ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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 女魔術師、女魔法使いの音の拡張魔法は、弟さんも使っていたし、彼女でも使えると思っています。

 アンケートなのですが、女魔法使い、女魔術師でどう呼ぶべきか悩んでいます。
 多分最初、女魔法使いなのですが、今は女魔術師にするべきじゃないかと思い、ご迷惑と思います。フラフラしていてすいません。


開幕1-2 怪鳥パニック

 村の宿を出て辺境の街を目指して歩く4人。

 道は森が近いので、木々の日陰を歩くようにしている。

 夏が近くなっているのか、少しづつ暑くなっていく。

 少しでも涼しい道を歩きたいのは全員の意見だ。

 もしかしたら、峠の神様に捕まって死んでしまうかもしれない。

「故郷のじいちゃんに聞いた話だけど」

「学園……王都のほうじゃ熱中症って言われていたわ」

 そんな会話をしながら、歩いていると1匹の蝶が道を横切る。

 1匹の蝶は逃げるようにして、そのまま空へと飛び去った。

 次に道に飛び出てきたのは、大きな鳥だった。

 大きな丸っこい黄色いクチバシ、まん丸な瞳、しかし、羽毛ではなく桃色の甲羅が体を覆っている。

 大きな翼や鳥のような足。

 青年剣士は怪鳥と呼ばれるモンスターの類だと思った。

 それ以上は何かわからない。このパーティでは知恵者の女魔術師も、怪鳥がどのような名をもつのか、わからないだろう。

 蝶を追っていたのか、怪鳥は道に出たときに辺りを見回す。

 そして、4人が視界に入る。

 ぎょ、っと驚いたのか飛び上がった怪鳥。

 クェェエエエ!と吠えた。

 そして、翼を広げ、背をピンと伸ばし、こちらに向かって来る。

「逃げろぉおお⁉」

 4人は突進してくる怪鳥に対して横に避ける。

 突撃を避けることはできたが、4人を走り過ぎた怪鳥は振り返る。

 そして、女武闘家に対して、口から何かを吐き出してきた。

 女武闘家はすぐに飛び退く。

 彼女の先程いた場所に、怪鳥が吐き出した可燃液が地面にぶち撒かれる。

 ボンッと火柱が上がる。

「火なんて吐く怪鳥なんているの⁉」

「どうしようもなく、目の前にいるわよ!」

 想定外のエンカウントに浮き足立ってしまう。

 だが、逃げるにしても相手が追ってくるだけだ。気を削いで追撃をやめさせるか、隙をつくって逃げ出すかしないといけない。

「この!」

 女武闘家が矢のように飛び出し、怪鳥の腹に硬い拳で殴る。

 熟年者の格闘家の拳は岩をも砕くという。

 女武闘家はその域には到達していない。だが、人にその拳を振るえば容易に骨を砕く。鎧の上から殴ろうとも痛撃になり、衝撃で息ができなくなる。

 そのくらいには、武闘家として、腕を磨いた。

 怪鳥も鱗や甲羅で身を固めている。生半可な攻撃では弾かれ、痛痒にならない。

 しかし、女武闘家の拳は怪鳥の鱗に弾かれず、打撃となる。

 拳から伝わる手応えは確かにダメージを与えた。

 が、巨大鼠や巨大Gとは比べ物にならない体力を怪鳥は持っている。

 怪鳥は痛みに耐えながら、女武闘家を叩き出そうと回転した。

 遠心力に任せ振るわれた、鞭のごとくしなった怪鳥の尾。

「うわっ」

 声を上げた女武闘家だが、振るわれた尾に潜り込むようにして回避する。

「この野郎!」

 青年剣士がゴブリンから奪った槍を投げる。

 力強く投げられた槍は、丸い扇のような耳に刺さった。

 敏感なところだった故か、怪鳥は怯む。そして、槍を投げた青年剣士に向かって突撃してくる。

 先程のように翼を広げながらではなく、猛ダッシュでだ。

「ひぃぃ⁉」

 即座に横へと転がり、難を逃れた。

