ゴブリンスレイヤーとモンスターハンター   作:中二ばっか

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IPADのアプリで書いていたら、操作ミスって全部選択からの切り取りで全削除。
やる気を削がれていました。


4-1 フライングスタート

 ゴブリン退治の依頼についてきたハンターと闇女斥候。

 ハンターとしては、暇だから依頼をこなすだけだ。他にも商人の護衛依頼や他の遺跡の調査依頼、盗まれた物を取り返す依頼などなど、冒険者ギルドの掲示板に貼られている。そう言った依頼に興味はあるし、怪物退治しかできないわけでもない。

 しかし、農園の手伝いで遅れて冒険者ギルドに来れば、掲示板に貼られているのは残り物のゴブリン退治の依頼。それに見知り合いなら別に問題もない。気楽に(でも気は抜かず)一狩り行こうぜ!と言った具合だ。

 闇女斥候としては、ゴブリン退治は遠慮したかった。ゴブリンは数が多く、面倒で、報酬は安く、おまけに臭い。嫌なことに女が負けるとどうなるか、前回そうなった森人の女を見て嫌になるくらい知った。闇人だから寝返ろうか。いや、負ける気などさらさらないし、ゴブリン相手に尻尾を振るなど嫌だ。

 そんなゴブリンが未探索の遺跡に住みついた。

 忘れ去られた遺跡だ。つまり、お宝が眠っているかもしれない。いや、寝ている。そう思うことにする。寝ていなかったら、寝ていなかっただけだ。

 それでゴブリンが怖いから無視する?そんなことをするのなら冒険者になどなっていない。

 遺跡のゴブリンを片付け、お宝を頂戴するのだ。

「冒険なら遺跡に入って怪物どもを片付け、お宝を漁って街に凱旋が基本だ」

「そうか」

「お前は遺跡で宝箱なり何なり見つけようとしたことはないのか」

 淡々と切り捨てるような言い方をするゴブリンスレイヤー。その返答が気に入らなかったのか、不機嫌な顔をする闇女斥候。しかし、ふと思い出したかのように彼は続ける。

「……だいぶ前に、指輪を見つけた」

「そうだろ!」

「ゴブリンどもの肥溜からだが、呼吸の指輪だ。重宝している」

「……そうか」

 続いた言葉に闇女斥候は、微妙な顔をする。

 宝箱からとか、金貨の山からとかではなく、肥溜。そんなところを調べる気に闇女斥候はなれない。

 それに見つけたのも呼吸の指輪。まぁ、何もないよりはマシであるが、もうちょっといいものが欲しいという欲がある。

「よくそんなところを探そうと思ったな」

「ゴブリンが潜んでいればことだ」

 もう頭が痛い。闇女斥候は頭に手を当てる。

「オルクボルグは、本当にゴブリンばっかね!」

 ゴブリン退治に文句があるのか、プリプリしている妖精弓手。

「かみきり丸にゃ、当然のことじゃろうに」

 そんな妖精弓手の様子に、笑いを噛みしめる鉱人道士。

「小鬼殺し殿が竜や悪魔と戦うのならば、名前を変える必要がありますな」

 蜥蜴僧侶は顎に手を当てながら、グルンと大きな目でゴブリンスレイヤーを見ている。

「それは俺にも言っている?」

 ハンターは聞いてみる。もしかしたら、ハンターは今日からゴブリンスレイヤーを名乗ることになるのだろうか?

「いやいや。竜殺し殿がゴブリンを退治する。奇妙ではありますが、それほどおかしな事でもないでしょうや。混沌側の竜がゴブリンを従えていると聞くこともあります故」

「……面倒だな」

 蜥蜴僧侶の言葉を聞いていたらしく、ゴブリンスレイヤーはゴブリンを従えるドラゴンと戦う状況を考えたようだ。

「まぁ、ドラゴンが出たら嚙尾刀に回せばいいじゃろ。かみきり丸は小鬼をやりゃいい。分担がわかりやすくていいじゃろ」

「楽観的というか、大雑把というか」

「じゃあ何か、ドラゴンスレイヤーにゴブリンを相手にさせて、ゴブリンスレイヤーにドラゴンと戦わせるのか?」

 それこそない。

 ゴブリンを殺るのにゴブリンスレイヤーほど上手い奴もいない。ドラゴンを倒すのにハンターほど戦える者もそういない。

「森人は繊細なのよ」

「繊細すぎて、壊れたら元も子もねぇよ」

 彼らの軽口がそのまま続く前に、遺跡の近くへとたどり着いた。

 

 森林の遺跡。

 

