RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
「コレはまた・・・面倒な事になっているな」
帰りが遅いからと、少し心配してみれば。コイツは自分の事を凡人凡人と言うが、トラブルを引き寄せる力だけは一級品ではないのか?
確かに、数多の物語を見てきた私からすれば怪物と人間の話は
19階層での出来事を聞き、未知の事象に少しばかり興奮しつつも、今は抑える。
モンスターに襲われていた、か。
モンスターと言うのは、基本的に同種でなくともモンスターを襲う事は無い。1部の例外、強化種はその限りでは無いが、強化種は冒険者が取り損ねた魔石を、モンスターがわざわざ食べてみようとしなければ発生することは無い為、珍しいパターンである。
襲いかかってきたモンスター全てが強化種であるはずが無い。
つまるところ、モンスターの見た目をしているだけで、全く別の種族と捉えてもいいのだろう。
「その少女に名前はあるのか?何時までも少女と呼ぶのも具合が悪い」
「あぁ、そうか・・・名前って分かるか?」
レイニーが、その竜の少女へと問い掛ける。すると、こてん、と首を倒し。
「名前?・・・わたしの?分からない・・・」
「そうか、ならレイニー、お前が付けろ」
「えっ?」
当然だろう、助けて来たのはお前なのだ。言うなれば親代わり、懐いているようだしレイニー以外に適任の者は居ない。
レイニーは暫く考え込んでいた。「原作が・・・」とか「ベルの思考を読み取れっ・・・!」とか言っていたが、どういう事だろうか。
「そ、そうだ!リヴィラの街で誰かが物語の名前を呟いてたよな、なんだっけ?」
「
「そう、それだ!・・・(えぇとそれと・・・多分ヴィーヴルとかを組み合わせて・・・)ウィーネ、うん、ウィーネとかいいんじゃねーかな!」
「ウィーネ、わたしの、名前・・・?・・・ありが、とう」
「グフッ」
竜の少女、ウィーネがなんとも庇護欲をかき立てるかのような声色でレイニーへと言葉を発した。その途端コイツは胸を抑えて蹲りおった、怪物趣味だったとは・・・まぁ、通常のヴィーヴルよりも人に程近い、有り得ぬ話でもないか。
「では、明日よりウィーネについての情報を探るぞ。私の知識には全く載っていない未知の現象だ。あまり収穫があるとは思えないが・・・」
━━ウィーネがどーしても離れてくれないので、一緒に寝る事になった。
ヤメロォ!(建前)ナイスゥ!(本音)
「風呂・・・いや、眠そうだし今日はもう、寝るか」
俺自身は、最悪眠らなくても大丈夫なのだが団員達、ひいてはウィーネも疲れが見える、全員でリビングに集まり就寝する事になっているので、俺だけガタガタ動き回るのは他の皆に申し訳ない。
少しばかり、血とかの匂いが気になるが・・・冒険者をやっていると慣れ親しんだ匂いである。我慢していよう。
・・・ぎゅっ
理由はさっぱりだが3時間ほど眠れずに居ると、腕に少し力がかかった。ウィーネに目をやると、・・・泣いている。
「たす・・・けて・・・」
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リリは、情報を売り買いしている酒場へと向かい、ニナは街で自分なりに情報を探してくるらしい。神様は3人しか居ない神友の元へ、ダフネとカサンドラは古巣をつついてくると言って出掛け、サミラはイシュタルに会ってくるとか言ってた。
・・・会えるの?
