ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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真実「あれ⁉ つよっ‼」
自然「ベータ版とはいえG級ですし」


2-8 迷い込んだ竜

 ハンターはピッケルで鉱石を採掘していた。

 常人はまず行かない、行こうとも思わない場所、火山。

 ドロドロとした赤い液体、マグマがハンターの横を流れている。

 それどころかマグマの光で全体が赤く染まっている。

 それこそ地獄のような熱気が辺り一面で埋め尽くされており、クーラードリンクなしではハンターでも危うい。

 古の鉱人(ドワーフ)は火の耐性が高いらしいが、そんな彼らでさえ火山帯に長時間居るような者は居なかった。

 熱以外にも有毒ガスが発生し、もし噴火すれば大量の火山灰で埋まれ、振動によって落石に潰される。

 それに、こんな環境でもモンスターが居ないとは限らない。

 だが、貴重な鉱石が多く取れるところだ。

 

 鉱人(ドワーフ)でさえ尻込みする場所に、ハンターはいつもの装備とクーラードリンク、ピッケルをポーチに詰め込み、訪れた。

 なんだかよく分からないモンスターがハンターに向かって襲ってきたが、すべて返り討ち。

 

 そして、採掘した鉱石をポーチに詰め込んで下山した。

 

 

 ハンターは鍛冶場に赴き、鍛治長女鉱人(ドワーフ)に会う。

 ポーチから大量の鉱石をテーブルに置く。

「どんだけ採ってきてるのさ」

「作るんだから、素材はいくらあっても足りない」

 ハンターはそれぞれの武器種を作ることにした。

 最初はハンターはそれぞれ違う属性の太刀を作りたいと思ったが、この世界では、属性武器は魔剣とか呼ばれるらしく、かなり入手が難しい。

 太刀をメインに使っているハンターだが、どの武器種も一応は使える。

 まぁ、アイテムボックスの中で長い時間埋もれることが多い。

 だが、武器種によって有利不利になることもあり、鉱石武器は攻撃力が骨武器より低いが、切れ味はそれなりで、性能はそれほど悪くない。

 属性解放すれば、それぞれの武器種で別の属性が付与される。

 無属性強化でもいいのかもしれないが……。

 だが、ハンターは装飾品を持っていないので、どちらも無理だ。

 武器、防具、装飾品制作、そして強化とお守り。

 故にハンターは炭鉱夫になる。

 来る日も来る日も石炭集めのクエストを受注し、鑑定して使えないお守りは即座に売り払う。ついでに余った鉱石も売る。

 狩りのことなど忘れて、レアなお守りを発掘することになっていく。

 炭鉱夫、それは狩人の終わりなき作業。そして、お目当てのスキル護石はでない。

「しかし、効率を上げるためにも採取+2がほしいな。次はレザー装備で採掘に行く」

「前々から思ったけど、そんな軽装、準備なしで火山に入って死なないって、本当におたく只人(ヒューム)?」

 鍛治長女鉱人(ドワーフ)は眼の前に居るハンターが、人のようななにかに思えてきた。

 自身でさえ火山の麓まで行くのが精一杯で、マグマあふれる最深部まで向かう気はない。毒ガス、マグマは無論、その場はサラマンダーや最も恐るべきモンスター、ドラゴンが居る可能性もある。

 そんな装備で大丈夫か?と質問する気もない。

 早く装備し直せ!と激高した。

 なのに大丈夫と言い、実際に何事もなく帰って来た。

 話を聞くと大精霊級の火蜥蜴(サラマンダー)が襲ってきたらしい。

 寝床を荒らす不審者と思われたようだ。

 そして、炎で採掘を妨害してくるからとハンターと戦闘になり、勝ったのはハンターの方であった。

 普通は大精霊の火蜥蜴(サラマンダー)に火だるまにされるはず。

 もう、目の前のハンターのやることなすことに、一々自分の常識を当てはめるのが馬鹿らしくなった。

「とりあえず、ご注文のチャージアックスだよ。金を前払いで頂いているとはいえ、骨が折れたよ、本当に」

 手渡された大きな片手剣と大きな盾。特に盾は縁が刃となっており、片手剣と合体させることで斧となる。

「次は狩猟笛を」

「休ませろや」

 ドスの効いた声で拒否した鍛治長女鉱人(ドワーフ)

