RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位   作:アルテイル

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レイニーのレイニーによるレイニーの為じゃない強化計画

「ウラノス」

 

 

「フェルズか・・・」

ギルドの地下、神であるウラノスがダンジョンに祈祷を捧げる為の儀式場にフード姿の人影が現れる。

 

地下へと繋がる秘密の通路から姿を現した人影は、ただ一言を神へ告げた。迷宮での出来事を、ゼノスと人間による新しい物語の1ページを一言にして。

 

「彼は、希望になるだろう」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

一先ず、『都市を巻き込む混乱』は治まったらしい。ホームに帰還した時、カサンドラがたいそう喜んでいた。ダンジョンで起きた事を伝え、その情報を共有すると共にジワジワと事件を解決した事への達成感が湧いてくる。

 

ダンジョンにいた頃は自分の許容量の上限を遥かに越える重たい空気に陰鬱とした気分が拭えなかったが、やはりホームはいい。身も心も癒される。

 

「そうですか、ウィーネ様はご同胞と一緒に・・・」

 

流石にまた地上でウィーネと暮らす事は難しかった。人の目のある地上で、ホームに隠す様に過ごしていてもバレる可能性は0じゃないからな。どうしても今は、別れるしか無い。冷静になって考えてみれば、今後も一緒に過ごそうとするのであればオラリオを飛び出す必要があっただろう。

 

『いつか、また皆で!』

 

そんな一言を掛けられて思わず泣いてしまったのは仕方が無いよな?その後 どこか痛いの!?なんて心配されたら抱き締めてしまうのも不可抗力という物だ。離れる覚悟を決めるのには時間がかかったなぁ・・・

 

「隠れ里の殆どは下層にあるから、会おうと思って会いに行けるものでも無いしな・・・」

 

幾らなんでも、ダンジョンに友達に会いに行くから、と気軽に潜ることは危険だ。例え自分は無事でも仲間を失いたくはない。特に春姫はまだ戦い慣れていない、ギルドの命令で無ければあそこまで深くに行こうとすることは無かった。

 

「ウチらは兎も角、中層ですらLv1を抱えてじゃ危険すぎるからね。暫くは普通に鍛えるしか無いでしょ」

「うぅ・・・不甲斐ないです。リリにもう少し力があれば・・・!」

 

魔法火力が乏しいとは言え、俺たちのパーティの職業バランス自体は悪くない。

 

前衛で盾となり矛となるサミラ

中程からパーティのフォローに回るニナとダフネ、リリ

必要に応じて道具や魔法の援護を放つカサンドラ・春姫

 

ステイタス過多を理由に追いやられ気味な俺を除いてもバランスの良いパーティだと思う。しかし、モンスターの大群に対する決定打が無いし、構成はまだしも戦力での差は激しい。

 

大勢に囲まれた時、ステイタスの劣るリリ達を庇いながら戦う事になってしまう。この弱点を解決しない限り此方から会いに行くのは難しいだろうな。簡単な魔法の使える『魔導書』とて、万能のアイテムでは無いし。

 

万が一を思い爆弾系アイテムを渡そうかとも思ったが、誤爆でもしてしまえば最悪の結果に終わる。ストレージから取り出せる自分とは違い、携帯には常に危険が付きまとうことに気が付き、辞めた。

 

「魔法使いが必要だなぁ・・・皆、心当たりあったりしない?」

「ウチ、前から言ってたよね?足りてないって」

 

そう言われても・・・俺皆以外知り合い殆ど居ないし・・・魔法使いなんて希少だし・・・。

 

ぴえん

 

「わ、私も知り合いは少ないので・・・」

「リリも魔法使いの伝手は持っていませんね。自分達が覚えようにもそう望んで得られるものでもありませんし」

 

ファミリアのほぼ全員が何かしら魔法を使える現状ですら恵まれている。冒険者の中では、何年やっていても魔法が発現しない人も珍しくは無いのだ。誰もがダンジョン探索に有用な魔法を必要としており、競争率は他の役割の比では無い。

 

そんな状態を解決してくれるアイテム、魔導書(グリモア)も選択肢としてはあるが、ウチのファミリアで魔法スロットが空いているのはサミラと春姫位だったか?

上限を越えて魔法を強制的に発現させる質のいい魔導書ともなると一般には流通していない程の品薄。知り合いに腕の良い神秘持ちでも居ない限り・・・いや、待てよ。そうだな・・・

 

仮に魔導書が手に入ったら、誰が覚えるのが良いだろう。候補になるのは、ステイタスが高いか、後衛に入るものか。

 

サミラは高レベルで、魔力もそれなりに高い。能力的には問題無いだろうが、前衛で闘っているので魔法を唱える暇があるかは疑問だ。並行詠唱もまぁ、やってやれん事は無いかもしれないが、前衛の動きに集中出来ないのは良くない、か。

 

春姫も候補に上がる、だが消費の激しいウチデノコヅチと、新たな魔法を今の状態で併用出来るかと言うと正直厳しいかもしれない。

 

そうなると、カサンドラか、リリか。しかしこの2人となると、果たして攻撃魔法が現れるのか?と言う疑問も湧いてくる。はっきりと狙った魔法を手に入れられる訳では無いが、ベルしかりリリしかり、ある程度本人の希望に則った魔法が発現しやすいのは分かっている。

 

カサンドラはあまりに優しいし、リリも攻撃的な面があるかと言われると・・・まぁ多少ツンな所はあるが普通の範疇だ。

 

