RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位   作:アルテイル

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折れた心

「何が起きている!?」

 

街の様子を観察していると、階下からそんな声が聞こえて来た、この声は・・・

 

「な、何者かが歓楽街を襲撃しているようです・・・!?」

「襲撃・・・!?また、レイニーか!?」

 

違います、まぁ、イシュタル自身も気が付いたようで、顔を青くしていた。

イシュタルの視線は、とある一点に固定される。そこに目をやると、銀髪の女神、フレイヤのお出ましである。

 

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(アレンジ)

 

「こんなことになってしまうなんて・・・」

 

都市を囲む巨大市壁、その南東部から歓楽街を見下ろす優男(やさおとこ)の神は悲嘆めいた声を出す。

羽付き帽子を被ったヘルメスは、背後に従者(アスフィ)を置き、市壁上から街を眺望していた。

 

「彼等の存在を、イシュタルに知らせてしまったのは他でもない、オレだ・・・」

 

今も変わり果てていく歓楽街に向かって、ヘルメスは言葉を落とす。

胸壁の前に立つ彼は橙黄色の髪と瞳を赤く照らされながらその胸を震わせた。

 

「オレが原因の一端を担ってしまうなんて・・・あぁ、なんてことだ、胸が痛む・・・」

 

両腕を広げ、大仰な身振り手振りをした後、胸を押さえうつむくヘルメス。

そんな主神の背中に、アスフィは冷たい視線を注いでいた。

一際大きな爆発音が光とともに発せられる最中(さなか)、彼女はおもむろに口を開く。

 

「で、どこまでが計算通り(・・・・)なのですか?」

 

眷属の問い掛けに、悲劇を演じていた男神は凍りつく。

豹変する雰囲気、それまでの芝居がかった仕草を止め、アスフィにぎこちなく振り向いた。

 

「全部、計算外さ・・・」

 

そう言って、ヘルメスは力無く笑った。

 

「なんなんだろうね・・・、レイニー君が全てを壊していく。全てが思いのままになるのはとても詰まらない事だけど、こうも上手くいかないとやるせなくなるよ」

 

思い通りになったのはフレイヤの出陣位なものだ、期待していた英雄譚は影も形も残っていない。神の描いた台本は、喜劇に塗り替えられてしまった。

 

(オレ)の掌の上で踊れ、なんて言うつもりは無いぜ、それでも、予想外が過ぎるけどね・・・、いやぁ、ままならない。下界は恐ろしい所さ」

 

白い光を見極める事も、出来なくなってしまった、これでまた振り出しだ。

 

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「よっと」

 

神イシュタルが姿を消したバルコニー、そこに俺は飛び込んだ。イシュタルはドンドン上に追い詰められる筈なので、後ろから追いかけようと思う。

リリの魔法で、鼻だけ変身させる。獣人の嗅覚を得た俺は、キツイ香水の匂いを追って行った。匂いは殆ど1種類で、恐らくイシュタルの匂いで間違いない、しかし、大きな階段を登って行くと途中から別の匂いが混じってきた。

 

キツイ香水とキツイ香水が混ざりあってキツイ、鼻がもげそうだ。

 

気分を害されながらも、しっかりと前には進んでいく、コレはフレイヤの匂いだろう、つまり2人は既に出会っている。

 

存外余裕は無いようなので速度を上げた。ココには被害が出ていないようで、通路も階段も綺麗なままだ、そして、ここに来て男の匂いが追加された。確か・・・記憶にある限りここにいる男と言えば、タンムズとかいうイシュタルファミリアの副団長の筈、イシュタル一筋の癖してフレイヤに即堕とされた尻軽ヤリチン野郎だ。まぁイシュタルの魅了がしょぼかったんだろうけどね。ベル程突き抜けてたら魅了は防げるんだから本当に好きならそこまでぶち抜いて欲しい。所詮魅了されて、本心で好きかも分からない気持ちなんてその程度なのかと思ってしまう。

 

お、追い付いた。まだ逃げているな?イシュタルは後ろを振り向かずに一心不乱に逃亡し、フレイヤが静かに追跡する。その傍らには1人の男が追従しており、君はやっぱり堕とされたんやね。

 

しかし、もうここは屋上なんだけど・・・。イシュタルはそのまま、自室らしき部屋の扉を開き、中へと入ってしまった。

 

また、なんか変わったんだな。

 

扉は豪奢に飾り付けられてあるものの、防御力があるようには見えない。傀儡となったタンムズがこの場にいる限りイシュタルに平穏は訪れないだろう。

事実、タンムズは1人扉の前に。

 

大きく振りかぶって・・・殴りましたっ!

