なのか……」

「なに?」

「んーん。はぁ……まぁいいよ。気をつけてね」

「?」

「下……は面倒? みぎ……ひだり?」

「??? 何の話を……!」

 

 女の子たちを指差し、その周囲を順に示していく。

 女の子たちは私の指が示す先に注意を払って反応してくれる。可愛いなぁ、意味ないけど。

 多分なにかとやりやすい……

 

「上、かなぁ」

『ロードローラーだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

 巨大な車輛は、私が上を決定してコンマを置かず出現、地面へ消滅していった。




能力解説(忘れてました)

シオン→・自慢の拳(シェルブリット)
    スクライド、カズマから。もっと輝け。
    ・ロードローラーだぁぁぁぁぁぁ!
    ジョジョの奇妙な冒険第3部、DIOから。7秒経過……

リインフォース→・カメンライド。
        仮面ライダーディケイドから。通りすがりの転生者だ。忘れてくれ!
        ・555
        仮面ライダー555
オルフェノク。あのダルさはウタネさん寄り。
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