RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位   作:アルテイル

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豆知識の特売

  始まりませんでした。

 

「所属ファミリアを教えて頂けますか?」

 

 ・・・・ファミリア?

 

「えっと・・・ファミリア?ちょっと、入ってないですね」

「そうなりますと、申し訳ないのですが、冒険者登録をすることは出来ません」

 

 

申し訳なさそうにしているピンク髪の受付嬢、何でだ?俺の覚えている限り冒険者登録にファミリアなんてものは必要無いはず・・・、ハッ!

 

 その時、俺に電流走る。俺の脳内に、冒険者ギルドとファミリアという単語を組み合わせた存在は1つしか存在しない。

 

「ダンまち・・・?」

「?ダンまち?」

 

 見ず知らずの男が呟いた一言、当然意味が分からずに聞き返されるが、俺に答える余裕はない、邪魔にならないように失礼しますとだけ言い、足早にギルドを去るのが精一杯だった。

 

 思い出せ!俺が死ぬ前の状況を!部屋の中を!

 

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『あふん』

 

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 そういや、棚の上にラノベとかを纏めて置いてた気がする、多分、一番近くにあったのはダンまち(ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)だったかな・・・。それくらいで死ぬか?人間が。いや、死んだんだろうけどさ。

 

・・・父さん母さん、先立つ不幸をお許しください。

 

2人があの地震で無事だといいんだが・・・。とりあえず、人の心配より自分の問題をどうにかしなきゃならないな。

 

状況から察するに、混ざったのか、いや原理はさっぱり分からないけど、混ざったんだろう。

 

ダンまちと、ゲームが。

 

気になるのは、・・・どの割合で混ざっているのかという事。どれぐらいゲーム要素があって、どれぐらいダンまち要素があるのか。それが重要なんだけど・・・これは多分問題無いな。

 

なぜかと言うと、俺のやっていたゲームは全体的にかなりハードで暗い世界観だった。暗いってのは陰鬱って方の意味で、明るく振舞ってる奴らはほとんど居ない。話せるキャラの殆どは未来に悲観しているような言葉しか吐かず、ドット絵ながらも国全体からハッキリと明るい雰囲気は感じられなかった。

 

うっかりレビューを確認せずに始めたせいで重たいエピソードが過剰供給されたが、1度始めたからには出来る限り頑張ろうとしていたんだが。死んでしまっては続きを見ることは出来ないな・・・。

 

なんせこの街、恐らく『迷宮都市オラリオ』は見た限り活気で満ち溢れていた。ワンチャン神の恩恵のお陰で魔王軍をものともしてないだけかも知れないが、少なくともここは安全なのだろう。

 

 という訳で、多分この世界はダンまち要素が強く、まぁ最悪俺が居なくてもロキ・ファミリアとかフレイヤ・ファミリアの面々が平和を保ってくれるだろうという仮定を立てる。ベル・クラネルと言う本物の英雄も居るはずだし。

 

 と、直近の不安な事が解決したとしても、身よりもない俺が手っ取り早く稼げる様になるには冒険者になるのがいいかなぁ。まずファミリア探しをしなきゃなんないけど。

 

 狙い目はへスティア・ファミリアみたいな零細ファミリアかな?いやでも、恐らく潜在能力に溢れているこの体なら強豪ファミリアにも入れてもらえるかも。

 

 ・・・いや、零細ファミリアにしておこう、大手のしっかりしたとこだと、低級冒険者は下働き(サポーター)で経験を積むまであまり自由に動けないと聞いたし。それに、そんな不安はほとんど無いだろうが自分の周りに自分を何百回でも殺せるような人間がたむろしていると考えると恐ろしい。

 

 そして、肝心の探す手段だが・・・

 

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「あ、はい。資料を持ち出してきますので少々お待ち下さい」

 

 やっぱりギルドだな。多分人を募集しているファミリアの情報なんかもあるんじゃないかと思ったけど、予想通りだ。

 暫くして薄いバインダーに幾つか紙を挟み先程のピンク髪の受付嬢が帰ってきた。今思えばこの受付嬢もダンまちの住民で、ミィシャさんだっけ、その人だと思う。となりの人気の受付嬢は多分エイナさんだな。

 

「お待たせいたしました、早速ですが、ファミリアの希望条件はございますか?」

「まずは探索系のファミリアで、初心者でも重宝されるような小さなファミリアで、ついでに可愛い女神様のファミリアが良いです」

 

