今回、エピローグ。
昼下がりの空の下、ガタゴトと揺れる馬車に乗って辺境の街に帰る冒険者たち。
「くふふ」
はち切れんばかりの金貨袋を見つめ、ニヤニヤとする闇女斥候。
あの後、地下墳墓から水の街まで戻った後、転移の鏡は鏡面に蓋をして法の神殿に預けられた。
それの謝礼として報酬が1人金貨1袋から、3倍はあろうかという大袋に溢れんばかりの金貨へと変わる。
鏡をどうするべきか迷ったゴブリンスレイヤーに、それを捨てるなんて勿体無い!と闇女斥候は言った。
ゴブリンスレイヤーは、きちんと管理しゴブリンに使われないよう念押し、剣の乙女に預けたのだ。
「でも、まだ使えないのよね。あーあ、どうせなら鏡で帰ればよかったのに」
「おいおい、どこへと飛ぶかもしれんものをおいそれと使えるか。飛んだ先はそれこそ海底の遺跡かもしれんのに」
妖精弓手は不満に呟く。それを聞いた鉱人道士はおっかねぇよと相槌を打つ。
実際、転移先が石の中で身動きが取れなくなったとか、空の上で落下するとか勘弁してほしい。
王国から派遣される予定の賢者から、2度と混沌の勢力に利用されないように扱うよう、そしてこちらの勢力が扱えるように制御法を教わることを確約した剣の乙女。
何せ利用できれば目的地までの時間短縮。
これには
「でも、意外です」
「何が?」
「ゴブリンスレイヤーさんなら、転移の鏡を捨てると思って」
女神官はそんなことを呟く。
確かに、彼なら水底にでも捨ててしまうかもしれないと妖精弓手は思い、鉄兜の方を見る。
「そうも考えた」
淡々と答えるゴブリンスレイヤー。
「だが、帰り道があるのなら仕方がない」
「帰り道?誰の?」
「ハンターのだ。転移でここまで来たらしいからな」
「え、グアサングって
話題を上がったハンターは何のことかと聞き返す。
「プレ……何だって?」
「
闇女斥候がハンターを見る。どうからどう見ても魔術師には見えない。
普段の行動からしても。
「ないな」
「……馬鹿にされたのか」
「いや、そんなことはない。人には得手不得手があるからな」
不敵に笑う顔には、ハンターが魔術師なんてあり得ないと書いてある。
「まぁ、そのプレインズウォーカーとかじゃなくて、何でかたまたまこっちに来たって話だけど」
「あの、それっていろいろ大丈夫なんですか?」
「俺がいなくても、他にもハンターはたくさんいるから大丈夫だ。それに別世界の人からの依頼も受けたことあるし、異世界なんてたくさんどこかに繋がっているんだろうさ」
そういうことじゃないんですけど、と女神官は困って苦笑い。
「あ、でも、もしかしたら故郷に帰れるかもしれないってことですよね!」
ハンターは元の世界に帰って、会えなくなってしまうかもしれない。だが、故郷に帰れるのは良いことだ。
「ん?別に帰る気はないぞ」
「え」
女神官は驚き、周りの者たちも目を見開いている。
ゴブリンスレイヤーは兜の奥でどのような表情をしているかわからないが、まぁそんなに変化はないだろう。
「転移の鏡であっちとこっちを行ったり来たりできるのならそうする。何せ新大陸やら未踏の地やらで、モンスターを倒すことに変わりはないからな」
結局のところ、ハンターにとって別に戻る必要があるわけでもない。
こっちの世界で思う存分、狩りをする腹づもりだ。
そして、転移の鏡であちらの世界に戻れるとしても、こちらの世界に行く術を持ってから。
だって、こっちはこっちでまだやり込んではいない。
「まぁ、今後ともよろしく」
「い、いえ、こちらこそ」
ハンターが頭を下げると、彼女も慌てて頭を下げる。
「まだ縁を切るには早うございますかな」
ぐるりと目を回し、奇妙な合掌をする蜥蜴僧侶は笑っている。
「おうおう、わしゃ噛尾刀に飲み比べで勝つまでは離れる気にはなれんわい」
瓢箪から酒を一杯飲み込み、その先をハンターへと向ける鉱人道士。瓢箪を受け取ったハンターも一杯飲み込む。
中に入っているのは火酒だが、酔う様子のないハンターは瓢箪を返す。
「……次はハンターに賭けるべきか?」
「こりないわね、あんたら」
そんな様子に頭を悩ませる闇人斥候。妖精弓手はそんな彼女を呆れた様子で見ている。
「そうか」とゴブリンスレイヤーは言う。
そして、一旦間を置いてから彼は続けた。
「街に帰ったら氷菓子を試してみたい」
「氷菓子とな!拙僧も御相伴にあずかってよろしいですかな?」
「食いたいなら構わん」
「おお!」
嬉しさ極まり、蜥蜴僧侶は尾をバタバタと犬のように振り馬車を揺らす。
驚いた御者が何事かと後ろに振り返って、女神官が大慌てで頭を下げている。
「おう、かみきり丸。飯んことで鉱人頼らんでどうする!」
「そうなのか?」
「そうともよ!」
鉱人道士はバンと腹を叩いて頷く。
「なら頼む」
「で、どう作る?」
「こう、混ぜるらしい。火の秘薬を使うと冷えると聞いた」
鉱人道士が作り方を聞くと、ゴブリンスレイヤーは手を回して伝えている。
「あれ?塩じゃないのか」
「塩?」
「塩と氷を入れた器の上で、牛乳と卵の黄身と砂糖を混ぜる、って聞いた」
「そうか」
ハンターも意見を言うと、ゴブリンスレイヤーは組み込んでいく。
「もらえるのなら、もらおうか。味については美味ければそれでいい」
「ゴブリンスレイヤーさん。私ももらって良いですよね?」
「構わん」
闇人斥候と女神官はくすりと笑う。
そして、全員が未だ回答していなかった妖精弓手の方を見る。
「お前はどうする」
「もらう、けど」
「失敗しても蹴るなよ」
根に持っていたか。
いや、単に蹴られるのが嫌なだけだ。
この何を考えているかわからない頭目は、少なくとも根には持っていない。
「はいはい!蹴らない!蹴らないからちょうだい!」
「ああ」
ともかく、全員が食べることになった。
モンスターハンターストリー2。
更新速度がまた下がりそうですが、まだ買っておらず、まずは体験版からやってみようと思った次第です。