やっぱ時代はオデコちゃんよ、オデコちゃん。
彼女は友人関係というものをとても大事にしていた。短い人生経験の中でも、高校生に入ってからは特に良い友人に恵まれた事実が、その大切さに拍車をかけたのだろうか。女子高校生という、ともすれば悪口の温床になりかねない輪の中で、彼女は澄んだ湧き水のような仲間に恵まれたのだ。
いや、それは少し語弊があるかもしれない。各々の中にも清濁はあり、秘密にしていたことも大なり小なりとあった。それでも深い繋がりが、絆があると彼女は確信していた。そこに少しだけ罅が入ったのは、つい先日のことだ。高校生活最後の学年、三年生になって少し経った春先のこと。
大切な友達に進路のことを隠されていた。その事実は小さな火種となり、たちまちうねりを上げて大きくなった。あるいは大火にすらなり得たそのすれ違いは、結果的には嫉妬していた対象によって鎮火と相成ったのだ。
一年二年と、同じクラスだったというのにほとんど会話したこともない根暗な少女。その少女は、彼女にとって特に興味のない対象だった。精々が『親友が偶に話しかけている少女』といった程度の認識だ。
それが気になり始めたのは、二年生も終わりの肌寒い季節。素行の悪い生徒に絡まれているように見えたその少女を、持ち前の正義感から助けに入った彼女は、少女に対する印象が百八十度変化した。それがプラス方向なのかマイナス方向なのかは、本人である彼女にすら測りかねた。
結局三年生になっても同じクラスだったことに、少しの驚きを持って迎えた最終年度。親友との喧嘩と、その終息──そして新しく出来た友人。今まで付き合ってきた人種とはひと味もふた味も、それどころか根本的に何か違う気質は、彼女を何度も驚かせる。
見た目から勘違いされがちな彼女の、性的に
──これはそんな二人の、うれし恥ずかしな体験談である。
「お、お邪魔します」
「…なんでそんな緊張してんの?」
「い、いや……なんでもない」
恐る恐る玄関で靴を脱いだ女性──『岡田茜』は、この家をどんな魔境だと思っていたのだろうか。想像よりもずっと普通な住宅に、安堵の息を吐く。とはいえこの家の住人であり友人でもある『黒木智子』の奇行を考えると、彼女の心配も穿ち過ぎとは言えない。
いくら女同士とは言えど、陰茎を模したアダルトなジョークグッズを向けてくるような変態……それが智子である。本能的に警戒心が表れたのかもしれない。
兎にも角にも、茜は案内されるままに智子の家へと上がり込んだ。居間へと通された彼女は、テレビの前にあるソファにグデンともたれかかっている少年に気付いた。
「お邪魔してまーす……あっ」
「…! どうも」
目を合わせた二人は、互いに違う理由で驚きを浮かべる。茜の方は、目の前の少年がつい先日、食堂で騒ぎの中心になっていた当人だということに驚いて。少年の方は、自他ともに認める『陰キャ』である姉が、イケイケの陽キャラを連れてきたことに。
「弟だったんだ」
「まあね。根暗でサッカーしか取り柄がないけど、意外とモテる奴なんだ。こいつのチ○コ狙ってる奴、二人くらい知ってるし」
「チ、チ──ばっ、な、なに言って…!」
「えぇ…? これからエロゲやるんでしょ? そんなことで驚かれても」
「う、うぅっ」
(エロゲやりにくるツレってなんだよ…)
もう慣れたと言わんばかりに、何かを悟ったような表情を決め込む少年──智子の弟である智貴。こんな彼でも、かつては姉を純粋に慕っていた純朴な時期があったというのに、月日は残酷なものである。
「おい」
「あん?」
「聞き耳立ててセンズリ扱くなよ?」
「死ね」
典型的な内弁慶である智子は、普段通りセクハラをかましつつ茜を部屋へと案内する。セリフだけを聞くとあまり仲も良さそうには見えないが、なんだかんだで姉弟仲は良好である。茜は二人のやり取りに首を傾げつつ、智子の後ろをついていく。