 

「ヒィっ!タ、タンムズッ!目を覚ませっ!?」

 

コソコソと後ろから接近する、するとそんな言葉が聞こえてきた。

 

「無駄よ?この子はもう私のモノ、貴方には勿体ないくらいのいい子だわ・・・、タンムズ、やりなさい」

 

自分の手は汚さないスタイル、反吐が出るわ。俺は一気にスピードを上げ、現場へと突入した。

 

ギィン!

 

躊躇いもなく振り下ろされたその剣、心の底からフレイヤに魅了されているのが分かる。

 

「あら、あなたは、レイニーだったかしら。イシュタルを助けるなんて、どういうつもりなの?」

 

助けないと、スキルの効果が失われる、なんて事は言えるはずが無い。なんで俺は何時も、言い訳を用意してこないのだろうか?さて、なんと答えれば・・・。まぁ、答える必要も無いか

 

「答える義理は無い」

「・・・へぇ、私の前に立って、反発する事が出来るなんて・・・。気に食わないわ、やっぱり、気持ち悪い・・・」

 

その言葉を聞いた瞬間、落ち着いていた心が熱を持った。

 

「自分の意見に口答えしない、タダの人形達が欲しいなら引っ込んでろってんだ」

 

ピクっと、フレイヤの眉が上がる。まさかそんな事を言われるとは思っていなかったんだろう。

 

「・・・ふ、ふふ、面白いことを言うわね。人形?子供達は別に」

「魅了で、無理やり自分の事を愛させてるだけだろうが、もしアンタがブサイクで、中身が全く変わらなかったとしたら何人の眷属がアンタの元に居たのか、分かったもんじゃねぇな」

 

それだけ言い、俺はイシュタルを抱えた。言い逃げしますね、オッタル来たら死ぬし。

 

「ここでイシュタルを殺される訳にはいかないんだよ、じゃあなっ!」

 

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逃亡成功?とりあえず、人通りのない、しかし直ぐにでも人のいる場所に逃げ込める路地裏に逃げ込む。そこでイシュタルに春姫の事と、都市外への逃亡について提案した。

 

「む、無理だ・・・フレイヤの執念は半端じゃない。何処へ逃げたって、もう・・・」

 

・・・との事、まぁ、言われて見ればそうかも知れん。

 

「それに・・・、私はフレイヤに負けた、目の前で眷属を魅了されたんだ。1番目をかけて居たタンムズでさえも一瞬で・・・、どう足掻いても勝てない事を理解させられた」

 

精神的にボロボロになったイシュタル、長年目の敵にしていた相手にけちょんけちょんにされて意気消沈している様子。

 

まぁ、恋人・・・とは違うな、コイツらが人間を恋人とまで思っているようには思えない。精々ペットか。

 

何年も共に過ごしたペットが不倶戴天の敵に寝取られた感じ?それも何十匹と。あまつさえそのペットが自分に牙をむいたと、コレは精神やられても仕方ないですわ。

 

・・・なんだか可哀想になってきた。嫉妬で狂って非行に走っちゃったけどどうにかマトモな道に戻れないものかね。

 

「んー、まぁ、性根が綺麗じゃないって前言ったけど、見た目なら全然負けてないから好みなんじゃないですかね」

 

魅了なんて言う変な力があるから面倒なことになるんだよな、俺はなんの影響も受けないからあんまり実感無いけど。

 

っと、話を戻すか。都市外では無く、イシュタルが生き延びる方法ねぇ・・・。

 

あぁ、なら、コレで行こう。普通なら受け入れられる選択肢じゃないだろうけど、今なら。

 

「天界に帰りたくないなら、ギルドに自首して匿ってもらうとか。捕まる程度に後暗い事とかあるでしょう?」

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