ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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3-7 お薬増やしておきますね。

「なんなのよ、もう・・・・・・。訳わからない」

 泣きじゃくる妖精弓手。

 白磁の頃にゴブリン退治の依頼を達成していたとしても、ここまで酷いゴブリンの悪意を見たことはなかったようだ。

 蜥蜴人僧侶が竜牙兵を奇跡によって作り出し、近くのエルフの里へ送り届けた。

 骨で出来た、スケルトンの親戚に見える竜牙兵は、傷ついた森人を抱え走って行った。

 例え、秘薬や奇跡で体の傷が癒えたとしても、心まではどうしようもない。

 1人で薬草を摘んでいるところを襲われたか、この遺跡を探索している間に捕まってしまったか。

 ゴブリンスレイヤーが汚物溜めを漁って、彼女のカバンを見つける。中にはこの遺跡の地図が入っていた。とすると、彼女は冒険者だったのかもしれない。

 ゴブリンスレイヤーは地図を見て、ゴブリンの寝床に見当を付ける。

 その地図、カバンを妖精弓手の前に投げたゴブリンスレイヤー。

「お前が持て。いくぞ」

「ゴブリンスレイヤーさん!もう少し言い方が」

「いいの」

 ぶっきらぼうな言い方に女神官は、さすがに配慮が足りないと思った。

 しかし、妖精弓手は立ち上がって、カバンを拾い上げる。

「行かないと、いけないものね」

「ああ、ゴブリンは殺さねばならん」

 ゴブリン退治はまだ始まったばかりだ。

 

 道中の罠は妖精弓手やゴブリンスレイヤーが見つけ、闇女斥候が解除する。

 巡回しているゴブリンも妖精弓手に射抜かれ、例え仕損じてもゴブリンスレイヤーが飛びかかって即座に倒す。

 問題なく進んでいる中、いよいよゴブリンの寝床近くまで来た。

「あの」

 小休憩を取り、使える呪文、奇跡の回数確認をする。

「飲みますか?」

「ありがと」

 女神官が妖精弓手に水袋を渡す。

 喉を潤すが飲み過ぎるとまずいと思ったのか、ゴブリンスレイヤーが忠告する。

「あまり腹に物を入れるな。血の巡りが悪くなる」

「それに動くと腹が痛くなる」

 乗るようにしてハンターも忠告するが、女神官にはあまり良くなかったようだ。

「もう少し労ってあげてもっ!」

「誤魔化す必要がない」

 ハンターはすまなそうに頭を掻くが、ゴブリンスレイヤーはいつも通り淡々として動じていない。

「行けるのならこい。無理なら戻れ。それだけだ」

「馬鹿言わないで。同胞があんな目にあって黙ってられないわよ。近くには私の故郷だって!」

「そうか。なら行くぞ」

 と、妖精弓手の激昂や心情などどこ吹く風のゴブリンスレイヤー。

 彼らしいと言えば彼らしい。

「落ち着け、耳長の。敵地で騒ぐもんじゃないわい」

「・・・・・・そうね」

 落ち着くために呼吸を整えた妖精弓手。

「鉱人に従うのはシャクだけど、正しい意見ね」

「ほ、調子が戻ったようじゃの」

 先程とは顔色が変わった彼女に続くように、他の者どもが歩き出す。

「ま、頑張ってくれるのなら、こっちは楽ができていい」

「あんたも前に来る!本職の斥候でしょうが!」

 妖精弓手に叱られ、やれやれと前に出た闇女斥候。

「さ、いよいよ大詰めか?」とハンターも続く。

「でしょうな。拙僧も祈祷の準備をしなければ」

 蜥蜴僧侶が奇妙な合掌をして、歩き出す。

「油断大敵じゃぞい」

 鉱人導師が雑囊の中にある触媒を弄りながら進み、女神官は手に持った錫杖に力を込めて続いた。

 

 回廊に突き当たり、吹き抜けた大広間が下にある。

 大広間には沢山のゴブリンが床に寝ていた。少なくとも50はいる。

 ハンターは双眼鏡を使い確認するが、ゴブリンの寝顔など見ていてもなんにもならない。

 周囲を見るが、ハンターは夜目はいい方だが、さて森人や鉱人と比べるとどうだ。

 少なくとも月もない真っ暗闇を見通すことはできない。

「ちょっとグアサング、それ貸して」

 双眼鏡をしまおうとしたところで、妖精弓手が双眼鏡をねだってきた。

 まぁ、暗視持ちの彼女ならなにか見えるかもしれない。

「……奥にも通路があるけど、やっぱ中までは見えないか」

 どうやら、大広間に続いている通路がある。

 ハンターにも通路があることしかわからない。

 通路奥に他のゴブリンがいるのか。

 ともかく、大広間のゴブリンを掃討するのが先だ。

 

