無気力転生者で暇つぶし   作:プラスマイナス裏表

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元々月2ペースのこの作品に遅くなるも何も無かった。


第85話 その翼

「……みんな、ごめんね。私がもっと早く動いてれば……」

「違う。アタシのせいだ。あんたが六課に戻るって言った時、すぐに行かせてれば、少なくとも、最悪の事態は防げた。それを止めたアタシの責任だ……」

「ヴィータちゃん……」

「違うよ。ヴィータちゃんのせいじゃない。私が躊躇ったせいだ。私が、抑止力だから……ちゃんと、みんなの力になりきれないから……」

「いいよ、あんたは十分やってくれた。おかげで六課も地上本部も……かなりのダメージだが致命的な部分は防ぐことができた」

 

病院の一室。ヴォルケンリッターの部屋。

本部内で閉じ込められていたシグナムを除いた三人はそれぞれが重傷。半日経った今でも全身に管を繋いだまま起き上がれないでいた。

……六課は、結果を見れば完全に敗北した。ギンガとヴィヴィオを攫われ、六課と地上本部の施設破壊による制圧。そして、ナンバーズとゼスト、ルーとアギトにも逃げられた。得たものは敵の戦力状況と、戻ると宣言して拘束されたシオンだけ。

 

「防げてないよ。ヴォルケンリッターがこんなになってるんだもん。守れたなんて、とても言えない」

「あんた……」

「どうしようもない。知ってたつもりだった。力になるつもりだった。最悪を防ぎ、最善に導くつもりだった。けど実際、事が起こればこれだ。役割に勝てない。私自身に負けちゃう……ごめん、ほんとにごめんなさい。いざって時に使えない、こんな私で」

「なんで謝ってんだ!ブッ飛ばすぞ!」

「っ⁉︎」

「あんたはアタシに一度は全力で警告した!動かなかったのはアタシだ!シャマルやザフィーラ、はやてを守ってくれたのもあんただ!シグナムが付いてたはやてはともかく、シャマルとザフィーラは死んでたかもしれねぇ!あんたが動いたから!こうして助かってんじゃねぇか!」

「そうよ。私たちじゃあの二人と召喚士には敵わなかった。六課の局員の安否確認もしてくれたんだし、十分過ぎるくらい動いてくれたわ。力になれないとか、使えないだなんて言わないで」

「……ごめんなさい」

 

自身の重傷をおして私を叱ってる。

こうなる結果を予感して、それを防げる力を持った私を肯定してる。

機動六課の半壊を予感して、それを防がなかった私を慰めてる。

……泣き叫びたいはずなのに。ヴォルケンリッターの誇りは、砕かれたはずなのに。それでもまだ、折れてない。地の底まで追い込まれて、戦力の差を知って、まだ這い上がる気でいる。私たちのレベルに自分が届かないと知っていながら、それでも足掻こうとしてる。

 

「なぁ、そう言うからには当然、次はやってくれんだろ」

「え……」

「ったく……知らねーのか。頼れるんなら、頼っていいんだろ」

「あ……」

 

それは、ウタネの言葉。

できないことはできない。それを認めて、素直に人と協力することを選択できる覚悟。

ウタネとシオン、二人でなら完璧だと自負する二人の共通認識から出た言葉。どんな状況で聞いたのか知らないけど、ウタネかシオンがそうしていいと認めたってこと。

それはつまり、私ならできると認めてくれてる。次こそ私は守れるんだと。

こんな非人道的な抑止力に頼ってくれてる。

そう。私は抑止力だ。カルデアの人じゃない。人類最後のマスターじゃない。この世界に喚ばれた抑止力なんだ。

だから……今いるこの世界の在り方は……護らなきゃ。

 

♢♢♢

 

「なのはさん」

「ん?」

「シグナム副隊長が現場を代わってくださって。少し病院に行ってきます」

「うん。フェイト隊長やソラちゃんもいるはずだから」

「はい……」

 

何事も無く復旧作業をするなのはに、ティアナはつい泣きそうになる。

 

