ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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GWはSEKIROやってます。
さすがはフロム。
複数で殴られて死んで、ボスには何度も殺され、不意打ちで殺られ。
竜咳がマイエンしちゃったよ。\(^o^)/


2-4キャンプファイヤー

 鍛冶場に火を付けた張本人、黒の外套を着た長身の男性はため息をつく。

 計画では死霊師(ネクロマンサー)死霊王(リッチ)に変貌させ、戦力を強化する。そして、サイクロプスや死霊王(リッチ)の手下のゾンビで街を襲い、死体を屍兵とし、大軍を率いて王都などの大きな都市を攻める計画だった。

 この街は軍の装備を作り出している拠点でもあるため、占拠すれば軍の質は落ち、作られていた装備をゾンビに身につければゾンビも強化される。持久戦になれば勝つのはこちらだ。聖職者の祈りは厄介だが、1000を超える死者を一度に浄化するのは難しい。

 だが、死霊師(ネクロマンサー)が討たれたことで計画は潰された。

 混沌の眷属として鍛冶場を破壊し、軍への補給を遅らせることしかできない。

 自身が眷属を作り出すのも考えたがプライドに関わる。そんじょそこらの雑兵を作る気などない。作るのならば絶世の美女だ。男を選ぶ気にはならないが、それでも作るとしたら屈強な者が好ましい……か。

 いや、今後も男を眷属とすることはない。屍鬼程度ならともかく、いや、屍鬼でも男は無理だ。むさく、臭く、まずい。嫌悪しかしない。

 それにしても職人の鉱人(ドワーフ)が居ないのが男には不思議だった。

 鍛冶と言えば鉱人(ドワーフ)

 夕暮れだが、そんな早い時間に鍛冶場を離れ、家で寝ていることは考えられない。

 居れば殺して屍鬼にし、戦力を整えようとも思ったが居ないのならば仕方がない。

 サイクロプスが暴れている裏で何人か見繕おうと思った矢先、大勢の人影がこちらに近づいている。

 ここが重要な場所なのは分かるが、サイクロプスを放置しておいていいのだろうか。戦力を2分割できるほど、今ここの戦力は高く無かったはずだ。

 男の目には先頭を走る闇女斥候が首から下げている、銀の認識票が見えた。そして美人だ。眷属とするなら、やはり美人がいい。

 その後ろの汚い鎧や鱗の鎧の奴はいらない。もっと後ろに居る野次馬はもっといらない。

 

 男は闇女斥候だけを見ながらほくそ笑んだ。

 

「冒険者か。街の入口で暴れているサイクロプスを放置していいのかね」

「倒した」

「は?」

 思わず、すっとんきょうな声を出す男。

 少しして、戯言かとも思ったが、悲鳴やサイクロプスの巨体が動く音も聞こえないので、事実かもしれないと考え直した。

 見れば汚い鎧の首元にも銀等級の認識があるではないか。

 発言した鱗の鎧の奴は鋼鉄だ。恐らく調子に乗った新人か何かだろう。ああいう輩はともかく目立ちたがる。問題にはなるまい。

 見つかった以上、いや、見つけられなくても男のすることは変わらない。

 銀には気を引き締めなければならないが、他はいつもと同じだ。

 

「……まぁいい。見つかった以上は死んでもらおう」

 男の両腕が変貌し、爪は長く伸び、刃物のような形状となった。それだけではなく、彼の犬歯が伸び、口からはみ出し、赤い眼光を放つようになった。肌色は反して死人のような薄く紫がかかった白色に変わる。

 

「吸血鬼⁉」

 男の変わった姿を見て、誰かがそう叫ぶ。

 野次馬たちに戦慄が走る。

 闇女斥候も息を凝らす。

 吸血鬼。

 血を吸って生きる祈らぬ者(NPC)

 戦闘能力は高く、生半可な攻撃では死なない。

 コウモリに姿を変えることができる能力。強力な吸血鬼は霧に姿を変え、あらゆる物理的な攻撃を無効化することも耳にする。

 だが、圧倒的な力と引き換えに聖水、聖印などの洗礼された物を弱点とする。故に、聖職者の祈祷や奇跡などが有効だ。しかし、弱体化するとはいえ油断できる相手ではない。それほどに危険なモンスターに分類される吸血鬼。