 鉱人導師が酩酊(ドランク)を唱え、ゴブリンたちを眠らせる。

 女神官が沈黙(サイレンス)を祈り、音を消し、気付かれ辛くなった。

 そして、下に降りたゴブリンスレイヤー、蜥蜴僧侶、妖精弓手、ハンターがゴブリンを殺す。

 例え、初撃で殺しそこねても、騒ぎ立てる前にやれる。

 呪文の効果が切れても、闇女斥候が上で惰眠(スリープ)を唱える予定だ。

 ハンターは音が出ないことをいいことに、ゴブリンを太刀で一刀両断する。

 鬼人薬を飲み、力の上がった斬撃は、綺麗な断面となっており、一拍遅れて血が吹き出す。

 それを続け、切れ味が鈍くなってくれば砥石を使い、太刀の切れ味を取り戻す。

 寝ているゴブリンに太刀を振り下ろすだけの簡単な仕事である。

 どうせなら爆弾を沢山置いて、一気に吹き飛ばしたい。だが、殺しきれずに衝撃で目を覚ましたゴブリンたちが、群れで襲い掛かってきたら堪ったものじゃない。

 作業のようなものだが、ハンターにとってこのような作業、まぁ、つまらなさはあるものの、苦にはならない。

 なにせ、目につくゴブリンをすべて殺せばクリアだ。

 レア素材を得るために何度もクエストを周回する必要もない。

 お守りを得るために、どれほどブラキディオスを殺ったか。

 装飾品を得るために、どれほどジンオウガを殺したか。

 そして、望んだ結果は得られない。

 次こそは、次こそは、とクエストをやり、だが結果は残念。

 それに比べれば、この程度の殺戮、楽だ。

 ゴブリンが真っ二つになっていくさまは、ハンターにとって爽快感すらある。

 そうしているうちに、大広間のゴブリンたちを殲滅し終えた。

 

 殲滅を確認し、女神官、鉱人導師、闇女斥候が大広間に降りてくる。

 それを確認したゴブリンスレイヤーは、大広間奥の通路へと剣で示す。

 奥に生き残りがいれば、先程までと同じように殺るだけである。

 ずかずかと無造作に歩き出したゴブリンスレイヤーに、他の者達も歩き出す。

 その時、地面が震えた。

 震源の先は、通路の奥からだろう。

 誰もが立ち止まり、警戒する。

 この感覚、ハンターには覚えがあり、即座にポーチからいろいろなアイテムを使用する。

 ずん、ずん、と巨体が動く音だ。段々とこちらに近づいてくる。

 つまり大型モンスターとの戦闘。

 その前に、万全な状態にする。

 怪力の種を食べ、鬼人の粉塵を撒く。

 戦闘前のバフは、こっちでもあっちでも常識だ。

 ついでとばかりに、閃光弾をスリンガーにセットする。

 ハンターの様子を見て、ゴブリンスレイヤーも同じように赤い種と薬を兜の隙間から飲み込み、会心の刃薬を使う。一瞬燃え上がり、よくよく見れば淡く赤い光が灯っている。

 そして、ついに通路の奥の暗闇から姿を現す。

 頭に角が生えた灰色の巨体。軽くハンターの身長を2倍は超え、まさしく巨人だ。

 手にはその巨体にあった長さの戦鎚。金色の瞳は闇の中でも分かりやすい。

 そして、2体の巨人は口を開いた。

「ゴブリンどもがやけに静かだと思えば、雑兵の役にも立たんか」

「我ら兄弟の砦と知っての狼藉と見た」

 4つの目からの殺気が突き刺さる。

 冒険者たちに緊張が走り、頬に汗が流れた。

 オーガ。人食い鬼とも呼ばれるモンスター。

 強固な盾と鎧を身にまとった騎士が、オーガの一撃で盾と鎧ごと潰され圧死する。

 優秀な魔術師の放った魔術が、オーガの魔術に敗れ死んだ。

 そんな凶悪な奴が2体もいる。

 普通に考えれば、銀等級が5人、鋼鉄が1人、白磁が1人の一党では、絶望的な状況。

 そんな中、いつも通りの奴らがいた。

「……なんだ。ゴブリンではないのか」と、ゴブリンスレイヤーは淡々と言い。

「ゴブリン亜種とかじゃねぇの?」と、ハンターは疑問にした。

 その疑問に律儀に、しかし、面倒臭そうに返答するゴブリンスレイヤー。

「あのようなゴブリンなどいてたまるか」

 2人が話す中、全員が2人を見ていた。

「オーガよ!あなた達知らないの⁉」

 妖精弓手が信じられないと叫びながら、しかし、2人の答えは冒険者としてはありえない返答をする。

「知らん」

「知らない」

 その言葉に我慢ならなかったのか、オーガは怒鳴る。

「貴様ら!魔神将より軍を預かる我らを愚弄するか!」

「我らを見てゴブリンだと⁉貴様らは、我らをゴブリンごときと同じだとでも思っているのか‼」

 彼らの望んだ答えは何だったのだろうか。

「貴様も、魔神将とやらも知らん」

「軍って……ゴブリンしか見なかったんだけど?」

 少なくとも、2人の口から出た言葉ではない。

「「貴様らは殺す‼」」

 頭に血が上っていたとしても、戦い方は忘れていない。

 1体が前に出て前衛をして、後方のオーガは手を突き出し、呪文を唱えようとする。

 だが、敵に呪文を使わせてやるほど、優しくはないハンター。

 スリンガーに装填されている閃光弾を放ち、オーガたちの目を晦ます。

 そして、その辺に落ちている石ころをスリンガーに装填し、鉤爪、クラッチクローを前衛オーガの頭を狙って放つ。

「ちぃ、ちょこざい――ながっ⁉」

 強烈な光に目を焼かれ、視力を失った前衛のオーガは、頬に何かが張り付くのを感じる。その直後、強力な力で2回殴られた衝撃で体が後ろを向き、眼球に何かをねじ込み、撃たれた。