俺は春姫とともに留守番だ、まだウィーネが俺以外に懐かないと言う理由から。しかしその問題も解決した、春姫は予想外のコミュニケーション能力を発揮し瞬く間にウィーネの信頼を勝ち取ったのである。
「あれは・・・なぁに?」
「あれはt「あれは太陽・・・お日様でございます」
「おひさま・・・レイニーなにかいった?」
ぐぬぬ・・・!おのれぇ・・・
まぁしかし、ウィーネを笑顔に出来る存在が増えた事は喜ばしい事だ。
━━たす・・・けて・・・━━
何があったのかは分からない、こちらから聞くのも躊躇われる。今俺達にやれることは悲しい記憶を風化させる程に楽しい記憶で全てを覆い尽くす事ぐらいだろう。
できるとは言ってない。
「春姫、春姫」
そう言いつつウィーネは春姫に手を伸ばす、くそう、悔しいけど微笑ましいなぁ・・・。
その時だった
「っ・・・!」
春姫が、ウィーネの手を迎えるように掌を差し出す、しかし、なんの疑いもなく伸ばされた手に三本の赤い線が引かれた。
「あ、ぇ・・・うそ・・・は、春姫、痛いっ?」
血に染まった自らの手を見つめ、呆然とした風だったウィーネは直ぐに春姫へと駆け寄り、手を伸ばそうとするが・・・。再び手に目をやり、動きを止めた。その瞳には涙が貯まっている。
俺自身思考が止まっていた。何の変哲もない、ただの日常だったハズ。それが少しの差異で、お互いを傷付けるなんて。
「ヒール」
春姫の傷を癒した、悪いが心配するのは後だ。ウィーネ・・・
「ウィーネ、手を貸してくれ」
「や、やだっ!レイニーを、痛くしたくないっ!」
「いいから」
ウィーネの手を取り、俺の肌へと近付ける。
「いいか、見た目が人間なだけで、ウィーネよりも遥かに凶悪な力を持っているんだ。だから、こんな爪じゃ傷h」
サクッ
ツツー・・・
・・・
時が止まったのを感じた。
「うわぁぁん!?」
「ウィーネ様っ!!わ、私はこのとおりなんとも御座いません!だからどうか落ち着いて・・・!」
ウィーネダムが遂に決壊し、我がメーティスファミリアのホームは混乱に包まれた。その一端を団長であるこの俺が担ってしまった事を誠に遺憾に思う。
簡単に防御を破られた事は想定外だったが仕方ない、装備、そう、装備を解除していたからね。
俺は高速で現在所持している中で最硬の防具を身にまとった、そして手の部分だけ露出させ。
「よしウィーネ!今度こそ、今度こそ大丈夫だ!ほら」
チクッ・・・
・・・
「セェェェフ!!痛くない、全っぜん痛くない!わかったウィーネ!春姫ならともかく俺にはなんのダメージも無い、そして攻撃力という点でも俺の方が上だということを教えてやろう!」
むぎゅっ
俺はウィーネのほっぺたを蹂躙する。縦横無尽に引っ張られるその頬は、見た目に反し非常に柔らかい。やはり、女の子の体なのだろう。
「い、いふぁい、いふぁいよレイニー!」
ぱっ、と手を離し。俺はウィーネへと告げた。
「このように、ウィーネよりも遥かに強い俺が問題なく暮らしているんだ、少しばかり事故は起こっちまったが気にする事はない、な?」
ウィーネは俺の目を見つめる、暫くして、口を開いた。
「レイニー・・・」
「おう」
ウィーネは、俺に摘まれた頬を擦りながらこう言う。
「嫌いっ!」
「ファッ!?」
ウィーネは、春姫の元へと行ってしまった。少々切れ味の良い爪も、直接肌に触れなければいいので、お互いに注意しあって慎重に触れ合っている。
そこに俺の居場所は無いようだが・・・まぁ、まぁ・・・。
涙は消えたようで何よりですわ・・・
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「ゼノス?」
「あぁ、理性を備えたモンスター達の総称だ」
暗いギルドの地下牢、そこに囚われている麗しい女神はかつての眷属へと話し始める。
「人型のモンスターならば人間に近しい姿になり、言葉さえも容易く話す。痛みに叫び、悲しみに嘆く人とおなじ
「ウィーネみてぇな奴らが、他にもいるのかよ、ですか・・・、それに、イケロスファミリアか・・・確かに聞いた事があるぜ、ます」
敬語がおかしいが、それを気にしてはいけない。イシュタルも慣れたものだ。
イシュタル自身、春姫を犠牲にし神フレイヤを陥れようとした過去があるが、イケロスファミリアの行動原理は金だ。金の為に多数のゼノスをオラリオ外の変態共に売り、多額の利益を得ている。
到底許されるべき行為ではないと思う。
通常であれば、即座になんらかの介入が入るような所業だが・・・
「奴らにはなぁ・・・、とっっておきの秘策があるんだ」
イシュタルは、勿体ぶるかのように言葉を貯め、言い放った。
「人工迷宮、クノッソス」
その時のドヤ顔を、サミラは生涯忘れないであろう。
「人工迷宮、聞いたことが無いぜ、です?」
「当然だ。誰にも頼らず、
今頃真偽を確かめて、その内に行動に移すだろうな、と、イシュタルは暗闇の中でニヤリと笑った。
「何故この情報を私が知っているかと言うと、奴らにとって知られても困らない物だったからだがな、何せ、入口の場所を誰も知らないんだ」
「はぁ・・・、それじゃあ、意味がないんじゃ?」
「馬鹿を言うな、死ぬまでバベルを見張っていようが、なんの成果も挙げられないということを教えてやったんだ。コレが事実ならば懲役を200年減らすとウラノスは約束したぞ」
ちなみに、懲役何年を喰らったので?
1240年だ