RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
ついでに明日から忙しくなり、投稿が滞ります(勝つ気なし)
『ひっーー』
細い靴音が背後より迫り、イシュタルが慌てて振り返った瞬間、どんっと胸を押される。
右手でイシュタルを突き飛ばしたフレイヤは、もう一度、右手で突き飛ばす。
後退する体。崖の際に迫る足。もう後はない。
宮殿の下に広がる黒い地上が、イシュタルを呑み込もうと顎を開く。
『待っーー』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・(っ´ω`c)マッ...」
ベットの上で、俺は静かに嘆いた。
襲撃され、そのまま探索を続けるのもなんなのでホームに帰り、昼寝でもするかと寝ているとまさかの夢を見た。
え、助けないといけないんすか、そうすか。
なんか暗い噂もあるし、助ける候補に入れなくていいんじゃないですかねぇ・・・
「レイニーさぁん!」
夢の内容を思い返し、理不尽な救出強制クエストに怒りを示しているとカサンドラが部屋の中へと入って来た。コレ、そんな大きな声を出すもんじゃありませんよ。
「どうかしたのか?」
「あの・・・
そういうカサンドラの顔色は優れない、恐らく悪夢の類だったのだろう。なんの夢だろうか?
詳しく教えて貰った。
狐は希望を抱き夢を見る
救われぬ兎は絶望に沈み
蛙は笑いコレを飲み干す
忍びは戯れに潰された
そして世界は闇に包まれる
救いの鍵は殺戮者
という事らしい。ふーむ・・・
予言をキチンと見るのは初めてだが、具体的にどうなってどうなって、という事が分かるのではないのか。キーワードを貰って謎解きをするイメージか。
とは言え、コレは簡単だな。
つまり春姫が寝ててクラネルを助けないからヒキガエルにペロリと食べられる、助けられるのは知ってる俺だけって事だ。
クソッタレめ!原作なんてどこにも居ないじゃないか!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「春姫さん居ますか?」
「今は客は取れない状態でね、アタシなんてどうだい?」
カサンドラに歓楽街に出かける旨を伝え、街へと繰り出した。人はほとんど居ないものの、チラホラと動いている人を見かけるイシュタルファミリアの建物へと入り、中の受付嬢らしき人に質問を投げ掛けたのだが。求める答えは帰って来なかったので、既に軟禁されているのだろう。
仕方ない、
その類の能力は全く持っていないが、兎に角今は飛び込むしかない。壁を無理やりよじ登った。何処にいるかは分からないので適当な窓から中へと侵入する。
人は・・・居ないな。左右に誰も居ないことを確認し、サッと、それはもうササッとGの様な動きで壁へと張り付き、通路の角で先を伺う。
居た、単独行動をしているアマゾネス、顔に見覚えは無いので問題は無いだろう。
一定距離までジリジリと、振り向くなよ~と念じながら近付く。そして飛びかかった。
「えっーー」
「喋るな(低音)」
首元にナイフを突き付ける、勿論刺す気なんて微塵もないが騒がれても困るだけだし。効果は抜群で、名前も知らないアマゾネスは口を噤んだ。
「フッ・・・!」
「ウッ」
殺すぞ貴様、口は閉じたが足は開きおった、金的された。驚きの衝撃、ゴライアスの一撃さえも耐えた俺の体に痺れる様な震えが走る。思わず拘束していた両手を離し蹲ってしまう。
「オラッ!って痛い!?」
そのまま背中に向けて蹴りを仕掛けてきたが、そこは純粋に硬い、ダメージは感じなかった、寧ろ全力で壁を蹴ったのと同義の結果に終わったアマゾネスがダメージを受け、此方も蹲る。
「ひ、ヒール・・・ふぅ…」
そのまま逃げられていたらとんでもない事になったのだが、ここで倒そうとしてくれて助かった。痛みをヒールで誤魔化し、そしてアマゾネスの方を見た。
どうしてくれようかこの女・・・
倒れているアマゾネスにのしかかり、今度こそ抵抗出来ないように両手を掴みあげ、顔の前にナイフを持って行った。
「おい、良くもやってくれたな。余程命が惜しくないと見える(極低音)」
「ヒィ、す、すみませんちょっとした出来心なんです許してお兄さん」
許す訳ないだろうが!トラウマになるかと思ったわ!もしくは新しい扉開くとこだったわオイ!
