RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
「・・・ナッ」
俺の目はおかしくなってしまったのだろうか、幻覚が見える。妖精が水浴びをしている・・・。いつの間にかモンスターの攻撃を受けていたのかな?
「ーー
ヒュオン!
顔の横を通り抜けていく
「申し訳ありませんでしたァァァァァ!!」
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「そう言えば、貴方はあの時の・・・」
「アッハイ、あの時もあの時でホントにすみません」
なんとか、リオンさんから許しを得た。20分ぐらい土下座したけど。邪念を感じなかったやらなんやら。でも油断すると普通にさっきのシーンが頭に浮かび上がってきて・・・その度に何故か察知され短剣を突き付けられるので抑えるのも一苦労だ。1人の時にゆっくり思い起こそう。
「いえ、あの時は私も悪かった。少し力加減を間違えてしまったようです」
レベル1だったら即死しかねない一撃が少し・・・そんなドジっ子な所もイイッ(末期)
「えぇと、まぁ、また今度店に伺います」
「ええ、豊穣の女主人の店員として、貴方をお待ちしております」
流石にこの後の墓参りに同行するほどの勇気はない・・・向こうもちょっとした知り合い程度は連れて行かないだろうし。
まぁ、今回の水浴び事件で分かったことは、俺が勘違いしてたってことだな。ゴライアスと、クラネルリンチは明日か。無駄足踏んだな・・・まぁでも水浴
カッ!
・・・
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次の日、街の住人にきちんと道を尋ねてから1本水晶を訪れた俺は遠くからリンチの様子を観察していた。気分は良くないが・・・これもクラネルが成長する為のイベントらしい、どうしようもなくなった時以外は手を出さないと決めている。実際、ステータスの差では無く姿を消す魔道具のせいで押されているのだから、視線を察知できるクラネルなら酷いことにはならない筈だ。
なんとか持ち直し、激しさを増したその戦いは神ヘスティアが神威を解放し終了した。覆面の剣士(リオンさん)も登場していて、原作通りと考えていいだろう。まぁ、なんかよくわかんないピンク髪さんもいたけども。誰だよマジで。
そんなことを考えている間に揺れた、俺の知っている地震とは違う揺れだ。揺れると言うより、震えているような。まぁ、震えているんだろう。原作でも神様に恨みがあるダンジョンがとか言ってたし、怒りで?
18階層の天井にヒビが入り、その向こう側から黒いゴライアスが現れた。それと同時に壁の1部が崩落し、恐らく逃げ先を塞がれた。さて・・・今回のイベントは、どう転ぶのかな?
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『オオオオオオオオオオオオオオオアァァァァァァァ!!』
安全地帯であるはずの18階層に生まれ落ちたゴライアスが、雄叫びをあげる。神々への怨嗟の声なのか、それとも神を殺す機会を得た喜びなのか。
冒険者達がゴライアスや、突如暴走し始めたモンスター達への対応におわれている間、俺ことレイニーは木の上で装備の交換をしていた。武器はまぁ、これでいいにしても防具がね。紙装甲だから他のにした。1度も戦闘する機会に恵まれなかったこの防具はまた今度使ってあげよう・・・。
木から飛び降り、冒険者に加勢する。ゴライアスは多分クラネル達が倒してくれる筈だ、俺は裏方で十分。敵はLv2相当のモンスターばかりだが、俺の高いステータスはそれをものともせず敵を切り裂いていく。苦戦している冒険者を手助けし、怪我を負っている冒険者にヒールを掛けていく。それを少しの間繰り返している内に、10人ほどの小規模グループが形成された。
「おいあんた!助かったぜ!」
ゴツイ顔の冒険者が感謝の声を投げかけて来る、それに合わせ俺は指示を出した
「それは良かった!とりあえずここから抜けて街を目指すぞ!前の奴は切り刻んでやるから俺の前に経つんじゃねぇぞぉ!」
鬼神化を発動、筋力が跳ね上がり、その動作も素早くなる。モン〇ンのアレだね。視界が赤く染まり、言いようのない高揚感が身体を走り、その衝動のままにモンスターへと切りかかる。
「はえぇっ!ちょ、ちょっと待ってくれよっ!」
技術も何も無く、ただ力任せに剣を敵に叩き付ける、刃は立てている為あらゆるモンスターの防御を貫きその命を散らす、ああ、この精神状態は不味い、と頭の冷静な部分が警鐘を鳴らすが止まれない。まぁ人を殺している訳では無いしいいか、と理性も身体の説得を諦めた。
鬼神化を発動したレイニーはまさに鎧袖一触で、戦闘もしていない冒険者達が追い縋ることで精一杯だ。暴れ回るレイニーは、しかしキチンと街へと向かい、暫くして森を抜けた。
それと同時に身体から力が抜け、思い出したかのように疲れが身体に浮かぶ。たまらず倒れ込んでしまった。しかし、俺の身体は疲れはしないので精神的な物だろう。
「お、おい、大丈夫か?」
先程、声をかけてきた冒険者が手を差し出してくる、俺は素直にその手を取り、ふらつきながらも立ち上がる。
「あぁ・・・少し疲れただけだ、全員無事だったか?」
「おぉ、それなら良かった。俺らは全員無事だぜ、助かったよ。にしてもあんた、つえーな。見ねぇ顔だが、外の冒険者なのか?」
んん、コレは適当に流しておくか。
「あぁ、そんな所だ。俺はゴライアスの所に行くが、アンタらはどうすんだ?」
俺がそう言うと、その冒険者は余程驚いたのか目を見開く。
「おいおい、ホントかよ?ありゃバケモンだぜ。遠くから見るだけでもやべー匂いがプンプンしやがる。普通のゴライアスですら手に余るってのに、俺は逃げるさ」
逃げる道は閉ざされてしまったのだが、それは言うまい。木の上に居たから崩落したのが分かったのであって、それを伝えたらなぜ木の上にと言われかねない。元々森を出るのを手伝っただけだし、街に行けば逃げられない事を知って他の行動を取るであろう。
「そうか、気を付けろよ」
それだけを告げ、その場を離れる。目標はゴライアスだ、走りながらストレージからポーションを取り出し一気に飲み干す。身体から倦怠感が抜けて行き、身体が力を取り戻すのを感じた。