 怪鳥の方を見れば、木にぶつかったのか、その木はベキベキと音を立てて折れる。

 あんな攻撃くらったら、ひとたまりもない。

 怪鳥の方は、再度猛ダッシュで青年剣士に襲いかかってくる。

「いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らを、どうか大地の御力でお守りください!」

 女神官が祈祷し聖壁(プロテクション)を生み出す。

 青年剣士の目の前に半透明の壁が生まれる。

 突然現れた壁にぶつかった怪鳥は、弾かれ、何が起きたのか困惑している。

 しかし、目の前に壁があることがわかったのか、壊そうと躍起になり、クチバシで連続して突く。

 ピキッと聖壁にヒビが入り始めた。

 聖壁を維持するのに、女神官は精一杯。

 女武闘家の攻撃では、倒すのにどのくらい時間がかかるか。

 女魔術師の魔法も、当たってもそんなにダメージにならないと思った。

 彼女の得意な攻撃魔法は火矢で、あの怪鳥は火を吹いた。

 火に慣れている怪物に火を当てたところで、効果はいまいちだ。

 わかっているのは、怪鳥にとって耳が弱点ということだ。投げ槍で怯んだから間違いない。

 耳、……つまり音が弱点?

「大きな音を出してくれ!」

成長(クレスクント)成長(クレスクント)成長(クレスクント)!」

 不可視の力場が女魔術師の前に構築される。

「わぁあ‼」っと、その力場に向かって女魔術師が大声で叫ぶ。

 その声は増幅し、振動となって大気を震わせる。

 4人は両手に耳を当て、それでも声は耳を痺れさせる。

 手が翼の怪鳥は、耳を防ぐことができない。敏感な耳に爆音が直撃した。

 ふらふらと怪鳥の体が揺れる。

 目論見は成功。

 隙だらけの怪鳥だったが、こちらには有効な攻撃手段がない。

 なので、やることは一つ。

「逃げろぉおお!」

 青年剣士は声を上げて逃げ出した。

 女性3人も青年剣士を追うように全力で走る。

 男子としては、女子に追われるという夢見た展開。だが、こんな命の危機に軽口を叩く余裕はない。

 一心不乱に、全力前進。

 最低限、転んだような悲鳴は聞こえないので大丈夫だ。

 数秒後、怪鳥の怒りの咆哮がかすかに聞こえた。だが、もうすでに戦闘を離脱できた。少なくとも、追ってくるような足音は聞こえないので、見失ったと思う。

 この中では女魔術師が一番体力がなかった。

 それで、彼女の足がもつれ転んだところで、他全員が足を止める。

 息は絶え絶え、汗はだくだく、おまけに足は重い。

「あ、危なかったぁ」

「ゴブリン退治で、なんであんなの出てくるのよ」

「こうも、想定外の遭遇が多いと、骰子の眼がどうなっているのか気になります」

「まったくだ」

 女神官の場合は、ゴブリン退治でオーガとの遭遇だ。

 非常に運が悪い。

 いや、生きているのなら運がいいのだろうか。

「まぁ、なんとかなったから、成長してるよ。うん。倒せたら文句ないけどさ」

「じゃあ、戻ってみる?」

「ごめん。勘弁して」

 全力で走って、もうヘトヘトだ。

 いつか倒す、と決めはするが、今じゃない。

 今の青年剣士は、まだ初心者だ。

 そのいつかが来る日までは、装備を整え、鍛えるしかない。

 ゴブリン退治は終わり、次は怪鳥退治へと目標を決めた青年剣士だった。




 初心者相手ならやっぱクック先生。
 ただし、ハンター共にとっては序盤の金策相手。
 最初の相手はドスランポス(ドス系統)だろ、という異論は認めます。
 ただし、リオレウス、ティガレックス。てめぇらはトラウマだ。

女魔術師、女魔法使い どっちがいい?

  • 女魔術師
  • 女魔法使い

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