離れた村に向かう馬車。
中にはハンターを含んだ冒険者が6人と食料を大量に詰め込んで、移動している。
村へと食料を配給するのは、冬を越せない村への配達が多い。
今は夏だが食料問題の村がある。
村の食料備蓄が無くなり、理由は盗賊が根こそぎ食料を奪っていったからだ。
村に食料を降ろしたら、そのまま盗賊退治になる依頼を冒険者ギルドが発注。
その依頼をハンターが受けた。
ギルドで依頼を受ける際、ハンターは食料を降ろす前に盗賊を退治しておいた方がいいと思った。
だが、盗賊退治と馬車の護衛と2度も依頼を出すほど村や国が豊かと言うわけでもないらしい。
経費の削れるところは削る節約思考だ。時間も節約できる。
例え、依頼を受けた冒険者が負けるにしても、すぐに大量の食料が食い尽くされるとは思っていない。
その馬車の護衛にハンターと闇女斥候、そして何時ぞやの自由騎士の一党が依頼を受けた。
ハンターの農園で働いてもらったことのある彼女たち。
そのうちの1人である森人の魔術師が、ハンター世界の植物、栽培に興味を持った。
よく来るようになり、研究者や作業員と作業をするようになる。
他のメンバーも休日に農園の手伝いをしてくれるようになった。
もっとも、スープやパンなど従業員に振る舞われるまかない飯目的なのかもしれないが。
ギルドでも会えば挨拶、会話をするくらいには気の知れた同業者になった。
ともかく、人手が増えるのは助かった。
ゴブリンスレイヤーが牧場の手伝いをすると言うので、冒険は休みになった。
それぞれ休日を過ごしている。
恐らく妖精弓手は昼まで寝て、蜥蜴僧侶、鉱人道士は釣りに出かけ、女神官は休日として本を読んでいると思う。
ハンターは別に休息を挟む必要があるほど疲れていない。食って寝れば疲労や体力の消耗など全回復する。
闇女斥候は水の街での報酬を賭け事に使い、負けた。流石に全部使った訳ではないが、補填は必要だ。それに疲労が溜まってはいない。
ハンターと闇女斥候は依頼を受けることにした。
しかし、2人だとできることは限られてくる。
冒険者ギルドでは朝に依頼の争奪戦が行われ、モンスターの討伐という分かりやすい依頼はすぐに売り切れてしまう。
例外はゴブリン退治ぐらいだが、せっかくだから他の依頼を、と闇女斥候は苦い顔だ。
ゴブリン退治を何回もするほどの量もない。
他の依頼を見繕っている途中に、同じように依頼を見繕っていた自由騎士と目を合わせた。
そこで2と4が合わさり、6人の一党が出来上がり受けたのが馬車の護衛を兼ねた盗賊退治。
「困っている方々を見捨てることなどできませんから!」と、生き生きとした発言をする自由騎士。
苦笑いや頷く彼女のメンバーだが、依頼を受けること自体は否定しない。
「しょうがねぇなぁ」と頭を掻きながら、
村までに盗賊も怪物も遭遇することなく着く一行。
村の入り口に農具のクワを槍のように持って、衛兵の真似事をする村人がこちらが冒険者と気付いて近寄ってくる。
「あなた方が、派遣された冒険者様で?」
「ええ。盗賊退治にやって来ました。馬車の食料はギルドからの仕送りです」
「よう来てくれはりました!」と、縋り付くようにして手を組んで祈る仕草をする村人。
馬車を村の倉庫に止め、村人たちが食料を倉庫へと降ろし始める。
その間、冒険者たちは村人たちから少しでも盗賊の情報を聞き出す。
闇女斥候と圃人野伏は、盗賊たちが村を見張っていないか、また足跡から追跡はできないか探すことになった。
「盗賊は森に寝ぐらを作ってるみたいで、ここ近くを通った商人の馬車も襲ったそうな」
「商人の馬車には護衛はついていなかったのですか?」
「いたようですけんど、倒されたり逃げ出したりで役に立たんかったそうです。護衛の人がこの村に逃げ込んで、聞いた話ですけんど」
