まがいもの   作:勝間 おとう党

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興が乗ったから書いた。

正直出来は良くない。


えられないもの

 学校までの道のりを歩いていると、後ろから聞き慣れた声に足をとめた

 

「よう!■■■」

 

「おはようございますシドウさん」

 

 声をかけてきたのは所謂幼馴染みのイッセーと、その家でホームステイをしてるアーシアさんだった

 

「あぁ。おはようイッセー、アーシアさん。あいかわらず仲が良いな」

 

 俺の台詞にイッセーはニッと歯を覗かせ、アーシアさんは少し照れる

 

 

 

 

 3人で他愛のない話しをしながら学校に向かう

 そうして学校の校門を通り過ぎた辺りで人集りが出来ている。

 

「お、部長たちだ。スゲーよな、あんなに人集りができるなんて」

 

「しかも毎日ですよね。私なんか、あんなに見られたら緊張しちゃいます」

 

 どこか他人事のような感想を2人が言う

 そんな2人の背中を人集りの中心に向かうように押す。

 

「俺は先に教室に行ってる」

 

「は?なんでだよ。同じクラスなんだから一緒に行けばいいだろ」

 

「なにを言ってるんだ。お前達は」

 

 ため息が出そうになる

 

「同じ部活の仲間だろう?だったら挨拶ぐらいしに行け。なっ?」

 

「でっでもよ」

 

「なに躊躇してるんだ。お前たちはあの人達に選ばれてオカルト部に入ったんだろ。だったら周りの人のことなんか気にするな」

 

 教室で正々堂々と不埒なことを話してるのに、変なところで臆病だな

 

「お前達なら大丈夫だ。俺が保証する」

 

 朝のイッセーを真似て、ニッと歯を見せるように笑う

 そんな俺を見てか、イッセーはうんと覚悟を決めたようにアーシアさんの方を向いた

 

「そうだな!じゃあまた後でな。ほらアーシア。部長たちのとこに行こう」

 

 仲睦まじく手を繋いで人集りの中をかき分けていく

 

 

 

 

 

 思わず口角が上がる

 

 俺は多分笑ってるのだろう

 

 

 でも………

 

 

 何故だろう

 

 いつも通りの風景だ

 

 ありふれた日常だ

 

 そんな当たり前なこの瞬間に

 

 無性に涙が出そうになる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も授業が終わった

 何故か今日の授業は新鮮に感じて、何故か楽しく感じられた……

 

 何故?

 

 ………………………………………………………………

 

「おい。なぁ。どーしたんだよ■■■」

 

「ん?なんだ?」

 

「なにがなんだだよ」

 

 イッセーに呆れた顔をされる

 

「もう授業は終わってるのにボーとして。どこか調子でも悪いのか?」

 

「いや、大丈夫だ。少し違和感があってな」

 

「なんだよ違和感って」

 

「それが自分でもわからない」

 

 そんなに怪訝な顔をするな。

 俺だって変なことを言ってる自覚はある

 

 だけどどうにか引っかかる

 朝からやたら喉が渇いてしょうがない

 

「だったら良いものがあるぜ」

 

 急にパッと笑顔になって自分の鞄を漁る。

 そして一冊の雑誌を渡して来た

 

「今日発売のエロ本。俺はもう読んだからやるよ」

 

 表紙の女性の胸が大きくてヤバいだの、新しい娘が豊作だと嬉しそうに言う。

 そんな親友の姿を見ていると、この違和感が取るに足らない些事だと思えてくる。

 

「残念だかこれは受け取れん。俺は牧師だからな」

 

 自分の鞄を持ち、立ち上がる

 

「今日も部活だろう?俺も教会に行くからここまでだ」

 

「おう。また明日な」

 

「…………さよなら」

 

 

 イッセーと別れる

 

 また明日と言えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉシドウ。やっと来たか」

 

 学校近くの教会に着き、門をくぐると声をかけられた

 

「ゼノヴィアか久しぶり」

 

「…………………………?」

 

 普通に挨拶をしただけだが、怪訝な顔をされた

 今日は変に見られることが多い

 

「なにをいってるんだ。毎日会ってるのに」

 

「?………なにを言って……………」

 

 

 毎日…………毎日?

 

 まて。俺は昨日なにをした?

 

 誰と何処でなにをやっていた?

 

 

 

 

 

 ………俺は…………血を……………………

 

 

 

 

 

 

 なんだ………そうだったのかよ

 

 どおりで喉が渇くわけだ

 

 やっぱり中途半端だな。俺は

 

 

 

「ゼノヴィア。ありがとな」

 

「んっ?なんだ藪から棒にぃぃぃぃっ!」

 

 ゼノヴィアを押し倒す

 

「シドウ⁉急にどうしたんだ!今日のお前はおかしいぞ。怒らないから今すぐやめろ!」

 

 押さえつけてるゼノヴィアが暴れるが、そんなものは知らん

 

 俺は喉が渇いたんだ

 

 

 

 

 

 

 俺は……………

 

 

 

 

 

 

 

 ゼノヴィアの喉元を……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ。最悪なもんを」

 

 結局全部夢だった

 

「なんだよ畜生が」

 

 

 泣けねぇのに涙がとまらねぇよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 あぁ。喉が渇いた……




読んでいただき、ありがとうございました。

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