RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位   作:アルテイル

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あと一話投稿したら更新が止まると思います。


魔道に触れる

レイニー様が部屋を出ていった後、リリは部屋の中心で魔導書と向き合っていました。

 

『ダンジョンでの実戦的な魔法戦解説』

 

そう書かれた本を手に取り、意を決して読み始めます。

 

『魔導師は攻撃、回復、支援問わず基本的には専門の役割として後方に位置する事が多い。』

 

魔導書は初めて見ますが、意外に普通の本のようなのですね・・・?

 

『長文になるほど効力も上がる傾向があり、詠唱に集中する事が必要な魔法は後方で安全に発動される事が望ましい。技術として戦闘行動をしながらの詠唱、《並行詠唱》は存在するが、失敗時の危険性が重視され殆ど使用されていないのが現実だ。』

 

並行詠唱、レイニー様は使われていましたね。まぁ、あれは暴発しても死にはしないという自分の耐久に自信があるからの行動ですが・・・。

 

あれ?文の間に小さな文字がありますね。これは・・・共通語では無いようです。リリでは読めませんね。

 

『しかし後方にモンスターの襲撃があった際、詠唱を中断する事が出来ずに攻撃を受けてしまい、更に魔法の暴発に巻き込まれると言った最悪の事態も想定できる。そのため徒歩程度に併せて並行詠唱をする事はダンジョンに向かう魔導師とって必要不可欠な技術だ。』

 

見た事も無い紋様のような、コレが魔導書たる所以なのでしょうか。ページをめくる度に、目を離せなくなる。

 

『この章では、五分で出来る愚者式並行詠唱マッサージについて解説する』

 

【絵】が現れた。

 

多彩な色合いの文章で表現された人の絵、いや、私の顔(・・・)?ページをめくる。

 

『さぁ、始めましょう』

 

絵の瞼が開いた、あれ、私の声・・・。文字で綴られた栗毛(マロンブラウン)の瞳が私を射抜く。短文で形成された小さな唇が言葉を紡ぐ。

 

ページをめくる。

 

『私にとって魔法って何?』

 

弱い自分を変えるもの

 

だった。少なくともほんの数分前まで

比類なき攻撃でも、完全なる回復でも、超常の支援でも

特別で、自分をかき消せるなら何でも良かった、歪んだ想い。

ページをめくる。

『私にとって魔法って?』

 

希望だ。

強い光。

嫌な自分ごと消し去る太陽。だった

 

でも今は、もう照らされているから

 

憧れに目を焼かれない為の、魔法

ページをめくる。

 

『私にとって魔法はどんなもの?』

なんでも出来る、不可能は無い。そんなんじゃない。

嘘だらけの希望、酷すぎるハリボテ

どうせ欲張っても、与えられないから。

弱い私なんて簡単には変わらない、私なら、狡猾に。

 

『魔法には何が欲しい?』

 

正直妬ましい、あの人たちが

でも仕方ない、人間だもの

欺きたい、騙したい、隠したい

徹底的に、徹底的に、徹底的に・・・

 

『まだあるでしょう?』

・・・叶うなら、あの人に。

お人好しで、お調子者で、気が付くと笑わされているような、私の英雄の

私なんかには不相応だけど、叶うなら。

あの人の隣に

 

『欲張りすぎ』

リリはそうだから

『そう、私らしいね』

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「(リリ様、大丈夫でしょうか・・・)」

 

部屋を飛び出して行ってしまわれた後、レイニー様が追い掛けていたようですが、どうしても心配になってしまいます。私がこのファミリアに加入してから、色々と良くして下さって、本当に多くの事をリリ様からは学びました。それなのに弱いだのあどばんてぇじがないだの、ダフネ様は少し言い過ぎだと思います。

 

でも、他人事では無いのですよね・・・。

 

私は特殊な魔法、その一点のみを買われてこのファミリアに所属させて頂いております。魔法以外はてんでダメで、まだまだお役に立てているとはとうてい言う事は出来ません。

 

