RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位   作:アルテイル

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ダンジョンへ

「ええと・・・大丈夫ですか?なんだかやつれていますけど・・・」

 

「いやぁ、昨日は神様が寝かせてくれなくて・・・」

 

「たった一晩でそこまで親密に!?」

 

ギルドにて、なんだかミィシャさんに誤解されたような気がするが、まぁいい。昨晩は新しい発見もあり、睡眠時間を犠牲に役に立つ能力を発見できた。

 

それは俺自身がどれだけ動き回ろうと、休みを取らずに過ごそうと身体は(・・・)疲れない事だ。脳みそ、と言うか精神は疲れてる。昨日はめちゃカワ女神様に添い寝され、更に染み付いた神様の匂いに囲まれてとても寝られる環境では無かった。しかし朝ベッドからだと起き上がった時に身体には少しもダルさを感じなかったのだ。徹夜テンションとかではなく、間違いなく何一つ身体に不調は無い。

 

コレもスキルなんかの影響なのかな、中々とんでもないことだ。

 

「まぁそれは置いといて、今日は1階層だけ潜ってみようかと思います」

 

「え、ええ・・・無理はしないようにしてください」

 

なぜ俺がギルドに居るかと言うと、目の前に居る受付嬢、ミィシャさんが俺の専属アドバイザーという事になっているからである。別に毎日毎日報告しにくる必要は無いが、新しい階層に踏み出したりした時はここに来るようにする段取りになっており、今日で言うとダンジョンに初潜入、一応それだけ報告しに来た次第だ。

 

防具を付けないという衝撃的な軽装の俺にミィシャさんは苦言を呈したが、心配は必要無い、何を隠そう俺の布の服はまさかの不壊属性(デュランダル)付きなのだ。防御力、という点ではほぼ皆無だが防刃性が素晴らしい事になっている。

 

デュランダルと言うのは、まぁ簡単に言うと壊れなくなる魔法的な?

 

・・・RPGの装備って基本耐久値とか無いよね・・・。

 

ぬののふくはモンスターに襲われようがほつれる様子もないし、ドラゴンを力いっぱい殴りつけた木の棒は折れることも無い。普通のRPGなんてそういう物である。

 

よって驚かれはしたし、何故そんな物をと疑われもした。さらに布の服になんて勿体ない・・・なんて事も言われたがそれを目の前で証明することでなんとか探索許可を貰えた。ダンジョンの1〜3階層はゴブリンとコボルトと言う人型モンスターが主力で、小さなナイフや棍棒なんて武器しか出さず力も大した事ないので囲まれたりしない限り危険はないだろう、との事。

 

最後にソロなんだから気をつけて下さいよと忠告される、やはり人から見て自分の格好は心配に映るらしい。素直に頷いておく。

 

ソロねぇ、確かに1人2人、一緒に潜る仲間は欲しいところだが無名ファミリアの素人だしな、ある程度戦えるようになっておかないとどっかの誰かに組んでもらうことも出来ないだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

うーん、道に迷いながらもついにバベルの元にやって来ました。バベルと言うのはこの迷宮都市オラリオの中心に位置する、神々の住む馬鹿高い塔のことだ、この下にダンジョンの入口があり、同業者らしい人達が次々バベルに吸い込まれていく。

 

・・・よし、ここで待っていても仕方が無い。覚悟を決めてそろそろ行くか。人混みの中を進み、冒険者ギルドの支部を見つけた。入口が管理されているようで先には冒険者の列と、その先にあるダンジョンへの道。

 

薄暗い入口に少し寒気を感じる。ダンジョンに入れば、生命の保証は無い。

 

 

 

 

入口に反して中は明るい、確かなんかの植物が発光しているんだったか?

