アンケートなのですが、女魔法使い、女魔術師でどう呼ぶべきか悩んでいます。
多分最初、女魔法使いなのですが、今は女魔術師にするべきじゃないかと思い、ご迷惑と思います。フラフラしていてすいません。
村の宿を出て辺境の街を目指して歩く4人。
道は森が近いので、木々の日陰を歩くようにしている。
夏が近くなっているのか、少しづつ暑くなっていく。
少しでも涼しい道を歩きたいのは全員の意見だ。
もしかしたら、峠の神様に捕まって死んでしまうかもしれない。
「故郷のじいちゃんに聞いた話だけど」
「学園……王都のほうじゃ熱中症って言われていたわ」
そんな会話をしながら、歩いていると1匹の蝶が道を横切る。
1匹の蝶は逃げるようにして、そのまま空へと飛び去った。
次に道に飛び出てきたのは、大きな鳥だった。
大きな丸っこい黄色いクチバシ、まん丸な瞳、しかし、羽毛ではなく桃色の甲羅が体を覆っている。
大きな翼や鳥のような足。
青年剣士は怪鳥と呼ばれるモンスターの類だと思った。
それ以上は何かわからない。このパーティでは知恵者の女魔術師も、怪鳥がどのような名をもつのか、わからないだろう。
蝶を追っていたのか、怪鳥は道に出たときに辺りを見回す。
そして、4人が視界に入る。
ぎょ、っと驚いたのか飛び上がった怪鳥。
クェェエエエ!と吠えた。
そして、翼を広げ、背をピンと伸ばし、こちらに向かって来る。
「逃げろぉおお⁉」
4人は突進してくる怪鳥に対して横に避ける。
突撃を避けることはできたが、4人を走り過ぎた怪鳥は振り返る。
そして、女武闘家に対して、口から何かを吐き出してきた。
女武闘家はすぐに飛び退く。
彼女の先程いた場所に、怪鳥が吐き出した可燃液が地面にぶち撒かれる。
ボンッと火柱が上がる。
「火なんて吐く怪鳥なんているの⁉」
「どうしようもなく、目の前にいるわよ!」
想定外のエンカウントに浮き足立ってしまう。
だが、逃げるにしても相手が追ってくるだけだ。気を削いで追撃をやめさせるか、隙をつくって逃げ出すかしないといけない。
「この!」
女武闘家が矢のように飛び出し、怪鳥の腹に硬い拳で殴る。
熟年者の格闘家の拳は岩をも砕くという。
女武闘家はその域には到達していない。だが、人にその拳を振るえば容易に骨を砕く。鎧の上から殴ろうとも痛撃になり、衝撃で息ができなくなる。
そのくらいには、武闘家として、腕を磨いた。
怪鳥も鱗や甲羅で身を固めている。生半可な攻撃では弾かれ、痛痒にならない。
しかし、女武闘家の拳は怪鳥の鱗に弾かれず、打撃となる。
拳から伝わる手応えは確かにダメージを与えた。
が、巨大鼠や巨大Gとは比べ物にならない体力を怪鳥は持っている。
怪鳥は痛みに耐えながら、女武闘家を叩き出そうと回転した。
遠心力に任せ振るわれた、鞭のごとくしなった怪鳥の尾。
「うわっ」
声を上げた女武闘家だが、振るわれた尾に潜り込むようにして回避する。
「この野郎!」
青年剣士がゴブリンから奪った槍を投げる。
力強く投げられた槍は、丸い扇のような耳に刺さった。
敏感なところだった故か、怪鳥は怯む。そして、槍を投げた青年剣士に向かって突撃してくる。
先程のように翼を広げながらではなく、猛ダッシュでだ。
「ひぃぃ⁉」
即座に横へと転がり、難を逃れた。
怪鳥の方を見れば、木にぶつかったのか、その木はベキベキと音を立てて折れる。
あんな攻撃くらったら、ひとたまりもない。
怪鳥の方は、再度猛ダッシュで青年剣士に襲いかかってくる。
「いと慈悲深き地母神よ、か弱き我らを、どうか大地の御力でお守りください!」
女神官が祈祷し
青年剣士の目の前に半透明の壁が生まれる。
突然現れた壁にぶつかった怪鳥は、弾かれ、何が起きたのか困惑している。
しかし、目の前に壁があることがわかったのか、壊そうと躍起になり、クチバシで連続して突く。
ピキッと聖壁にヒビが入り始めた。
聖壁を維持するのに、女神官は精一杯。
女武闘家の攻撃では、倒すのにどのくらい時間がかかるか。
女魔術師の魔法も、当たってもそんなにダメージにならないと思った。
彼女の得意な攻撃魔法は火矢で、あの怪鳥は火を吹いた。
火に慣れている怪物に火を当てたところで、効果はいまいちだ。
わかっているのは、怪鳥にとって耳が弱点ということだ。投げ槍で怯んだから間違いない。
耳、……つまり音が弱点?
「大きな音を出してくれ!」
「
不可視の力場が女魔術師の前に構築される。
「わぁあ‼」っと、その力場に向かって女魔術師が大声で叫ぶ。
その声は増幅し、振動となって大気を震わせる。
4人は両手に耳を当て、それでも声は耳を痺れさせる。
手が翼の怪鳥は、耳を防ぐことができない。敏感な耳に爆音が直撃した。
ふらふらと怪鳥の体が揺れる。
目論見は成功。
隙だらけの怪鳥だったが、こちらには有効な攻撃手段がない。
なので、やることは一つ。
「逃げろぉおお!」
青年剣士は声を上げて逃げ出した。
女性3人も青年剣士を追うように全力で走る。
男子としては、女子に追われるという夢見た展開。だが、こんな命の危機に軽口を叩く余裕はない。
一心不乱に、全力前進。
最低限、転んだような悲鳴は聞こえないので大丈夫だ。
数秒後、怪鳥の怒りの咆哮がかすかに聞こえた。だが、もうすでに戦闘を離脱できた。少なくとも、追ってくるような足音は聞こえないので、見失ったと思う。
この中では女魔術師が一番体力がなかった。
それで、彼女の足がもつれ転んだところで、他全員が足を止める。
息は絶え絶え、汗はだくだく、おまけに足は重い。
「あ、危なかったぁ」
「ゴブリン退治で、なんであんなの出てくるのよ」
「こうも、想定外の遭遇が多いと、骰子の眼がどうなっているのか気になります」
「まったくだ」
女神官の場合は、ゴブリン退治でオーガとの遭遇だ。
非常に運が悪い。
いや、生きているのなら運がいいのだろうか。
「まぁ、なんとかなったから、成長してるよ。うん。倒せたら文句ないけどさ」
「じゃあ、戻ってみる?」
「ごめん。勘弁して」
全力で走って、もうヘトヘトだ。
いつか倒す、と決めはするが、今じゃない。
今の青年剣士は、まだ初心者だ。
そのいつかが来る日までは、装備を整え、鍛えるしかない。
ゴブリン退治は終わり、次は怪鳥退治へと目標を決めた青年剣士だった。
初心者相手ならやっぱクック先生。
ただし、ハンター共にとっては序盤の金策相手。
最初の相手はドスランポス(ドス系統)だろ、という異論は認めます。
ただし、リオレウス、ティガレックス。てめぇらはトラウマだ。
女魔術師、女魔法使い どっちがいい?
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女魔術師
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女魔法使い