IB発売から、ムフェト周回。
休日が沢山欲しい。
四方世界へと迷い込んだ轟竜、ティガレックスは獲物を求め、夜の森を歩く。
人程度では彼の腹を満たすことなどできない。
歩く姿は微塵も気配を隠そうとしていない。
轟竜は獲物を見つけたら全力で追いかけ喰らう。
獲物に見つかって逃げられたとしても、轟竜の突進速度に敵う者などそうそういない。
太った緑色の人型モンスター、ホブゴブリンは接近してきたティガレックスに気が付くも、逃げるようなことはしなかった。
初めて見るモンスター。
ホブゴブリンの周りにいるゴブリンたちは、自分より大きな存在に怯える。
ホブゴブリンは即座に逃げようとした。
相手が強いなら
例え、あの黄色いトカゲが強くても、周りのゴブリンを盾にすれば自分は逃げられると考えた。
だが、ティガレックスは迷わずホブゴブリンだけを狙って飛び掛かる。
手下のゴブリンたちに怒号を叫ぶ暇もなかった。
突如跳んできた自分よりも大きい相手に為す術もなく絶命するホブゴブリンと近くに居たので巻き込まれた数匹のゴブリン。
周りにいる小さい奴らは無視する轟竜。生き残ったゴブリンたちも突如襲ってきたティガレックスから逃げ出した。
頭を噛み千切る。吹き出した血飛沫が顔から降りかかるが、気にせずホブゴブリンの死体に齧り付き咀嚼する轟竜。
骨を砕いて咀嚼する。
だが、ホブゴブリンを1体丸々食べた所でティガレックスの空腹が治まるはずもない。
ティガレックスの行動範囲は広く、砂漠、雪山といった過酷な環境下でも活動するモンスター。
食い終えたら、次の獲物を探すだけだ。
ティガレックスはすぐ次の獲物を見つけた。
ホブゴブリンより筋肉質な体を持ったゴブリンチャンピオン。
ゴブリンの匂いは人にとっては確かに臭いが、自然の中で臭みがない生物など存在しない。殺してしまえば肉、胃の中に入れば毒でない限りは養分だ。
どうやらゴブリンたちが人里に降りて略奪するために巣から出てきたらしい。
敵討ちといった概念はゴブリンにはない。
ティガレックスに数を減らされたから、とりあえず数を増やすために女を攫おうとしたのだろう。
ただ、ゴブリンチャンピオンはホブゴブリンのように逃げようとはしなかった。
いや、ゴブリンたちは自分が負けるとは思わない。
穢らしい小さな緑の数は20は超えている。
そして、大柄な自分も居る。
馬鹿な冒険者を何度もその数と巨体で殺して来たのだ。
例え相手が竜もどきでも、この数で一斉に襲いかかれば勝てる、今回も負けるはずがない、さっきはいきなり襲ってきたから驚いただけだと、ゴブリンたちは自分が負けることは思わない。
にったりと粘つくように笑う。
だが、そのあまりにも稚拙な行動、考えは、死で贖うこととなる。
空気を一息飲み込んだ口から放たれる咆哮。
耳を塞いでも鼓膜が破れそうになる轟音は、近くにいたゴブリンたちに行動を一切させない。
そして、轟音に身を竦ませ、動けない相手などカカシ同然。
轟竜の強靭な前足が突き出すようにして地面を抉った。
抉った岩が飛び出て、ゴブリンチャンピオンを吹き飛ばす。臓器、背骨が岩によって破砕されても、上位種はしぶとく、瀕死ではあるもののゴブリンチャンピオンは生きていた。だが、地面に叩きつけられたゴブリンチャンピオンは、起き上がる前にティガレックスが突進して轢き殺す。
それを嘲笑っていたゴブリンたち。
いつもふんぞり返っていた、偉そうに命令していた、ゴブリンチャンピオンが死んだ。いい気味だと、ざまぁみろと笑う。
だが、すぐに嘲笑が止まる。
轟竜の突進が止まらず、ゴブリンたちに向かってきたからだ。
そして、ティガレックスは地面に爪を立て、突進の勢いを殺さず、爪を軸に高速回転。
薙ぎ払われた尾はゴブリンたちにまとめて叩きつける。
吹き飛ばされ、地面や木々に叩きつけられたゴブリンは息をしていない。
そもそも、尾のなぎ払いに当たって生き残っていたゴブリンなど居なく、余波ですら軽々とゴブリンを吹き飛ばした。
吹き飛んだゴブリンも打ち所悪く、起き上がる様子はない。
運良く、巻き込まれなかったゴブリンたちは逃げ出す。
辺りは破壊され、ゴブリンの無残な死体が散らばっている。
まるで敵う物などいないと証明するように、ティガレックスの咆哮が辺りを振動させた。
その光景を茂みから隠れて観察していたゴブリンスレイヤー。
ゴブリンスレイヤーがここに居る理由は単純明快。ゴブリン討伐の依頼があったからだ。
