ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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1-11 黒龍討伐

 ギルドの掲示板には、黒龍討伐の依頼が出されている。

 それを受注するために、ギルドの受付カウンターに長い列が出来ていた。

「黒龍討伐の依頼はこちらで受け付けています!」

 その討伐依頼は全等級の参加が可能。

 なので、ハンターも依頼を受領する。

 ゴブリンスレイヤー?

「ドラゴンが世界を滅ぼすまでに、ゴブリンは村を滅ぼす」

 彼はいつも通り、世界の片隅でゴブリンと戦う。

 

 徒党(アライアンス)

 複数の一党が合わさり、通常より多い人数で挑む依頼をそう呼ぶらしい。

 ハンターは一党のパーティーではないが、ソロで参加する。そのことに受付嬢は難しい顔をするが、どの等級も参加可能なのでは、と問う。

 ソロだからと言って、受けられない理由になるのだろうか。

「本当によろしいんですか? 今なら、何処か空きのある一党に入ることもできますが」

「それで困るのは俺だけだし、受付嬢さんには関係ないと思う」

「死にに行くつもりですか?」

「死ぬ気なんてサラサラない」

 ソロでドラゴン討伐。この地域では自殺と同意らしい。いや、ここに来る前も、ソロでの討伐が正気じゃないと言われたか。場合にもよるが、狙い(タゲ)が分散しないほうが戦いやすくなるときもある。

 別に今更、ソロで戦うことに何の影響もない。

「……分かりました。ちゃんと生きて帰ってくださいね」

 言っても無駄だと感じたのか、受付嬢はハンターがソロで依頼を受諾することを了承した。

 

 

 

 黒龍討伐の徒党(アライアンス)は廃城へと向かった。

 道中、ハンターは金等級冒険者たちのパーティーが全滅していることを聞いていた。それを踏まえた上で、不謹慎ではあるが、これから出会う黒龍に期待していた。

 ドラゴンの素材はこの地域でも希少らしく、高値で取引されている。

 ならば、この地域のドラゴンから作られる装備とは、どのような格好で、どのようなスキルがあるか、ワクテカが止まらなかった。

「おい、遊びに行くじゃねぇんだぞ」

 ルンルンスキップでもしそうなほど浮足立っているハンターを、咎めるような声が後ろからする。ハンターが振り返ると、見事な槍を持つ精悍な青年、槍使いが居た。

「いいか新人、ドラゴン退治に憧れる気持ちはわかるが、命を粗末にするんじゃねぇぞ」

「ああ、まずは相手の動きと攻撃法を見て、感覚を掴むんだろ? 2回までベースキャンプに運ばれはしないんだって、ちゃんと分かってる」

「……後半何を言っているか、分かんねぇぞおい。ゴブリンスレイヤーの方がまだ……いや、あいつもダメだ」

 槍使いは何やら頭痛がするのか、頭を抱えた。

「ふふ、命は、大事に、ね」

 またも、声をかけられた方を見ると、おっぱ……げふん。胸元がはだけそうなローブを身にまとった、色気いっぱいの面妖な魔女が居た。喋り方も独特で、頭が溶けそうな言い方だ。

「けど、ソロ、で、大、丈夫? 仲間、大事、よ」

「それは分かるけど、……むぅ」

 もう一度言うが、ハンターに固定のパーティーメンバーはいない。臨時の手伝い、救援要請の参加などはしているが、基本気ままに狩りをしていた。

 故に、固定の友人は居ないのだ。

 いや、オトモアイルーが固定のパーティーメンバーと言えば言えるが、それはそれで寂しい。しかし、オトモアイルーにかなり助けられてきた。回復、罠設置、囮などなど。

 そんな状況でも、この地域ではソロでも問題ない。

 ハンターが居た地域と比べると、モンスターが弱すぎるのだ。

 G級装備で下位の小型モンスターを倒しているような感覚だ。

 まぁ、流石に今回は黒龍が相手ということで、流石にゴブリンよりは強いだろう。ポーチの中は回復薬、回復薬G、解毒薬、携帯非常食、秘薬は最大まで入れている。大タル爆弾G、閃光弾は調合分まで入れて、力・守りの護符、力・守りの爪、砥石は標準装備。一応複数での依頼なので粉塵も持ってきた。

 大タル爆弾は物理法則を無視している? 確かに荷台で大タル爆弾を運ぶハンターもいるが、自身のポーチは切り落としたモンスターの尻尾が入るような異次元のポーチだ。

 きっとマカ錬金屋か、ギルドの技術を結集して作られているのだろう。

 最近になって、弾薬専用のポーチが復活し、モンスター素材専用のポーチが生まれた。全く至り尽くせりだが、ポーチの容量がどうなっているのかハンターでも知りたくない、暗黙の領域だ。

 

 ハンターには、荷物持ちすらいらない状態でパーティーの必要性があまりない。仲間の必要がないのでソロで依頼を受けている。

「今は必要ない。ソロの方が気楽だ」

「そ、う」

「まぁ、冒険者は自由だがな、仲間がいればなんて後悔しても遅くないようにな」

「心配、性」

「うっせ」

 どうやら、ソロでいるハンターは槍使いに心配されたらしい。

「手が足らなくなったらよろしく」

 当たり障りのないことを言うハンター。それを了承と捉えたのか、納得したのか、また嫌な野郎だと見切りでも付けたのか「フンッ」と鼻を鳴らして離れていく槍使い。槍使いに続くように魔女も付いていく。

 いつか、固定のパーティーを持つことになるのだろうか。

 ならば、ゆうた以外ならば何でもいいハンターであった。

 

 

 

