ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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3-3「も」が増えたようです

 ハンターは依頼を終え、辺境の街に帰る途中で、ある村に立ち寄った。

「冒険者の方! 助けてくだせぇ!」

 ハンターが村に泊まれるところ、宿か、小屋を探しているところで、村の人が駆け寄ってきた。

 話を聞いてみるとゴブリンが村に近い砦に棲み着いてしまい、村娘が攫われた。助けてほしい。いつもの話だ。

 そんなところにハンターが立ち寄った。

 ハンターは依頼は受ける気でいたが、どうやら他にも依頼を受けたパーティが来たらしい。

 どうするべきだろう、とハンターは考える。

 彼女たちはハンターの参戦など予想していなかっただろう。

 だが、リーダーである自由騎士は「私は構わない」と、言った。

 周りの仲間も問題ないと頷く。

 

 まぁ、救援要請のようなものだと、ハンターは思うことにした。

 

 森の中を進み、見えてきた砦。

 巨大な木の中をくり抜いた砦であり、森人たちが住んでいた所だ。

 森人たちは今は去り、残った砦にゴブリンが棲み着いてしまった。

 森人たちが砦に仕掛けた罠は、面倒なことにゴブリンに利用されている。

 そこでハンターは、奴らの巣に殴り込むより、火でも付けて砦ごと燃やしてしまおうと提案。

「攫われた娘がいるんです。一緒に燃やす気ですか」

 ハンターを睨みつける自由騎士。他のメンバーもハンターを見る目は厳しい。

 だが、言っておくことはある。

「生きていればいいが、たぶん、もう時間がかかり過ぎて、亡くなっている可能性が高い」

「……だとしても、生死の確認、遺品の回収くらいはしなければなりません」

 彼女たちも攫われた娘が五体満足で健康そのもの。暴行も受けていないとは思えない。

 だが、生きているのならば、助けに向かうべき。そういう方針になった。

 

 圃人野伏が砦の罠を解除し、ハンターたちが後を付いていく。

 圃人野伏、ハンター、森人魔術師、自由騎士、女僧侶の順に奥へと進んでいく。

 ゴブリンたちにとって昼間は夜。警戒が強く、見張りや巡回しているゴブリンもいる。

 そういった起きているゴブリンは、ハンターが眠りナイフをスリンガーで発射し、眠らせ、悲鳴を上げることなく殺っていく。

 そうして、ゴブリンの寝床へとたどり着いた。

 ゴブリンはざっと30匹以上。

 寝床の中央に娘が倒れている。

 すぐに駆け寄ろうとした彼女たちだが、ハンターが首後ろを掴み押し留めた。

「ゴブリンを殺してから、確保だ。確保してからゴブリンたちが起きたら面倒だ。娘を守りながら戦うのはキツイだろ」

 ハンターはゴブリンに気づかれないよう、小さな声で、だが、強い口調で言った。

「……ッ」

 彼女たちはハンターを睨みつけたが、大量のゴブリンから娘を守りながら戦うことの難しさを考え、納得した。

 森人魔術師が銘酌(ドランク)を唱える。

 コップ1杯の酒が霧となって、ゴブリンたちの寝床に漂う。

 ゴブリンたちは寝ていたが、更に深い眠りへと落ちていき、刺激を与えない限りは目を覚まさないようになった。

 なので永眠させてあげよう。

 ハンターは双剣で、スパスパとゴブリンを斬っていく。

 自由騎士は剣、圃人野伏は短剣でゴブリンを殺していった。

 女僧侶が娘の無事を確認しようとしたところ、娘が息をしていないこと、娘が細い糸で繋がれていることに気付く。

 女僧侶が首をふることで、娘の生存を否定した。

 それが義憤に駆られ力加減を間違えてしまったのか、殺し続けたせいで武器が血糊で滑ってしまったのか、ゴブリンを殺し損ね、起きてしまった。

 

「GOBU⁉」

「このっ!」

 なんとか、殺し損ねたゴブリンは殺すことができたが、まだ殺していなかったゴブリンたちが起きてしまった。

 それからぞろぞろとゴブリンが起きて、次々押しかけてくる。

「ちっ。目を閉じろ!」

 思わず舌打ちしたハンターは、スリンガーに閃光弾を装填し、地面に向けて発射する。

 閃光はゴブリンたちの目を眩まし、おぼつかない体に太刀で斬りつけたハンター。

 太刀の大きな刀身は、数匹のゴブリンをまとめて斬り飛ばし、絶命させる。

 自由騎士、圃人野伏もそれぞれの武器でゴブリンと戦う。

 しかし、いくらハンターが強くとも対処できる数には限りがある。

 ぞろぞろと無限湧きにも思えるゴブリンは、ハンターがうんざりし、女冒険者達が顔を青くするくらいには多い。

「逃げるぞ!」

 ハンターの言葉に、反対はない。

 逃げる途中、ハンターは毒けむり玉を地面に投げつけ、毒煙が追うゴブリンの鼻や口から入り込み、体を蝕む。

 ゴブリンの体は小さく、走って追いかけてきているので血の巡りも速い。体中に毒が回るのも速く、走っている途中で死ぬゴブリンが続々と出てくる。

 かなりのゴブリンが毒煙を吸ったが、それでも生き残ったゴブリンたち。

 ゴブリンは、他のゴブリンが何体死んだところで、悲しみなどない。むしろ、馬鹿だ、間抜けだと嘲笑う。もしくは、殺した相手をなんて酷い奴だと罵るくらいだろう。自分たちが娘にしたことなど棚に上げて。