「心配?」

「はい。スバルは多分、そんな深い怪我ではないと思うんですが、他のみんなは……」

「リインフォースさんもシャマル先生も完全にダウンしてるからね……すぐに回復、なんてのができないから……しばらくはどうなるかわからないね」

「そうですよね……すみません……」

「ティアナだって心配でしょ。行ってあげて」

「っ、なのはさんの方が……あ……すみません……」

 

自分が出る前に全てが終わり、守ると決めたヴィヴィオも拐われた。

それを必死に隠しているだろうなのはに、少しでもきっかけを与えれば壊れてしまう……それが、ティアナの認識だった。

 

「いいよ。私は大丈夫。ヴィヴィオのことだよね」

「え……」

 

しかし、それはただ自分を投影していただけ。

崩れかけていたのは自分で、自分から逃げて人を心配するフリをしていただけ。

だが、心配していた上司は、未熟な自分より遥かに強かった。

 

「フェイトちゃんもはやてちゃんもいる。ウタネちゃんも力を貸してくれる。昔、はやてちゃんがウタネちゃんに言われたらしいんだ。頼れる人がいるなら、頼っていいんだって」

「え……」

「私たちは絶対に一人じゃない。大丈夫、もう二度と負けたりしない。何度だって立ち上がって、相手の勝利を奪い取ってでも勝つ。だから、今はゆっくり休んでて。泣いてもいい、叫んでもいい。けどそれは、次勝つための燃料として、起爆剤として。私たち機動六課は、まだこれからだから!」

「……はい!」

 

一人じゃない。抱え込むことは無い。

頼れる仲間、頼れる上司がいる。以前のように一人で無茶をする必要は何一つ無い。

機動六課のフォワードとして、できることをする。できないことは頼る。そうすれば、必ず先に進めるはずだから。

 

♢♢♢

 

「これより、機動六課部隊長及び後見人による緊急臨時特別外部簡易審問を開始します」

「長すぎんだろソレ。臨時査問じゃダメなのか」

 

椅子の後ろに体重をかけゆらゆらしながらため息をつくシオン。椅子の脚に足首縛られてるのに余裕だね。

ってか難しいの嫌いなんだども。私要らなくない?

 

「何言うてん、査問できへんから審問してんやんか」

「そーかよ。別に何もしてねぇんだけど。戻って早々コレかよ」

「重大犯罪や!」

 

シオンの対面に座る八神さんがキレる。

……なんか懐かしいな、この感じ。

場所は聖王協会、ってとこのお偉いさんのお部屋。

丸いテーブル?机?で八神さんの右に黒いの、左に金髪のお偉いさんらしい人。シオンの左に私。席は六つだから私の隣にクロノがくる。

カーテン?暗幕?で真っ暗な部屋にライトで明るくなってる。外に見えないようにするためかな。

 

「だからなんだよ。誰も殺してねぇ」

「そーゆー問題やないんわかってるやろ!」

「まーな。いいぞ、答えてやる」

「なんや、やけに素直やな?」

「別に。管理局に敵対する気は無かったしな」

「はぁ?」

「なんだよ」

「完全に矛盾しとらん?」

「どこが」

「犯罪組織と手ぇ組むんは敵対行為やで?施設破壊ゆーても」

「ん……そりゃそうだな。じゃ敵対でいいや。その辺はどうでもいい。施設破壊は単に人的被害以外で出動を減らすのに最適だったからな」

 

このどうでもいいはホントにどうでもいい感じのどうでもいいだ。死刑なら絞殺か銃殺かのどうでもいいじゃなくて500年前に雨が何滴降ったかくらいのどうでもいい。

 