 2つ目の条件は男として当然だね。コラそこの受付嬢、微妙な目で見るんじゃない。

 

「あー、そうなりますと・・・基本的に女神様のファミリアは人気ですからねぇ。未だに人気がない所となると女神様にこだわりがあったり、加入条件が厳しくて恩恵の無いものには到底無理だったりする所しか、最初の眷属は好みのショタが良いなんて神様もいらっしゃるんですが、貴方はショタって感じでもないので」

 

 それはそうだろう、見た目は割とすらっとした長身の青年だ。ゲーム設定の年齢は16だったはずだがキャラメイクで割と弄れたし、なかなかのイケメソに出来上がっている自信はある。

 

「あー、今まで誰も突破したことは無いけど、恩恵無しでも可能性はあるファミリアがありました。挑戦してみます?」

 

「どんな条件なんですか?」

 

 恩恵が必要無くても参加可能な探索系ファミリアで、しかし合格者は居ないとなると戦闘力ではない何かが重要視されているのは間違いないだろう。

 

「条件は、私の知らない知識の提示、です。主神の名前はメーティス様、知識の女神様ですね」

 

 んー・・・地球の知識なら、行けるかな?神様の文化ってあんまり発達してなくて技術なんかも古いものみたいだったし。まぁ挑戦してみようか。誰も突破した事ないなら眷属0人の零細ファミリアだろうし、希望にも沿っている。

 

「そこに挑戦してみたいと思います、場所を教えて貰えますか?」

 

 

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 女神様の住居は街の中心部から少し離れた場所にある図書館の一角らしい、らしい住処に、流石は知識の女神だと感じた。

 

この道中なんの知識で試練に挑もうか悩んでいたのだが、意外になにも思い浮かばなかったな。前世は所詮凡人だったので豆知識の量も大した事なかったのだ。まぁでも、幾つかある内のひとつぐらいはヒットするだろう。

 

 図書館の司書の人に経緯を話し、案内してもらう。司書の人に『メーティス様は生まれた時から本という本を読み明かしているから人間の知識人は皆既知の知識しか出せず逃げ帰ってきた』という事を聞いた。本当に本が好きなんだなぁ。いくら何でも1つぐらい知らない事があってもおかしくないと思うのに。あ、でも、頭の良い人がわざわざ冒険者としてメーティス・ファミリアに入る必要も無いのか。そこそこの人の力試し的な?あんまり挑戦者もいないのかね。

 

 ここですと案内が終わる、そこには小さな扉があった。豪華な飾りなんかもなくただの木のドア。あまり外観を気にしない神様らしい。

 

「メーティス様、ギルドの紹介でまた1人」

「入れ」

 

 声、綺麗だなぁ。ふとそんなことを思う。

 

 案内してくれた司書さんにお礼を言い、部屋に入ると、そこに居たのは

 

 ・・・可愛いけど、特に畏怖とか感じない。普通の人だった。なんかこう、物語では描写し切れないような、感動して涙する位の美しさを期待していたのに。感想が出てこないじゃないか。

 

「何をぼーっとしている、早くお前の知識を見せるのだ」

 

 神様だから仕方ないかもしれないけどちょっと傲慢な感じもするし・・・。

 

 見た目は、高校生位。金髪でスレンダーな体型をしている。少し小柄。部屋に溢れる本の中に鎮座するその姿に完成された芸術品の威厳のようなものは感じるものの、部屋に入ってきた俺に目も向けず、目下の本に目を落とし続けているその態度。どれだけ俺に期待していないかが分かるね。

 

「鼻詰まりは脇の下を刺激すると改善される」

「・・・ん?」

「海水を飲みすぎると血中の成分バランスが崩れ幻覚をみたり最悪死に至る」

「海水の3倍の真水を飲むと症状は収まる」

「お、おい」

「だが水を過剰に飲むと死に至る」

「水を飲まないと声帯が壊れる」

「わ、分かった、合k」

「くしゃみの力で肋骨折れることがある、咳でも」

「風邪とは体の中で抵抗力がウイルスと戦闘をする際に体温が上昇する現象のことであり治療法はない」

「お辞儀姿勢で頭を振った時に悪化する頭痛は暗い所で冷やすと治る、それ以外は温めると治る」

「合格!合格だ!な!落ち着こうか!」

 

 晴れて俺は、メーティス・ファミリアの一員となった。

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