ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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すいません。
前のあとがきで、もうそろそろ原作入ると言ったと思いますが、まだ、装備、農場のことを解消したいと思うので、原作にはまだ入れません。

本当に申し訳ございません。


2-1 装備を作るために

 ハンターは武器屋の翁から紹介状を貰い、鉱人(ドワーフ)の街に向かう馬車に乗る。

 その馬車には、ゴブリンスレイヤーが同席した。

「ゴブリンか?」

「いいや。武器を作ってもらうために職人に会いに行く」

 ゴブリンスレイヤーはゴブリン退治だ。話さなくても分かる。

「竜を――倒したと聞いたが、どうだった?」

 彼にしてみれば珍しく自分から話しかけてきた。

 彼も昔はドラゴン退治に憧れたのだろうか。

「どうって、ミラボレアスって言う黒龍だったんだが、元の地域でも居た龍だ。伝承にもなるほどの古龍種なんだが、ソロでやるときもあったけど、俺ぐらいの実力者4人で狩ることが多かったから、いつもより手間取った」

「そうか」

 それから先は沈黙した。ハンターは鉄兜で隠された顔を見るが、中の顔の表情を見ることはできない。故にゴブリンスレイヤーが何を考えているか、わからない。

 しばらくの間、沈黙した後にまた声を掛けてくる。

「大タル爆弾と言ったか。この前のゴブリン退治で使ったのだが、いいものだ。補充を頼む」

「ああ、分かった。何か他にあるか」

「……閃光弾だ。金は大タル爆弾Gが1個、金貨5枚、閃光弾が1個、金貨2枚でいいか? 数は、2個ずつだ」

「ああ。いつ渡せばいい?」

「ギルドの受付嬢に渡しておいてくれ。金も受付嬢に預けておく」

 また、しばらく沈黙が続き、今度はハンターから声をかける。

「牧場ってさ、どんなのを飼っているんだ」

「牛、豚だ」

「馬の世話とかしたことないか。もしくは、人手が余っていたりとか」

「馬は居ない。人手もいない」

「……そうか」

 そして、しばらく黙って、またどちらかが声をかけるという繰り返しになった。

 

 馬車は順調に進み、何事もなく目的地に着いた。

 

 硬い岩肌の山に囲まれた街。

 鍛冶に使われる炉の熱が充満した街。

 農具、武具があらゆるところで打たれているのか、金槌の音は止まない。

 武器屋には無論、一級品と見られる武具が並ぶ。

 商品を見て吟味している冒険者。値段を見て、財布の中身を見て、唸る冒険者。それを見て豪快に笑う店主の鉱人(ドワーフ)

 細工や調度品も凝ったものが多く、金額を見なくても高いのが分かる。

 髪飾りを手にとってカウンターに嫌な顔をして金袋を置く森人(エルフ)。カウンターに居た鉱人(ドワーフ)は袋の中の金貨を確認しながら、森人(エルフ)にガンを飛ばしている。

 鉱人(ドワーフ)の街。

 そんな街に竜の鎧を着たハンター、薄汚れた鎧を着たゴブリンスレイヤーは訪れた。

 ハンターは紹介された職人に会いに行く。

 ゴブリンスレイヤーは依頼の話を聞きに依頼者へと向かう。

 その道程が同じで、2人とも鍛冶ギルドの扉の前まで来た。鍛冶屋の街だ。ハンターの目的人物も、ゴブリンスレイヤーの依頼人も一緒な場所にいるのはおかしくない。

扉を開けて、鍛冶ギルドの中に入る。

 沢山の鉱人(ドワーフ)が昼間から酒を飲んでいる。彼ら用に椅子もテーブルも低く作られている。

 酒場のように感じるが、鍛冶に使われる炉や金床で作業している鉱人(ドワーフ)が多数いる。酒を飲みながら作業するなど正直危ないと思うのだが、鉱人(ドワーフ)にとっては酒を飲んでいなければシラフでないらしい。只人(ヒューマン)の鍛冶師も居るようだが、徒弟だろう。

