自然 「ん?どっした?」
真実 「あ、自然。ちょっとお前の駒頂戴」
自然 「どれが欲しいの?」
真実 「お、じゃあ、これ」
自然 「それでいいの?」
真実 「うんうん。この龍なら見栄えもいいし、これぞドラゴンって感じだし(四方世界にポイ)」
自然 「それ一応、世界滅ぼす龍だから」
真実 「え」
セッション終了後
神々「なにこれ」
地母神「あの、障壁が1撃で壊されたんだけど」
自然「一撃一撃が必殺技ですし」
真実「え、これ、え。こんなの絶対おかしいよ」
秩序「こんな奴らが他にも居て、人類滅んでいないとか、どう考えてもおかしいだろうが⁉」
自然「さらに強い個体が他にもいるけどな。それをソロで狩る奴らが跋扈しているから」
混沌「はよこい、勇者! 世界が滅ぶ!」
自然「あ、それ無理」
神々「は?」
自然「こいつ裏ボス的存在だから、魔王も倒せないレベルじゃ逆に返り討ち」
天界は自然を除いて阿鼻叫喚となった。
金等級冒険者たちは廃城の調査をしていた。
最近、この辺りのモンスターや野生動物が怯えて逃げ出し、近隣の村まで来てしまったのだ。無論、逃げ出したモンスターは他の冒険者たちが討伐に乗り出し、駆逐されつつある。
その原因と思われる廃城を調査し、可能であれば撃破する依頼を受けた金等級冒険者たち。
魔王軍の幹部、あるいは魔王の襲来と考えた国王や大臣、将軍は、王国の金等級の冒険者を招集。
金等級。
実力と信用を兼ね備えた銀等級のただ一つ上の位ではない。国家規模の任務を任せられるほどの一流の冒険者。それが20人。
彼ら、彼女たちは油断なく、慎重に廃城を探索している。
そんな中、金等級斥候が気配を感じた。
いや、廃城に入る前から巨大な力を金等級たちは感じている。空気は重く、怪しげな悪雲が満ちている。不気味なほどに廃城は静まり返っており、お調子者の冒険者でさえ口を閉ざしていた。
その力を発する存在が、この壁を越えれば確認できる。
気を引き締めて、金等級斥候が鏡を使って、壁越しに姿を確認する。
目が合ったわけじゃない。
見つかったわけじゃない。
だが、その姿を確認し、理解した瞬間、金等級斥候の心臓が止まった。
その姿は禍々しい紫黒の鱗に覆われ、巨大な翼、長い尾と首、4本の王冠のように生えた角を持っている。おとぎ話に出てくるドラゴンをそのまま出した姿。
ドラゴンは廃城に住み着き、辺りに生息していたモンスターや動物は野生の本能、勘で怯えて逃げ出したことを理解する。
ここで金等級冒険者たちは選択肢があった。
逃げるか、戦うか。
相手はドラゴン。
これが駆け出しや中堅の冒険者たちなら、よほど頭が狂ってでもいない限り、自分たちでは敵わないと早々に撤退しただろう。
だが、彼らは金等級冒険者。
ベテランの誇りがあり、自覚もあり、数多の経験を全員が積み、中にはドラゴンの討伐経験もあった。そして、パーティーの中には竜殺しの剣を持った前衛も居た。
ドラゴンは寝ている。今なら奇襲するチャンスだ。
油断なんてない。できない。
ここに来るまでにモンスターとの戦闘もない、疲労もない。
金等級の冒険者たちの殆どが、ここで討伐することを決意する。
だが、金等級冒険者の中でも戦闘に反対するものも居た。たった1人だが。
その1人をパーティー全員、臆病者と蔑むことはしなかった。
幾ら、好条件がそろっていても、伝説のドラゴンなのだ。恐怖を感じない者などいない。
パーティーが全滅する可能性を、誰もが感じている。だったら軍を動かして、大勢で戦う方が確実でもある。
だが、ここで情報を持ち帰り、兵士や他の冒険者を揃え、大砲や大弩の準備をしている間に、起きたり何処かへ行ったりする可能性が高い。
戦力を整えて戦うより、奇襲して手負わせる。
もし、手負いでも討伐が無理だと感じたら、引き際は各自が判断する。
冒険者は自己責任。
戦うも逃げるも選択は自由だ。
戦闘に反対した金等級冒険者は撤退し、この情報を王国に届ける。
残った金等級冒険者たちは、寝ているドラゴンに気づかれないように移動して、配置についた。
そして、竜殺しの剣を持つ金等級冒険者は、最初の一撃を頭に叩き込むべく走る。
最初の攻撃。
失敗しようと成功しようとドラゴンは目覚める。
今ならまだ引き返せる。先程、帰った冒険者のように逃げてしまえばいい。竜殺しの剣は他の前衛に渡してしまえばいい。そんな考えが頭の中にある。
恐らく、他の冒険者も大なり小なり、今なら逃げられると思っている。
だが、最初の一撃を加える冒険者が走り出したとき、全員その思いを拭い去った。
眼の前のドラゴンが強いのは、本能で理解している。仲間が、自分が、死ぬかもしれない、いや、死ぬ可能性が高いことも把握している。
それでも、彼らはドラゴンと戦うことを選んだ。
理由は様々。
金、名誉、誇り、野心、夢、仲間。
いずれもゆずれない願いだ。
だから、これまで戦ってこれた。そして、今、ドラゴンとも戦える理由だ。
竜殺しの剣。
