ハンターは黒曜等級になってから、ソロで依頼を受け続けた。
巨大なイノシシ討伐。
これは優先して受注した。
何故か。
憎いからだ。
ハンターにとって、狩場に乱入してくるモンスター。
その筆頭がブルファンゴという、体長1メートルを越すイノシシ。
背後から突進をくらい、ふっ飛ばされた先で追撃をくらうといった経験。
ハンターなら誰しもが、経験しているはずだ。
過去の恨みを込めて、太刀でイノシシを惨殺。
ドスファンゴのような大きな奴もいたが、太刀を3回当てた所で力尽きて倒れた。
不甲斐ない。せめて2分位は持ってほしいものだ。鬱憤ばらしにもならなかった。
剥ぎ取った生肉は肉焼きセットで焼く。
たくさん上手に焼けました。
鹿角の採取。
粉にして、漢方の材料になるらしい。
今までハンターはケルビを初期のハンマーで殴りつけ、気絶している間に角だけ剥ぎ取るといった行為をしていた。
だが、毛皮、生肉、角を1頭分丸ごと剥ぎ取れる今。
隠れ身の装衣を身にまとい、気付かれないように近づき、即座に太刀で首元を切断し絶命させる。これならば、内臓が飛び散ってしまうこともない。
鹿一頭、丸ごと剥ぎ取る。
生肉は、その場で水に晒し、血抜きを行い、肉焼きセットで焼いた。
上手に焼けました。
ゴブリン討伐。
畑の野菜を盗んでいるゴブリンを討伐してほしいといった内容。
畑に残っていた足跡を導虫に覚えさせて、追跡して巣を見つける。
小さな洞窟なので10匹いるか、いないか。
入り口から火を焚き、煙を送り込み、燻り出す。
慌てて出てきたゴブリンを太刀で切り伏せる。
生き残りのゴブリンが巣の中にいるか探すために、松明を点けて巣の中に入る。
巣の中にはゴブリンは残っておらず、煙で燻り出したゴブリンが全てだった。
そして、試しにと思い、ゴブリンの肉で肉焼きセットで焼いてみる。
上手に焼けました。
と、そんな感じに様々なクエストをソロで達成していくハンター。
そして、四苦八苦しながらアドベンチャーカードに箇条書きで、出来事を書いていく。
その字は、子供が書いたように下手くそだ。
受付嬢も読み辛いだろう。
「提出ありがとうございます」
だが受付嬢は、ハンターが下手くそな字で書かれた報告書を見ても、気にした様子がない。
「……大丈夫か?」
ハンターはおずおずと聞いてみる。
神殿で文字を習っているハンターだが、文字を教えている神官から見れば、誤字脱字は多く、筆跡は酷く汚い。見せればくどくど文句を言われる。
これでいいのか、間違っているのか、不安になり何度も確認するが、自分が大丈夫と思っても間違っていることが多々ある。
叱られるというのは、誰だって嫌だ。咆哮より音量は低く、体に影響はないのだが、心にダメージがいくのだ。
受付嬢はやんわりと指摘してくれるが、こうなると申し訳無さが沸き立つ。
なので、提出するときは緊張する。そして、祈る。どうか間違っていませんようにと。
まるで、ハンターは新人勤め人だ。
「ええ、まぁ、最初の頃よりはだいぶ良くなりました。これからも、この調子で頑張ってください」
「ふー」
安心して大きく息を吐くハンター。
緊張が解けて思わず、立っている力さえ抜けてしまいそうだ。
今日はもう寝ようと、安宿へと戻ったハンター。
一眠りして、朝早くギルドへと向かうハンター。
道を歩いていると、男の子が倒れているのを発見する。
まだ、太陽が出る前だからか、人通りは全くない。
男の子に駆け寄り、様子を見る。
服も靴も泥だらけでボロボロの状態だが、息はある。が、このまま放置すれば死ぬ状態といったところか。
とりあえず、回復薬とギルドで買ったスタミナポーションを飲ませようとする。
飲む行為すらできないほど、衰弱しているらしく、口元に運んでも全く飲んだ様子がない。今日もソロで依頼を受けようと思っていたので、粉塵は持っていない。
