RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
どうにか、街へ帰還すると。
「━━嘘じゃない、モンスターが喋ったんだ!!」
「どうして信じてくれないの!?」
2人のエルフがそう叫んでいる場面に遭遇した。もしや、と思い少女に目をやると傷があった肩を抱き怯えたように2人を見つめている。
「あー、おい、こいつ等に宿を紹介してやれ。夢見のいい枕が置いてある場所だ」
「ボールス、本当なんだ!本当にモンスターが・・・!?」
・・・騒ぎに巻き込まれて正体がバレては堪らない。迂回するように別の入口から街へと帰還した。
「じゃあ、僕は此処で・・・、気を付けてください」
「あぁ」
入口でベルと別れる、さて、どうするかな・・・っ!?
前方から恐ろしい程の覇気が・・・!
「良かったー!」
「むぐっ!」
体当たりをかましてきたのは、ニナだ。少し前はなにやら悩んでいたようだが今は元に、いや、前よりもアクティブになっている。
「動いてたから生きてるのは分かってたけど、怪我が無くて良かったー。何度レイニーのとこに飛ぼうと思ったか」
ニナは3人までの居場所を把握する事が出来、顔を思い浮かべれば対象の元に転移が可能だ。予定と違うルートへ移動したりしていれば、転移し状況を把握することが出来る。まぁ、対象がどんな危険な場所にいるかわからないので転移した所が悪ければ大惨事に繋がるかもしれず、あまり使用出来る魔法ではない。
「ん?その子、誰?」
もう少し考えてから会おうとしていたのに突然来られたから心の準備が出来ていない、説得できるのか・・・?
「その、な」
「えいっ」
あっ
「「「・・・」」」
「また女の子?」
・・・あれ?予想外の反応
って不味い!誰かに見られる前にフードを戻して・・・
「ねぇ」
「・・・喋れるモンスターなので助けました。物語の鍵となる存在だと思います」
「ふぅん・・・」
怖いよぉ・・・、なんなんだよぉ・・・。
物語、メーティス様とリリ、そしてニナのみが知るこの世界の真実。俺がこの世界の人間ではなく、この世界が物語の中の物であることは他の4人には話していない。言うタイミングを逃したし、なによりこんな事を話して大丈夫なのかという根本的な問題もある。
ニナ達は、何故か何事も無く受け入れてくれたが。誰もがそうであるとは思わない方がいいだろう。そんな考えもあり、今の今まで打ち明けられずにいる。
「んー、良い機会だし皆に言っちゃえば?」
「えぇ・・・」
軽くないか、これはそんなに簡単な事じゃ、
「そうかな?前も言ったと思うけど、レイニーの知ってる私達と知識の中にある私達は似てるけど、色々変わってきてるんでしょ?そんな不確定な物で私達の仲に亀裂が入ることは無いよ。それにカサンドラとかいっつも予知夢だなんだって言ってるじゃん。それと同じような事だし、気にしなくてもよくない?」
「・・・俺の知識は信じてくれるのになんでカサンドラは信じてあげないの・・・?」
「え?うーん・・・何となく」
何となく、頭の中にいるカサンドラが涙を零したが、まぁそれは今はいい。
それよりも、そういう物なのか。俺が勝手に伏せていなければならないと考えているだけで、案外どうって事ないのか・・・?
「分かった、一緒に・・・話してみる」
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受け入れて貰えました。
なんか、あらゆる重りを投げ飛ばしてこれ迄にないぐらいに清々しい気分だ。
話す過程で戦争遊戯の時に突然現れた魔道士が俺だということを伝えた瞬間ダフネに殴られ、その後他の面々にも一斉に殴られたが気にしていない。あれ?デジャヴ・・・
何故殴られたのか?
(6巻参照)
「あん?アイツどこ行った」
化け物とか罵ってきた女の子を辱めてたら存外に時間が経っていた。クラネルに合流しようと階段を登り切ったのだが、居ない。コレ捕まったな。
殴られても仕方は無いね、うん。
「しかし、皆受け入れてくれるとは・・・」
「まぁ、信憑性もあるしね」
「(知ってたから、信じてくれたの・・・?・・・ううん、それでも、レイニーさんが心から本気で信じてくれたことに変わりはない)」
「物語だろうがなんだろうが、オレはオレだしレイニーはレイニーだろ?」
「あの白髪の冒険者様と、私が・・・?」
一部を除き、取り乱しても居ないようだ。
何と肝の太いメンバーなのだろうか、とても同じ人類とは思えない。
「んで、まぁ・・・そんな訳でこの子はどうにか助けてあげたいんですが・・・」
「・・・まぁ、物語としてみるのなら、確かに有り得る展開だわ」
「そう、ですね。モンスターと英雄の恋愛物語は、古今東西何処でも一定数見られるものです」
「『
流石に多少の動揺は隠せないが、実のある議論が進んでいく。
「わ、私、今朝『オラリオが混乱に巻き込まれる』って言う予知夢」
「「「それはない(ねぇ)(です)(わ)(よ)」」」
「なんでぇ・・・」
カサンドラは無視の方向で話が進み、人の目が少ない夜に地上に帰還する、と言う結論になった。
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「━━不味いぞ、ウラノス」
闇の中で、黒衣の人影が声を発する。
「理知を備えるモンスターが、冒険者達と接触した。今、『バベル』を出る」
水晶には『バベル』地下一階━━天井画の青玉を通した光景が映し出されていた。
「モンスターを連行しているのか?」
「いや、どうかな・・・水晶越しでは保護しているようにも見える」
黒衣の人物が水晶の光景を観察する他方、松明の中心地から重々しい声音が響く。
松明の火に照らされ闇に浮かび上がるのはら石製の巨大な神座でありそこに腰掛ける巨大な老神だった。
2Mを越す巨躯にローブを纏う男神は、彫像のような表情を変えず問いを重ねる。
「冒険者は誰だ、フェルズ」
フェルズ、と呼ばれた黒衣の人物は答えた。
「『スレイヤー』レイニー、【メーティス・ファミリア】だ」
水晶に映し出されるのは、青髪に
もたらされた内容に、老神は己の蒼色の瞳を細める。
「都市に混乱をもたらす
「やけにメーティスファミリアを庇っていたね、襲われたのは自分達の方だって言うのに。まぁ、それはいいだろう?それより、どうするんだい、ウラノス」
神ウラノスは、しばし瞑目し
「様子を見る」
そう答えた。
「いいのかい?【メーティス・ファミリア】はどうも怪しい。アポロンにソーマにイシュタルファミリア。碌でもない所が集っているファミリアだよ?今は分からなくても、いつかは・・・」
「メーティスは下界の者に興味が無い、
神は続ける
「我々には希望が必要だ、彼等がそうなるのか、絶望となるのか。既にゼノスと接触している中で無理は出来ん、『目』を放て、メーティス・ファミリアの団員達、そしてモンスターの少女を監視しろ」
「ああ」
静謐な石造りの広間の中。
翻る黒衣が、闇の奥へと姿を消した。
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「ねぇ、レイニー。さっきから周りを気にしてるけど、どうかしたの?」
「俺の勘が、こういう時は誰かに監視されてるものだって言ってるんだ」
忙しなく視線を移す彼だったが、所詮凡人。空を舞う