RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
「半端ねぇな、お前の魔法」
赤毛の鍛冶師、ヴェルフ・クロッゾがそう語り掛けてくる。威力、範囲共にクロッゾの魔剣の方が上なのであまり嬉しくない。
「それじゃあ、僕達は見張りをして敵襲に備えましょう」
俺・クラネル・ヴェルフが前半の見張り。残りの女子が後半の見張りだ。未だ城には80人近くの冒険者が残っており、その内の幾らかを索敵に回すことは充分に考えられる。
「それにしても、なんでレ・・・あー・・・」
「モーキス」
「ああ、そうそう。モーキスさんは僕達に協力してくれるんですか?」
森の中を注意深く見つめながらも、クラネルがそう尋ねてきた。
当然の疑問だな。そして毎度のように質問に対する適切な回答を持ち合わせて居ない。
「・・・強い奴と戦いたいからかな」
「おぉ・・・」
「戦闘マニアなのかあんた・・・」
俺の評価が戦闘狂で固定された気がする。
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2日目開始、既に城壁は無く、申し訳程度に入り口に物が置かれ侵入を防ぐバリケードとなっている。
「光に覆われし漆黒よ。夜を纏いし爆炎よ。紅魔の名のもとに原初の崩壊を顕現す。終焉の・・・もうこっち来て一年弱だ、忘れた!プロミネンスフレア!」
関係無く吹き飛ばす、門ごと吹き飛び、城の中が良く見える・・・。
Foo↑気持ちいぃ~
外に出ても、捕えられるだけだと分かっているので籠城を決め込んでいるようだ、矢が飛んですらこない。位置を移動し、午前の内に全ての門を消し飛ばした。最初に飛ばした門へ向かうと少しでも侵入を防ごうと冒険者達が涙ぐましい迄に努力しているが、遠くに俺が見えた瞬間脱兎の如く逃げ出した。
「頃合いだな」
拠点に戻り、既に城の防衛能力はなくなったと伝える。なんか、微妙な顔をしているが勝てりゃいいだろう。本当はもう外から城を完全にぶっ壊してやればいいかなと思っていたがこんな立派な建造物を再利用不可能にしたら文句言われそうだし、生き埋めになったヒュアキントスを見つけれず負けになっても面倒だ。
前日に、この世界の容器に移し替えたマナポーションを飲み、消耗したMPを回復した。傷は元より負っていないし、これで完全体だ。残りのメンバーも1日目は何もしていなかったので疲れは見えない。
しかし、何人もの冒険者が待ち構える城に乗り込むということで流石に緊張の面持ちだ。更にいえば負ければどれだけ嫌がろうともベル・クラネルはファミリアを抜けてしまう。
うーん・・・
「まぁ、最悪俺とリオンさんで全滅させれるから気楽に行こうぜ」
「「「「「・・・・・・」」」」」
な、なんだよその目・・・
「ベルさん、負けても良いなどと考えてはいけませんよ」
「は、はい・・・」
俺プレッシャーかけても上手くいかないって思う人間だからそう言うのよく分かんない。
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「なんなのだあの冒険者は!?」
また、
部隊長格で集まり、王の間でこの状況を打破する為の意見を出し合おう。そう言って集められた私達は昨日から城を襲っていた衝撃を再び感じ取り、今度は門を壊された事を知った。
「敵は我らが痺れを切らして城から出てくるのを待っているのではないか?」
「それは無いだろう、その気になれば城すら吹き飛ばせるような奴らだぞ・・・」
「何故このような事に・・・」
私は言ったのに、夢で見た。でも誰も信じてくれない。
私も最初は信じられなかった、
でも現実として、ソレは現れた。落ちてきた太陽は、今私達アポロンファミリアを敗北へと導こうとしている・・・。
沈黙が支配する王の間に、少女の声が響く
「・・・死なない限り何でもしていいの?」
私達の視線はその少女、ダフネへと向けられる。団長様は・・・
「・・・やってみせろ」
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「なんか嫌な予感するから俺が先に入るわ」
他の面々が城の各所で陽動に動いている中、俺とクラネルは王の間へと足を進めていた。原作通りならそこにいるハズ。そして、そこに繋がる唯一の通路に入る前、俺の身体を言いしれない悪寒が襲ったのでクラネルに離れてもらい、単身通路へと突入する。怖いのでリジェネもかけ、一応準備万端。
「撃て」
ドドドォーンチュインチュインチュインバリッチュバリッゴォォォォオッ!!ヒュゥゥンガッガッガッ!