 チャージアックス。

 確かに面白い武器で興味を持たないドワーフはいない。

 だが、作成はかなりの労力と手間が掛かり、もう作業した鉱人(ドワーフ)たちはクタクタだ。

「じゃあ、また」

「……うん、また今度」

 もう来るな、とは言えない鍛治長女鉱人(ドワーフ)

 彼の使っていたと言う武器は、どれもドワーフにとって興味を引く物だ。

 作成を拒否はしないが、酷使は勘弁してほしいというのが鍛冶場に居る鉱人(ドワーフ)たちの頼み。

 ハンターはチャージアックスを背負って、辺境の街へと戻った。

 

 

 

 辺境の街へと戻ったハンターは、農園で素材を確保する。

「おかえりなさいませ」

 農園娘がハンターを出迎えてくれる。

「ただいま。収穫は?」

「光蟲と苦虫、力の種、守りの種が数個収穫できました。お使いになられますか?」

「ある程度。使わない分はまた栽培に回すから」

「わかりました」

 農場娘はさくさくと作業をこなし、平地は立派に小さな農園へと形を変えていた。

 ハンターは家に入り、自分の部屋で収穫した素材を調合する。

 調合してアイテムを作り出し、アイテムを補充していく。

 調合し終えたハンターは、次の依頼を受ける準備をする。

 ポーチにアイテムを詰め込み、武器はせっかく作ったので、チャージアックスを選択した。

「ハンターさん。お食事を作ったのですが、いかが致しましょう」

「食べます」

 体が資本のハンターである。

 食は欠かせない。

 振る舞われた食べ物は質素な物であったが、ハンターはバリバリと平らげた。

 食べ終えたハンターは、もう夜になっているしギルドも閉まっているだろうと考えて寝ることにした。

 

 

 

 「自然」は今、大忙しだ。

 氷に閉ざされていた新しい大陸で狩猟するハンターたちのために、駒を沢山作り出さなければならない。

 上司の「カプコン」は新しい大地の制作に大忙し。

 ともかく「自然」は大量の駒を作成し運んでいた。

 そして「真実」は「自然」の置き忘れた駒を摘んだ。

 次の冒険に使える駒かと考え、前の選んだ駒よりは常識的なモンスターである。

 なので、使うことにした。

 自然の世界から竜がまた迷い込んだ。

 

 

 

 依頼を受けた冒険者の一党(パーティ)は、あるモンスターに壊滅させられた。

 黄色と青の縞模様をした飛竜(ワイバーン)

 太古の竜を思わせるその顔に飛竜(ワイバーン)の姿をしている。だが通常の飛竜(ワイバーン)より大きい体格であった。

 大きくても飛竜(ワイバーン)ならばと甘く見ていた冒険者たち。

 一般的に、飛竜(ワイバーン)とは竜の最下位に属するモンスターになる。

 だが、戦闘して、その考えはすぐに違うと思い知らされた。

 斧槍(ハルバード)を持った戦士が、その飛竜(ワイバーン)に後ろから攻撃をしたが、鱗が頑丈で振り下ろした斧が弾かれてしまった。

 そして、自身を攻撃してきた無作法者に視線を向ける飛竜(ワイバーン)

 絶対的な捕食者としての威圧感、そして次にちょっかいを出した者に向けて放たれる咆哮。

 それは最早、音ではなく衝撃波となり、斧槍戦士を後衛が居る位置まで吹き飛ばす。

 これだけで斧槍戦士は戦闘不能となった。

 距離があった他の冒険者は斧槍戦士のように吹き飛ばされはしなかったものの、咆哮のあまりの爆音で耳が使えなくなってしまい、体が固まってしまう。

 強靭な脚力を持つ飛竜(ワイバーン)は、固まった冒険者に飛びかかる。

 一瞬にして距離を詰めてきた飛竜(ワイバーン)に、動くこともできず、その巨体に押しつぶされた冒険者たち。

 暴虐の飛竜(ワイバーン)は仕留めた獲物に、牙を叩きつけるようにして齧り付く。

 

 乱暴な捕食によって、生前の見る影もなく無残な死体となった冒険者たち。

 後から派遣された冒険者も同じ末路を辿り、王国は辺境の竜殺しの冒険者を派遣することを決めた。

女魔術師、女魔法使い どっちがいい?

  • 女魔術師
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