依頼を受注したゴブリンスレイヤー、ハンター、闇女斥候は山を登っている。
山は岩肌だらけで、樹林帯はなく見晴らしが良い。
闇女斥候から依頼内容を聞いた。
ゴブリンがドラゴンに乗って、かなり厄介な敵になったらしい。
「しかし、どうやって戦う?」
「手はある」
「どんなだ?」
「言わん。ゴブリンに漏れるかもしれん」
「……」
闇女斥候はゴブリンスレイヤーの態度に声を上げようとするが、ぐっと堪えた。
こんな所で声を上げれば、敵に気付かれる。
「ふん、作戦があるのならばいい」
渋々と納得することにした闇女斥候。
しかし、ゴブリンどもは鼻が良い。特に女の匂いを嗅ぎ分けられる。
「GYAGYAA‼」
すぐに山に居る闇女斥候の匂いを嗅いで、気付いている。
しかし、石を持ったことで飛行の速度、高度が落ちている。
「やるか」
ゴブリンが乗った
そこから天気の様子がおかしくなる。
空に黒雲が突如生まれ、強い風と雨が降る。そして、ゴゴゴと鳴り響き出す。
雷雲が生まれた。
そんな雷雲の中を飛んでいるゴブリン、
濡れた体に強力な雷が焼く。
呪文の
「雲の中は水や氷、雷の嵐だ。その中をゴブリンは無傷でいられない」
「
「前のサイ――、なんだったか」
「サイクロプスだ。それと吸血鬼」
「その討伐報酬で買った」
「ゴブリンを倒すために?」
「ああ」
闇女斥候の記憶では、あのときの報酬はかなりの高額。そして、その金で強力な剣なり、堅牢な鎧を買うのが普通の冒険者だ。
これほどの効力がある
なのにゴブリンに使うために
ギャギャと騒ぎ出すゴブリン。
ゴブリンたちは馬鹿な奴らが死んだと大騒ぎ。
雷に驚いた後は、雷に打たれ墜落した
確かに自然の脅威は
だが、若くとも竜だ。
自然の脅威に、力の象徴たる竜は安々と倒れはしない。
「GUOOOOO‼」
咆哮を上げる
それは
怒りに満ちた若い竜は、ブレスでゴブリンたちを蹴散らす。
一瞬で炎に身を包んだゴブリンは、黒焦げとなり即死。
ブレスの範囲に居なかったゴブリンたちは逃げ出した。
「逃がすか」
彼は決して
「奴は任せた」
「任された」
ハンターは
向かってきたハンターに怒りをぶつけるように、
高熱の炎をひらりと横に避けて、太刀を抜き放つハンター。
鎧よりも硬い鱗をいとも簡単に切り裂く。
傷口から血が吹き出し、
与えられた傷からボタボタと流れる血は、今の一撃で相手が格上であることを否が応でも理解させられた。
そして、逃亡を図ろうとするが、続く太刀の斬撃で翼の付根を切られる。痛みで怯んだ
巨体が硬い地面に横たわり、小さく揺れる。
そんな
眼から光を失い、息を引き取った若き竜。
ハンターは、その骸を剥ぎ取りナイフで解体していく。
初めて解体するモンスターだが、その動きには躊躇がない。
その様子を岩陰から見ていたゴブリン。
馬鹿な奴、と剥ぎ取りをしているハンターに忍び寄る。解体に夢中で
だが、獲物に夢中になる故に背後に気づかない。
自分が獲物になっていることを。
ゴブリンが岩陰から飛び出すと同時に、闇女斥候が声を上げる。そして、ゴブリンの上から襲いかかる人影。
いつの間にか持っていた中途半端な剣は、粗末な槍に換わっている。だが、ゴブリンを殺すのには問題ない。
脳天から釘刺しになったゴブリンは、ハンターに一撃を与えることもできなかった。
「12、気を抜くな」
「抜いてない」
ハンターは倒したモンスターの解体中に、小型モンスターに群がられることなど多々あることだ。気など抜いていない、抜けるはずもない。
次々と小型モンスターが噛みつき、突進し、解体できずに村に帰らなければならなかったことは、今でも怒りとともに思い出せる。
無論、ゴブリンが襲いかかってきたら、即座に振り向いて太刀を振り抜いた。
剥ぎ取りを邪魔するものなど、同じハンターであろうとしてはならぬこと。
もしすれば、ハンターとハンターが武器を手に、限界時間まで殴り合うこと間違いない、というかなった。そして最終的に、町や村に戻るまで仲間と殴り合うことが遊びになる。
「それでゴブリンは全部か?」
「いや、山に巣穴があるはずだ」
「乗り込むか」
「当たり前だ。ゴブリンは皆殺しだ」
そう言ってゴブリンスレイヤーはゴブリンの死体にナイフを突き刺し、臓物を捻り出す。そして、ひねり出した臓物を布で包み、絞る。
