鍛冶場で働いていた
無論、火を放ってくれた吸血鬼には憤慨したが、もうすでに倒されたことを聞いている。何も思わないわけではないが、ずっといじけていることはできない。
それに
だとしたら甘い。
彼らは、そこに金属があれば何かを作ろうと思う種族だ。
「だからまぁ、気にしなくていいよ」
そう言った鍛冶長女
彼女も最初は「なんじゃこりゃぁあああ‼⁉??」と叫んだが、しばらくして落ち着きを取り戻した。
街の冒険者の証言から、サイクロプス、吸血鬼の討伐を感謝された。だが、鍛冶場が壊されてしまい、今すぐ報酬を払うことができないとも言われた。
そのことに斥候
ゴブリンスレイヤーは何も言わない。
無言の圧力を感じた鍛冶長女
ハンターは報酬の代わりに、他の武器を作って欲しいと頼んだが、
ハンターの作って欲しいと頼んだ武器は、きっと一癖二癖ではすまないだろうと思った。
だが、
なので、
勘弁して、と。
ハンター、ゴブリンスレイヤーは辺境の街へ、斥候
「しかし貴様ら、ゴブリンに怯える小物かと思えば、サイクロプスや吸血鬼を難なく倒す冒険者など聞いたことがないぞ。勇者か何かか?」
「少なくとも俺はゴブリンスレイヤーだ」
「俺はモンスターハンターだ」
「小鬼殺し。怪物狩人。そっちの方が分からん」
斥候
身体能力はハンターが高いだろう。少なくともサイクロプスの近くで1回も攻撃を受けないというのは、熟練の冒険者でも難しい。
そして。ゴブリンスレイヤーの方は銀等級としては力不足ではあるが、道具や頭を使い補っている。
「訳の分からん奴らだが、助かった」
そんな奴らが、
実力はある。
「まぁ、貴様らなら私の
「ゴブリンか?」
「……貴様はゴブリン以外の依頼は受ける気はないのか」
「ない」
断言するゴブリンスレイヤー。
呆れた様子の斥候
「まだ、農場の経営が軌道に乗ってないからな。断る」
「……そうか」
農場? と首を傾げたが、冒険者は家を継げなかった者がなることもある。夢が自分の農場を持つ、といったこともあるだろう。
つまり、副業として冒険者をやっているからハンターは鋼鉄等級。
もっと言えば、過去にかなりの実力の冒険者だったが、一度冒険者をやめた。しかし、不作か、何かしらの理由で農場では食って行けず、仕方なく冒険者を一からやり直すことになったのだろうと、斥候
実際は違うのだが、どちらにしろ二人はスカウトできなかった。
「まぁ、機会があれば、またよろしくだ」
「ああ、手が足らなければ頼む。そっちのゴブリンスレイヤーも、ゴブリンが出てくるようなら頼むかもしれん」
「ああ。ゴブリンなら幾らでも受ける」
皮肉で言った言葉を淡々と答えたゴブリンスレイヤーに、なんとも言えない表情になった斥候
ハンターが辺境の街へ帰ってきたときには、農場の家は完成していた。
質素ではあるが、大きな家で一人で住むには大きすぎるだろう。
ハンターが今まで住んでいたマイハウスは、一室といった感じだ。貸し出してもらっているので
なので、自分の家、農場というのは純粋に嬉しい。
その一部屋の中に武器、道具を収納しようとして、アイテムBOXがないことに気づいた。
いつも備えられていたから、家具と同じで買わなければならないだろう。(後に家具屋にアイテムBOXがないか聞いたら、「そんなの扱っているわけ無いだろ‼」と逆ギレされた)
先代ハンターのおさがりの装備が入っていて、武器の試しに大いに役立った。
そのことに少し寂しさを感じる。
自分も部屋をコーディネートしていたことはあったが、一から全部自分でやるのは初めてで、どう家具を配置していくか考えるのは楽しい。
想像を膨らませるが、そのためには家具を買うための金が必要だ。自分のだけではなく、農場の管理人、従業員のための最低限の物は必要だ。
まだ、金はあるものの全て買おうとすると、さすがに足りない。
金が足りないのならば、稼ぐしかない。
ハンターは冒険者ギルドへと向かった。
ハンターが冒険者ギルドに入ると受付嬢が声を掛けてくる。
「ハンターさん。農場の従業員募集の件で志望者が来ているので会ってください」
と言うので、受付嬢に案内され、応接間に案内される。
そこには素朴な女性が立っていた。一般的な農家の少女と言っていいかもしれない。だが、無表情な顔は苛立っているようには思えないが、虚ろな目をして元気がない。体は貧相ではないが、筋肉質でもない。
「お待ちしていました」
「えっと、遅れて申し訳ないです」
ハンターは緊張しながら応接間に入る。これではハンターの方が志望者に見える。
ハンターと女性は机を挟んで対面するように座った。
