RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位 作:アルテイル
俺の体が疲れないことを神様に知られ、ひたすらに本を読まされた、記憶力に特別なものは無いので全部覚えている訳では無いが、知識の神のおすすめだけあって面白かったり為になったりする本ばかりだった。最終的に読書では魔力は上がらなかったが、途中2冊読みなんて真似をさせられたせいか器用が上がっていた。2冊読みは結局成功しなかったけどね。と言うか人間業ではない気がする。神の力も恩恵も無いのにどうやって・・・。
まぁそれは置いといて、今日は何としてでもダンジョンに行こう、行かねば俺が精神的に死ぬ。徹夜で神様の集中力が落ち、注意が逸れた瞬間を狙い図書館から飛び出した、もしかすると神様投げ飛ばし事件の報復のつもりかも知れないけど1度頭を冷やして欲しい。
まずは飯だ、昨日は昼から何も食べてない・・・自分のお金が手に入ったら行ってみたかった所に行こう。
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「いらっしゃいませー!おひとり様ご案内にゃー!」
ここは大通りに店を構える人気店、《豊穣の女主人》だ。原作でも度々登場する店で、可愛い店員達が働いているので自分のお金が手に入ったら来ようと決めていた。
今まで何やかんやでミィシャさん以外の原作キャラと出会っていなかった俺はそこにいる面々に少しばかり興奮していた。顔には出さないように頑張ってるけど。神様に対しても感じなかった感情だ、だって神様原作キャラじゃないから「普通にびっくりするぐらい可愛い」位のレベルだもん。
ちなみに俺はダンまちの世界ならリュー・リオンさんが一番好きだ・・・。
サッと店内を見渡すも、リオンさんの姿はない、今日はお休みなのかな・・・
なんて間の悪い、と独りごちる。黒髪の、・・・名前忘れたけど猫耳の店員さんに適当にメニューから選び注文する。そう言えば俺なんでか文字読めるんだよなぁ。まぁどうでもいいやコレは。
「お冷です」
澄んだ声と共に水の入ったコップがコトリと置かれる。あぁ、ありがとう。と返そうと振り向くと、息が詰まった。
リオンさんだ。
余談だが俺は前世から無表情キャラが大好きでした、目の前にどえらい美人の無表情なリオンさんが現れて心臓は飛び跳ねた後に停止した。
「あ、あぁ、ありがとう」
再起動後何とか詰まりながらも言葉を絞り出し、その後は届いた料理をパクつく。勿論リオンさんはもう別の所に行っている。向こうからしたら全くの初対面なのだし。
しかしまぁ、これからもここを贔屓にする事は確定した。
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この世界で初めて食べたマトモな食事はとても美味しかった。朝食を終え、いよいよ2度目のダンジョンに赴く。
ステータスも向上し、懸念だった殺害への忌避感も緩和されたので、もう少し先に進もうかと思う。具体的には5〜6迄だ。7階層からはキラーアントとか言う
5階層までは多少バリエーションが増えるくらいで数も質もそう違いは無いらしいし、6階層初出のウォーシャドウは鋭い爪と素早い動きが売りの中々の強モンスターらしいが、人型の様なので対処はしやすいだろう。それに斬撃は俺の得意分野だし。
早くも見慣れてきた大通りを進む俺、なんとか、生きていけそうだ。
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「アイス」
「・・・!」
ダンジョン、4階層。そこで俺はカエルのようなモンスター、フロッグ・・・フロッグなんたらに対して新魔法アイスを試していた。
ゲームでは普通に氷属性の攻撃魔法だった筈だけど、狙った場所を凍り付かせ、動きを止める魔法になっている。今もフロッグ・・・あ、シューターだったかな。それの足を凍らせていて、フロッグ・シューターも驚いているようだ。ん?シューター?
ヒュン
風切り音の後に油断していた俺の腹に衝撃と共に鈍い痛みが広がる。
「ゴホッ!おっ、おっえ、えあつ」
この世界に来てから初めての激痛、痛みなんかに慣れていない俺は思わず崩れ落ち、のたうち回る。混乱する頭に広がる知識、そう言えばあいつは舌を伸ばせるんだ!足を封じた所で油断していい相手じゃない!