 ゴブリンが潜む森林の遺跡へとやってきた一行。

 森林に囲まれた遺跡は、長年放置され続け、石壁は所々崩れ、植物の蔦が張られている。

 何のために作られたのか、誰が住んでいたのか。今となっては誰の記憶にもない。

 そんな忘れ去られた遺跡に、ゴブリンたちが棲みついた。

 近くに住む狩人が、ゴブリンの足跡を大量に見つけ、住んでいる村の長に報告し、冒険者を雇う流れになり、ゴブリンスレイヤーのところに依頼がきた。

 

 近くの茂みから遺跡を覗く。

 遺跡の入り口にはゴブリンの見張りが1匹。

 見張りのゴブリンを、妖精弓手の狙撃で手早く片付けた。

 ゴブリンスレイヤーは射抜いたゴブリンに寄る。

 ナイフを取り出し、ゴブリンの腹わたを掻き出そうとして――

「おい、私は臭い袋を持っているからな」

「私だって今回は買ってきたわよ。だからアレは止めなさい!」

「そうか」

 2人の女性の言葉に、ナイフを戻した。

 失敗を活かせずして、銀等級になれるはずもない。

 女性たちはゴブリンの臓物を浴びることなく、一行は遺跡へと入っていく。

 

 珍しいことに遺跡にこれといった罠はなく、されど罠がないからと安心はできない。

 遺跡の一室。

 そこに来るまでに、道中のゴブリンは倒している。

 ゴブリンスレイヤーが数えた数字は10を超えていた。

 それでも尽きぬゴブリンの数。

「18」

 淡々とした数字を言い、同時にゴブリンの断末魔が響く。

 最初に持っていた中途半端な剣は、すでに使い物にならなくなっており、今はゴブリンから奪った剣で戦っている。

 それも、脳天に突き刺したあと、そのままにしている。次々と死んだゴブリンの落とした武器を拾って、ゴブリンを死骸へと変えていくゴブリンスレイヤー。

「えっと、これで何体目だ?」

 ハンターは太刀を振るい、ゴブリンたちを屠っていく。途中までゴブリンスレイヤーのように数えていたが、沢山倒したので数が分からなくなってきた。

 彼の周辺は、血溜まりと大小様々なゴブリンの肉片で溢れている。

 ホブなどの大物も一刀両断。しぶとく生き残っても、切り返した斬撃で容易く倒していく。

「沢山でええじゃろ」

 そう言いながら、鉱人道士がスリングで石を投げ、ゴブリンの頭蓋を潰す。

 鉱人は重鎧を着て、戦斧や大盾で前線で戦うといったイメージがある。しかし、彼は一般的な戦士にならず、術を使うことを選んだ。

 それは個々の自由であるし、それで銀等級まで上り詰めたのだから凄いと思うハンター。

 新しい武器種が出たからといって、試しに使ってみる。そして、いつもの太刀に戻った。

 そして、その太刀も使いこなせているかというと、使えていないと思う。

 少なくとも、実力に見合った敵と武器で戦い、太刀で5分針はできない。10分針がいいところだ。

 極めるというのは本当に難しい。

「私だって沢山よ!」

 妖精弓手も弓矢でゴブリンを射抜く。矢が貫通し、後ろのゴブリンの頭を撃つ。先ほどから寸分違わず、ゴブリンにヘッドショットをかましているので、そういう意味では妖精弓手は弓を極めていると思う。

 そんなことを言えば調子に乗るだろうから、言わないが。

「張り合っても、あいつらよりはやってないだろ」

「競争は修練の度合いを高めます故、いいことではありましょうや」

 闇女斥候、蜥蜴僧侶は気を抜かず、何かあれば呪文、奇跡の準備をして、戦況を見極めている。

 それなりにちゃんとしたパーティであった。

 

 そんなパーティでもゴブリンが多々襲い掛かれば、疲労する。

 すでにゴブリンの死体は30を超えているだろう。

 新人では荷が重い。

 それに加えホブもいる。

 ここに来るまでにトーテムがなかったのでシャーマンはいない。

「奥から何かくる!」

 耳が良い妖精弓手が喚起する。

 ドシドシと音を出しながらこちらに向かってくる足音は、気配を隠す気はない。

 ホブかと一瞬思ったが、松明の明かりで照らされる体つきはホブの物ではなかった。

 ギョロリとした黄色い目、歯並びが悪い牙、緑色の肌はゴブリンのそれだが、ムキムキと発達した筋肉と小さな巨人かと思うほどの背丈は、小鬼とは呼べない。

「ゴブリンチャンピオン」

 ゴブリンスレイヤーがその怪物の名を言う。

 その怪物は嫌らしく笑う。

 脳裏ではどんなおぞましいことを考えているのか。

 色違いのメスが2匹。どう遊んで犯そうか考えてる気がして、鳥肌が立った気がする闇女斥候と妖精弓手。

 そして、手に持つ巨大棍棒を邪魔で弱そうな戦士に振り下ろす。

 ゴブリンスレイヤーは、迫る棍棒を飛び退けて回避する。

 剛力で振るわれた棍棒は床を砕く、事すらなかった。

アルマ(武器)……フギオ(逃亡)……アーミッティウス(喪失)