「……何をしている?」
「臭い消しだ。奴らは鼻が良い」
「……なぜ私に近づく」
「女、特に子供、
「わ、私は、
「そうか。だが、女だ」
闇女斥候に迫るゴブリンスレイヤー。
「助けろ!ハンター!」
ハンターは死んだ
助けはない。
結果、闇女斥候の軽鎧は赤黒く汚された。
さすが、ゴブリン。ひどい匂いが闇女斥候の鼻を殺している。
嫌なら帰ればいいとゴブリンスレイヤーが言ったが、闇女斥候は拒否した。
何一つやっていない闇女斥候。このまま帰ってしまえば、それこそただの寄生だ。
これもそれも、ゴブリンが悪い。
ゴブリンなど滅びてしまえ。
そして、ゴブリンスレイヤーは変な奴ではない。大嫌いな奴だ。
「……っ」
闇女斥候は親の仇を見るような眼でゴブリンスレイヤーを見ている。
「剣で斬りつければ返り血は浴びるんじゃないのか?」
「浴びたくて浴びたいものではない!」
ハンターの疑問に、我慢できず闇女斥候が叫ぶ。
「静かにしろ、気づかれる」
「ッ‼ッ‼」
顔が赤く染まるほどに闇女斥候は憤慨した。
ハンターは血の匂いなど嗅ぎ慣れている。確かに嫌な匂いだが、我慢できないほどではないはずだ。それに、モンスターの返り血なんて、近接攻撃をすれば頭から浴びたって、戦闘中に気にしない。
気にすればモンスターから攻撃をもらう可能性は高くなる。
まぁ、返り血をそのままにすることはしないが、基本的にモンスターと戦えば血生臭くなる。
臭いと言えばババコンガのオナラだ。
正面を避け、背後に回ったハンターに怒りで興奮し、ババコンガが噴出する茶色の悪臭。それの近くに居れば吹き飛ばされ、まともに物が口に入らなくなるくらいの酷い匂い。更に糞を投げつけるという下品な攻撃。
そこでふとハンターは思い出した。
「消臭玉といって、体に取り付いた臭いを消すアイテムなんだが」
「くれ!」
ハンターがポーチから取り出し、手に持っていた水色の玉を即座に受け取った闇女斥候。
地面に叩きつけると水色の煙が吹き出し、闇女斥候に取り付いていたゴブリンの悪臭を消し去った。
スンスンと自身の匂いを嗅ぐ闇女斥候。
「凄いな。確かに消えた。どこで売っている?」
「俺が調合した」
「ほう」
全く匂いがなくなったのか。清々しい顔をする闇女斥候。
だが、今から巣の中のゴブリンを倒しに行く。
「でも、今から臭いを消してどうするんだ?」
「あ」
「ああ、これではゴブリンに気付かれる」
再度、ゴブリンスレイヤーが持った血糊で汚される闇女斥候であった。
巣には子供ゴブリンが息を潜めていただけで、見つけ出したゴブリンスレイヤーと憂さ晴らしとばかりに闇女斥候が殲滅した。
手に入った戦利品、
どれも売れば高額になるものだ。
普通は全て売って報酬に加算し、
だが、この
「この杖は破壊する」
「はぁああ⁉ふざけるな⁉」
ゴブリンスレイヤーの発言に闇女斥候は反対する。
理解ができない闇女斥候にゴブリンスレイヤーは語る。
「今後もゴブリンに利用されるかもしれん」
「むぅ」
唸る闇女斥候。
確かにその杖をゴブリンが利用し、追い込まれてしまった。
故にゴブリンスレイヤーが言うことも理解できなくはないが、もったいないという気持ちが心に渦巻く。ハンターも思うことだ。
「しかし、次もゴブリンに利用されるということになるのか?」
「あの杖は元々冒険者の物だ。売って、それを他の冒険者が使い、また奪われることになりかねん」
ゴブリンの巣には翠玉、青玉の認識票が無造作に放置されていた。そして
強力な装備をゴブリンが奪い、面倒になる嫌な例だ。
今後もそんなことがあるかもしれない。
「……仕方がない」
闇女斥候は渋々納得する。
ハンターが太刀を抜き、立派な杖を切り裂く。
すぱっと真っ二つにされた杖は、もう使い物にならない。
それでも報酬と
金貨が詰められた袋を見て、ほくほく顔になった闇女斥候だった。
3DS MHXXを久しぶりにやってみた。
かなり討伐に手間取った。
と言うか、回復役Gの使用量が半端ない。
女魔術師、女魔法使い どっちがいい?
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女魔術師
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女魔法使い