「商人の方は?」
「わかりあせん。けんど、身なりの良い人やったから実家に身代金を要求するとか。盗賊の奴ら街に手紙を届けろって。さもないと女は手込めにして、男は奴隷にして売る、と。そう言って食料を掻っ攫っていきやがった」
その時を思い出して村人は腹が立って、顔を歪める。
盗賊は字が書け、奴隷商人とも繋がりがあるようだ。
もっとも、実家は身代金ではなく冒険者という刺客を雇った。
実家としては提示された身代金を払える余裕がなかったのか、また盗賊の言う事など信用に置けなかったのか。
さりとて、身内を捨てるほど薄情ではない事だけは確かだ。
「で、盗賊は何人くらいだったんだ?」
「只人が5、6人だったかと」
盗賊はそれで全員なのか。
「他には何かありませんか」
「って言われてもな。……暗かったが、全員が若そうだったか?」
頭を捻りながら思い出そうとする村人。あ、と村人はそういえばと思い出す。
「逃げてきた護衛の話だと、戦っている時、霧が出てきて護衛の何人かが倒れたって言ってました」
それで、戦線を維持できず逃げ出したとも。
他の村人にも聞いてみるが、それ以上の情報は聞けなかった。
闇女斥候と圃人野伏が戻るまで、他の者たちは馬車の荷下ろしを手伝う。
ハンターは疲労は感じないが、彼女たちはどうなのか。
食料を降ろし終えたら休息を取って森に入り索敵するべきか。
それとも盗賊が村にやってくるまで待ち構えるべきか。
考えてみてもどうすればいいのか決断はできず、いつの間にか斥候たちが帰って来た。
「何か手がかりはあったか?」
「ああ。素人なのか足跡は追える。それに見張っていたのかフクロウが昼間からこちらを見ていた。恐らく使い魔だろう」
フクロウの活動時間は主に夜。昼は巣で寝ていることの方が多いらしい。
帰ってきた斥候たちに聞けば、少なくとも盗賊には呪文使いが1人はいる。
「それに戦っている時、突然倒れたっていうのは
「それは
呪文使いの対策を立てる自由騎士と森人の魔術師。
「5、6人で全員ってことはないよな。10〜20人と考えた方がいいのか?」
「いや、6人で全員だ。他にもいる可能性は少ない」
ハンターの疑問を闇女斥候は断言した。
「盗賊が10人以上いるのなら、何人かは村に残す。或いは実家への脅迫を村人を使わず、盗賊がする。だとすると人手不足だ」
ふむふむとハンターは首を動かして納得する。
「それに新人の冒険者崩れだろうさ」
「なんで?」
「比較的若く、6人は一党の基本だ。盗賊にしては村を襲って食料を奪うだけ。人質の身代金を要求して、知られて道を警戒されることも冒険者が来ることも考えていない。おおかた夢見て冒険者になったは良いものの、想像通りに事が進まなかったから冒険者を辞めたのだろうよ」
上手いハンターの装備を真似して、同じモンスターを狩ろうとする。
モンスターの攻撃はうまく避けれず、捌けず、ハンターの攻撃は空振り、或いは狙った場所に当たらず、理由は比較するまでもなく自身が下手くそなだけ。
だからこそ練習するしか上達の方法はない。
別に諦めるのは人の自由で、盗賊になった彼らは冒険者を諦めただけだ。
「数が少ないなら、拙速で仕掛けるべきかと思います」
「反対しないけどさ、使い魔で村を見ているからな。オイラ達が来ていることを知っていて、盗賊の連中は入れ違いで村を襲うか、逃げるか、待ち構えるかって行動を取ると思うけど」
女僧侶が割と神官にしては物騒なことをハキハキと言う。
そんな彼女を圃人野伏は少し呆れる。彼女の勢いを削ぐ気はない。だが、考えられることは言っておくべきだ。
勢いに任せて進んで罠にハマったというのは、斥候からすれば考え無しとしか言えない。
罠を解除するのが仕事だ。罠にハマっても踏み倒すのは、よほど実力があるか、考えなしのバカだと彼女は思っている。