 そして、男は殺し、女は嬲る。

 

 しかし、そんな妄想をするゴブリンたちには、少なくともハンターたちを追っていたゴブリンには無理だった。 

 

「足止めの呪文か奇跡って何かあるか⁉」

「私が、聖壁(プロテクション)を張ります!」

 女僧侶が祝詞を唱え、透明な壁が生まれる。

 通路に生まれた透明な壁が、ゴブリンたちの追走を阻止した。

「火をつけろ! ランタンでも、松明でも、よく燃えるだろうよ!」

 火を付けた松明でハンターは、木製の砦に振り回す。自由騎士はランタンを、火が着いたところに投げ、ランタンの中にある油に引火し、燃える勢いが強くなる。

 枯木のような砦は、すぐに火が付き、燃え上がり、火が回る。

 ハンターたちは通路が火で塞いだ後にすぐに逃げる。

 前にいたゴブリンたちは、燃え移った火で焼かれる。もしくは、火に怯え後ろに下がろうとする。

 追って来ていたゴブリンも、前にいるゴブリンが邪魔で立ち止まってしまい、次々と後ろからゴブリンが走って来たので戻ることも難しい。

 大声でゴブリンが叫ぶものの、後方のゴブリンたちは男を殺そうと、女を嬲ろうと興奮気味している。速く速く! 進めよ! と言っているのに進まず、興奮が苛立ちに変わる。

 そして、苛立ちが火の驚きに変わったときは、もう手遅れ。

 煙で息は苦しくなり、ついには息ができなくなる。

 火事のときのおかし。

 押さない。駆けない。喋らない。

 守らないとこうなる。

 

 砦の出口付近まで来たハンターたち。

 しかし、騒ぎを聞きつけて、先回りしたゴブリンたちが待ち構えているはずだ。

「目を閉じろよ!」

 ハンターは装填していた閃光弾を出口外に向けて発射。

 弾けた閃光の後に、目を焼かれたゴブリンたちのギャーギャーと騒ぎ声が出る。

 目が眩んでいるゴブリンたちを、前衛の自由騎士、圃人野伏、ハンターはそれぞれの武器で倒していく。

 

 後ろは燃え盛る砦。

 周りはゴブリンの死体と血で溢れかえっている。

 疲労が溜まった彼女たちは座り込み、返り血を拭ったり、休憩したりする。

 ハンターはゴブリンの残党狩りのために、携帯食料を食べてスタミナを回復した。

「私も……っと」

 立ち上がろうとしたときに、足に力が入らなかったのかふらついてしまう自由騎士。

「リーダー休んでいてください。私が行きます」

 森人魔術師がハンターについてくる。女僧侶はこの場に残り、ゴブリンがこちらに来ても対処できるようにした。

 

 ハンターと森人魔術師は砦の周りを調べ、潜んでいるゴブリンを探す。

 森人魔術師の耳は良く、潜むゴブリンの息遣いを聞き取る。

「あそこだ!」

 森人魔術師が指示した場所に潜んでいたゴブリンが、気づかれたと自暴自棄気味に襲いかかってくる。

 ハンターへは向かわず、与し易そうな森人魔術師へと3匹がかりで。

 3匹、密集して襲いかかったのは、ハンターからすればありがたい。

 奴らは密集して襲えば、例え1匹は死んでも、森人魔術師を組み伏せ、人質にし、ハンターを脅すなり、手を出し辛くするなり考えたのかもしれない。そして、ゴブリンは殺される1匹が自分自身だとは思わない。

 だが、太刀の間合いに入ったゴブリンたちは、横薙ぎで3匹とも真っ二つだ。

 その後も森人魔術師が索敵、ハンターが殲滅で、残党も片付く。

 

 依頼を終え、辺境の街に帰るハンター。

 自由騎士たちも依頼の報告をする。

「助かった。礼を言う。私達になにかできることがあるのなら何でも言ってくれ」

「スケベなことはリーダーに頼むよ」

「なっ⁉」

 圃人野伏のチャチャに、一瞬にして顔を赤くした自由騎士。

 ハンターは早速、彼女たちに農園の手伝いをしてもらうことにした。




タイトルの「も」ですが、火事でしてはいけないことに「おかし」と学校では教えられてました。
お、押さない。
か、駆けない。
し、喋らない。
でも、最近では「おかしも」となり、も、戻らないが追加されたらしいです。

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