「なあ黒木」
「ん?」
「さっき言ってた『センズリ』ってなんだ?」
「へっ? あ……えーと…」
「いや、言いにくいことだったらいいけどさ」
「そうじゃなくて、えっと……つまり、こういうことだよ」
外見に反してあまりに性知識の薄い茜に、それを知ってはいても驚く智子。何も知らない幼子にイケないことを教えるような、倒錯した感情を覚えつつセンズリのジェスチャーを開始した。右手で輪っかを作り、左手の人差し指をゴシゴシ擦る仕草だ。
いくら無知とはいえ、流石にその程度の意味は察することができた茜。智子の指がいやらしく前後する様を見て、顔を真っ赤にしながら彼女にゲンコツを落とした。
「へぶっ!?」
「なんでお前はいちいちそうなんだよ……だからいっつも吉田に殴られてるんだろ? 挙句の果てにひなにまで叩かれるし…」
「いや、聞いてきたのそっちだし」
「もっと言い方ってあるだろ!」
「じゃあ『チ○コを利き手でシコシコして射精するのがセンズリだよ』って言った方がよかった?」
「しこっ!? こ、こ…!」
「あででででっ!?」
完全にセクハラの許容を超えてしまった智子の発言に、茜は爆発するのではないかという程に顔を紅潮させる。常であればそのままフリーズしてしまうところであったが、ある程度の心構えはしていたのか、力を振り絞って智子の頬をつねる。
(痛ててててっ!? 最近みんなして暴力多くないか? ネモどころか凸にまで手を出されるとは…)
「と、とにかく! 今日はエッチなセリフ禁止だ!」
「エロゲ見に来てそれはどうなの…?」
「そ、それとこれとは別だろ」
理不尽な暴力(主観)に対し、恨めしそうな瞳で茜を見る智子。茜はそのじとっとした目つきに怯みながらも、卑猥な単語を連発されては自身が保たないと判断し、要求を続ける。そんな彼女を見て、智子はため息を吐きながら首を横に振った。
「加藤さんは大丈夫だったのにな…」
「あ、明日香がなんだよ?」
「いや、この前『青学』に一緒に行った時にさ。『もっとセクハラしてほしい』って言われたんだ」
「嘘だっ! 明日香がそんなこと言うわけないだろ!?」
「じゃあ聞いてみたら?」
「…っ! き、聞くぞ? ほんとに聞くからな?」
『加藤明日香』。クラスでも──というより、学校全体で見ても屈指の美女である。才色兼備や良妻賢母といった言葉が似合う、“美少女”というよりも“美女”と言うに相応しい人物だ。母性の塊のような雰囲気を纏っており、ここ最近で智子に急接近し始めた一人でもあった。
《もしもし明日香? ちょっと聞きたいんだけど》
《どうしたの? 電話なんて珍しいね》
《あ、あのさ……その……こ、この前、黒木に『セクハラしてほしい』って言ったって聞いたんだけど…》
《…黒木さんから聞いたの? もしかして“二人”で遊んでる?》
《う、うん……黒木の家に来てるんだけどさ》
《──ふぅん》
《あ、明日香?》
《なんでもない。黒木さんに“ヨロシク”ね?》
《あ、ちょっ…!》
ぷつりと電話が切れ、スマホの画面が通常表示に戻る。智子の発言の真偽は確認できたものの、いつもよりそっけない雰囲気の明日香に茜は眉根を寄せた。振り向いて見れば、『ね?』といった表情の智子がドヤっとした空気を醸し出しながら笑っている。そんな彼女を見て、茜は複雑そうな顔で俯いた。
「…」
「ど、どしたの?」
「私って硬すぎるのかな…」
「え?」
「ひなも明日香も、黒木にだけ見せる顔がいっぱいある。もう二年以上も付き合ってるのに、私の知らない二人の顔がたくさんあるんだ。ずっと遠慮されてたのかって、黒木には話せるのかって……私には気安く話せないのかって…! 最近、そう思ってさ。だから今日、そういうのを教えてほしいと思って来たんだ」
(なにクサいこと言ってんだコイツ)
