RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
春姫から、例の地下道?とにかく、ベルが監禁されているであろう場所について尋ね、案内をして貰った。ここに来るまでに、近くのイシュタルファミリアの団員は気絶させていたせいか、疎らな襲撃はあったものの問題無く対処出来る程度だったのが嬉しい。
そして、地下道へとたどり着いたのだが・・・
フリュネを見つけた、それはいい。まだ行為には至って居ないのだろう。しかし、その手に持っているものが問題だ。
「あれ・・・もしかして精力剤じゃ」
小瓶に入った赤い液体、見たことは無いが知識と照らし合わせると、多分そうだ。フリュネはすぐ近くの部屋に入った、そこか。
「此処で待ってろ、なんかあれば部屋まで逃げてきていいけど」
「わ、分かりました」
春姫は置いていく、部屋の中にはレベル5の冒険者がいるのだ、戦闘になればLv1の春姫は死にかねない。
ドアを開きそっと中を伺うと同時に俺「オエェェェェ!」
ヒキガエルの下着姿を見てしまった、鬱だ、殺そう。
「ライトニングライトニングライトニングライトニング」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」
焦げてプスプス言ってる汚物を極力目に入れないようにし、サッとベルの拘束具をぶち壊し連れ出そうとした、その時。
「レイニーっ!」
「どわぁっ!?」
ベルが、襲い掛かってきた!と言っても攻撃を仕掛けてきたんじゃなくて俺の手を掴み押し倒してきた、と言う意味だが。いや、なんで?
赤い顔
荒い息
いきり立つアレ
・・・視線を巡らせると、例の小瓶がすっからかんになった状態で転がっていた。おっとぉ、発情中って訳ですかぁ。
「ハァ、ハァ、レイニーって以外と女顔だよね・・・!」
「殺すぞテメー!」
ダメだ、正気を失ってやがる!俺はホモじゃねーしお前も違うだろ!?クスリなんかに負けてんじゃねぇよオイ!
ステータスの差を活かし、拘束を振りほどく。息を荒らげながら足にすがりついて来るその姿は幾ら美少年でも気持ちが悪い。やめろンなもん擦り付けんな!?
「ライトニング!」
「イギッ!?」
・・・もうベルはダメだな。クスリが抜ける迄使い物にならねぇ。むしろ所構わず発情されたら邪魔にしかなんねぇよ。気絶したベルを見詰め、そんな事を考えた。しかし、誰かに預けようにもレベル3であるベル・クラネルの暴走を止められるものなどそうそう居ないし、外聞が悪い。女好きの英雄ってのも居るとは思うがベルはその路線行っちゃダメだろ・・・。
そして、何処かに拘束するとしても、抵抗のできないベルをパクッと・・・可能性としてはある。
まぁ、ここで考えていても状況は進まない。とりあえずフリュネが起きる前に春姫と逃げ出そう。
通路に居た春姫とは直ぐに合流出来た。そして
「と、殿方の・・・」
ん?なんか、嫌な予感が。
「裸ぁぁぁーーー!!」
ポテッと倒れた春姫、仰向けにしてみるが完全に気絶していた。
そう言えば鎖骨見るだけで気絶する様なクソザコナメクジだったっけ。
その場に残されたのは、発情中の兎と発情中の兎をみて発情した狐、それを冷めた目で見つめる英雄の卵であった。
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生物はストレージに入らないので、2人を脇に抱え、地下道を出て路地裏に潜む、未だ2人は起きる気配が無い。まぁベルは起きなくても良いけどね。ペちペち春姫を叩いてみたのだがううんと唸るのみ。
どうするか、今の空は茜色。色々なイベントが本格的に起こるのは夜に入ってからだけど・・・フレイヤとかがどうなるのか分からな
・・・待てよ、そう言えばまだヤマト・命さんが居たわ・・・コレは放置で?いや、ソレを人質にとってまたベルを巡ってなんやかんや起こる可能性もあるしコレも助けねば・・・?