魔導書、私も初めての挑戦ではありますが、これからも皆様と一緒に過ごして行くためには、個々で億さず魔法を勝ち取る他ないのです。

 

「ではいざ・・・行きます!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ただいま戻りましたぁ」

「おかえり、身体は大丈夫か?」

 

1時間ほどは待っただろうか。もう待ちくたびれたという雰囲気のサミラとニナを宥めながら雑談していると、リリが先に帰って来た。その表情は清々しいと言った様子で、なにか吹っ切れたらしい。

 

「お持たせしました!」

 

バタバタと急いで帰ってきたのは春姫、そんなに急がなくても良いのに、待たせすぎたと慌てて帰ってきたようだ。流石耳がもふもふなだけあるな。

 

「ホントによぉ、何時間まちゃあいいのかと」

「申し訳ございません!」

 

サミラが愚痴を言うと春姫は即座に頭を下げる。全体通して俺の思い付きが悪かったから頭を上げてくれ・・・。

 

「まぁ待て、それよりも早く【ステイタス】を更新するぞ」

 

と帰って来た二人の手を取り、急ぎ足で連れ出すのはメーティス様だ。どうやら魔法と言う未知に興味津々らしい。

早く魔法が判明して悪い事は無いし、その探究心も悪い事では無いのだが、なんと言うか欲望にごーいんぐまいうぇいだなこの神。

 

「二人ともどんな魔法になったのかな?」

「戦闘に関わる魔法がどっちかだけでも居れば御の字・・・、まぁ、確率は高くないでしょうね」

 

ニナの問い掛けにダフネが返答する。前線で魔導師と呼ばれる者たちが強大な魔法を操る為、魔法=強力と言う印象があるが、基本的に魔法と言うのは戦闘の役に立たない。しょぼいだけならまだしも持つだけで不利になる魔法なんかもあるらしいので、二人のためにもそんな物は出てこないで貰いたいもんだが・・・。

 

「うぉぉぉぉ!」

「「「「「!?」」」」」

 

突然扉の向こうから大声が響く、今のって・・・

 

「メーティス様、だよな」

「だね」

 

あれは、良い方の叫びか?そうだよな?とんでもレア優良魔法キター!だよな?

 

さらに数分

 

「うひょぉぉぉ!」

「「「「「!?」」」」」

 

・・・期待しよう。とんでもレア優良魔法×2だ。そうだと信じよう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

リリルカ・アーデ

 

レベル 1

 

《魔法》

404(エラー)

・第1節ステイタス改竄

・第2節ステイタス奪取

・特定対象のみ奪取可能

・発動時精神力消費増加

・詠唱式【私の刻印は私のもの】【貴方の刻印は私のもの】

・解呪式【嘘の終わりを告げる声】

 

《スキル》

【偽装工作】

・偽装効果上昇

・計画能力上昇

 

サンジョウノ・春姫

レベル 1

 

《魔法》

【キツネビ】

・幻覚魔法

・多重発動可能

・精神力吸収

・詠唱式【人為ならざる夢幻の火炎、不明瞭な狐の炎、絡み纏わり喰らい尽くせ】

 

よくわからんけど凄そうではある、だが攻撃魔法を手に入れた訳では無さそうだ。リリなんてスキルまで手に入れて・・・まぁちょっとばかしアレなスキルではあるが。それにしても詠唱式が以前とほぼ同じ、ってか前後逆になってるんだな。なんだろうこの魔法。

 

「なんだぁ?二人とも見た事ない位のレアな魔法じゃねぇか。効果も訳わっかんねぇ」

「そうだね、これはまた、特殊な・・・」

 

春姫の方はまだ察する事も出来るが、リリは説明を見るだけではイマイチ理解する事が出来ない、ただの魔法って言うより、どっちかと言えば俺に近いような?エラーって言われたら何処と無くゲームが浮かんでくる。

 

404は、存在しないページを開いた時に出てくるエラーだから、リリのページが無くなる・・・とか?