「シオン。じゃあ単刀直入に聞く。お前は何が目的だ?」

「オレの目的は今も昔もただ一つ。お前らなら分かるかと思ってその辺も放っておいたんだが……なのはの口ぶりからして分かってねぇんだよな」

「……信用してくれていたならすまない」

「いい。自分から話したくなかっただけだ」

「今も話す気はないか?」

「いや、話す。目的だけ言えば姉さんの安全と、お前らの戦力強化だ」

「何……?僕たちに分かるように説明してくれ。全く結びつかない」

「結び付けろよ。まず、スカリエッティの研究は?」

「戦闘機人の開発、それをもとに管理局システムの崩壊だろ」

「そう。戦闘機人は量産こそ難しいもののかなり安定した戦力を確保できる。魔力すら使わないIS付きだ。それにオレの能力を多少追加すればオーバーSなんてあっという間に出来上がりだ。それをなのはの下に置きたかった」

「なのはちゃんに……?」

「なのはが墜ちたのは、オレの責任だ。そういう性格だからとハードワークを放っておいた。オレの背中を任せていい、そう思えるほどの戦力だからと援護を止め、オレの管理下から外した。その結果、スカリエッティの不意打ちだ。オレが少しでも過労を止めるか、ずっと援護してればあんな事にはならなかった」

 

意外だ。シオンが背中を任せていいなんて……まぁ多分、そういう信頼の話で実際にはそんなことしないんだろうけども。

 

「それで、なんで戦闘機人や」

「あれだけの戦力だ、お前らの部下として管理下に置けば休息時間も取れる、業務代行だって十分可能だ。管理局的にどうかは知らんが、その気ならオレが半永久的に活動させることもできた。それができれば姉さんの周りにいるお前らの負担や危険はかなり抑えられるはずだった。管理局にもスポンサーがいたようだが……まぁ、あのスカリエッティ(バカ)の欲求のせいでこんな事にはなっちまったが」

「そういう事か……ではシオン、それは、本当か?」

「本当だ。オレの目的はただ一つ。それらの結果から、こうやって姉さんが現場に駆り出されることを無くすためだ」

「……そうか。僕の予想は半ば正解という事だ」

 

クロノが納得した、と引き下がる。

やっぱり私のためか。でも半分くらいなのはが墜ちたのが理由っぽいね。以外と義理堅いとこあるから、自分のミスは返したかったのかな。

それを見てシオンは黄金の揺らめきから巷で人気のスト〇ング系缶チューハイを取り出し、グッと一口。

ピーチ味か。私はグレープフルーツがいいなぁ。

 

「っておい!何飲んでるんだ!」

「ん?ストゼ〇」

「ここがどこか……!以前にお前まだ未成年だろ!」

「……あれ、そうだったか。はやて、お前何才?」

「19やで……」

「……飲めないのか。まぁ許せよ」

「許すか!おい!飲むのをやめろ!」

 

……この世界だとハタチ超えてないの、今考えても割と魅力的じゃないかな。転生に初めて感動したかも。

私はあんまり飲まないけどそこそこ強い。シオンが飲んでるやつだと6缶……3リットルくらいなら運転できるくらい。飲酒運転なんてしないけど。

で、シオンはよく飲むクセに弱い。大体2缶でイイカンジだ。同じ体だったはずなのになんで差が出るんだろ。利き手も違うし。利き目と足は一緒だったかな。左目と右足。まぁ私は右目見えないから利きも何も無いんだけども。

 

「だいたいどこで入手した⁉︎お前の見た目だと年齢確認されるだろ!」

「そうなのか?姉さんそっくりの女顔だし女ってそんな身長高くなくてもされないイメージなんだが。まぁ酒はスカリエッティから。どこかは聞いてないがスポンサーからたまに贈られるらしくてな。飲まねぇらしいから貰った」

「……スポンサー、ね。君なら能力で抜けた情報じゃないのか?」

「言ったろ、オレはアイツらを引き込む気でいたんだ、そーゆーのはしねぇ。オレは奴らの望み、戦闘機人システムの強化をしてやった。奴らはオレの望み、管理局特別部隊……まぁ、ヴィーナスみたいなもんとして動く……はずだった。言ってて悲しくなるな、犯罪に加担しただけじゃねぇか」