 廃城が見えてくる。

 周りの空気は重く、なぜか分からないが、ハンターには慣れた雰囲気を感じていた。

 討伐に参加した冒険者たちも、その重苦しい空気を肌で感じている。

 体を震わせる者、気を引き締める者、いずれも緊張している。

 

 冒険者なりたてなのか、安そうな革鎧を身に着けている者たちは、歯が震えでガチガチと鳴っている者、涙を抑えられず流している者もいる。全等級が参加している中で、やはり立派な鎧を身に着けている熟練者はさすがと言うべきか、緊張するだけに留まっている。

 

 そんな中、王国から派遣された銀等級の冒険者が指揮を執る。

「いいか、相手はドラゴンだ!まず、本隊の大砲の設置まで時間を稼ぐ。遠距離攻撃が可能な弓使い、魔術師、神官はセオリー通り、まずはドラゴンの翼に攻撃を集中し、奴を地上に貼り付けにする。戦士は、地上にいる間に各々で攻撃し、奴が飛び上がったら散れ」

 ハンターはこの地域の龍の狩り方は、そのようなやり方なのかと思った。基本、ハンターが今まで相手にした竜種は、翼を破壊しようが飛行できた。

「ドラゴンを囲うように4方向から仕掛ける。欲をかいてブレスで一網打尽などしないためにもくれぐれも隊列を乱すな。今から一党ごとに別れて廃城へ向かう」

 彼が言っていることに間違いはないのか、それぞれの一党に別れ、廃城に入っていく。

 

 廃城に近づくにつれて、雰囲気は今にでも命を落としそうなほどのプレッシャーが、冒険者たちを襲う。ここが黒龍の縄張りと感じないものは居ない。

 このプレッシャーに、この辺りのモンスターは耐えられない。

 冒険者たちさえ、耐えられずに引き返した一党がいた。

 それを責める者などいない。

 むしろ、賢明な者たちだ。例え、臆病者でも残った者たちが嘲笑うことなどなかった。

 

 そして、冒険者たちは廃城の中庭に動く影を確認する。

 小さな山にも思える巨影は中庭を徘徊し、その存在を隠そうとしない。

 壁から身を乗り出し、姿を見れば誰しもがヒッと小さく悲鳴を上げる。

 

「ミラボレアスかよ」

 がっかりである。

 新モンスターかと思えば、狩ったことがあるモンスター。

 それと同時に、冷や汗をかくハンター。今の装備は自身が最もかっこいいと思っている装備だ。ミラボレアスとの戦闘を意識などしていない。

 そして、ギルドからの支援、撃龍槍、バリスタ、大砲……は、いらない。ともかく、そういった設置物は使えず、ハンターはまさかの縛り条件有りでのミラボレアス戦である。そんな縛りでミラボレアスを討伐した経験は、ハンターにはない。

 苦戦は避けられない。むしろ、力尽きて、そのまま死亡といった流れが頭の中で思い浮かべることができる。

 なにせ、ベースキャンプまでアイルーが運んでくれることなどないのだから。

 

 黒龍、ミラボレアス。

 武器が生半可な切れ味しか持たないのであれば弾かれ、低い防御力ならば一撃で死亡。とうもろこし?拡散弾が撃てるライトボウガン?そんな物をハンターは所持してない。誰か持ってきて。

 

「奴は今、地上に居る!各個に攻撃せよ!」

「「「おおお!」」」

 奇襲のチャンスと思ったのか、指揮を執っていた冒険者の掛け声で四方八方からミラボレアスに向かっていく冒険者たち。

 

 黒龍は現れた冒険者たちに目を向け、煩わしそうに口を開く。

 顎の奥から焔が散った。

 周りに火の塵が舞い、次々と破裂する。

 一帯を爆撃地へと変え、迎え撃とうとした冒険者の命を散らす。

 

 後ろに回った者たちには尾を叩き付け、そのまま薙ぎ払い、ひき肉へと変える。

 

 弾け飛んだ血肉は焼け、辺りには酷い死の匂いが充満する。

 そして、冒険者たちは目の前の地獄を乗り越えなければならない。

 

 全員が怖気づく中、ハンターは駆け出した。

 別に英雄願望があったわけではない。

 ましてや、自分しか戦えるものが居ないと驕ったわけではない。

 ただ、ハンターとしての本能、戦うことに対しての欲望が抑えられなかっただけだ。

 

 鞘から抜き放たれた刀身は、空気を裂き、黒龍の鱗を切り裂いた。

 切り裂いた刀身は血に濡れ、黒龍は確かに傷を負った。

 だが、まだ足りない。

 そんなこと何度も戦ったハンターには分かる。

 先程の攻撃は挨拶みたいなものだ。もし、行動を言葉にできるのならば、意味合いとしては、多分こんな言葉になるだろう。

 

 こんにちは。じゃあ、殺す。素材渡せ。

 

 黒龍は傷を与えた者に向けてギョロリと顔を向ける。

 瞳には先程までの有象無象に向けるものではなくなっていた。

 敵と認識し、殺しに来る。

 人には強すぎる殺気が、黒龍の瞳から発せられる。

 さすがのハンターも心臓の鼓動が早くなる。

 だが、怯みはしない。もうすでに自身は、目の前の相手を殺すと決めた。

 

 黒龍も目の前の人の子を殺すと決めた。

 

 後はどちらかが殺されるだけだ。




 ちなみに自然が持っていた駒。
 アルバトリオン
 グラン・ミラオス
 アトラル・カ
 アマツマガツチ
 激昂ラージャン
なお容疑者の自然は「MHWに居ないから、次のアップデートには来るかなと用意していました」などと供述しており――。

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