「ぐがぁああ、あが⁉」

「ぐぅお⁉」

 あまりの痛みと衝撃をくらい、ぶっ飛ばされ、走り出した前衛のオーガ。

 そして、後衛にいたオーガにぶつかる。

 オーガたちは転倒し、起き上がろうとするも、頭をぶつけたのか上手く起き上がれない。

 

 あまりの光景に一瞬ぽかんと呆けた冒険者達だが、2人は即座に倒れたオーガへと向かい、続いて動き出す冒険者たち。

 ハンターは倒れたオーガの脳天に、先程ゴブリンたちを斬ったときに生まれた練気を使い、太刀に気を纏わせた気刃斬りで斬りまくる。

 ゴブリンスレイヤーは後方のオーガに襲いかかる。硬い皮膚を持つはずのオーガに深々と剣で切り裂くことができるのは、先程摂取した種や薬品によるものだ。

 蜥蜴僧侶、妖精弓手、闇女斥候も粉塵による恩恵を受けており、いつもよりも攻撃が強くなっているのを感じる。

「あ、に、じゃ……」

 と、ハンターが斬りつけていたオーガは、そんな言葉を残し、絶命する。

 すると同時に、転倒から復帰する後衛のオーガ。

「離れろ!雑兵ども…が」

 起き上がり、手を振り払い、攻撃していたゴブリンスレイヤーと蜥蜴僧侶を遠ざける。

 離れる際、ゴブリンスレイヤーは地面にシビレ罠を設置する。

 そして、閃光弾による失明から回復し、見たのは弟オーガの死体。

「貴様ら!貴様ら‼許さん!殺してやる!殺してやるぞ‼」

 ダメージによる怒り移行ではなく、弟を殺されたことに対する怒りがオーガを強くした。

 が、注意力がなくなり、足元をお留守にした。

 シビレ罠を踏んだオーガは、全身に電流が走り、動けなくなる。

 そのチャンスは逃さない。

 ハンターは、兜割りでオーガの頭上へと飛び上がり、動けないオーガの頭から地面に向けて太刀を振り下ろす。

 一拍の後、滝のように流れ出した血。

 ゆっくりと後ろに倒れるオーガ。

 倒れたときに地面が揺れ、一瞬だけ静寂が辺りを包んだ。

 物言わぬ死体となったオーガたち。

「まぁ、なんと言ったか」

 死した者を貶めようとも、罵ろうとも思っていない。

 ただ、自身にとって、思ったことを口にしているだけだ。

「お前らなんぞよりも」

 倒したオーガにナイフを突き立て、角や爪、眼球、皮を剥ぎ取り、解体していくハンターを見ながらゴブリンスレイヤーは呟いた。

「奴の方がやばい」

 女神官が引きつった顔で苦笑し、他の面々は頷いていた。

 

 通路の奥も確認するが、オーガたちがいたと思われる一室には何もない。

 見るものは見たと、遺跡の入り口へと戻った。

 そこには森人の戦士が馬車を用意している。

「お疲れさまでした!中の様子、ゴブリンどもはどうなりましたか?」

「ゴブリンは倒した。オー……いや、すべて殺したと思うが、入るなら油断はするな」

「ええ、分かりました。どうぞ、街まではゆっくりお休みください」

 森人の戦士はそう言って、遺跡の中へ。

 冒険者たちが全員馬車に乗り、走り出す。

 そんな中、妖精弓手は女神官に聞く。

「ねぇ、いつもこんなことばっかりやってるの?」

「えっと、まぁ、ゴブリンスレイヤーさんは……そうですね。ハンターさんも」

 困った顔で笑う女神官。

「そっか」

 これは冒険だったのだろうか、と考える妖精弓手。

 遺跡の探索は、まぁ、冒険だ。

 ゴブリンを眠らせて、寝込みを襲うのは……、うん、違う。少なくとも冒険とは思えない。

 その後のオーガ2体には震え上がった。ただ、速攻で倒せたのはグアサングのおかげだ。

 そして、遺跡の最奥には宝箱があるのが定番なのだが、何もなかった。

 妖精弓手の冒険採点の結果が出る。

「冒険じゃないわよね。これは、うん」

 だから、妖精弓手は、いつか、こいつらに冒険をさせてやろうと決めた。




自然 怪力の種+鬼人薬+鬼人の粉塵。
 10+5+10=25
 つまり攻撃点に25の加算だ! 会心の刃薬で更にダメージボーナス!
神々 ちょっと待てぇ‼

TRPGで25も加算されたら、人間やめてますよね。実際は2+1+2=5程度でしょうか。

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