 

「ひとまず庭に出て確認すると良い。私見だが、爆発したりはせんさ」

 

魔法を見てあーでもないこーでもないと話す俺達を見て、ニヤニヤとしながらメーティス様が諭す。・・・なんか嫌な予感するな。

 

一応フル装備で行くか。

 

「団長?何してるの?」

「分からなければレイニーに試してみろ。何、死にはしないさと言われそうな気がしてな」

「分からなければレイニーに試してみろ。何、死にはしないさ」

 

・・・ほらね。

 

ゾロゾロと食堂を離れ、言われた通りに庭へ向かう。抵抗は無意味である。

先にリリが魔法を試す事になり、まずは第1節の検証にはいる。

 

ステイタス改竄

 

書いてあることはとんでもない、ステイタス強化とかでは無く、改竄。それは文字だけ見ればレベル100にだって変えてしまえるという事では?

 

リリが庭に出る、緊張している様子がここからでも分かってしまうな。リリはさっきかなり魔法を覚える事に怯えていた、今でも完全には忘れられていないんだろう。

 

「それでは・・・【私の刻印は私のもの、エラー】っ!」

「大丈夫か!」

 

詠唱を終えた瞬間にリリは何かに驚くように跳ね上がり、動きを止める。ここからは見えない何かが起こったのかと全力で駆けつけるが、問題は無いみたいだ。

 

「だ、大丈夫です。いきなり、頭の中にステイタスが浮かんで来て・・・。これ、発動だけでかなり精神力を使いますね」

 

リリが言うには、自分の頭の中に共通語で記された自身のステイタスが浮かび上がってきたらしい。感覚ではそのステイタスに触れる事が出来、その数字や説明を操作する事も出来そうだとのこと。

 

「ですが、力を上げるとかならともかく、レベルを書き換えたり説明を変更したりするには精神力が足りませんね。変えたとしても、維持出来ずに精神疲弊(マインドダウン)で倒れそうです」

 

ひとまず能力値を全部SSSにしました。

 

とんでもない魔法だな、簡単そうに言っては居るがその顔には汗が浮かんでいる。一度に大量の精神力を消費したのだろう、マナポーションを取り出し、回復を促す。改竄中は精神力を消費し続けるらしく、二瓶ほど飲み干して完全回復したそばから減ってしまっているようだ。

 

早い所試そうとまだステイタスの上がりきっていないニナを呼び、力試しに模擬戦をする事になった。

 

「時間が無いので、口上は言いませんよ。ニナさん、覚悟です!」

「妹分にLv2のあたしが負けられないよっ!」

 

ニナは追跡衝動を解除し、素のステイタスで挑む。

 

ランクアップと言うのは非常に強力なようで、そこそこのステイタスでランクアップしたニナと全ステイタスMAXとか言うリリを比べても、ニナに軍杯が上がっている。しかしややニナ優勢ではあるものの、本来のステイタスを考えるとこれ程までに打ち合える筈もない。その魔法の効果は疑うまでも無いだろう。

 

「流石に、Lv1では勝てませんかっ!なら、【貴方の刻印は私のもの】っ!」

 

劣勢に陥ったリリが、打ち合いながら第2節を唱える、短文で、以前から使っていた詠唱な事もあり慣れた様子だぁっ!?

 

「んぉっ!?」

「!?ど、どうしました、レイニーさん?」

「いや、何か、ダルくて力が抜けるような・・・まさかっ!」

 

上半身の装備を解除し、上裸の状態で神様に詰め寄る。余波で春姫は気絶したが今は気にしていられない。

 

「神様?俺のステイタスどうなってます?」

「ステイタス?どれどれ・・・ほぉ、こうなるのか」

 

レイニー

 

レベル 1

力 SSS 1500

耐久 SSS 1500

器用 SSS 1500

敏捷 SSS 1500

魔力 SSS 1500

 

「これは、リリルカのステイタスだな。となると、お前のステイタスはあの子の所にある訳だ」

 

・・・す、ステイタス泥棒なんてありかよ。

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