そして、ハンターは何を言えばいいか迷った。
ハンターとて、人、もといアイルーを雇った。
だが、基本的にはネコバァ、ネコ嬢を介しての雇用であり、自分一人で雇うのは初めてである。そして、基本的に仲介料を渡していただけだ。
後は、アイルーの特技や能力を比較しながら雇った。
「えっと、農園の経営というか、薬草や調合に使う植物の栽培、ハチミツを手に入れるための養蜂箱の世話、虫の繁殖、あと今後の予定として馬の世話も頼むかもしれない。徐々に従業員を増やしていく予定だけど、最初は俺と君とでやらなきゃならない。それに、俺は冒険者の仕事も兼ねるつもりでいるから、1人でしなくちゃいけないことが沢山あると思う。それでも働いてほしい」
ハンターはもう一度、募集内容にも書いた仕事内容を話す。
正直な話、目の前の女性には荷が重いと思う。体力はあるだろうが、虚ろな目が気力を感じさせない。
アイルーのように要らなくなったら解雇するというのも、この世界では理由なく解雇することはできず、理由があっても手続きをしなければならない。
しかし、ようやく来た従業員である。なんとしてでも確保したい。
「まだ、始めたばかりで、いろいろ手付かず、面倒で、疲れると思うけどいいか?」
「はい」
淡々とした言葉で肯定する彼女。
「やめたければいつでも言っていい。だから、うちの農場で働いてほしい」
「わかりました」
とりあえず、従業員1人確保。
ハンターと女性、農場娘は鍛冶屋に来ている。
彼女は農家の出で、まずは鍬やら鎌、スコップなどの必要なものを買いに来ている。
鍛冶屋……と言うよりは冒険者相手の商売なので武具屋らしく、剣やら鎧やら飾られている。が、普通に農具が商品棚に置かれているので、鉄製品の大抵を販売している。
店に入り、農場に必要なものを持ってカウンターに行く。
「おう、どうだった」
「?」
「ほれ、紹介したじゃねぇか」
ああ、とハンターは思い出した。
ミラボレアスの素材で装備を作ってもらうために、翁に紹介状を書いてもらったのだ。
そして、紹介先に依頼を頼まれ、解決し、装備を受け取り、その後、鍛冶場が灰となったことを伝える。
「……」
なにやら、翁は頭痛でもするのか、こめかみあたりを抑えだした。
「まぁ、なんだ。できれば作ったものを見せちゃくれねぇか。あれ程の素材で何ができあがったのか興味があんだ」
「いいけど」
装備していた弓矢を翁に見せる。
「うぉっ⁉」
カウンターに置いた瞬間、眼にした弓を見て、恐れ慄く翁。
龍の頭を模した弓は不気味。しかし、その不気味さは形だけではない。
伝わってくる負のオーラは見ただけで分かるほどに弓に漂っている。持てば呪われるか、死んでしまいそうだ。
「おめぇさん、こんなの持って大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。問題ない」
翁は自分では扱えないと思い、紹介状を書いた。だが、紹介先もあの素材の扱いに苦労しただろう。
しかし、この呪いの装備を扱うハンターをただの新人としてはもう見れない。
特大の馬鹿である。
もしくは、よほどの考えなしだ。
「ハンターさん」
ハンターの後ろから声を掛けた農場娘。
その手には、鍬やら鎌やら農場に必要なものを揃えていた。
道具を買って、農場に戻るハンターと農場娘。
さっそく鍬で土を起こし、土肥を撒いて力の種を植える。
力の種は売ってよし、使ってよし、調合してよし。
作業を終えるころには、夕方になり、家に入っていく。
そこで家具を買っていないことに気づいた。
そして、黒竜討伐の報酬がなくなってきた。
ギルドで依頼を受けなくては、資金繰りに苦労するだろう。
とりあえず、農園娘に毛布と金貨を渡す。
今日は毛布を敷いて寝てもらい、明日寝具や家具を買ってもらう。
「よろしいんですか」
「いや、こっちこそ準備ができてなくてすまない」
彼女はためらいながらも、毛布と金貨を受け取り、部屋に入っていった。
ハンターも部屋に入り、寝具がないので、床で夜を過ごした。
TRPGゴブスレ買いました。
驚いたのが、武器や消耗品の価格。
治癒の水薬 ポーション が銀貨10枚。
まぁ、原作基準だと他の装備が買えないことになりかねないので、ゲーム補正なのでしょうが。
ゴブスレ世界の難易度はやはりハードなのは確実。
女魔術師、女魔法使い どっちがいい?
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女魔術師
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女魔法使い