RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
ギルドとゼノスの交流が始まったのは、10年以上前の事。
「フェルズとも、もう長い付き合いになるよなぁ」
「ふーん、じゃあアンタは相当な古株なんだよな?」
「サミラ?」
「敵が弱くてよぉ、力が有り余ってるんだ、オレとも戦ってくれよ」
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「ガントレット?珍しいな」
「冒険者の装備を使うモンスター程では無いけどな、これが1番闘ってる感じがあんだよ」
着々と準備は進む、この空間は存外広いようで2人が戦うスペースを開けてもまだ余裕があった。モンスター的に、この催しは見世物としてジャストヒットしたようで周りに居るゼノス達は各々騒がしくしていた。
「こ、こんな事になるなんて・・・レイニーさん、お二方が怪我をされたらどうすれば良いのでしょう」
「一応、魔法もポーションも効果が有るけど・・・1発で、なんてことになると・・・」
レイニー達は顔を青くする、フェルズは溜息をつきながらも、リドがLv6に相当する実力者である事を話し、Lv3のサミラとなら滅多な事にはならないだろうと言葉を続けた。
戦いが始まる、確かに、リドには相当力を抜いているように見えた。
「Lv6って・・・最初は手加減されてたのか。本気なら俺じゃ無理だもんな」
「・・・手加減していたとは言え、Lv2の君がリドを圧倒したと聞いたよ。Lv詐称はギルドの規約違反、罰金を貰っても良いかな?」
「Lvは本当なんです信じてくだせい」
剣と拳では、剣が有利である。更にステイタスの差まであるとサミラの勝利は絶望的に思えるが、どうやらサミラはリドよりも技に置いて上の立場に居るようだ。本気の速度を出していないリドは決定打を与える事が出来ていない。
「はははっ!オラオラぁ!もっと本気を出していいんだぜぇ!」
「おっ!?舐めてて悪かったな!それじゃお言葉に甘えてぇ!」
ゴッ!
目にも止まらぬ、そんな速さでリドは隙を見せたサミラの鳩尾に蹴りを放つ、が
「読めてんだよっ、素直な奴は嫌いじゃねぇ!」
サミラの左の篭手で防がれる、そして1度で決めるつもりだったリドは体勢を崩し、サミラの拳をマトモに喰らうこととなった。
「ハ、ハハハッ!面白ぇ!面白ぇ!初めてだ、力の弱ぇやつに1発貰うなんてよっ!」
まぁ、Lv3の一撃をマトモに喰らっても致命打にはならない、油断の消えたリドは正真正銘の本気でもってサミラと戦い、打ち勝った。吹き飛ばされたサミラはゆっくりと身体を起こし、降参の意思を伝える。
「くー、良いの貰っちまったなぁ!サミラ、お前はスゲェ奴だよ、下層の奴にも勝てんじゃねぇか?」
「1回だけならなぁ、スキルの効果が切れて、その後はおしまいよ」
ワハハ!と2人は戦いの後の宴で旧来の友のように肩を組み酒を飲む、その姿に違和感は無い。ストレージから高価な酒(物置きにされている)を取り出し、俺は2人を労いに行った。
「スゲェといや、やっぱりアンタもスゲェよ。言っちゃ悪いが、強い奴の気配は無かったんだけどなぁ。攻撃をした途端ゾクッと来た、あれは忘れられねぇ」
「はは、まぁ、俺のも特殊な技でね。普段はロクな技も無いんだけど。それより、頬は大丈夫か?結構な音してたけど」
サミラがぶん殴った顔面の鱗はヒビが入り、その下から血が流れて来ている。
「あぁ、こんなもの大した事ねぇ、俺っち達にはポーションなんかも支給されてるしな」
「そうか、良かった」
治癒能力が有るとは言え、サミラの方はまだ擦り傷等が残っているので、ヒールを掛けて退散する。置いていった酒を見て2人が一気対決をし始めたので、巻き込まれては堪らないと思ったからな。
それにしても・・・周りを見て、違和感がない事が違和感だな、なんて事を考える。見た目はモンスターであるのに、殺意が無い。歌って踊って、酒を飲み飯を喰らい、間違っても殺し合う以外にやれる事がないモンスターとの間に確かな友情と言うものを感じるのだ。
「アの男は、コの間の・・・ソコのお方、アノ男とはドンな関係ナノですカ?」
「え?アイツは・・・恩人よ。馬鹿だけど」
『キュー!キュッキュ!』
「あぁっ、アルル様!そこは入っては行けませんっ!」
カサンドラはハーピーと踊り、リリは何故かゼノス達が貯め込んだお宝の近くでレッドキャップと何かを話している。そしてウィーネは、仲間達と出会えた事が嬉しいらしく、多くのゼノスの中心でにこやかに話をしていた。