 闇女斥候の無手の呪文。

 攻撃と同時に、ゴブリンチャンピオンの手から巨大棍棒がすっぽ抜けた。

 回避に成功したゴブリンスレイヤーは、無理に戦わず周辺にいる普通のゴブリンたちを殺しにいく。

 何せ、自分よりも戦士として技量の高い者がいる。

 ハンターは太刀を鞘に戻し、いつもは背中に背負っている鞘を腰に持ってきて、抜刀の構えをする。

 特殊納刀と呼ばれる構え。

 即座に抜き放たれた太刀は一瞬で斬り上がり、ゴブリンチャンピオンの腕を切り落とす。

 ゴブリンチャンピオンが怒号を鳴らすか、悲鳴を上げるかする前に、続く2撃目が脳天から振り下ろされた。

 それで普通なら死んだとも思えるが、上位種は無駄にしぶとい。

 傷口から溢れる血はかなり多いが、それでも動くゴブリンチャンピオン。

 残った片手で殴ろうとしてくる。

 だが、ハンターの太刀は流れるように動き、殴ってきた腕を気が練られた刃で切り落とす。

 ゴブリンチャンピオンに残った選択肢は牙で噛み殺す、足で蹴り殺すぐらいだ。

 しかし、ゴブリンチャンピオンが行動を起こす前に、ハンターの太刀はすでに振るわれている。

 足を切断されるも、倒れる前に首から上が胴体とさよなら。頭が地面に接触する前に、胴体が輪切りになる。

 ゴブリンチャンピオンは力が強く、経験を積み、技量もあった。銀等級の冒険者とも戦える。もしかすれば、銀等級の冒険者を倒すこともできたかもしれない。

 されど、ゴブリンチャンピオンが敵対したのは、龍をも狩るハンターという存在。

 前のように、不意をつく矮小なゴブリンは、ゴブリンスレイヤーや他の者が片付けている最中だ。

 例え、ゴブリンスレイヤーが初撃で怪我を負っても、他の者が助けに入った。

 断末魔を上げる事すらなく、体をバラバラにされたゴブリンチャンピオン。

 今まで運よく遺跡で生き残っている他のゴブリンも同じ末路を辿る、と思ったのだろう。

 ゴブリンチャンピオンが斬殺されると同時に逃げようとする。

 しかし、逃げるにも妖精弓手の矢が脳天を射抜き、鉱人道士のスリング投石が頭蓋を砕く。

 ゴブリンが冒険者に容赦しないように、少なくともこのパーティの冒険者はゴブリンに容赦しない。

 ゴブリンスレイヤーもスリンガーともう片手による投擲で、投げナイフをゴブリンの喉、後頭部に正確な致命傷を与える。

 それでも逃げるゴブリンは多い。

 ふと、ハンターはゴブリンチャンピオンが落とした巨大棍棒を拾い上げる。そして、力強くぐるりと腰を捻り、棍棒をぶん投げる。

 ぐるぐると回りながら飛ぶ棍棒は、ゴブリンたちの背後から襲いかかる。

 技量などなくともその大きさと力で、高い命中率と威力を誇る投擲。

 当たればゴブリンを跳ね飛ばし、巻き込まれれば挽肉へと変え、クリティカルなら頭が潰れる。

 そんな凶悪な兵器だ。城攻めに使われる投擲機の大岩をゴブリンに使ったような気分。

 いや、物理的な暴嵐か。

 ともかく、人間がしてはいけないような攻撃方法だ。

 壁の奥に突き当たり止まるまで、物理的な地獄を作り上げた。

「力自慢はドワーフがするものじゃなかったかしら」

「伯父貴でもできんだろうなぁ」

「なんであろうと構わん」

 ハンターの豪快な投擲に、しみじみと感想する妖精弓手と鉱人道士。

 だが、ゴブリンスレイヤーは運良く生き残った、しかし、巨大棍棒の投擲によって転び、或いは跳ね飛ばされた息のあるゴブリンに止めを刺す。

「ゴブリンは皆殺しだ」

 憐憫はあっても、情けはない。

 