「俺が何したって言うんだァァァァァ!痛いヤバいっ!?」
扉を開けた瞬間、各種魔法に矢の雨が俺を集中攻撃して来た。魔力をたっぷり込められているのだろうその魔法は俺の乏しい魔防を貫通しダメージを与えてくる、かと思われたが破壊不可能なローブに阻まれ、物理的衝撃以外はなんの痛みも無かった。魔法使い装備のせいで耐久が下がっているため矢の衝撃が痛い、野球ボールぶつけられたぐらい。
顔も両腕で庇っている、被害と言えば両手が火傷と霜焼けになり身体に雷のせいで痺れが残っているぐらいだろうか。ソレも少しして回復された。
「これで倒せないの!?化け物め・・・!」
酷い、スレンダーな美少女に嫌な目で睨まれた。レベル高い奴はみんな化け物だろうよォ!
「残念だが、コレぐらいで死んでやる訳には行かないな。痛い目を見たくなければ大人しく道を譲って貰おうか」
地道な演技でモーキス=レイニーとならないように努力する。意識して高圧的なセリフを吐いた俺に、少女は笑う。
「ハハッ、幾らレベルが高いからって、魔法使いがこの人数に勝てるとでも?詠唱する隙も与えないわよ」
そう言う彼女の周りには、先程の俺の耐久力を見て及び腰ながらも20人ほどの冒険者達が、恐らくレベル2。
ジリジリと包囲網を敷いてくるその冒険者の1人に、杖を投げつける。
ゴッッッ!
目にも止まらぬ加速をみせ、杖は冒険者を吹き飛ばす。壁に叩き付けられ、一撃で昏倒したその冒険者。辺りは沈黙に包まれた。
「悪いな、接近戦も得意なんだ」
そう言ってローブを脱ぎ捨てる(特に意味は無い)。中から現れたのは泣く子も黙る日本製のヤンチーさん。見るからに力の強そうなキン肉マンの登場に、少女は少し涙目になりながらも呟く。
「アンタら、全力でかかれーーー!」
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「ほら、先に行ってろ」
「ア、ハイ」
あの人は本当になんなんだろう、倒した冒険者を縛りながら先を促すレイニーを見て、ベルはそんな事を考えた。男の冒険者は容赦なく殴り飛ばすが、女の冒険者は優しく拘束するその姿を見る限りフェミニストなんだろうか。人となりはいいと思うけど、自己申告によれば戦闘狂らしいからいつ目をつけられるのかとひやひやしていたり。
とんでもない魔法を使うのに、全然近接戦闘もこなす事が出来て。アイズさんやティオネさんにも負けないぐらい強いと思う、とんでもない事だ。何故だか僕の事を気にかけてくれてるみたいで、2度も命懸けで助けられた事がある。見たことのない能力も持っていて・・・結局よくわからない人だ。
・・・まぁ、今回もこうして助けてくれているし。本当にいい人なんだろうなぁ。
冒険者ベル・クラネルはこの上なく油断していた。強い助っ人の参戦、あまりにも容易く成功した城への侵入。レイニーから漂う楽勝ムードに当てられて、油断していたのだ。
カチッ
「アババババババ!?」
ダフネが用意していた罠に見事に引っかかった、倒れた英雄を予言の姫がそそくさと拉致する・・・