しかし、今の自分は重い荷物を2つも抱えている状態だ。幾らステイタスの恩恵で力が人間離れしていると言っても俺の手は2つ、手の塞がった状態で敵陣に突撃するのは基本的に馬鹿の所業では無いだろうか。
せめてベルさえマトモになれば春姫を預けて動くことが出来るんだけど・・・ソレも叶わない。起きれば誰でも襲いかねない危険人物だ。
「・・・あ、そうか。ここで拘束すりゃいいんだ」
まず剣を取り出しまして、壁に刺します。ぶっ刺します。5本ぐらい。んでいつかの投げ縄を再び購入し、結びを解いて全力で剣に括りつけて括りつけまくる。最後に手首に残っている手枷に巻き付け、不壊属性の拘束具の完成である。誰も見ていない事を確認してから戦争遊戯の時に使った魔法使い装備に着替え、
「ゾーンゾーンゾーンゾーン」
魔才が上がっているので防御力も上がっているだろう防御魔法を貼っておく。
コレでレベル5以降の冒険者でも無いと壊せない要塞の完成だ、見た目なんもない所に美少女と美少年が放置されてるようにしか見えないけど。
メモで、俺が戻ってくるまで待っててくれという旨を伝え、その場を離れる。
時間が押してる、さっさと行動に移らねーと。
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とある一室で、ヤマト・命は人生で最大の危機に陥っていた。
彼女はダンジョンで捕えられ、忠実とは違い拘束から抜け出す事は出来ていなかった。そこへ、怒りに震えるあの
かの神は、部屋に入るやいなや命を、
万人に通用する状態異常、美の女神の魅了を受け、命の意識は急速に塗り変わっていく。抵抗など意味は無い。どれ程の高レベル冒険者であろうと容易く堕とされるその力は突き抜けた
(このお方の寵愛が得られるのなら他の全てはどうでもいい・・・)
彼女の意識がそれに染められるのにさほどの時間はかからなかった。
「言え、今我がファミリアを襲撃している青髪の男は何だ」
「レ、レイニーのことはぁ、良く、わからないのですぅ・・・」
今まで生きてきた中で受けたことの無い衝撃、身体は意志に反して勝手に昂り、喋る事も儘ならぬほど。これが女神、これが魅了。命は隅に追いやられた理性の欠片でそんな事を考えていた。
「なんでもいい、知っている事を全部話せ」
「は、はぁい・・・」
媚びに媚びたメスの声、タケミカヅチがこのシーンをみようものなら1度失神してから例え美の女神であろうとも問答無用で殴りかかっていたことだろう。
「レイニーはぁ、ゴライアスを本当に1人で討伐したのですぅ・・・、後はぁ・・・アポロンファミリアの時にいた、魔法使いもレイニーですぅ」
もう誰だよお前、と言うぐらいにキャラが崩壊している命だが、まぁ仕方ない。それよりも、レイニーの情報が流出した事が問題だ。そこから、異常な結界能力の事や、ストレージ、神フレイヤと仲が悪い事、無詠唱ながら半端ではない威力を出す魔法の事など、おおよそ命が知っている情報はイシュタルへと渡った。
イシュタルは思った、そいつが眷属になればあの女に地を舐めさせることが出来ると。フレイヤと仲が悪い、最高じゃないか。あの女に勝てさえするならどんな乱暴者でも受け入れよう、今日の事も水に流してやろう。春姫共々、骨の髄まで魅了してやればいい話なのだから。
「よくぞ話した、褒美をやろう」
「あぁ、ありがとうございますっ」
イシュタルの手が、命の身体に触れる、その瞬間。
バリバリッ!
「ピィッ」
扉の外から、奇声が聞こえた。それと同時に、奇妙な音も。
なんだ?イシュタルは命から離れ、扉へと近付く、
「おい、なに、がっ!?」
バーン、と勢い良く開かれたその扉を、目の前まで接近していたイシュタルは避ける事が出来なかった。久しく感じた事のなかった鈍痛、一体何が。
「あ、すんません。大丈夫ですかね」
噂をすれば、と言う奴だ。
〝イシュタル〟は所詮…先の時代の〝敗北者〟じゃけぇ…!!
感想評価よろしくお願いします(´・ω・`)(´-ω-`)) ペコリ
直前に拘束してたらベルが頂かれる、と言っていたのに直ぐに拘束に入ったので少しだけ言い回しを変更しました