ポツリポツリと、最近の自分の心情を吐露する茜。それをしかつめらしく聞いていた智子であったが、内心は呆れっぱなしであった。リア充の典型のような少女が、なにを贅沢ほざいているのだと。お前らが楽しくワイワイやっている間、自分はワイファイでチ○コの画像を落としていたんじゃボケ、と。
──とは思いつつも、最近の智子は心身ともに余裕があった。心の中で罵倒の嵐を渦巻かせていたのも今は昔、友人関係においては随分と改善されたことを、彼女は充分に自覚していた。昔のままであれば脳内で唾を吐いていたであろうこの状況も、現状の彼女であれば『リア充にも悩みはあるんだなぁ』と受け流すことができた。
しかし人間の本質というのは、高校生ともなればそう変わるものではない。三つ子の魂百までとも、雀百まで踊り忘れずとも言うだろう。その例に漏れず、智子の気遣いや推測は明後日の方向に飛躍することがよくある。
「あー……つまり岡田さんもガチレズだったと」
「なんでだよ!? っていうか『も』ってなに!? だ、誰かレズなのか?」
「それは本人の名誉の為に伏せるけど…」
(だ、誰だ? ま、まさかひな…!? じゃなくて! 私がレズってのは否定しないと)
「まあそこは置いといて、確かに岡田さんって耐性なさ過ぎかもね。なんでリア充グループなのにそんなエロ耐性無いの? 付き合ったことくらいあるでしょ?」
「…変なことされそうになったから、別れた。そういうのって、もっと大人になってからやるもんでしょ? 結婚してからとか」
(昭和かな?)
あまりにも乙女チックなオデコ少女に、必死で笑いを噛み殺す智子。百人に聞けば、九十人くらいは茜のことを非処女とみなすだろう。そんなイケてるオーラ全開の彼女が、貫通式はヴァージンロードの先にあると言ってはばからないのだ。おかしさと同時になんとなく親近感が湧き上がるのは、同じく処女である智子にとって自然なことだった。
「実際に経験してるかはともかくさ、それ系の話もしないってちょっと潔癖すぎじゃない? 女子校の猥談とかヤバイって聞くし」
「そ、そうなのか?」
「そうそう。それにネモもソフト百合の気はありそうだし、エロゲよりそっち系のアニメ見てく?」
「ソフ──なに?」
「ソフト百合。ガチの女の子同士って感じじゃなくてさ、日常で女の子達がキャッキャウフフしてるやつ。それ以上発展もしないし、あっても冗談でほっぺにキスくらいかな? 可愛い女の子のキャラが仲良く遊んでるだけのアニメが好きみたいだしね、ネモは」
「そうなのか…」
親友の好みの把握すらできていないと知り、少し気落ちする茜。しかし知らないのならば学べばいいと、智子の部屋へ足を踏み入れ決意を新たにする。アニメ見るだけでどんだけ気合入れてんだよ、という部屋の主の視線にも気付いていない。
「なあ、黒木」
「なに?」
「なんか抱き合ってるシーンがよく入るけどさ、友達同士で抱き合うなんてことあるのか?」
「どうだろ。けど感動したらキャーキャー言いながら抱き合ってる娘は偶に見るよね」
「う……ああいうミーハーなのは好きじゃないんだよな…」
「私もかな。あ、でもこの前の卒業式で先輩に抱きしめられた時はちょっとグッときたかも」
「えっ!? お、男の先輩?」
「いや、今江っていう先輩……生徒会長だった人だよ」
「ああ、あの真面目っぽい感じの」
智子の意外な交友関係に目を丸くする茜。いくら卒業式とは言えども、抱きつかれたとなればそれなりに親密さはうかがえる。喋り始めるようになる前は、単なる暗い感じのクラスメイトとしか認識していなかったのだ。オタクへの偏見とまでは言わずとも、広い交友関係を持っているとは思わなかったのだろう。
「なあ、黒木」
「なに?」
「このシーン……いくら女の子同士でもさ、服の中まで手を入れて背中掻くなんてことあるのか?」