このままではまずい。
この地域にある奇跡は、呪文を唱えれば傷を直したり、状態異常を回復させるという、まかふしぎな現象を起こせる。
だが、奇跡を使える神官が居る神殿は、距離がある。
冒険者が神官をやっていることもあり、冒険者ギルドに向かっていたのだから、現在地からは神殿より近い。
まだ、早い時間帯だがギルドには奇跡を使える神官が居ることを願って、男の子を背負い走った。
ギルドの扉を開けて、神官が居るパーティに奇跡を一回、使ってもらう。
治療費として、金貨5枚ハンターが払う。無料で治療というのは、虫が良すぎる。
奇跡とは1日に使える回数が決まっており(休憩や睡眠を取れば、その限りでもないらしいが)貴重なものだ。それを依頼の出発に使わせてしまったのだから、このぐらいの出費は必要らしく、まぁ仕方ないと諦めた。
実際、男の子を回復薬を飲まずに負傷を回復させた奇跡。
回復薬を飲んで徐々に傷を癒やす際、飲んでいる間は攻撃や防御ができない。もしくはすぐに治るが、元気ハツラツし思わずガッツポーズをして隙を生んでしまうアオキノコ入の回復薬。
それらを考えればハンターは、後方から回復させてもらえるガンナーの回復弾に近いと思っていた。
しかし、奇跡には祈祷を捧げるという手間があるものの、後方から外すこともなく、モンスターを回復させてしまうこともなく、味方に治癒を行える。
やはり、魔法や奇跡をいつかは習得したい。
「男の子はどうでしょうか?」
「まぁ、落ち着いた」
男の子は神官の奇跡を受け、衰弱状態からは回復し、今は安静にして寝かせている。ギルドの管理している宿屋のベッドを貸してもらい、そこに寝かせているが、まぁ宿泊代は取られた。
人助けにも金はかかるのだ。
「どこかの村の子ですよね」
「で、村から逃げる事態になった。ゴブリンに襲われたか、ドラゴンに襲われたか」
「ゴブリンはともかく、ドラゴンはそうそう見かけませんが」
「俺のところじゃ、飛竜ならしょっちゅう見たけど」
「……なんて魔境ですか」
大量の大型モンスターが現れる孤島にあるモガの村ほどでなくとも、ポッケ村は雪山の中にあるため行く途中でティガレックスに襲われたり、ユクモ村に行く途中でジンオウガは道に堂々と居たりとする。
この地域でも、モンスターの脅威はあるのだ。
何も珍しいことではない。
珍しいことではないが、いいことではない。
「ぅぁ」
男の子が目を覚ます。
「あ、お気づきになられましたか?」
「ここは?」
「冒険者ギルドの宿です。そちらのハンターさんが保護してくれたんですよ」
「冒険者……さん、お願い……助けて」
「何があった?」
「ゴブリン、大きな、奴、沢山……うぅ、ぁぁああ!」
襲われた時を思い出したのか、泣き出した男の子。
「ゴブリンスレイヤーは?」
「その、遠方のゴブリン退治に。戻ってくるにしても、数時間はギルドには来ないと思います」
村に生き残りが居るかどうか、際どいところだ。
それでも、死者が少なくなる方がいい。今からなら、死んでいない人なら命はどうにかなるかもしれない。
そして、ゴブリンスレイヤーが居ないのだから、他の冒険者が受けるか、依頼が掲示板に残ることになる。
大きなゴブリン、ホブが居るのは確実だ。
「一応、依頼には報酬が必要なのですが」
受付嬢の言葉を聞いていたのか、男の子がポケットから出した巾着袋。
子供の財布の中身など、銅貨が数枚程度。
「あい、づら、たお、じで」
涙を流しながら、声を絞り出した男の子。
今日の出費だけで、大赤字だ。
思わず、ハンターは小さく笑ってしまった。
馬鹿げてる。
依頼にしたって、これはない。
慈善事業でやっているわけではないのだ。
見捨てて、他の依頼で稼ぐのが賢い。
だが、ハンターは見捨てて、後味が悪いことになるほうが嫌だった。