「なぁダフネ」

「なに?」

 

悩んだ末に、俺はファミリア1の頭脳派であるダフネに声を掛けた。俺一人ではとても結論が出そうにない。ダフネなら、俺の考えにある穴なんかも指摘して改善してくれるだろう。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「無理です無理です!そんな事してる時間ありませんから!!」

「あ、失礼しました」

 

希少なマジックアイテムである魔導書。それを入手する為に街へと繰り出したが、当てにしていたアスフィさんは、会うやいなや断りの返事をされてしまった。

 

何やら忙しいようで、けんもほろろな反応だ。忙しい中アポ無しで突撃してしまったお詫びとしてまた何か手伝いに来ると約束し、ファミリアのホームを離れる。しかし参ったな、アスフィさんが無理となると恥を忍んであの人にお願いするしかない。

 

気は進まないが・・・俺は連絡用の水晶(オラクル)を取り出し、あの人に連絡を取る。そう、フェルズと。

 

『・・・どうかしたのかな?』

「レイニーです、でいいのかな。その、本当に突然で申し訳無いんだけども・・・今から会えないか?」

『ふむ?デートの誘いかな?申し訳無いが私は骨の身でね。外を歩く訳にも・・・』

「違うわっ!」

 

い、意外とユニークな人なんだな、おもしれー女・・・女?分からないや、何となく聞き辛い。

出鼻をくじかれた感じはあるが、無事会う約束を取り付け直ぐにギルドに向かう事となった。

 

そして数十分後。

 

「成程、魔導書か」

「この間色々カッコつけてこれは恥ずかしい限り。勿論無料でという訳ではなく、ヴァリスでもクエストでも、必要な分は働くので・・・何卒よろしくお願いします」

 

本当に恥ずかしい、でも今後の為には魔法が必要になってくるだろう。

 

「魔導書が、望むままの魔法を発現する物では無い事は知っているのかな?」

「まぁ、ある程度の方向性はあっても、100%では無いということは知ってるけど」

 

リリの変身が見た目だけしか変化しない魔法だったりするように、魔法はそれなりに所有者の意志を汲む事もあるが完全とは言えない。なんでもありなら、仲間が死んでしまった時に蘇生魔法(・・・・)が使えれば、と思った人間全てに魔法が発現してしまう事になる。

 

ベルが魔導書を読んだ時は自分にとって魔法とは何か、みたいな描写が描かれていたから、やはり想いは大切なんだろうけど。

 

「ふむ、それならばいい。いやなに、事前に確認したかっただけさ。丁度在庫も持っている。スロットの制限を越えて発現する物の方がいいかな?誰に使うのかは分からないが」

「あ、ありがとう!」

 

幸運だ、依頼してから何日もかかる事は覚悟していたが、既に作られたものがあるとは。まぁ、本なんて直ぐに劣化するものでも無いし、何かの為に常備しておくもの・・・なのかな?

 

「本当にありがとう、それで、対価は「君の恩恵が知りたいと言ったら?」・・・って、え?」

 

恩恵、・・・恩恵(ファルナ)!?恩恵って恩恵よな・・・あかんゲシュタルト崩壊。

ステイタスが知りたいって、相当踏み入った事を聞いてくるな・・・。

 

「無理にとは言わないが。ダンジョンでも言っただろう?レベル不相応の力が気になるのさ」

「うっ」

 

そこを突かれると弱い、正直俺の能力はチートと言って差し支えないからな。どうしたって不信感も芽生えるだろう、たとえ何があっても、普通冒険者になって数ヶ月の人間がレベル5のディックスを封殺する事は出来ないし。

ギルドとしても疑いは完全に晴らしておきたい、ということか・・・?

 

「ゼノス達とのこれからについて、我々は協力する立場にある。疑っている訳では無いさ、ただ君の出来ることを知っていた方が、色々とやりようもあるだろう」

 

・・・確かに、正確にどれ程の実力者であるかが分かっていれば、何かを成すとき、指示を出す指標になるだろう。この人が無闇矢鱈と情報を広めるとも思わないし。

 

「あぁでも、一応主神様に確認を」

「ふむ、それもそうだな。少し失礼」

 

一旦持ち帰るつもりで話した所、フェルズは何やら水晶を取り出し誰かに通話を繋げた様子。これはもしや。

 

『突然だな、何かあったのか?』

 

水晶越しに聞きなれた声が広がる、メーティス様だ。いつの間にかそこのパイプラインが繋がっていたのか。神との会話に慣れた様子でフェルズは事情を説明し、ステイタスを見てもいいかの確認を取った。

 

『ほう・・・まぁ、良いだろう。ステイタスは施錠しているから、解錠薬が無ければ1度持ち帰ってもらわなければならないが』

 

この世界にはそんな物があるのか?初耳だが、その解錠薬とやらの在庫もあったらしい。二人が話もそこそこにして切り上げると、こちらに向き直ったフェルズはフードの下から解錠薬らしき物を取り出す。

 

「さぁ、そこに寝そべりなさい」

「あ、あぁ。・・・何だかワクワクしてます?」

「そうだね、私も賢者の端くれ。堕ちた今でも未知には心躍る物があるのさ」

 

・・・冗談めかした一言にしてはその背景に重い物が潜んでるんだよなぁ。本人はもうそこまで気にしてないのかもしれないけど、何処に地雷があるのか分からないのでこういう話は笑いにくい。

 

大人しくベットに寝そべり、フェルズによる解錠とやらを待つのであった。

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