RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
また書けなくなってたんですが、とりあえず対処療法的に投稿しておきます。
「ギルドからの勅令状・・・」
ある朝、我らが【メーティス・ファミリア】のホームに封筒が届いた。
それにはギルドの紋章付きの・・・封蝋?かなんかの奴で閉じられていて、ギルドからのものであると分かる。
「宛名は・・・ミィシャ・フロット?誰だっけ?」
「お前の担当アドバイザーだろう、確か。そんな事も忘れたのか?」
・・・あー、担当アドバイザー。存在を忘れていたよ。原作でチュールさんが親身になって行動しているのをみて、そういうものなんだと思っていたが全く違う。最初の数日はアドバイスを貰っていたがすぐに終わった。その後はランクアップの時に1度会ったぐらいなのだ。
「完全記憶持ってる神様と一緒にしないで下さいよ・・・」
軽く愚痴りながら、封筒を開けた。
「ギルドへの出向、と書いてあるな」
「レイニー様、何かやらかしたんですか?」
なんで俺限定なんだよ
全く心当たりは無いが、呼ばれたからには行かねばならない。俺はギルドへと足を伸ばした。
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「ただいま・・・」
ギルドから帰還したレイニーは、やたらと落ち込んでいた。目は此方を見ているようで見ておらず、光も陰っている。
「何かあったの?」
「あぁ、・・・全員を集めてくれ」
団長の指示により、ニナ・リリ・ダフネ・カサンドラ・サミラ・春姫にウィーネ。そして主神であるメーティスはリビングへと集まった。
和気あいあいとした雰囲気が溢れるはずのリビング、今回ばかりは鋭い空気が流れていた。
「ギルドに、ウィーネの事がバレていたみたいだ」
「「「・・・!」」」
レイニーがギルドに赴き、渡された書類に書かれていたのは
『【ファミリア】全団員、及び竜の娘とともに、ダンジョン20階層へとむかえ』
といった文章だ。コレを目にした時、レイニーは叫び出しそうになる自分を抑えることに一苦労した。なにせ目の前に良くも知らない他人が居るのだ、あまり挙動を不審にすれば要らぬ詮索を招きかねない。
断りを入れ、すぐにギルドを後にし一目散にホームへと帰還した。
「どうしよう、コレ、人目につかないダンジョンで始末しようとかじゃ・・・」
「「「・・・!」」」「!?」
「い、いや、それは無いんじゃないか?ほら、ギルドだぞ?中立を保つ為に武力も放棄してるしな?」
事情を知るメーティスは、ネガティブな方向へと進もうとするレイニーを押しとどめようと発言した。
「でも・・・、裏で悪いことしてるとか定番中の定番だし・・・」
現実と物語を混同するな!と、言いたいのは山々だが、この世界は物語らしいのだ。コイツの中での影響は大きいだろう。
「んん・・・あ、ほら、私は呼ばれていないだろう?お前達が死ぬようなことがあれば私に直ぐに伝わる。ギルドもそれは分かっているはずだ。強硬手段には訴えないだろう。それに、お前がなす術もなくやられるような敵はそうそういないだろう?」
そう言われ、レイニーはようやく落ち着いた。
「とにかく、コレは
言われなくても、全力で挑む構えだが。
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「ファイアストーム!」
今回の探索は安全第一。放たれた業火の魔法によって宙を舞うデッドリーホーネット群れは半分程が魔石へと姿を変えた。
「群れてるのを見つけた時はヤバいと思ったけど、やっぱりレイニーの魔法は凄いね!」
此方に声をかけながらも油断なくモンスターを屠っていくニナ。投げナイフがモンスターの魔石を的確に穿つ、リリが文句を言うが今回はお金稼ぎが目的ではないので直ぐにやめた。
現在の階層は20、指定された場所に、もう少しのところまで来ていた。
「んー・・・、ここ、でしょうか?」
メインのサポーターとして活躍する春姫が、地図と現在地を照らし合わせながら目的地を示した。
そこは、壁。
水晶が視界を彩る、道など何処にもない。
「春姫様、また地図を読み間違えたのですか?」
「い、いえ、確かにここのはずですが・・・」
リリ、ダフネも地図を確認すると、確かに地図とギルドからの指示書にはこの座標が記されているようだ。
「壁でもぶっ壊せば隠し通路があるんじゃねーのか?なんっつてな!」
そう言いつつサミラは壁を軽く殴った、本人も全く信じてなかったのだが・・・
バキッ
「「「・・・」」」
「こりゃ、見つからないわな」
小さく割れた水晶の壁の向こう、黒い空洞が見えていた。ダンジョンは直ぐに壁を修復し、向こう側は見えなくなったがその光景はしっかりと記憶に残っている。
ガシャァァン!
強く壁に剣を叩きつけ、俺達は中へと入り込んだ。
『 .•*¨*•.¸¸ .•*¨*•.¸¸ 』
中に入ると、通路の奥から綺麗な旋律が流れて来た。
コレ、歌か?そう言えば、ダンジョンで歌が聞こえる、詳細を調べて欲しいと言うクエストを見た事がある。
淡い光に照らされた通路を、列の先頭に立ち進む、後ろはサミラに任せている、
通路は長い坂道になっている。歌はいつの間にか途絶えていた。そして登り切ったその先には・・・
「泉、ですね」
「行き止まり・・・?」
開けた空間の大部分を占める泉。中々に綺麗な水質で、そこまでくっきりと見ることが出来た。
「こういうのはお約束で、泉の中に隠れた通路があるもんだよ」
成程、そういうものかと皆が納得する。
「では、レイニー様が先に確かめてきてくれませんか?罠があるかも知れませんし」
「・・・」
「レイニー様?」
急に返事が返ってこなくなった。不審に思ったリリが前へと回り込むが、レイニーは顔を背けることで視線の交流を拒否する。
「どうかなされたのですか?レイニー様」
春姫も心配になり、そう声をかける。しかし、レイニーは春姫からも目を逸らした。
「実は・・・」
「「「実は?」」」
「俺、泳げないんだよね・・・」