フーっフーっ!
・・・まぁいい、こんな事に時間をかけている場合ではないのだ。
「最後のチャンスをやろう・・・春姫と言う娼婦の部屋を教えろ(低音)」
「春姫・・・、ええと、19階の上に上がる階段のすぐ側です・・・」
アマゾネスに眠り薬を飲ませ、人のこなさそうな通路にポイッとしておく。
19階か、今は8階だからまだまだ上だな。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「レイニー!なんで逃げるんだよォ!オレと一緒にあそぼうぜぇぇぇ!」
あの女は殺すべきだ、そう感じた。女の言葉を信じ、人と会わないように気をつけながらも10分程で俺は19階へと辿り着いていた、そして警戒も無く部屋の扉を開けたのだが、俺の顔を襲ったのは煙。
中は
死ねっ!もう・・・死ねっ!中に居たアマゾネスの数は、ダンジョンで襲って来た者達より多く、更に一人一人の質も高いように思える。ついでに、騒ぎを聞きつけて上の階から増援が来たし、今も続々と追加の人員が登場中だ。
とりあえず、逃げの一手を打っているのだが諦める気配は微塵もないし、地の利はむこうにある。
仕方ないか・・・
「スパーク!」
「ピッ!」
追跡部隊の先頭を走っていた、この前ダンジョンにもいたサミラとやらにスパークを放ちその動きを止める。急に先頭の者が止まり、立ち止まれなかった後ろの面々はサミラにぶつかり倒れ込んだ。
しかしそれも束の間、次々と立ち上がり、魔法を食らった筈のサミラでさえ少し動きはぎこちない物の問題なく動いていた。
「タフ過ぎないかお前ら!」
しかしまぁ、スパークで特に問題ないのなら、もう1つ段階を上げても死にはしないだろう。
「サンダーストーム!」
「「「「「「「ぴっ!」」」」」」」
一網打尽、狭い通路を隙間なく走った雷嵐はアマゾネス達の体を痺れさせ、行動不能へと陥れた。
「体術で・・・闘いたかった・・・ガクッ」
嫌だよ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「アイシャ!襲撃だ!とんでもない強さの奴がホームに侵入してきた!」
侵入だと・・・ただでさえ今は忙しいってのにまた面倒事か・・・
「侵入者の特徴は?」
「それが・・・サミラ達が返り討ちにされた、あのレイニーとかいう奴らしい。なんでか私達の喫煙所に入って来たから追い掛けてるけど・・・多分勝てないよ」
レイニー、ギルドの情報ではレベル2の筈の冒険者。サミラ達数名のレベル3に、念を入れてレベル2の冒険者を十数名付けて行われた襲撃を1人で返り討ちにした男。簡単に終わる筈だった襲撃は全部この男に止められたらしい。
サミラが言うには、フリュネと同等のプレッシャーを貰ったとか。
レベル5、もしくはそれ以上。その域に達している冒険者はそう多くはない。
思い返されるのは過去の記憶。
街で兎を追い詰めていた時、突如現れた仮面の男の事だ。レベル3の冒険者である私達を軽くのし、フリュネさえその速度に追い付けず翻弄されたあの男。襲撃に言っていたメンバーの1人であった獣人の仲間が、仮面の男と同じ匂いを感じたと言っていた。同一人物なのだろう、すると、ベル・クラネルが攫われたと聞いて無理やり襲撃をして来たのだろうか。
それなら残念だ、アイツの居場所は誰にも分からない。フリュネが攫ってしまったのだし。
「私も迎撃に出る、お前達はどうにかフリュネの居場所をーー」
ドォン!
部屋のドアが蹴破られる。
「ここに春姫と言う娼婦がいらっしゃるという噂を耳にしまして、身柄をとっとと寄越して貰えませんかねぇ」
・・・なんだか窶れているような気もするが、レイニーだ。春姫に用があるのか?理由は分からないが・・・タダで通す訳には行かない。
「お前達!時間を稼げ!」
私は、奥の部屋へと足を向けた。
そう言えば、14巻を読み終わったのですが。
ベル、頑張ってんなー、と思ったと同時にリューさん派閥としては死ねばいいのにと思いました(小並感)
2019|2.19追記
作者が素で命の事忘れてたので予言に忍びは戯れに潰されたの一文を追加しました