村の偵察をしていたゴブリンを発見し、追いかけ、巣を発見し次第倒す算段をしていた。ところが、ゴブリンたちはあの黄色いトカゲの襲撃を受けた。
さて、本来なら逃げたゴブリンを始末しに行きたいところだが、あの黄色いトカゲが邪魔だ、とゴブリンスレイヤーは思い考える。
ゴブリンが歩いていた、逃げた方向に巣がある。遠回りするか、と思い移動しようとしたその矢先、トカゲがこちらの方を見ている。
「ちっ」
気づかれたかと思った瞬間、黄色いトカゲが飛び掛かって来た。
即座に茂みから飛び出して、襲いかかってきたトカゲの攻撃を回避する。
先程の一方的な蹂躙を見て、自分では歯が立たないだろうと、早々に戦闘を放棄する。
全力で逃げだすゴブリンスレイヤー。
ドドドと押し寄せてくるティガレックス。
人の脚力と竜の豪脚。
直線で走れば、追いつかれるのは目に見えている。
森の中を走って撒こうとしたゴブリンスレイヤー。だが、人ならなんとか通り抜けられる木々の間を力任せに突っ込んで破壊して押し通ってくる黄色いトカゲ。
奴は一度狙った獲物は逃さない。
ゴブリンスレイヤーは全力で走り、逃げようとしていたが、流石に走り続けるスタミナがなくなってきた。
閃光玉はなく、シビレ罠を設置している時間はない。
どんどん近づいてくる音に、逃げ切れない、とゴブリンスレイヤーは思った。
そして、ゴブリンスレイヤーは直線的にではなく横へと曲がる。
ゴブリンスレイヤーを追いかけるために、黄色いトカゲも曲がろうとする。だが、急には曲がれず、そのまま直進していった。
自分を追い抜いていったトカゲが、夜の森に紛れていく。
だが、轟竜は地面に爪を突き立て、ゴブリンスレイヤーに向かって急転身する。
スタミナが無くなってきたゴブリンスレイヤーは、避けられない。
「ぐはっ!」
突進に撥ねられ、宙を舞うゴブリンスレイヤー。
勢いよく地面に叩きつけられ、ゴロゴロと地面を転がった体は、至る箇所で激痛を感じる。
このまま地面に倒れていれば餌として食われてしまう。
サイコロの出目が悪い、という話ではない。
無謀、無茶を通り越しての理不尽。
神様だってこのような事態は予想外で、慌てふためいている。
だからなんだ、とゴブリンスレイヤーは必死で手を動かす。
理不尽なことが昔に起こった。
今も理不尽な目にあってる。
そして、まだ死んでいない。
ならば行動ができる。
血を口から流し、悲鳴を上げる体に鞭を打って、雑嚢の中からいにしえの秘薬を取り出す。
ハンターから物々交換で貰った物だ。
本人からは、プロになると回復薬グレートより秘薬を使って戦闘中に怪我を治すらしい。いにしえの秘薬は催涙弾の交換として貰った。ハンターは秘薬のほうが調合しやすく、持ち込みやすいと言っていたが、ゴブリンスレイヤーはそんなに持ち込んでも雑嚢の中が溢れてしまうと思った。それに話を聞いていたときは疑ったが、そんな強力な薬品を服用しても、悪影響が出ないという。
ゴブリンスレイヤーが持っているヒールポーションでは、完全回復とは行かなく、そのまま力尽きてしまうかもしれない。
だから、力の強い薬を使う。
マスクの隙間から秘薬を零しながらも、口に含む。
すると驚いたことに、体中の激痛が一瞬にして消えた。
体の動きも問題ない。
むしろ、突進を受ける前よりも活力が溢れている。
だが、ゴブリンスレイヤーが多少強化したところで、轟竜は倒せない。
そして、死ななかったゴブリンスレイヤーに再び襲いかかる轟竜。
先ほどと同じく、突進してくる。
ゴブリンスレイヤーは、すぐに逃げ出した。
だが、全力で逃げていても早々に息切れにはならない。普段よりも長く走れる。
木々の間をくぐり抜け、斜面を滑り降り、木の根や岩の段差を跳んで逃げる。
それでも、執拗に追いかけてくる轟竜。
森を抜けるとそこは深い谷となっていた。
谷底の深さを確認している暇はない。
ゴブリンスレイヤーは一気に駆け、崖際から跳ぶ。
反対側の崖上になんとか捕まって這い上がろうとする。
だが、這い上がったとき、轟竜がゴブリンスレイヤーの頭上を飛び越えてきた。
獲物に向き直る轟竜。
轟竜が爪を叩きつけようと腕を振り上げる。
その時、雲はないはずなのに雷が轟竜へと降り注いだ。
ティガレックスはP2からモンハン始めた自分にとっては、トラウマ。
初めて狩るときは、太刀で心臓バクバクしながら、戦って気がする。
もう何年前だろう(´・ω・`)
女魔術師、女魔法使い どっちがいい?
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