「冒険者が6人来たから逃げるのなら、もう使い魔ってのも連れて逃げていると思うが」
ハンターは盗賊たちが臆病なら同数で逃げると思った。
勝てるか分からない状況では不利になればなるほど、撤退するのが心情だと思っている。
残り時間、消耗したアイテム、どれほど相手の体力を削ったか、そして自身の力尽きた回数。
このまま続けるべきか、
大抵のハンターは2回力尽きて、標的の状態が弱っているか否やで判断していると思う。
「村についてから多少なりとも時間が経ったが、使い魔ってのは未だにこっちを監視しているのなら、待ち構えるか、村を襲うか。それに人数不足なら攻めるよりも待ち構えて人数差を覆したい、有利にしたいって考えるか?」
「恐らくは」
「休息が必要なら万全の状態で行った方がいいと思うけど」
「この程度で疲れるほど柔ではありませんよ」
ハンターの考えに苦笑する自由騎士。
全員問題ないようで、即座に盗賊の討伐に向かうことにする。
「畑仕事で散々こき使われてるからな」
それは軽口の類であって欲しいとハンターは願った。
種蒔きから収穫まで1日〜3日内で終わらせるのだ。
普通の植物とは成長速度が違いすぎて作業をせっせとしなくてはいけない。
ハイペース作業を思い出し、彼女たち4人は目が遠くなる。
どこの武具屋にでも売られているような金属鎧と長剣を装備している只人の男。
盗賊というより冒険者なりたての戦士といった姿で、実際に数ヶ月前は冒険者だった。
なんで盗賊をやっているかと言えば、冒険者は儲からないから。
怪物を倒し、財宝を手に入れる。それが冒険者と彼は思った。
そして、やってはみたが最初のゴブリン退治で稼いだ報酬はたった金貨1枚。
それも一党で分配するので、銀貨1.5ぐらいの稼ぎだ。
ゴブリンなど最弱の怪物。楽に終わると思いきや、数は多い、臭い、汚い、疲れる。
そして、命を張ってその程度しか稼げないのであれば、割りに合わないどころか損の方が大きいと盗賊戦士は思う。
その金貨1枚を村人が村中必死にかき集めたことは知らず。とはいえ、彼がそんな事情を知ったところで金貨1枚の価値は金貨1枚に変わらないと言うだろう。
冒険者とは怪物と戦い、儲かる職業だ。そう勝手に思い浮かべていたが実際は違うとくれば、他の稼げる職に就く。
それが盗賊だった。
その盗賊も稼げるのかと聞かれれば、それはこれから次第だ。
そんな彼は、同じように盗賊となった魔術師から冒険者が来たと聞いて、茂みで待ち構えることにした。
茂みに隠れ、不意を突く。別の奴らも茂みに隠れている。
不意打ちで倒せるのなら楽ができる。死体から金が出てくれば喜ばしい。
しかし、期待に弾ませ待ち構えたは良いものの、獲物が来ないとくれば我慢している不満が募る。
「本当に来るんだろうな」
「黙って待て」
矢に毒を塗り終え、やることが無くなったせいか隣の盗賊猟師も苛立っているようだ。
最も、茂みに隠れているのに声を出した盗賊戦士に怒っているのかも知れない。
だから盗賊戦士が黙った訳ではない。
獲物が現れ、それに苛立ちをぶつけてやろうと思った。
冒険者が6人。
先頭は戦士の男。後は人種多様な女が5人。
ハーレムかと、盗賊戦士はすぐに嫉妬する。
最初に男を殺すことを決めた。
だが、すぐに茂みから飛び出るような真似はしない。
相手が通り過ぎようとしたところに、男の後ろから襲いかかる。
だが、その男はいきなり隠れている茂みへと走って来た。
「畜生が!」
なぜバレたのか。盗賊戦士には分からない。
しかし、1人で先頭を走ってきたということは後方の仲間と距離を自ら離し、支援や援護を受けられないということだ。
怒鳴ったが、すぐに馬鹿な男の戦士をほくそ笑む。
盗賊戦士が茂みから飛び出した時と同時に、隣の盗賊猟師が毒矢を放つ。