 翁の知り合いの鍛冶師はここのギルド長らしく、鉱人(ドワーフ)の女性で赤いバンダナを巻いているのが特徴だ。

 奥の方に赤いバンダナを巻いている女鉱人(ドワーフ)を見つけたので、ハンターはそちらに足を運ぶ。すると、ゴブリンスレイヤーもハンターに続いて歩き出した。

 近づくと、鍛治長女鉱人(ドワーフ)は誰かと口論しているようだ。

「だから、売れないって言ってるでしょ!」

「金は出すと言っているだろう!」

「金の問題じゃないんだよ!そもそも、ここにはないんだから売れるわけないじゃん!」

 鍛治長女鉱人(ドワーフ)は浅黒い肌、黒髪ショートの黒瞳の女性、女闇人(ダークエルフ)と言い争っているらしい。ただ、周りの奴らは触れぬ神に祟りなしと思っているのか、離れている。

 そんな中、ズカズカと遠慮なく近づくハンターとゴブリンスレイヤー。ハンターたちは彼女たちの言い争いが終わるのを待っているつもりはなかった。

「装備を作って貰いに来た。これが紹介状だ」

「冒険者だ。ゴブリン退治に来た」

 それぞれの要件を言う彼らに、鍛治長女鉱人(ドワーフ)は女闇人(ダークエルフ)を押しのけ、2人の前に出る。

「待ってたよ!」

「まだ、こちらの話が終わってないぞ!」

「こっちの話と繋がってるし、何度も話すのは疲れるんだ。2人も座って話を聞いて」

 そう言って、鍛治長女鉱人(ドワーフ)は徒弟の1人に椅子を持ってくるように指示した。徒弟が持ってきた椅子は普通の大きさの椅子。ハンター、ゴブリンスレイヤー、女闇人(ダークエルフ)だけは渋々とした顔で椅子に座る。

 鍛治長女鉱人(ドワーフ)は火酒をぐいっと一杯飲み干して話し始める。

「実は坑道にゴブリンが住み着いちゃって困ってるんだ」

「数は?トーテムやホブは確認しているか?」

 早口になりながら依頼の話をするゴブリンスレイヤーだが、鍛治長女鉱人(ドワーフ)は手を上げて話を止める。

「ちょい待ち。まずはこっちの事情を説明していい?」

「分かった」

「軍に配給する武器や防具を積んだ馬車が、ゴブリンたちに襲われて盗まれたんだ。当然、冒険者に依頼したんだけど、帰ってこなかった。多分、鉱人(ドワーフ)が作った武器を装備していると思う。この中に黒長耳さんが欲しがっている剣が混じっていると思う。将軍に与えられる名剣がね」

「何だと!」

「最初から馬車に護衛を付けてはいなかったのか?」

 女闇人(ダークエルフ)は怒ったように驚き、ハンターは不思議に思った。

「護衛は付けていたよ。でも、みんなやられたみたい。辺りは血の跡だけで、死体も、馬車も坑道に引きずられた跡があったんだ」

 故に、ゴブリン討伐の依頼を依頼。

 そして、向かわせた冒険者は全滅。

「君が欲しがっている名剣はそのゴブリンが装備していると思う。倒してくれるならその剣は君にあげる。どっちにしろ坑道に入れなくちゃ、鉱石は採掘できないし。で、ハンターくんの武具の作製を依頼する件だけど、このゴブリン討伐を受けて欲しい。なにせ呪われた素材での武器作製だからね。錬金術師、術士を集めなきゃいけない。その代わりに制作費はタダにするよ」

「ゴブリンの使い古しを使えと?」

「今は坑道から金属が採掘できないんだ。特に良質なものは。君が素材を持っているのなら話は別だけどね」

「……分かった」

 渋々と女闇人は納得したようだ。

「装備の要望に折り畳みができる弓、双剣の作製を頼めるなら引き受ける。一応、俺が扱っていた武器の構造を書いた紙も上げるから、参考にして欲しい」

「了解」

 ハンターは少し不満だが、どちらにしろ時間はかかるのだ。制作費も浮くのでやっておいて損はない。

 この地域では必要数の素材と制作費を持って加工屋に行けば、装備を作って貰えるとは限らない。なので、事前にハンターが知っている限りの弓の構造を書いた紙も、素材と一緒に渡しておく。武具の手入れはハンターもしている。故に構造を思い出すのは容易なことだが、それを再現できるかと言えばできない。