 しかし、今ここに聖職者はいない。

 鉱人(ドワーフ)の武器を求めに、ここに来る冒険者は戦士が多い。

 無論、闇女斥候のように魔法が使える冒険者も居るが、数は圧倒的に少ない。聖職者を今から探すこともできない。

 そんな不利な状況の中、淡々と場違いな言葉が発せられる。

「……吸血鬼。……なんだそれは」

「えーと、確か、血を吸う怪物。ギィギ(ヒル)みたいな奴じゃなかったけ?」

「そうか」

 ゴブリンスレイヤーとハンターの言葉に、場が一瞬凍りついた。

 二人は大真面目に言っただけなのだが、吸血鬼は二人の言葉に嘲笑った。

「私を知らないだと?吸血鬼であるこの私を!なんと、誠に只人は馬鹿よな!殺される前に、そんな戯言を言えるとは!」

 吸血鬼は眼の前の只人に向かって跳んだ。

 その跳躍は黒い風にも思えるほどに速い。

 鋭い爪の手刀でその首を跳ね飛ばしてやろうとハンターに向かう。

 次の瞬間にはハンターの首が飛び、その表情は何が起きているか理解していない間抜け面を見ることができる、と吸血鬼は思っていた。

 

 だが、ハンターの首は飛ばずに、吸血鬼の手刀は空を切った。

「なに?」

 と、吸血鬼が手応えがなかったことに疑問に思うよりも前に、眼前のハンターが弓をつがえていた。

 ハンターは、いきなり跳んできた吸血鬼をバックステップで避け、矢を放つ。至近距離から放たれた極太鏃の矢は、吸血鬼の胴を撃ち抜く。

「ごぶっ⁉」

 いきなりの反撃に面食らった吸血鬼。

 即座に後ろに下がり、傷を回復しようとするがうまく塞がらない。

 つまり、あの弓か矢に回復を阻害する力が込められているということ。

 

 実際、龍属性には龍封力と呼ばれる効果がある。これは古龍の力を抑制、封印できる。古龍種の中にはキリンのように、龍とは呼びにくいモンスターの力も抑制する。

 これは古龍の力は自然の力と呼ばれ、自然の力を持つ者であれば抑制できるということ。

 自然の力を操る古龍は超常現象の塊だ。

 だが、吸血鬼に自然を操る力などない。

 吸血鬼はアンデッド。非常識の塊ではあるが、自然に生み出たものでも、生きるものでもない。

 しかし、龍属性やられという症状がある。武器の力が弱まり、意識が薄れ、力が抜ける症状だ。

 これは龍の呪いに思える。実際にミラボレアスの防具は曰く付き。

 その呪いを吸血鬼が耐えられるのか。

 少なくともハンターたちと遭遇した吸血鬼は、龍の力を跳ね除ける力を持っていなかった。

 

「貴様ぁ。よくもやってくれたなぁ……!」

 鋼鉄等級程度の冒険者に傷を負わされる。

 そのことが吸血鬼には屈辱だった。

「殺してやる‼」

 憤怒の形相で跳び回る吸血鬼。

 高速で跳び回るので目では追いつけない。音がしても振り向く前に移動しているので捉えられない。ハンターや闇女斥候、他の冒険者、住民も走って逃げようとする。

 だが、吸血鬼の方が速い。

 そんな中、ゴブリンスレイヤーは走りながら茶色い液体をがぶりと一気飲みした。

 そうして、誰もが見失ったとき、ハンターの頭上から吸血鬼が強襲する。

 ハンターは上から来る吸血鬼の攻撃に反応し、矢を放つ。しかし、咄嗟だったので狙いは甘く、外れてしまう。

 所詮、鋼鉄等級などこの程度、と吸血鬼が思い、ハンターへと迫る。

 だがハンターへと攻撃を下す前に、横腹にサクリと何かが刺さる。

 そのことを認識したとき、体が固まったように動かなくなった。

 吸血鬼はハンターに攻撃できず、空中でバランスを崩し地面へと激突。

 地面に落下した吸血鬼。

 見れば、自分の腹にどろりと黄色い液体がべっとりと塗られた投擲ナイフが、刺さっているではないか。

「ふむ、ゴブリンにも使えるか?」

 淡々とゴブリンスレイヤーは、ハンターから貰った薬の感想を述べる。

 