「うーん……あ、でもネモにトイレで『掻いてー』って言われたことあるよ(っていうか今考えると放送時期も被ってるし、アイツこれ見てやりたくなっただけだったんじゃ…? ぷっ)」
「そ、そっか。掻いたのか?」
「うん。エロかった」
「ッッッッ!?」
智子が親友の服の中へ手を突っ込んでいる光景を幻視し、またぞろ顔を赤くする茜。変態発言が多いだけに、その行為にいかがわしさを感じるのは仕方ないと言えるだろう。茜は気を取り直して、アニメの続きを視聴し続ける。
「なあ、黒木」
「なに?」
「やっぱこのシーンみたいにさ、名前で呼びあうのって特別なのか?」
「それは現実でも一緒じゃない? まあ一つの壁みたいなとこあるよね。子供じゃなくなったら特にさ」
「そっか……そうだよな。そう言えば黒木この前、田村に下の名前で呼ばれてたよな……何かあったのか?」
「…っ! や、ちょっとオープンキャンパスで…」
「へぇ…」
「べ、別にそんな気負うことでもないけど。下の名前で呼ぶくらい普通だって」
「…じゃあ私も黒木のことそう呼んでいいか?」
「うぇっ!? う、うん……別にいいけど」
「わ、私のことも好きに呼んでいいぞ」
(なんでネモとその仲間達は、こっ恥ずかしいことを平気で言えるんだ?)
──やっと、名前で呼んでくれたね。
──うん。
そんなシーンがテレビ画面に映し出されている最中、現実世界もシンクロしているかのように名前の交換が行われた。わざわざ口に出してそんなことを確認する友人関係も中々に珍しいだろう。少なくとも、智子が感じたように羞恥を煽るようなやり取りだ。
「へ、へへ……じゃ、じゃあ凸はさ──ぐえぇっ!?」
「デコってなんだよぉ!? つーかなんか言い慣れてないか!?」
「(距離感間違えた!?)じょ、冗談だって! ほら、ソフト百合はこういう時『もーう!』ってイチャコラするのが基本だから!」
「ああ、そういう……ってそれでもデコはないだろ! ただの悪口じゃん!」
「い、いやそれはほら、あ、あ……(下の名前なんだっけコイツ。確かあ、あけみ…? いや違うな。ダメだ思い出せん、すまんネモ!)……あ、あーちゃんが的確にツッコミを入れるだろうという信頼というかなんというか…」
「…っ! …そ、そっか。それなら、こほん。まあいいけどさ。でも失言の多さは気をつけろよ──と、智子」
「う、うん」
双方とも照れで目をそらしながら名前を、そして愛称を呼び合う。一方は『名前が思い出せないから』という酷すぎる理由であったが、彼女達の距離がぐっと縮まったのは間違いないだろう。そんな青春の一時を繰り広げつつ、陽は沈んでいく。
「…あっ! やば、もうこんな時間か。ごめんな長居しちゃって」
「気にしないでいいよ。うちって晩ごはん遅い方だし」
「うん、今日はありがとな。明日、色々と試して見るよ」
「え? あ、うん…(マジでやんの? アニメキャラと同じ行動とかただのヤベェ奴じゃ……いや、ネモなら喜ぶ可能性もあるか)」
茜の後ろ姿を見送りつつ、かつてアニメに影響されてやらかした色々な黒歴史が智子の脳内を駆け巡る。ビルの上で黒いコートを羽織った自分。アニメ放映後の翌日、ヒロインの髪型を真似た自分。将来の夢が武器商人だった自分。
衝動的に門扉へ頭を打ち付ける彼女であったが、しかし同時に明日への期待も胸に燻っていた。岡田茜という陽キャなリア充は、いったいどんな黒歴史を創造してしまうのか──そして、根本陽菜はどのように巻き込まれるのか。額を腫らしながら怪し気に嗤う彼女は、まさに通報確定の変質者であった。
──翌日。
朝一番に教室入りした智子。どちらかと言うとギリギリで登校することが多い彼女だが、しかし今日だけは誰よりも早かった。それだけ他人の黒歴史を期待しているのだろう。スマホのカメラ機能を逐一チェックしているのは、もはや性格が歪みきっている証左であった。
(凸の恥ずかしい写真か……なんかネモに高く売れそうじゃね?)
