RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
シリアス、、、?まぁ、好き嫌いわかれる(´・_・`)カナ-
イシュタルファミリアの団員から散々逃げ回り、その内の1人から春姫の部屋の情報を得た俺は、今度こそと言う思いを胸に部屋に侵入していた。苛立ちもいい加減MAXなのでドアを蹴飛ばしてしまったが許して欲しい。
「ここに春姫と言う娼婦がいらっしゃるという噂を耳にしまして、身柄をとっとと寄越して貰えませんかねぇ」
見事な敬語でフレンドリーに話しかけたのだが、部屋の中にいたアイシャに逃げられてしまった。他に残っていた3人の女の子は俺に襲い掛かってきたのでスパークを撃ち優しく気絶させる。レベル2位だったようだ。
ポーションを飲んで身体を回復させながら、注意深く部屋を進む。
『ブレイク・ボディ』
『呪いの足枷』
『ヒューマンキラー』
『アンチマジック』
部屋に入った瞬間、奥から黒いモヤが飛んできた。咄嗟に避けようとして、実際避けたのだが追尾式。モヤは体に吸い込まれ、途端に身体が重くなった。
『ウチデノコヅチ』
そして、暗い部屋の中が急激に明るくなった、直前に聞こえた言葉、ウチデノコヅチ。それは対象をランクアップさせる、反則級の魔法の名前で・・・
「ゴッ!?」
俺は姿を現したアイシャの攻撃を止める事が出来ず、吹き飛ばされた。
「ゴホッゴホッ・・・、リジェ、ネーション。ヒール」
コレは・・・確か
まずいですねクォレハ・・・
「それは回復魔法かい?詠唱もなしになんて、どこぞの兎を思い出させるねぇ」
「・・・」
身体の痛みは引いてきた、剣で切られたのだが咄嗟に腕で受け、いつもの如く不壊属性である装備に助けられた。骨が折れることも無かったようだ。
「防具の性能に助けられたみたいだけど、次はそうは行かないよっ!」
「ゴハッ!」
目立った防具の無い、脇腹を神速の斬撃が襲う。そして俺は吹き飛ばされる。
「え、そ、そこタダの布だろう!?なんで切れてないんだい!?」
殺すつもりの斬撃は、俺の不壊属性の布とかいう頭の悪い装備によって防がれた。斬撃は最も俺との相性が悪い攻撃だ。
俺の装備は、何処の部位の装備であろうと全身に同じ効果を与える。足に装備をしたら頭の防御力も上がるし、ピアスを付けたら全身の防御力が等しく上がるのだ。よって、鎧と布と言う材質の違いで衝撃に違いは出るものの、基本的にダメージは変わらない。
そんな事情を知る筈もないアイシャは混乱していた、殺したと思ったのに、ピンピンしているのだ。タダの布に、斬撃を止められた。つまり、余程高価な装備という事。タダの布にレベル4の攻撃を防ぐほどの能力を持たせるなど正気の沙汰ではない。そんな事が出来る冒険者、もしかするとこの冒険者はレベル6で、深層の怪物のドロップアイテムでも使って作った装備だとでも言うのか。
「スパーク」
「ピッ」
「サンダーボルト」
「ピイッ」
そんな事を考えていたアイシャの意識は、カースを受けても全く威力の減じない、異界の魔法によって沈んだ。
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死ぬかと思った、状況的にはゴライアス戦の時よりもやばかったんじゃないだろうか。相手がそこそこ重いとはいえ、剣で攻撃してくれて助かった。
例えば、もしランクアップした相手がフリュネであった場合、大斧でぶちゅっと潰されていたかも知れない。
4人のカース持ち達は戦闘能力は余りないようだ、特に抵抗を見せなかったのでちゃっちゃと春姫を助ける。
「・・・よっ、この前の客だけど」
どう話しかければいいのか、分からなかったので軽めな挨拶。すると春姫は目を見開き、この前の焼き直しの様に涙を流した。
「何故・・・ここに・・・」
来たくは無かったかな・・・もちろんそんな事を言う訳には行かない。
「ちょっと不穏な噂を聞いたもんで。嘘吐きにはなりたくないし・・・助けにやって参りました」
それに対し、囚われの姫は
「どうして・・・、助けてなんて、言ってないじゃないですか!」
今までの人生で、味わったことの無い真剣な感情。どうしようもなくて、助けて欲しくて。それでも助けを求める事が出来なかった女の子の叫び。前に出会った時、棘を密かにぶっ刺してきた、その感情が今爆発した。
見覚えのない悪行、家を追われ、見知らぬ男に買われ、勘違いながらも多くの男に春を売り、挙句の果てにはあったことも無い女神との戦争の為、殺されそうになっている。
そんな状態なのに、彼女は助けを求めなかった。無理だと分かっているから、どれ程理不尽な目に会い、その命を散らす羽目になっても手を伸ばすことは無かった。
本で読んでいた時、そんな事は気にしなかった。どうせ、ベル・クラネルに助けられるヒロインだ。山場を乗り越えて、過去を精算し、後はオールオッケーハッピーエンド。悲しい過去はあるものの、ソレは輝かしいこれからを彩る為のスパイスに過ぎない。
現実になって思った、最高にクソッタレな話だ。しかも、俺なんかがいやがるせいで物語は崩壊した。英雄は現れず、
今思えば、俺は何もしない方が良かった。冒険者に向いた能力が発現してしまったのが悪かったのか。そもそも関わるつもりなど無かったのに何やかんやで主人公の邪魔をして、こんな事になってしまった。
ここに立つべきなのは俺ではない。クラネル・・・いや、ベルだ。しかし、今居るのは俺だけ、助けることができるのも・・・俺だけ。
原作とは全てが違う、そして、現実は少しの違いが大きな齟齬に至るものだ。今後どうなってしまうのかは分からない。でも、
自分の過ちは自分で償わなければならない。
助けよう、俺の全てをかけて。
「俺が助けたかっただけだ!文句を言うなら、助けて欲しそうにしてた自分の表情筋に言ってろ!」
春姫の手を取り、無理矢理お姫様抱っこにして部屋を飛び出した。
ハハッ!ヤベー!本当の英雄みたいじゃないか!1人の女の子を助ける為に、巨大な組織に喧嘩を吹っかけちまった!
「落ちたら怪我すんぞ、大人しく助けられろっ!」
「なんで、なんで私なんかを!」
なんで、か。この世の中には悲しい過去を持つものなんて幾らでも存在するのかもしれない。しかし、その全てを助けるなんて俺には出来る訳が無い、なら、目の前にある悲劇ぐらいは全力でハッピーエンドにしてやる、ソレが俺のプライドって奴なんだ。
俗人矜恃
俺は、人を見捨てない。俺にはそれが出来る。誰であろうと、どんな絶望的な悲劇がソイツを襲っていようと、俺がいる限りバッドエンドはお呼びでないんだよ!
平凡に埋もれた俺が、この世界に来て力を得た。調子に乗っていると思われても仕方がないが・・・助けられるなら、助けたい。他の誰でもない、自分自身で。そういうものなのではないだろうか。
「お姫様は、無条件で英雄が助けに来るもんなんだよ」
「・・・お、お姫様って、私はそんな上等なものでは・・・」
「まぁその話は置いておこう、忘れていたが今は世界がヤバい」
「・・・え?」
もうちょい、シリアスに浸りたかった感じもあるが、冗談抜きで世界がヤバい事に気がついてしまったので雰囲気を壊していくんですねー、はい。
忘れるとこだったよ、ベルの救出。
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