「だからそう言ってるのに……ったく。君はこれからヴィーナスとしてスカリエッティを追う、それでいいんだな」

「ああ。アイツらはもうオレの干渉を受けてる。ソラの対象にも入るはずだ。スカリエッティだしな、ヴィーナス全員で行く」

「へぇ」

「まーお酒はどーかと思うけど、大体分かったで。シオンはなのはちゃんの撃墜を自分の責任とし、自身の代替戦力として戦闘機人の導入を検討、スカリエッティと協力し製作していたもののスカリエッティの独断で現在に至る、と。まぁええやろ。言われてみればシオンらしいわ」

「お前ら三バカ救うの結構疲れんだぞ。で、終わりか?」

「まだや」

「なんだよ」

「あんな、シオンの能力、もう一回教えてくれへん?」

「……なんで?」

「リインフォースから提言があってん。自分の能力とシオンのオリジナルは別物だ、って」

「あー」

 

そういえば聞いた。というかそれよりもっと気になってたことあった気がする。忘れたけども。なんだっけね。

 

「まぁ、別モンだ。ついでに言うなら能力のオリジナルってんならアインスの方がオリジナルになる」

「は?」

「めんどくせぇから説明はしねぇ。けどそう差があるわけじゃない。オレも同じだと勘違いしてたくらいだからな」

「ダメや。説明して」

「しねぇよ。せいぜい能力規模に差があるだけだ。止められる時間とか、発動条件とか」

 

止めるのはリインフォースの方が長かったっけ。違う、シオンの方が短いのか。

他の能力は実際そんな見たことないし分かんない。宝具とかどうなんだろ。ソラみたいに武具無くても真名解放できる感じかな。ソラなんだかんだとんでもない事してるね。

 

「他は?」

「……アルターに物質を必要とするしない、とか」

「他」

「……仮面ライダーがリマジ寄りかオリジナルか」

 

ちょっと酔ってるかな。流され放題じゃない?

 

「他」

「いい加減にしろ。月詠すんぞ」

「なんやそれ」

「眼。万華鏡写輪眼の一つ。幻術だ。時間も空間も物質もその中なら自在」

「なにするん?」

「何がいい?ナンバーズ五人にはダルマになるまで能力負荷の無いオレに追われる鬼ごっこをしたが、その程度なら造作も無いぞ」

「怖すぎ」

「なぁシオン」

「ん?」

「僕に見せたそれとは違うのか?リインフォースは写輪眼と言っていたが」

「ああ、写輪眼の上位版みたいなもんだ。アインスの目的はコレが一番近い。だから止めさせた」

「何故?」

「お前らの危惧してた全生命の根絶ってやつに間接的?に繋がるからだよ。まぁ、アインスは能力を辿れるから写輪眼を使った時点でそれに行き着いてるだろうがな」

「なら何故使う前に言わなかった!」

「使う前に止めれるもんかよ。思考操作は倫理的に大丈夫か?」

「行動が一貫しない奴だな!どうしたいんだ!」

「一貫してるさ。オレはずっとな。してねぇのはお前らだぞ、管理局」

「⁉︎」

「オレは姉さんのため、その一点で一貫してる。お前らはどうだ?組織というからには、目的があるんだろう?それも無いか?」

「そのセリフ……いいだろう、管理局は正義と平和のための組織だ」

「だよな。はやてもそうだろ?」

「そのつもりや」

「な?一貫してねぇだろ」

「え⁉︎なんでや⁉︎」

 

なんで急に一貫性の話になったんだろ。万華鏡あたりからもう聞いてない。まいいけども。

クエスチョンマークを浮かべる八神さんとクロノ、もう殆どが理解できてなさそうなお偉いさん、ずっと気になってるけど今日から送り迎え聞くタイミングなたさ真鎌が無い右目縫い付けてるシオン。なんだその目。何してんのマジで。私と区別する為だけにそれしてんの?いやほんと別人感すごいんだども。

 

「正義、平和。それだけなら簡単だが、実際どのような?」

 

シオンが難しそうなことを問う。もう私はついていくの面倒だから放棄する。

やっぱ意味ありそうだからちょっとだけ。

正義ってのは正しい行いの概念かな。管理局の行いは私のいた日本の警察、司法とほぼ同じだから、まぁ多分国際的?に広く認知されてるんだよね。ミッドとベルカくらいしか私地名知らないんだけども。まぁそれは多分良いこと?としとこう。で、平和。平和って今思うとなんだろうね。個人の思う過ごしやすい世界……?何言ってんの?