「むむ!」

 闇女斥候はゴブリンチャンピオンの切り落とされた腕に注目している。

「おい、ハンター。この手首のところを斬ってくれ。人食い鬼(オーガ)の腕輪だ!」

「何それ」

「金になる」

「あいあい」

 と、ハンターが正確に手首を切り落とす。

 ニンマリ顔の闇女斥候。換金すればどれほどの金貨になるか、想像している。

「奥に行くぞ。取り残しがいるかもしれん」

 ゴブリンスレイヤーが、今いる遺跡の一画にゴブリンの生き残りがいないことを確かめ、奥へと進もうとする。

「更なるお宝もな!」

「そうだといいな」

 闇女斥候とハンターが続き、他の3人も後に来る。

「うわっ、血塗れすぎ。足の踏み場もないわ」

 そう言いながら妖精弓手は軽快な動きで、血溜まりを避けて進んでいく。

「耳長のはちと綺麗好きすぎんかの」

「拙僧としては、血に塗れる事はそれほど苦にはなりませぬが」

 血溜まりの中を歩き、後を追う鉱人道士と蜥蜴僧侶。

「だってあいつら臭いんだもの」

「水浴びなり洗濯なり、落とせばいいだろ」

「あれってかなり落とせないの知っているでしょ!」

「……まぁ、そうだ」

 彼女たちは同じ被害者だ。

 しかし、闇女斥候は返り血くらいは剣を振っていれば浴びてしまうものだ。

 無論、妖精弓手も冒険で泥や血で汚れることくらい知っている。

 だが、自ら進んで臓物や汚物、血塗れになろうとはしない。

 いくら匂いを消せて、先手を取りやすいとはいえ、女、人として何か大切な物を失ってしまいそうだ。

「だから臭い袋と消臭玉は必須だ」

「そうね」

 犬猿の仲の2人だが、この認識だけは共有できた。

 

 それからは遺跡にいる残党のゴブリンを文字通り皆殺し。

 隠れていた赤子のゴブリンも余さず殺した。

 これだけの数がいたゴブリンの巣。衰弱し汚濁に塗れた捕虜もいて、余っている薬品や奇跡で助けた。

 死体は無理でもせめて認識票ぐらいは持って帰る。

 この遺跡に挑んだのか、それとも他の依頼なのか、良くある冒険者の末路。

 酷いとも、痛々しいとも、悲しいとも思う。

 命があるだけマシなのか、命があるだけ(むご)いのか。

 大なり小なり、世界中で起きていることだ。過去にもあった。未来にもあるだろう。そしていつか、自分の近くで起きることかもしれない。

 微かな息をする女性を背負ったハンターは、それ以上は考えたくなかった。

「帰るか」

 依頼は終わり、辺境の街に戻ろとする。

「次はゴブリン以外の依頼にしましょ!」

 憂鬱な空気を変えようと妖精弓手は極めて元気にそう言った。

「いや、俺は次もゴブリン退治にいく」

 極めていつも通りのゴブリンスレイヤー。

「はぁ、かみきり丸。オメェさんはちと気をつかうべきじゃなかろうか?」

 ゴブリンスレイヤーの頑固さに、ため息する鉱人道士。ドワーフの中でもここまで偏屈なのはいないと本気で思う。

「だが、ゴブリンは生かしておくべきではない」

「まぁ、そうだが勝手に行くな。一応、まだパーティを解散していないからな。依頼の報酬、手に入れた人喰い鬼(オーガ)の腕輪の配当がややこしくなる」

「わかった」

 闇女斥候の言葉に返答はする。ゴブリンスレイヤーは声をかければ返事はする。ああ、いや、そうか、そうだ、と言った簡素な返事であるが。

「拙僧は、噂の小鬼殺し殿と竜殺し殿の武芸をまた拝見したいですかな。どちらも御達者でした故」

「極めていないけど、それでいいなら」

「結構結構」

 蜥蜴僧侶、ハンターも今のパーティに不感はない。

 女神官は今はいないが、加わればまた賑やかになる。

「しかし、遺跡の奥地にお宝がなかったのがダメだな」

「そうね、あればちょっとは冒険だったわ」

 まぁ、そう上手くはいかなかったゴブリン退治だった。




なんでMH新作がスイッチ。
転売でアマゾンじゃ高くなってしまうわ、店舗で定価じゃ買えないわ。
PS5も即予約終了。

発売されても、プレイできるかな。

女魔術師、女魔法使い どっちがいい?

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