 ハンターは鍛冶など専門外だ。

「それで、数は分からない。護衛は全員鉱人(ドワーフ)の戦士、冒険者の編成は前衛の斧使いに剣と盾使い。後衛に神官と魔術師。全員青玉等級で男だった」

 護衛はともかく、冒険者の編成は悪くないらしい。

 この地域の認識では前衛、後衛が分かれているのが理想なパーティー編成。

 ハンターはガンナーでも前衛の認識がある。弓・ライトボウガン・ヘビィボウガン。

「坑道の地図はあるか?」

「あるよ。これ」

 ゴブリンスレイヤーの要求に、彼女は準備していたようですぐに地図を渡してくれる。地図に書かれている坑道は、幾重にも分かれ道があり、アリの巣のようだ。散らばっているゴブリンを殲滅するとなると、かなりの手間になる。

 だが、坑道は今後も使い続ける重要な場所なので、爆破や水攻めでの一網打尽は無理。

「まずは燻り出すか?」

「いや、地図を見る限り坑道は長い。煙を入れても奥までは届かん。直接乗り込むしかない」

 つまり地道に倒していくしかない。

 

 

 明かりはなく山の横にポッカリと空いた暗い穴。

 手押し車が行き来できるように、坑道としては広く、只人(ヒューム)が入れるほどに広い。支えに頑丈な材木と金属で固めている。太刀を振るえなくはないが、他の2人を巻き込んでしまうから使えない。

 

 湿った土の匂いと腐臭が臭ってくる。

「酷い匂いだ」

 女闇人(ダークエルフ)は鼻を押さえたが、すぐに手を離し、代わりに短剣と小剣を持つ。

 ランタンをハンター、女闇人(ダークエルフ)、松明をゴブリンスレイヤーが点ける。

 それぞれの武器を手に持ち、坑道の中に入る。

 奥に行くのだが、ハンターは違和感を感じる。

「変だ」

「変だな」

「何がだ」

 ゴブリンスレイヤーの言葉にハンターは同意するが、女闇人(ダークエルフ)の方は気づいていない。

 

「女がいるのにゴブリンが襲ってこない」

 ゴブリンの特性の中に嗅覚が鋭いことが挙げられる。

 なんで酷い匂いの中で、女性のフローラルな香りが嗅ぎ分けられるのかわからない。犬なのだろうか。

 そして、臭い消し(ゴブリンの血を塗る)をしていないと、女に興奮したゴブリンがすぐにでも出てきそうなものだ。

 だが、臭い消しをしていない女闇人を襲いに来る様子がない。

 あわよくば、女闇人(ダークエルフ)の匂いでゴブリンがでてこないか期待したのだが、この様子では期待薄だ。

 

 女呼ばわりされた闇人(ダークエルフ)は不機嫌になり、鼻を鳴らす。

「ゴブリンごときが何だというのだ。最弱モンスターの生態を知っていて何の得がある」

「奴らを甘く見るな」

「小型モンスターは脅威だ」

 彼らの反応に一瞬目を点にする彼女だが、すぐに蔑みの色が浮かぶ。

「臆病者共め。分かれ道があったら二手に分かれる。私は銀等級の斥候でもあるしな。小心者共はせいぜい仲良く探索しろ」

 彼女がずいっと2人の前に出る。その足並みはズカズカと苛立って速い。

「危険だ。地図は1つしかない」

 ゴブリンスレイヤーの発言に、口を詰まらせたように呻く闇女斥候。複雑な坑道の中を地図なしで歩くことが、どれほど危険なのか理解はしているのだろう。

「くっ、せいぜい足手まといになるな」

 闇女斥候は歩くスピードを緩めるが、こちらと連携する気はないらしい。

 最初の坑道の分かれ道に着いた。

 その分かれ道の両方から金属音の足音が聞こえてくる。ガシャガシャと激しい足音からして、走ってきている。

 鎧を着たゴブリン。良質な鎧では腐臭した酷い匂いは防げないようだ。

 そして、冒険者を見つけたゴブリンたちが襲いかかってくる。

 

 一目で素晴らしい武具と分かる物をゴブリンたちが身につけている。

 ただ、筋力が足りていないのか剣や槍を両手で持っている。鎧もサイズが合わず、篭手や脛具を付けずに、胴体の部分と兜だけ身につけた状態だ。

 前に居た闇女斥候は身軽な動きでゴブリンたちの武器を避ける。

 ゴブリンスレイヤーは近づいてくるゴブリンに投げナイフを投げる。投げナイフは鎧で覆われていない喉へと吸い込まれるように刺さる。

 だが、投げナイフが喉に刺さったはずなのに、ゴブリンの動きに陰りがない。

 そのことに動揺はなく、近づいてきたゴブリンの顔に中途半端な剣を打ち込む。そこでゴブリンは動かなくなる。

 ハンターも片手剣で鎧の上からゴブリンを斬りつける。鎧に阻まれるが、ハンターの剛力で振られた片手剣によって、ゴブリンの骨が折れる音がする。だが、痛がる様子がなく、ハンターに怯えることもなく、攻撃してくる。