 高速で跳び回る吸血鬼にゴブリンスレイヤーだけが正確に反応できた理由は、千里眼の薬を飲んだためだ。

 本来、千里眼の薬は飲むと短時間だが、大型モンスターの位置を知ることができるアイテム。

 だが、千里眼の薬は第六感を研ぎ澄ます。

 そして、ゴブリンスレイヤーの兜は元から視覚が狭い。

 研ぎ澄まされた感覚は、洞窟の中、松明の僅かな光源で小柄なゴブリンの頭や喉に正確な投擲ができるほど。

 高速で動き回るとはいえ、的はゴブリンより大きく、位置も千里眼の薬によって正確に分かるようになっている。

 そこまで出来たのであれば、よほどのことがない限り外すことはないだろう。

 

「このっ、鎧人形ごとき――がはっ! ぐぶっ!」

 悪態をつきながら立ち上がろうとした吸血鬼に、ハンターが弓で次々と矢を放つ。

 飛行ダウンである。攻撃チャンスである。

 起き上がる前にガンガン攻撃をしなければならない!

 何か言っているが、それよりも攻撃だ!

 なにせ、ナルガクルガのような速度で跳ぶのだ。そして、ナルガクルガよりも的は小さく、当てづらい。先程のように跳び回られたら面倒だ。

「このっっっ⁉」

 ゴブリンスレイヤーもそう思ったのか、追撃の麻痺投げナイフを投げる。麻痺拘束も起こり、もっと攻撃できるドン!

「ま――、た――」

 連続で遠距離から攻撃する二人。

 吸血鬼の体は矢が貫通したことによる風穴が空き、ナイフが突き刺さり、見るも無残な姿へと変わっていく。

 だが、それでも死なない。

「ぜぇ、ぜぇ、この、下等、生物、ども、が……」

 しかし、四肢を射抜かれ、臓器を貫かれ、傷を塞ぐ力も龍属性によって阻害されている。せいぜい口汚く罵るくらいしかできなかったが、ハンターが脳天に矢を放ったことでそれもできなくなった。

 ハンターは確実にとどめを刺したと思ったが、吸血鬼の体はもぞもぞと動いている。

「なんでまだ生きてるんだ?」

「吸血鬼は死に辛い。聖水をかけるか火で灰にしないと生き返ってしまう」

 ハンターの疑問に闇女斥候が答える。

 つまり、火属性が有効ということ。

 だが、ハンターは今現在、火属性武器を持っていない。

 聖水を持っている冒険者は居ない。

 未だ燃えている鍛冶場に吸血鬼を放り込む。

 なにせ鍛冶場には木炭、石炭など燃えやすく、燃え続ける物が沢山だ。

 ゴブリンスレイヤーが吸血鬼に燃える水(ガソリン)を掛ける。ゴブリン討伐のために準備してきたものらしい。

 投げた瞬間、吸血鬼に掛けた燃える水(ガソリン)が引火し、またたく間に赤い炎に包まれた。

 紅蓮の炎の中に投げ込まれる吸血鬼。

 直後、鍛冶場が倒壊し、吸血鬼は瓦礫の下敷きとなった。

 これで生きているとしたら吸血鬼ではなく真祖になると闇女斥候は断言した。

 

 つまり、吸血鬼は死んだということだ。

 

 

 なお、家に帰って寝ていた鉱人(ドワーフ)たちは、鍛冶場が燃えていることなど露程も思わず寝ていた。




 原作の4巻にゴブリンスレイヤーでも大まかに吸血鬼のことは知っているのですが、過去に戦ったことがあるからといった解釈をして、今回出てきてもらいました。
 千里眼の薬ですが、大型モンスターにしか使えませんがテキストに第六感を研ぎ澄ますとあったので、都合よく解釈しました。
 そして吸血鬼の封殺。
 最近多いから、もうこの手はだめかな……。
 他にもいい殺方を考えたいけど、ハンター思考だと怯みによる封殺、火事場発動によるノーダメクリア。
 自分には無理ですわ。

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