「なぁ」
俺は宴の邪魔にならないようにか、隅で静かに気配を消しているフェルズに声をかける。
「ウィーネをよろしく頼む、今は、やっぱり無理みたいだからさ」
「・・・気が付いていたのか、ここに呼び出した理由に」
仲間がいるよ、良かったね。じゃあまた今度。そんな単純な話ではない、やはり、ゼノスは異端だ。気が付きたくはなかったが、無視もできない。決定的に俺達は違う者なんだと、この景色を見て知ることが出来た。
「人間は中身を見れないからな、あの人たちと暮らす事は出来ないと思う」
「・・・そうか、やはりー」
フェルズは嘆息する、やはり、君達では無理だったかと。かつてゼノス達と出会い、去って行った冒険者達の事を思い、それも仕方ないと。
「でも諦めない、見捨てない。俺達は何をすればいい?」
「ッ!」
だが違った、思わず視線を合わせると、その奥に燃えるような力強い輝きが見て取れる。今まで水晶越しに見てきたどれとも違う、覚悟を決めた者の目。
「ゼノス達は地上へ憧れている。今は無理かもしれないが、いずれは」
「地上?それはまた、まぁでも、知っているなら憧れるのも無理は無いのか」
ゼノス達を狙うファミリアの事、捕らえられている仲間達、地上への道。色んな事を話した。
「人口迷宮について知っているのか、我々も入口を探してはいるが。何分ダイダロス通りは広い、目立つ訳にも行かない」
「イケロスファミリアの主神にゼノスについて聞かれた事がある、多分、ソイツらが鍵を持っているんだと思う」
フェルズとの話が纏まった時、丁度宴の方も終焉を迎えていた。
「ありがとう、君には、また力を借りる事もあるだろう」
「あぁ、何時でも大丈夫だ。あの人達を泣かせたくないしな」
「(彼らを
ひとしきり騒いだ後は当然後片付けだ。ゴミの処理に俺のストレージが大活躍、ついでにリリが取引に成功した用で幾らかの魔石の代わりにゼノス達には必要の無いドロップアイテムが詰め込まれていく。
下層の物がいっぱいですよ!とリリは1人騒いでいた。
そして、別れの時。
「レイニー、帰ろうっ?・・・レイニー?」
「お前はこっちだ、ウィーネ」
リドがウィーネの腕を掴み、ゼノス達の方へと歩いていく。理由がわからない、と忙しなく辺りを見るウィーネ。心が痛いが・・・
「いやっ!レイニーといっしょがいいっ!」
「残ります」
「レイニー様っ!?」
模倣の最後の1枠にニナの魔法を入れ、地上で何かあっても直ぐに戻れる様になったと伝える。何時でも戻れるのであれば地上にいようが迷宮にいようが些細な問題である。
もう魔法は覚えてしまったので有効活用しないといけない、あぁでも迷宮から俺が出てこないとなると敵方は警戒するかもしれないからウィーネを追跡衝動の対象にして地上から迷宮に戻らないといけない。
と言うような事を全員に伝えた。
「え、といや、俺っちは構わねぇけどよ・・・」
「はぁ・・・コイツ本当に馬鹿」
ウィーネが泣いているんだから仕方ないじゃない、涙見たくないんだもの。リドを振り切ってウィーネが抱き着いてくる。頭を撫で、直ぐに戻ってくるよと声を掛ける。
「レイニー、ありがとうっ!」
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地上のホームから秒で隠れ里へとトンボ帰りし、俺はゼノス達との交流を深めた。俺とニナはお互いの場所を把握し、何かあればニナが知らせに来てくれる。ファミリアの皆と会いにくくなるのは悲しいが、カサンドラの予知夢の事もある、恐らく此方を優先して間違いはないだろう。決してウィーネの涙に絆されただけではない、他にも考えがあっての事だ。
「不壊属性の武具だって?とんでもねぇ物を・・・本当に良いのか?」
「武器はともかく、防具なら硬さにおいてこれ以上のものはない。皆も、遠慮なく使ってくれ」
まずは装備の支給、よく知らない相手にポンポン渡せる様なものでは無いが、俺はここに居る皆を助けたい。ゼノス達は、信頼出来る相手だとも思う。勿論、人間用の防具であるので体格が違い過ぎる者には合わないが、人型ならば余裕のある皮鎧なんかは問題無く使用出来る。
ドラゴンが踏んでも変形しない盾をみて、どよめきが起きる。タダの木の盾が見かけによらないとんでもない防御力を持ってると言う事は、知能のある敵との戦いでは有利になるだろう。
『ウォー?』