 

「正義は報復的。平和はそのまま、争いの無い世界のことだ」

「そうだな。管理局のやってることはそれだ。なら早速問題がある」

「なんだ?」

「争いを無くすと言っておきながら何故、魔法による戦闘訓練を行う?」

「何?犯罪者を取り締まるため……ではダメなのか?」

「いいや。それは正義に必要だろう。捕らえ、罪を定め、罰が課される」

「では何が?」

「争いを無くそうというのに自分たちから争いをふっかけるのはどうなんだ?一貫しないどころか矛盾すらしてないか?」

「こちらが先手を取らなければならない状況は多々あることだ!ジュエルシード、闇の書もそうだ!こちらから先を取りに行かなければ事態は悪化するばかりだ!」

「なら、勝利などくれてやればいい」

「……は?」

 

クロノの気が抜ける。

八神さんも同様だ。それほどまでに想定外の返答。

目的……平和のために、負けろと言う。

 

「管理局のそれは、正義を振りかざし犯罪と決め付けたことをする者たちを理不尽に扱っているだけだ。スカリエッティの演説は聞いたか?正しい技術の促進を促したんだ。強過ぎるというだけで管理局が勝手に規制した技術をな。キャロの集落とどう違う?」

「世界がどうなってもいいと言うのか」

「そのどうなっても、はお前らから見たどうなっても、だろ?お前らは今、最も支持者の多い平和の価値であるに過ぎない。争いで争いを無くすのは不可能だ。なら、全てくれてやれ。真に平和を目指すなら、お前らが生き残ろうなどと考えるな。犯罪者とされる奴らに全面的に戦争ふっかけてんのはお前らなんだぞ。お前らがいなければ犯罪は進むだろうが争いは確実に減る。ま、そうなったら一般人の被害は増えるだろうが……なに、最終的には優秀な犯罪組織のみが生き残るさ」

「……お前はそうだったな。シオン。だが一方からしか見てない破綻した理論には乗れないな。僕は法の番人として管理局にいる。罪の無い一般人を危険に曝す犯罪はどうあっても見過ごせない」

「そうかよ。変わってなくて結構だ。じゃあさっきの答えだ。アインスが能力を知ることも想定して止めさせた。あくまで使ったらの能力だ。知った上で使うかどうするかはアイツに任せるつもりだった」

「知れば、使いたくなるのが人情だ」

「知らずに使えば失敗するのが力だ。お前は性教育を受けてない子供が妊娠したら子供を責めるのか?」

「……」

「知った上で、理解した上で、結果を考察し想定した上でするしないを決める。それができない奴をバカと呼ぶ。さっきのどうでもいい思いつき平和論と比べてどうだ。何か間違いがあるか?」

「……ない。確かにその通りだ。そもそも、ヴィーナス……VNAが同レベルの力を持つならそんな心配自体無駄だ」

 

つまりなんだ……負けろってのはどうでもいい話?

クロノと八神さんは理解した、とばかりに気を抜くけど私とお偉いさんはもう何がなんだかさっぱりパリパリ。

シオンはなんでそう情報がポンポン出てくるのかな?お酒はもう出ないのかな?

 

「ねぇ、私からいい?」

「なんだ?」

「シオンってさ、ずっとリインフォースをアインスって呼んでるよね」

「ん?あぁ……」

「その、私が言うのもなんだけどソレって大丈夫なの……?」

「ソレもな、今日から問題無くなる」

「はぇ?」

「リイン、来い」

『はいですぅ!』

「「「……は?」」」

 

シオンが空中に血で描いた謎の術式……がポン、と煙を上げ、そこに……妖精がいた。

転移魔法とも違うけど……いやぁ、へぇあ?