 

入口付近はまだ同業者の数も多い、しかし殆どの冒険者は厳しい表情で先を急いでいる。1階層でも油断なんて欠けらも無いような雰囲気だ。お陰で周りにはピリピリとした空気が流れていて、俺もその空気に呑まれ、自然と顔が強ばっていった。

 

「ギギィ!」

 

その時、突如前方にゴブリンと思われるモンスターが現れた、しかし1人の剣士によって即座に切り捨てられる。剣を抜いてから仕舞うまでの動作が全く見えなかった、前方にいる集団はかなりの腕前らしい・・・。

 

首を飛ばされたゴブリンの死体は、換金対象となる魔石も取られず放置されている。ダンジョンのモンスターは時間が経過するか魔石が失われるまでは普通の死体と同じく存在し続けるので、辺りに血の匂いが広がった。

 

思わず俺は足を止めるが、周りの連中は意にもかいさず先へと進み曲がり角に消えていった、1人、取り残される。

 

俺はなんとも言えない気持ちでいた。このゴブリンは邪魔だから殺されたのだろう。生きる為の金策でも、危機を感じての自衛でもなく。

 

俺は無言でゴブリンの胸に剣を刺した、そこにあるらしい魔石を取り除く為に。少し沈めると硬い感触があったので、剣を使い取り出す。少し待つとゴブリンの死体が消えていった。

 

1人立ち尽くし、軽い気持ちでダンジョンに入った自分を恥じた。

 

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少しばかり、出鼻をくじかれた感じはあるが、まぁ先に進もう。俺は絶対に倒した、いや殺した相手を無駄にはしないと決意する。それが自分の為に殺した相手への最低限のマナーだ。

 

と、そんな事を考えていると俺も前方に1匹のゴブリンを発見した。

手には棍棒を持っており、相手もこちらを発見した様で此方を向き、威嚇してくる。

 

武器と盾を構え、油断せずに1歩ずつ近付いて行く。武器があれば子供でも倒せるようなモンスターでも、人を殺すのに充分な力を持ち、命を狙って来ている敵対生物だ。油断はしない。

 

お互いの射程にお互いが収まった時、ゴブリンが先に仕掛けてきた。

 

「ギアッ!!」

 

ゴンッ!

 

っと鈍い音と共に手に伝わる衝撃。構えていれば問題なく受け止められる程度だ。ゴブリンは戦法も何も無くひたすらに棍棒を振り回している、いくら攻撃が防がれようと気にもしないようだ。落ち着いて、落ち着こうとしながら、棍棒を受け止める。実を言うと腰が引けてしまっている、こんな敵意を剥き出しにして凶器を向けられるのなんて、もちろん俺の人生で初めての体験だ、慣れるのには時間が足りていない。

 

自分から攻める勇気もまだ無く、ただただ防ぐ、しばらくすると相手の攻撃が目に見えて鈍くなった、しまいに攻撃をやめ、肩で息をしている。疲れたのか。棍棒を支えにして無謀な姿を晒しているゴブリン。しかしまだ攻撃しようとは思えない。どうしても、生物にしか見えない存在に剣を振るう事に躊躇ってしまうのだ。

 

そこで閃いた、そうだ、魔法だ。あれならば言葉を唱えるだけで・・・。

 

「ファイア」

 

敵を見据え、呪文を唱える。ファイアボルトも真っ青な短文詠唱だ。

すると予想外な事に、なんの前触れも無く敵が発火した、炎の塊が飛んでいくようなものだと思っていたが、どうやら違うようで。ゴブリンの悲鳴をBGMに肉の焼ける音と匂いが広がる、少し、気分が悪いな・・・。

 

火が収まると、そこには未だ息のある、闘志むき出しのゴブリンが居た、勿論全身に火傷を負い息も絶え絶えの様だが、間違いなく生きている。焼け焦げた棍棒を振り被り、怒りを顕に襲いかかってくた!

 

「スパーク!」

 

「ギィギャァ!?」

 

またも前触れなく魔法の効果が現れたようでゴブリンは直ぐに動きを止め、1度大きく震えた後に倒れ込む。今度は息もなく、・・・死んでいる。

 

手足がビクビクと動いているのは恐ろしいが・・・スパークの電気が残っているのか?

 

ついにモンスターを殺した。剣ではまだ無理だった。しかし自分の能力で、魔法で殺したのは事実だ。

 

剣で魔石を取り出し、死体が消える様を眺めていた。

こうして俺はダンジョンでの第一歩を踏み出したのだった。

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