飛んできた毒矢を、戦士は背負っていた太刀を抜いて斬り払う。
その太刀が振り下ろしたところを、狙って剣で斬りかかる盗賊戦士。
大剣でなくとも、切り返しは重い得物の大きな刀だ。
盗賊戦士は自身が大剣、太刀を持ったところで筋力が足りずに満足に振ることができなかった。
例え、達人とて再攻撃するために
だが、筋力が足りていれば切り返せる。
そして、ハンターは盗賊戦士が想定していた筋力を上回っていた。
剣を振り下ろすよりも速く、太刀の剣先はすぐに素人盗賊(戦士)の胴を突く。
金属鎧は容易く貫通し、傷口から血が飛び散る。
すぐに引き戻された太刀。傷穴から勢いよく出始めた血の量は、素人盗賊(戦士)が思った以上に多い。
なんで、と考えた後にはもう彼は次の脳天から振り下ろされた太刀によって両断された。
実は素人盗賊(戦士)が捕捉する前に見つけていたハンター。
昼間の太陽光によって剣なり鎧の金属が光って、斥候が認識していた。
ハンターも導蟲が赤く光ったことで、周囲を警戒し発見する。
そして、隠れている敵に向かって走り出した。
標的を見つけ次第斬りかかる。
戦闘準備はとっくに済ませており、闇女斥候が
相手が飛び出てきたということは、注意を引きつけることができたと考えていい。
茂みから放たれた矢には、黒紫のベッタリとした液体が塗られていた。
斬り叩いて落とし、向かってくる戦士を突き刺す。
流れるように太刀を振るい、戦士を両断。
どっばと血溜まりと肉塊が出来上がり、鉄と生臭い匂いが辺りに充満する。
ハンターズギルドには人に武器を向けてはならないという決まり事がある。
だが、ハンターが受けた依頼は盗賊退治だ。
何より人なら大剣を振り下ろそうが、ガンランスで爆発させようが、ボウガンや弓で誤射しようが、尻餅ついたり動きが止まったりするだけだ。打ち上げれば、空も舞う。
つまりハンターの攻撃で人は死なない。
ハンターの攻撃で死んだので盗賊というモンスターなのだ。
そして、後で剥ぎ取ろうと思う。
盗賊という名のモンスターはまだ後5体いる。
即座に1体倒した後、呪文の声が微かに耳に届いた。
だが、霧の中から毒矢が飛んでくる。
どうやら視界を塞ぐ役割もあったようだ。
しかし、それも女僧侶が張った
矢が飛んできた所にハンターが麻痺投げナイフ、呪文の声が聞こえた所に圃人野伏がクロスボウを放つ。
苦痛の声がした後、呪文の効果が切れて霧が晴れる。
状況が不利になりつつある中、盗賊3人が
しかし、避けようとしたので移動に手間がかかってしまう。
逆にこちらは
ハンターは先程のように一刀両断。
盗賊は恐怖で引き攣った顔のまま崩れ落ちる。
自由騎士は剣を振り下ろし、手傷を負わせるが一撃で相手を仕留めることはできない。
斬られた盗賊は反撃し、自由騎士と鍔迫り合いを行う。
そうしている間に、聖璧を回り込むことに成功した残りの盗賊は手薄な後衛に襲い掛かろうとして、横から殴られた。
僧侶が張った聖璧を盗賊を阻むように移動させただけだ。
しかし、盗賊は聖璧を移動できるとは思っていなかったのか、不意をつかれる形で成功する。
再び、進路を阻まれた盗賊の背後にハンターが来ていた。
「ま、待ってくれ!降参――」
盗賊が言い終わる前にハンターは太刀を横に振って、彼を上下に切り裂く。
まるで試し切りで使われた藁巻のように、簡単に地面に落ちた。
鍔迫り合いをしていた盗賊も、闇女斥候が後ろから気づかれずに移動して大小の剣で体を突き刺し抉る。
ぐりっと捻り、引き抜いた刺し傷から一瞬遅れてどっぱと流れ出す血の量。
崩れ落ちた盗賊は人の形を保ちながらも、地面に転がって物言わぬ屍となる。
麻痺が解けぬうちに縛り上げた盗賊猟師と痛みで蹲っていた呪文使い。
「こ、殺したら商人の場所は分からないわ!」