 ハンターはゴブリンの攻撃を盾で受け流し、兜と鎧の間の首を狙って片手剣を振る。

 振られた片手剣はゴブリンの頭と胴をお別れさせる。ゴロゴロと転がる頭から兜が脱げる。そのゴブリンの顔は目がなく、腐っていた。

「ゾンビだと⁉」

 死んでいても襲ってくるモンスター、ゾンビ。

 それが、ゴブリンの姿をしている。

「ゴブリン……ゾンビ?」

「ゴブリンであることに変わりはない。鏖殺する」

 ゴブリンスレイヤーはブレずに、突き刺した剣を引き抜き、他のゴブリンに投げる。

 防御するという考えがないのか、侵入者の排除だけを目的としているゴブリンゾンビに、投げられた剣が顔に突き刺さる。

「2」

 どうやら顔が弱点らしく、剣が突き刺さったゴブリンゾンビは倒れた。まぁ、ゴブリンも頭を潰せば死ぬのだが。

 ともかく、ゴブリンゾンビが動き出す様子はない。

 ゴブリンスレイヤーは投げた剣の代わりに、ゴブリンゾンビが持っていた長剣を持つ。

 すかさず、長剣でゴブリンゾンビの頭を突き刺す。そして、長剣を素速く手放し、倒したゴブリンゾンビの槍を奪い、また、兜の顔の部分を狙って攻撃。

 闇女斥候も小剣で武器を弾き、短剣でゴブリンゾンビの首を掻っ切る。首を切断すれば、ゾンビも動き回ることはできない。

 ハンターもゴブリンゾンビの首か頭を狙いつつ、片手剣でゴブリンゾンビを倒していく。

 正体が分かってしまえばあっけない。

 ゴブリンのように悪知恵があるわけではなく、逃げるような素振りもない。

 向かってくるゴブリンゾンビの頭を狙って、倒していった。

 

「18、19、20」

 ゴブリンスレイヤーは動かなくなった死体の数を数える。見落としがないか再度、頭に武器を叩き込む。

 死体を調べる闇女斥候。目的の名剣がないか調べているようだ。しかし、どうやら見当たらないようだ。

 ハンターは砥石で片手剣の切れ味を戻す。

 

 ゾンビ化しているので致命傷以外の傷は無視して攻撃でき、思考も落ちているので攻撃以外はしてこない。鉱人の武具で強化されている。頭を潰せば倒せるが、他の部位を攻撃しても効果は薄い。

 冒険者たちは所詮ゴブリンと思って油断し、倒れづらいゴブリンゾンビにやられたと思っていいだろう。

 護衛は恐らく、ゴブリンゾンビも居たのだろうが、それを操っていた術士も居たと思われる。

死霊師(ネクロマンサー)だろう。護衛や冒険者もゾンビとして操っているかもしれない」

「……死霊師(ネクロマンサー)とは?」

 闇女斥候の推測にゴブリンスレイヤーは疑問符を浮かべた。

「死体を操る魔術師だ。銀等級なのに知らないのか?」

「知らん。しかし、そうか。このようなゴブリンも居るのか」

 ゴブリンスレイヤーの言葉に、闇女斥候は呆れている。

 

 闇女斥候は目当ての剣がないらしく、奥へと進もうとする。

 ゴブリンスレイヤーもゴブリンを殲滅しようと奥へ続いた。

 ハンターも剣を研ぎ終わったので彼らに続く。




ゴブリンゾンビ
 死霊師がゴブリンの死体を用いて作った傀儡。
 生産しやすく、扱いやすい。数も揃えられる。
 ゾンビになっているので耐久力が上がっているが、所詮元がゴブリンなので脆い。
 武器による攻撃よりも、噛みつきや爪で引っ掻く攻撃のほうが不潔なため、相手を感染させる事が可能。
 今回出てきたのは立派な武器、防具を装備しているため、攻撃力、耐久力ともに通常ゴブリンよりも高い。ただし、頭攻撃(クリティカル)ならばダメージ5以上で即死確定。

女魔術師、女魔法使い どっちがいい?

  • 女魔術師
  • 女魔法使い

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