「どこの村だ?」
男の子は目を拭い、鼻水を垂らしながらも、ハンターに伝えた。
「……西南の、外れの村」
ハンターは言われてもわからないので、受付嬢に地図で教えてもらう。
「あの、行くんですか?」
「まぁ」
ハンターはゴブリンスレイヤーのように、ゴブリン討伐だけする気はない。
だが、ゴブリン討伐をしない理由もない。
幼い子どもに助けを求められた。
理由としては十分だ。
ハンターは勇者になりたいと思ったことはある。凄腕のハンターになれたが、勇者になれたかと問われると、答えられない。
これでもハンターは気絶状態、雪だるま状態の味方ハンターを叩いて救ったり、今回のような無償に近い依頼を受けたりしていた。
まぁ、なんでわがままな第三王女の依頼がキークエストになっているのか、疑問に思ったこともあるが。無論、無茶苦茶で無茶振りな依頼も達成してきたハンターだ。
無報酬ぐらい、どうってことはない。
だが、周囲から勇者と称賛されたことはない。
村に、いや、村だった所に着いたハンター。
建物は壊れ、荒され、放逐されている。
小鬼はぎゃあぎゃあ喚き立てて、廃村の中で死体や女性を辱めている。だが、聞こえてくるのはゴブリンの喚き声だけで、人の声はしていない。
偵察、見張りのゴブリンが居なかった。
群れのゴブリンは全て、廃村の中にいるだろう。
ハンターは走って、ゴブリン共が集まる所に奇襲に向かった。
毒けむり玉を投げ込むことを考えたが、衰弱している人も居る可能性があるので、使えないと判断し直す。
直接乗り込んで、即座に仕留めまくるしかない。
弓矢か、ボウガンがあれば、中、遠距離から仕留めることもできたのだろうが、ないものねだりだ。あるものでどうにかする。
ゴブリンの集まる場所、バラバラになるほどに刻まれた死体、犯されてぐったりした女性が地面にいくつも転がる場所、に飛び込んだハンター。
即座にゴブリンが密集している場所に太刀を振る。
まとめて切り裂かれるゴブリン。
そして、襲撃に気づいた、お祭りを邪魔したハンターに向かって駆け出してくる。
小鬼が数匹、同時に飛びかかってくる。
ハンターは転がって移動し、攻撃を回避。飛びかかってきた小鬼を太刀を切り上げて、まとめて倒す。だが、その太刀を切り上げたところを、隙と考えたゴブリンの何匹かが槍で、棍棒で、ナイフで、ボロボロの状態の剣で襲いかかる。
どうせ、ゴブリンの頭の中では、太刀という長物は重く、振るには取り回しが悪い、続けて攻撃はできないと考えているのだろう。
お生憎様。
ハンターは斬り下がり、襲ってきたゴブリンを薙ぎ払う。
だが、その程度ではゴブリンたちの群れに何の影響もない。
続けて攻撃してくる数匹のゴブリン。
ゴブリン特有の数の脅威。
1、2匹程度は痛くも痒くもない。むしろ、その程度倒したぐらいでは、焼け石に水だ。
洞窟の狭い通路では、壁に阻まれて襲ってくるゴブリンの数、方向も限定される。
だが、平地では四方八方から取り囲むように襲ってくる。そうなると攻撃を避けるのは至難の業だ。
そうならないためには、常に移動する必要がある。移動して、相手も追いかけることになり、自身の有利な位置へ誘い出すことができる。
衰弱している人に太刀を振り下ろしたら、目も当てられない。
巻き込まないように逃げるようにして離れると、ゴブリンたちは追いかけてきた。
追いかけてきたゴブリンに太刀を振り下ろしては、ゴブリンが攻撃してくる。
攻撃は転がって避ける、走って逃げる、もしくは太刀で切り払う。逃げては攻撃して、攻撃を見切り斬り、ゴブリンの数を減らしていく。
そうしていると、ずしずしと出てきた巨躯のゴブリン。
ホブゴブリンとは違い腹は出ておらず、筋肉が張り詰めた体。手には岩でできた大きな棍棒。