ドワーフがミスリルとオリハルコンを特別な火山の熱で溶かし合金し鍛え、柄頭の宝石が魔力を持ち加護となっている。その長剣でドラゴンを倒したことから付けられた。勇者が使っても申し分ない業物だ。
ドラゴンの鋼みたいな鱗も切り裂いた名剣。
それで目の前の黒龍を切り裂こうとした。
が、肉を切り裂いた感覚は手に伝わらない。
效果がなかったのか。
いや、見れば竜殺しの剣は、黒龍の鱗を切り裂いた。だが、鱗の下にある肉に刃が到達していない。
もう一撃、同じ場所に攻撃を加えれば、肉を断てるだろう。
だが、追撃の一撃を振るう前に、黒龍は動き出す。
長い鎌首を立て、目覚めの咆哮を放つ。
近くに居た冒険者たちは咆哮に堪らず、耳を抑える。それでも耳に入ってくる龍の咆哮に、恐怖が湧き体中を震わせる。
咆哮を免れた後衛、魔術師、神官が呪文を唱え、奇跡の祈りを捧げる。
「
「
「
「
火炎の玉はモンスターを幾度も焼き尽くしてきた。
氷の槍も敵を貫き、倒してきた。
稲妻の矢も、当てた相手を痺れさせるには留まらず、血液を沸騰させた。
聖なる攻撃も、邪悪な敵を滅ぼしてきた。
他の後衛たちが放つ、練磨を重ねた呪文、奇跡が黒い龍へと殺到する。
花火が散らばった光景。幾多もの熟練者たちの破壊が1つに集結する。
その全てが、紫黒の鱗に弾かれる。
後衛が放った、仲間が信頼を寄せる呪文、奇跡の数々が一時の幻だったかのように、黒龍は無傷で佇んでいる。
咆哮の硬直から解けた前衛たちは、それぞれの武器を手に黒龍へと向かう。
巨人を切り裂いた大剣が、あるいはマンティコアを貫いた槍が、鱗に弾き返される。彼らが振るった武器の数々は、決して実力が伴わないことなどない。
超合金の大剣を手に持つ剣士は、それが存分に振るえる程の怪力を持ち、幾多のモンスターを屠ってきた。神秘の槍を持つ槍使いも、鍛え上げられた体に戦う以外の余分なものはない。
他にも、東方の刀剣使い、名剣や魔剣を持つ前衛たちは、いずれも武器を使いこなす実力者であった。そして、竦む心を奮い立たせ果敢にも黒龍に挑んだ。
だが、数多の強力な武器は、黒龍の鱗に傷を付けることさえ敵わない。先ほどの竜殺しの剣を持った戦士の攻撃が唯一、黒龍の鱗を傷つけるものの、肉には届かない。
黒龍は巨体を地面に叩きつけ、周りに居た冒険者たちを押し潰す。
黒龍にとっては鬱陶しそうに周りにいる者を払う動作だったのだろう。だが、冒険者達にとっては死神の攻撃だ。
岩盤を砕き、衝撃波が周りの冒険者たちを襲う。
即死する冒険者。
黒龍の体に掠れば、名工が作った鎧が潰れる。
アダマンタイトと呼ばれる鉱石で作られた盾が、飛散した石礫にひしゃげる。
余波で超重量の鎧を着た戦士がふっ飛ばされる。
加護を授かった鎧を身につけた斥候は、高々と打ち上げられ、地面に叩きつけられた。
何気ない一撃で戦線は崩壊する。
遠くの後衛たちは
だが、薙ぎ払いながら放たれる火炎竜巻は広場を覆い尽くし、逃げようとした前衛、後衛を呑み込んだ。
その炎に堅牢な鎧や盾が、立派な加護や奇跡がどれほどの抵抗ができただろう。
金属は蒸発し、神秘は掻き消された。
攻撃範囲に居た冒険者は、亡骸さえ残らないほどに燃やされ、灰へと変わる。
炎の嵐から運良く、いや、運悪くか、生き残った数少ない金等級冒険者たちは、その光景を見た。
地獄だ。
あの龍は数秒で地獄を創り出した。
あらゆる者を蹂躙し、君臨する地獄の使者。
今まで押さえつけていた恐怖が、体中を支配する。
百戦錬磨の猛者でさえも、心が折られるほどの力をこれでもかと見せつけられた。
足を動かせて逃げ出せた者が何人居ただろう。ほとんどは圧倒的な力の前に、足を動かすことさえできない。
黒龍は生き残った冒険者を、敵だとは思っていなかっただろう。
自分の領域を侵した蝿程度にしか思っていなかっただろう。
だが、蝿程度を追い払うのも殺すのも何も変わりはないし、何も思わない。第一、寝ているところを叩き起こされたのだ。苛立っているのだ。
故に、逃げる者には火球が降り注いだ。すくんで逃げられない者は顎で噛み千切った。
それでも、命からがら逃げ延びた冒険者。
その数、2人。
その2人は口を固く閉ざし、体を震わせることしかできない。
その状態を煩わしく思った者が、問い詰め、揺さぶったとき、突然絶叫を上げ気絶した。
もう1人も、口は開いたがブツブツと小声でなにか言いだした。
正常ではない。
下位の冒険者ではなく、最上級の金等級冒険者の壊滅。
生き残ったとしても、絶望を植え付けられる。
誰もが絶望感を抱いた。
かと言って、放置もできない。
国の兵士、冒険者を総動員しての討伐隊が結集されることになった。
ゴブスレなのに、ゴブリンが出てきてない。
いや、すいません。
クロスオーバー下手で、こんなセッションしか作れませんでした。
女魔術師、女魔法使い どっちがいい?
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女魔術師
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女魔法使い