命乞いで呪文使いは叫ぶ。
だが、目はこちらが悪いかのように睨んでいる。
盗賊猟師は痺れて顔を向けることすらできない。
「なら殺してから捜索すればいい。そうしないか?」
ハンターはそう他の5人に言う。その声には呆れと本気が混じっている。
何せ先程まで捕縛する気などなく、さっさと殺そうとしていた。
別に殺し損ねて反撃を喰らうのを避けるとか、逃げられるのを気にしたとかではない。
麻痺で行動不能なら攻撃する、怯んでいるのなら攻撃する。
ただ、それだけだ。
目標を倒す。
討伐とはそういう依頼だとハンターは思っている。
商人の居場所を聞き出すから殺すなと闇女斥候に言われて、ハンターは倒した盗賊から使える装備、道具を漁っていた。
ハンターの追い剥ぎ行為に微妙な顔をする自由騎士の面々だが、彼女たちとて駆け出し冒険者のようなもの。
追い剥ぎはせずとも、盗賊猟師と呪文使いから毒矢、杖を回収し隠し物がないか調べた。それと同時に手足を縄で結び、行動を制限する。
そうしてからの、呪文使いの言い草。
ハンターでなくとも呆れてしまうのは仕方ない。
「せっかちな奴め。すぐに言わせてやる」
闇女斥候は小剣を呪文使いの指を摘んで曲がらざる方向に曲げる。
ぽきっと指の骨が折れた。
「いっだぁああああ⁉︎」
「うるさい」
悲鳴を上げた呪文使いの別の指を折る闇女斥候。
「ああああ、っつぶ⁉︎」
「だまれっと言っている」
悲鳴を上げ続ける呪文使いに苛立ったのか、今度は顔を殴って口を閉ざす。
「ちょ、ちょっと待ってください!」
自由騎士は慌てて止めようとするが、闇女斥候は鬱陶しそうに声を出す。
「なんだ」
「いえ、あの、そんなことしなくても」
自由騎士は顔を青くしながらも進言するが、彼女はため息を吐きながら答えた。
「言ってもらえないからやっているだけだ。それに指を切り落としたって奇跡で治る。何も問題はない」
普段は聞いたことのない淡々とした冷めた声を出す闇女斥候。
「問題はこいつらが言ってくれないのと、ハンターに堪え性がないことだ。別に私は言った後で殺してしまってもいいと思う」
「え?殺さないのか?」
ついハンターは聞いてしまい、敵も含めた全員が驚愕の表情をする。
なぜだ?とハンターは頭を捻りながら言う。
「盗賊討伐だろ?討伐依頼なんだから、盗賊は全員殺さなきゃダメだろ?」
なぜ商人の居場所を言えば、牢屋行き、裁判にかけられると思っていたのだろうか?
そうでなくとも、すでに4人ほど屍になった。
後2人を屍にすること、裁判で刑を決めること。どちらが手っ取り早く、楽かと言われればハンターの中では前者だ。
倫理的問題なら、盗賊を殺したところで問題ない。連行し裁判をしても、さほど評価には影響ないのではないように思う。
「……まぁ、そう言うわけだ。喋るまで痛みに耐えるか、言ってすぐ楽になるか選べ」
「だ、だから、そう言うのは」
「秩序に反するか?まず、秩序を乱した盗賊どもには適応しないと思うがな」
自由騎士が拷問にいい顔をせず、しかし、闇女斥候はやめる気がない。
彼女にとっては殺す、裁く、拷問するという選択肢があって楽な選択をしている。
逆に、自由騎士には拷問すると言う選択はないようだ。
ハンター?殺る以外に何があるのか。
「た、助けて!こいつら、頭おかしい!」
そんな自由騎士の甘さに突け込もうとしたのか、呪文使いが助けを乞う。
しかし、このままでは拷問を受けて殺されるか、すぐに殺させるかだ。
裁判を受けて、牢の中で生きる希望があるのなら、それに縋りたい。
「だったらまず言うことがあるだろ?」
今度は圃人野伏が笑顔で聞くと小鳥のように喋り出した呪文使い。
盗賊猟師は未だに痺れて喋ることすらできなかった。
とんでもない暴論ですが、ならず者だってモンスター扱いでしょ?