男の子から、巨大なゴブリンが居たことは聞いていたが、せいぜいホブゴブリンと考えていたハンター。
ゴブリンスレイヤーから聞いた、近接戦闘能力ならゴブリンの中でも一番高い。
多少、驚いたがやることは変わらない。
ハンターに棍棒を叩きつけようとするゴブリンチャンピオン。当然、ハンターは避ける。
外れた棍棒は、ハンターの近くに居たゴブリンを潰す。
「GOOROB!」
棍棒が当たらななかったことに腹立ったゴブリンチャンピオン。喚いて棍棒を振り回すさまは、まるで餓鬼だ。振り回した棍棒は、周りのゴブリンを巻き込むが、まるでお構いなし。
「地雷か、お前は」
思わず呆れながら呟いたハンター。
振り下ろされる棍棒を紙一重で躱し、太刀でゴブリンチャンピオンを切り裂く。
太刀の刃は肉を切り裂き、血を吹き出す。だが、ゴブリンチャンピオンは一撃で死ぬほど軟なゴブリンでもない。
体を傷つけられたゴブリンチャンピオンは、怒りを、殺意を募らせる。
「GROOOO!」
振り回す棍棒は更に力を増す。だが、ハンターには当たらない。
ハンターは人型モンスター、もしくは人との戦闘経験はあまりない。だが、ラージャンとの戦闘経験がある。それ以外にも巨大なモンスターとの戦闘経験なら、いくらでもある。
つまり巨大なモンスターとの戦闘で、攻撃の回避の仕方を心得ている。
そして、ラージャンの豪腕による連続パンチに比べれば、激昂したゴブリンチャンピオンの棍棒は遅い、威力も劣る。
ゴブリンチャンピオンの攻撃方法、攻撃範囲を理解したハンターは、振り下ろされた棍棒を見切り斬る。
バックステップで棍棒を回避、即座に太刀を横薙ぎ。鋭い太刀の刃はゴブリンチャンピオンの肉を切り裂く。
続けて、大回転気刃斬りで周りのゴブリンごと薙ぎ払おうとしたハンターだが、後ろから石が頭に当たる。
ゴブリンが
小突かれて、動きが一瞬止まったハンターに、にたりと笑みを浮かべたゴブリンチャンピオン。
両手で棍棒を握り、思いっきりハンターへと横殴りに叩きつける。
ふっ飛ばされたハンターは村の家にぶち当たる。立て続けに家が崩壊し、ハンターは下敷きになった。
それを見たゴブリンたちは、げらげらと大きく嗤う。
その声を聞いてハンターは、ブチ切れた。
小型モンスター、殺すべし、慈悲はない。
ハンターは竜の突進に耐える頑丈な体である。巨体の重量が猛ダッシュで迫って来て、叩き潰しに来るのだ。それをランスの大盾で、あるいは大剣を盾代わりにして、防いでしまうのだ。例え、直撃しようともふっ飛ばされてゴロゴロと転がりはするものの、すぐに立ち上がって反撃に出る。
そして、ハンターが身につけている防具は強力な竜の鱗や甲羅、骨などから作られた防具。元の防御力は高く、鎧玉で最大強化された防具。であれば、ゴブリンチャンピオンの棍棒による攻撃は、ハンターの命を奪うには威力不足だ。
それ以上に強力な攻撃を、幾度も受けてきたハンター。
痛みよりも先に怒りが、心の底から噴火のように湧き出す。
採取時に後ろからがぶりと噛まれる。
戦闘中に小突かれる、ふっ飛ばされて、立ち直る最中に大型モンスターの一撃を食らう。
どう考えてもハンターを狙っているとしか思えないほどに、異種族との連携共闘も多々ある。
縄張り争いをするようになったのは、本当に最近だ。それでも、積極的にハンターに狙いを定めている方が多い。
上手くいかないことなど、人生で幾らでもある。
だが、それに何も感情を抱くなというのは無理な話だ。
だから、これは八つ当たりだ。
ハンターは八つ当たりの対象として、ゴブリンを選んだ。まず、上に覆い被さっている家の残骸を、強引に腕力で退かす。
這い出てきたハンターを見て、一瞬の驚きの後、殺到してくるゴブリン共。
今度こそ、息の根を止めに来た。手負いだ、楽にやれると思っているのだろう。