今か今かとシャッターチャンスを待つ智子に、周囲の友人は首を傾げていた。常とは違う行動に蠱惑さを感じたのか、別のクラスに在籍している、のっぺりとした顔の少女も窓から顔を覗かせている。そして遂にオデコの少女が登校し、教室へ姿を現した。
(きたきた……食パン咥えながら『ちこくちこくぅ~』のパターンも考えてたけど、流石にそれはないか。さぁ、どんなガ○ジムーブを始めるんだ。ネモに抱きつきながら『おはよ~』とかか? 『うにゃ~』とか言い出したら我慢できる自信はないぞ)
近くに佇む陽菜と、近付いてくる茜にフォーカスする智子。しかし期待していたアクションは訪れず、むしろ画面に映った少女がどんどんと大きくなっていく。何やら嫌な予感を覚えつつ、写真は諦めてスマホを机に置く智子。
「お、おはよ。智子」
『なんでこっちが先なんだよ。というかいま名前で呼ぶ必要あるか?』と思いつつも、普通に挨拶を返そうとする智子。しかしそこで思い当たったのが、つい先日名前で呼び合うようになった友人とのやり取りだ。皆の前で『智子』と呼ばれ、しかし恥ずかしかった自分は『田村さん』と返した。
その後、生理がきたせいか機嫌が悪くなった彼女だが──もしや不機嫌の理由は生理ではなく、名前で返さなかったことではないかと、智子は今この瞬間ようやく思い至ったのだ。となれば、彼女よりもヒエラルキーが上の少女を怒らせるのはまずい。そう考え、新たな呼び名を口に出した。
「…! う、うん。おはよ……あーちゃん」
ピシリ、と周囲の空気が固まった。ピンク色のツインテールをぶら下げた少女は、耳に入った言葉を理解できずフリーズした。ポケットに手を入れたクールな少女は、限界まで目を見開いて呆然とする。ネイルとグロス輝く柔和な少女は、ニコリと微笑んだ──が、口元の角度は普段よりもやや低めだ。
他にも近くにいた数人の女子、あるいは男子が大なり小なり驚きを露わにしている。廊下側の窓からは『キモイキモイキモイ』と怨嗟の声が漏れ、後ろの方の席では八重歯の鋭い少女が不機嫌そうに眉をしかめた。そして袖口にすっぽりと両手を収めた、可愛らしいとすら表現できる少年が微笑ましそうに喋りだす。
「あはは、なんか二人とも仲良くなってるねー。もしかして怪しい関係なのかな~?」
ただの冗談。それに間違いはなかった。仲の良い男子二人に『お前らホモかよー』とからかう程度の冗談であった。しかし自分の家に帰った後も、アマプレやその他の特典等を利用してアニメを見続けた茜にとって、その発言は『フリ』であった。
たとえアニメの影響があったとしても、普段ならばあり得ない行動。しかし彼女は昨夜から朝にかけ、徹夜でアニメを見続けてしまった。判断力も思考力も鈍り、よく考えないままに、条件反射のように反応してしまったのだ。今の彼女の思考を簡潔に表すならば、こうである。
──ここ進○ゼミでやったやつだ!
「──と…」
「へっ?」
「智子は私の嫁になるのだ~!」
「のわあぁぁぁっ!?」
なんでじゃボケェぇぇ! と、鶏を絞めた時のような悲痛な叫びが教室に響き渡る。智子が期待したとおり、茜にとって完全な黒歴史となった行動ではあるものの──この時の騒動を弄られる度、二人共にダメージが入るのは、やはり碌なことを考えない彼女への天罰でもあったのかもしれない。
尚しばらくの間、彼女達にレズ疑惑が立ったのは言うまでもない話である。
※続きません
ハメ以外で色々書いてたらいつのまにかえらい時間が経ってました……そろそろ他の作品も更新再開します。