 

「コイツが二代目祝福の風、リインフォース・ツヴァイだ。まぁなんだ、オレの融合機ってとこだな」

「ですぅ!」

 

シオンの肩に座り笑顔で両手を上げてですぅと叫ぶ妖精。コレ……?や、たしかに性能は聞いてたよ?氷属性なんでしょ?でもさ?リインフォース……アインス?がアレだからこう、人間サイズだと思うじゃん!

 

「なんやそれ、なんやソレェ!何サラッと二代目ェ⁉︎ついに夜天の書の貸し出し終わりかぁ⁉︎」

「んな事するかよ。したら姉さんの活動が増えるだろ。姉さんが見たそうな顔してたの思い出してな。実用半分、趣味半分ってとこだ。まぁ、ユニゾン適性はオレしか調整してないんだが、まぁオレに近い姉さんと夜天繋がりの八神家はちょっと調整したらできるようになるだろ。ぶっちゃけ氷主体と能力調整なんだが能力使いこなせるようになったし要らんのだよな。だからなんだ……マスコット?」

「です?」

「……はぁ、もう言葉も無い。シオンの腹の中を暴くつもりが、こちらの理解を大きく超えてくるとは……」

「まぁいいじゃねぇか。オレより頭良いんだから」

「完敗した気分だが」

「そーゆー事にしといてやる。じゃあ今度こそいいな。六課の治療に向かう。アインスからな」

「あ、あぁ……頼む」

「私もええけど……カリムは……カリム?生きとる?」

「あ……はぇ……」

「ごめんシオン、カリムから直してくれんかな」

「予知のだったか。いるかぁ?まぁ……一応……何をどう直すんだ?とりあえず万能治癒はかけとくが……変わらんぞ……」

「じゃあええわ。ウタネちゃん、シオンよろしゅうな」

「ん……じゃ行こっか。りい……ツヴァイも来る?」

「ああ」

「ですぅ!」

 

金髪のお偉いさんは結局最後まで言葉を話す事なく出番を終えた。

で、その金髪の付き人らしいオカッパの人に病院まで送ってもらった。

シオンは「別に転移くらいできるが」とか言ってたけどなんか勝手にやるのは法に触れるらしい。難しいね。

 

「ん……シオン、か」

「よう。まさかやられたわけでもあるまい。戦力分析にしてはやり過ぎだな」

「それもあったが……楽しくなりすぎたな」

「……そうか。まぁいい、事態が事態だ。治すぞ」

「ん……」

「ストーップ!」

「おう」

 

まず第一目的、治療者を増やす目的でリインフォース……アインスに触れようとしたシオンをソラが止める。いつからいたの?あ、ずっと病院いたの。じゃなくて、いつ入ってきたの?あ、今……あっそう。

 

「なんだよ。そうゆっくりする時間は無いぞ」

「ダメ。この世界を護るって決めたの。させないよ」

 

ソラも抑止として動き始めちゃったかー……

まぁ私たちの存在自体正しくないし、仕方ないかなぁ……

 

「コイツはもうオレ達なワケだが。それでも?」

「……だめ」

「……じゃあオレがやるんじゃなく、コイツ自身がやるのは?」

「む……ん……それは……セーフ、かな」

「じゃあそれだ。方法教えるからお前は出てけ。姉さんも頼む」

 

流石に自分の能力は止められないのか、何か言いたそうにしながらも引き下がる。

 

「ま、無理しないでね。行くよソラ」

 

私は別にやめさせる必要はないからソラを引っ張って外に出る。

シオンの能力負荷を考えるとあんまり使って欲しくない気持ちはあるけど。

ってかアインス倒れてるの能力の負荷なんだよね?治癒魔法とか効かないんじゃなかったの……?だから昔から困ってたわけだし。使いこなしたってのは効くようになったのかな?




シオンが出てくると何故か長くなるのでここで切ります。無印の頃の倍以上が当たり前になってる。
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