「ハンマー?あぁ、あるよ。とんでもない重さのを出そうか?」
最初はいきなり生活圏に乗り込んで来た人間に恐る恐ると言った様子の皆だったが、1部を除いて直ぐに仲良くなることが出来た、一緒に歌を歌ったり、持ち込んだ本を読み聞かせたり。普段とは違う穏やかな雰囲気で、ダンジョンの中だと言うのに自然と力が抜けていく。
朝早くからダンジョンを抜けてきたが、色々あったせいかもう既に地上は夜になっているらしい。隠れ里にある時を刻むマジックアイテムで時間が分かるとリドから聞かされた。
「なぁ、レイニー。地上の夜ってどんな感じなんだ?」
「夜?そうだなぁ・・・夜に限った話じゃないんだが、空が綺麗だよ。星って聞いた事あるか?」
「星かぁ、聞いた事はあるけどな。そうか、綺麗か・・・」
噛み締める様な一言に、俺は言葉に詰まる。俺にとっては当たり前、しかし
「あぁ、わりぃわりぃ。しんみりするつもりじゃ無かったんだけどな。まぁ、ダンジョンにだって綺麗な所はあるぜ。近くで言うと・・・25層の大瀑布だな」
ちとモンスターは多いがな、と付け加えられ俺は苦笑する、気を使わせてしまったな。その後は当たり障りない話題をお互いに振りながら、ゆっくりと時間が過ぎていった。
「おっと悪いな、長くなっちまった。人間と話せるなんて、そうそう無い機会だからよ」
「大丈夫だよ、俺でよければ。・・・俺に出来ることならさ」
「れいにー」
「ん?」
いつもならいよいよ寝る時間だと言う時に、ウィーネがそばに来ていた。リドにおやすみと声をかけ、ウィーネと話を始める。ファミリアの皆と別れたせいか寂しい思いをしている様で、眠そうな目でも俺の服をギュッと握り締めて離さない。寂しがっているウィーネには悪いが、可愛いな・・・。
「れいにーは・・・私の事どう思ってる?」
・・・そりゃあ気になるよな、ウィーネは生まれたばかりだが、既に色んな事を知っている。自分が人間とは違う事も、地上では大手を振って歩けない事も。
まぁでも、俺がどう思ってると聞かれたら答えることは一つだけだ。
「当然、大切な家族だよ」
ギュッとウィーネを抱きしめる、片手で頭を撫でたり、ピクピクと動く耳を追いかけたり。安心させるように優しく接する、やがて、小さな寝息が聞こえて来た。・・・複雑でゴメンな、もっと簡単に、平和に過ごせたらどれだけ楽か。
「随分ト仲がヨいデスね」
「・・・短い間でも、俺達は確かに家族のように過ごしていたからな」
寝床にウィーネを寝かせた後、まだ起きていたセイレーンのレイが小さな声で話を振ってくる、寝息が増えて来た里の中では話もしにくいので、2人は迷惑にならないように移動する。
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「先ず、同胞ヲ助けテ貰ったコトに礼を」
「あぁ、いやそんな。当然の事・・・では無いけども。やれる事をしただけだから」
目の前の人間は、慌てたように返答する。
「アノ日出会った時ハ、コノ様な人間だとハ思いまセンデした。もう少し理性的かト」
共存は無理だ、そんなことを言い切ったあの日の人間は、突然ワタシ達の隠れ里に住むと言い出した。リドやフィア達は受け入れたが、人間嫌いの仲間も居る。ラーニェなんかは、人間が出した甘味に少し心が揺らいで居たが筆頭のグロスはだんまりだ。
「まぁ、脳みそ空っぽで突っ走った感はあるけども。ここの人達は案外受け入れてくれて良かったよ。断固拒否されるかと思ってた」
ここの、
「まだ貴方ヲ良く思わない者もいます。ラーニェは既に口と態度がズレかかって居ましたガ、グロスは手強いデすよ」
「あー、ラーニェさんは甘い物好きそうだから明日また別の奴を出そうと思うんだよね。グロスさん・・・は、何か好きそうな物あるかな?」
ラーニェの陥落は近いな、他人事の様に考える。ワタシ達に媚びを売っている様な態度だが、媚びを売ること自体が異常な事だ。人間とモンスターの関係は殺戮と搾取。それは相手がゼノスに変わっても同じ事。仲良くなろうとすることは、あまりにもおかしい。
「そうですネ、身体を磨いて上げれバいいのでハ?」
「あの人の防御を貫こうとしたら相当な業物が必要なんだけど・・・」
だが、悪くない。人間との交流は。この人となら、いつか・・・
2人の話は、夜の遅くまで続く事となった。
プロットも何も無い+久しぶりに書いているので矛盾が出ないように原作を読み返して来ます。またしばらく期間が空いてしまうかと思いますが、よろしくお願いします。