だが、ゴブリンたちは太刀の間合いに入った瞬間に、斬られた。
這い出たハンターは、気刃斬りを何度も行い、大回転気刃斬りでまとめて屠っていく。
盾を構えたゴブリンもお構いなし。盾ごと切り裂く。
先程の
ゴブリンチャンピオンも攻撃してくる。攻撃を転がって回避し、股をくぐり抜け背後から一突き。そして飛び上がって、兜割りで真っ二つに両断。
大量の血が周りに飛び散り、真っ赤に染め上げる。
ハンターも返り血を浴び、真っ赤に染まった。
群れの長が殺されたことに怖気づいたゴブリンたちは、先程の威勢は消え去り一目散に逃げ出す。
「逃がすか」
ハンターは今、頭に血が上がっている。
いつもなら、閃光弾で足を止めようと思うが、今は力でねじ伏せたくてたまらない。
ダッシュで小鬼たちを追う。
ゴブリンたちの足は短く、移動速度も子供と同じだ。だから、成人しているハンターの足の速度には追いつかれる。
小鬼に追いついたハンターは、後ろから切り伏せる。
即座に納刀して、次のゴブリンを追って後ろから切り伏せる。
その次のゴブリンは浅知恵が働いたか、追ってきたハンターに対して3匹掛かりで奇襲する。
1匹目は逃げる。
2匹目は草に隠れて、追ってきたハンターに剣を構えて飛びかかって来る。
飛びかかって来たゴブリンに、即座に反応して太刀を抜き切り伏せるハンター。
2匹目の後ろに隠れていた3匹目が、矢を構えて放つ。だが、竜の素材でできた鎧はゴブリンの粗末な矢など、弾いて無力化する。矢が弾かれたことに驚いた3匹目を、ハンターは太刀で一瞬にして喉を突く。血泡を吹いて倒れた3匹目。
そして、1匹目は追撃に加わろうと足を止めて、だが、瞬く間にゴブリン2匹がやられるのを見て、逃げ出す。
ゴブリンは逃げながら考える。
どうすればあんな化物から逃げられるか。
そして、使えない間抜け共に悪態をつく。盾にもなりはしないと。
盾、そうだ、盾を使えばいいとゴブリンは思い至った。
廃村の中で転がっていた、まだ生きている女を無理やり立たせ、後ろに隠れる。
これで、ハンターは攻撃できない。
そう考えているのか、ニタニタと口を歪めるゴブリン。
それが、ハンターに怒りをさらに掻き立たせたとも知らずに。
ハンターはそれを見た瞬間、一気に詰め寄る。
「GGORO⁉」
その行動に意味がわからないゴブリンは驚いた。
どうしてだ⁉ と言っているのか。
別にハンターは人質ごと斬ってしまおう、と思っていない。
ただ、怒りに任せて体を動かした。それだけだ。
その後どうしようとかは一切考えていない。
だが、体が勝手に動く。
怒りに任せて動く体は、ゴブリン、人質の上を飛び越える。そして、背後に回ったハンターは拳でゴブリンを殴りつけ、吹っ飛ばす。
ふっ飛ばされたゴブリンは、家に叩き付けられ頭を潰され、死体となってずるりと地面に落ちた。
これで、廃村に居たゴブリンたちは全滅。
人質にされた女性、犯され地面に打ち捨てられた女性たちは、衰弱している。
家の中に入り、毛布や布団を敷いてその上に寝かせる。
そして、生きている全員に行き渡るように、回復薬を少しづつ飲ませて行く。
奇跡が使えないハンターには、これ以上どうすることもできない。
一応の処置が済んだ後、ハンターはゴブリンの足跡を辿る。
まだ、ハンターのイライラは収まっていない。
巣にゴブリンが居るのならば、それも鬱憤ばらしにする。
ゴブリンは皆殺しだ。
大型モンスターと戦っている最中に、小型モンスターに邪魔される。もしくは大型モンスターが乱入してくる。
大抵のハンターたちはイライラする。そして、邪魔してきたモンスターごと切りまくり。よくあるでしょ? そして、こやし玉投げる事を忘れる、もしくは持っていないこと。
女魔術師、女魔法使い どっちがいい?
-
女魔術師
-
女魔法使い