痛みと吐き気に耐え暫くすると落ち着いてきた、そこで疑問が浮かぶ。隙だらけの俺に対して、なぜ相手は追撃を仕掛けてこなかったのか。
モンスターの方を見やると、答えは残されていた。モンスターの足が無くなっていて、相手は俺なんか目じゃないぐらいに悶えている。
少し考え込み、答えにたどり着く。アイスの効果か、と。
凍り付いた場所に時間経過で欠損を与える魔法なのか?ステイタスの差で封じられるかもしれないが、相手によっては使える魔法だろう、現にこのバトルでは助けられた。
無駄に苦痛を続かせるのも申し訳ないので、介錯する、灰になったあと、フロッグシューターはドロップアイテム【卵】を残して言った。
・・・売れるのかな?カエルの卵ってたしか食べれたし・・・。
一応ストレージに入れるか、と思った所でふと思い付いた。そう言えば、売却を試してみようと。
前回装備を買ってから使用していない商店だが、ちょうど今薬草が欲しい気分だし、10G位にはなると思いたい。
そうして商店を開くと、思いもよらない事が起きた。所持金が856Gになっているのだ、なんでだ。暫く考え、モンスター倒すだけで通貨落とすRPGのアレかな、と当たりを付ける。コレは嬉しい誤算だ、まさかこのシステムまであったなんてな。
とりあえず今やるべき事は薬草の購入だ、あとの事も考え5枚買う、残金806G。
薬草を1枚食べるとスゥッと痛みが薄れていく、しかしまだ痛みはあるのでもう1枚食べ、恐らく完治した。やはり薬草程度の回復量などたかが知れているのだろう、苦いからあまり食べたくない。
ついでに新しい商品も追加されていた様で、辺りを警戒しながらウィンドウを開く。確認したのは薬品の場所だ。
回復
魔力草 50G
強化
大力のポーション 300G
道具
煙玉 50G
の3つだ。まぁそこそこお高いので今はいいだろう。
最後に卵を売却した、30G。
ドロップアイテムは基本、ギルドに売った方が良さそうだ・・・ナマモノでもストレージは保存できるし。
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ゴブリン・コボルトの2種類以外にもフロッグシューターとダンジョンリザードの2種類を加え、計4種のモンスターが現れる1〜5階層を抜け、俺は6階層へと向かう階段に到達していた。
レイニー
Lv11
MP238
物攻508
耐久499
魔才300
器用268
敏捷243
《特技》
・自守
・三段突き
・怪力
《魔法》
・ファイア→ファイアストーム
・スパーク
・アイス
ステータスとスキルは強くなりつつあり、魔法も新たに範囲攻撃魔法、ファイアストームを覚えた。消費MPは20
コレで数で囲まれた時も一安心、これまでで最高4体までの群れに会ったが、魔法無しで挑むととんでもなく苦戦した、未だ戦闘技術という面では初心者でしか無く、多対一だと攻めあぐねるのだ。ステータスでは勝っているので負ける事は無いし、相手が先に動きを鈍らせるので後半は有利に戦えるのだが、まぁ先の階層でそんな悠長にカンカンやってたらモンスターが集まり、圧殺されるであろうことは想像にかたくない。
まして次の階層の、キラーアントはピンチになると仲間を呼ぶというタチの悪い性質をしていて、一体一体倒していてもキリがない。
つまりこのタイミングで範囲攻撃を覚えられたのは素晴らしい事なのだ、モンスターは割と1つ2つは階層を移動するそうだし、不安要素は一応消えた、最後に貯まったゴールドで4つの魔力アクセサリーを購入する、800Gは大きな出費だがまぁ、今現在は攻撃力や耐久力を上げるより直接戦闘力に繋がるMPを増やした方がいいと俺は思う。攻撃は油断しない限り喰らわないし剣は正直活躍の機会あんまり無いしな。
追記・ピアスビックリするぐらい痛い
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小話
MPの最大値が増えた場合残っているMPは増量に比例して増える。最大MPが100、残存MPは10だとして魔力アクセサリーを付け110に増えたとしたら10分の1のMP1が増えて残存MPは11になる。
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キィン
甲高い音が迷宮に響く、ウォーシャドウとの戦闘音だ。運良く一体のウォーシャドウと出会った俺は、魔法とスキルを封印し剣のみでの戦闘を試している、モンスターは基本的に生まれる度に、殺される。新しく生まれた個体には原則記憶は引き継がれず赤ん坊の様な状態だ、つまり戦闘技術なんてない。本能のみで人間と見ると襲いかかってくるのだ。
前世で剣なんか扱ったことのない俺と戦闘技術はどっこいどっこい、しかし少しは戦闘を経験し、ステータスでも勝る俺が押してはいる。その時
ビキビキ・・・
ウォーシャドウの攻撃を跳ねあげ、後退する、向こうも仕切り直したいのか追撃はしてこない。
その後ろから見覚えのある漆黒のモンスターが現れた、2体目のウォーシャドウだ。
「うっわ、2体目か・・・どうにかなるかな?」
戦っていて分かったが、やはり人型相手だと膠着する、カエルやトカゲは防御と言う行動を取れないので、避けようと動くのだがまぁ、落ち着いていれば当てられる。しかし人型は棍棒なり盾なり、ウォーシャドウで言うとその爪で俺の剣を受け止めるのだ。未だ剣を滑らかに振ることさえままならない俺の技術では中々攻めきれない、それが戦闘の長期化に繋がり、更に効率を落としている。
もっとガツガツ行かなきゃダメか・・・。
幸い俺のステータスは攻撃・耐久力よりの前衛だし、装備の事もあり耐久はかなりの物だ、ウォーシャドウの斬撃は肌に当たらない限りダメージらしいダメージは無いはず。
「よし・・・かかってこい」
その声に反応した訳ではないだろうが、顔のない影の怪物は左右から同時に俺に襲いかかる、テレパシーでも使っているのかよ、迷いのない動きだ。
右のウォーシャドウ、仮にAとするがAは突き攻撃、何度襲われてもなれないその凶器への恐怖を抑え左に体を逸らす事で回避する。その途中、左のウォーシャドウ ーーBとするーー Bの振り下ろしを盾で受ける、そのまま1歩踏み込み遊ばせていた右の剣をAの腹にぶち込む、Aは吹き飛んだが、死んでない。
刃が倒れていて深く切り付ける事が出来なかったのだ、コレも初心者ゆえの失敗。
Bが左手で下から切り上げてくる、前へ!Bの攻撃は腰の部分に当たった、勿論そこに防具はなく、只の布の服があるだけなのだがスピードを求めた軽い斬撃は少しばかりの衝撃を残すだけだった。心無しか驚いた様子のBに、渾身の突きを入れる。心臓を狙ったのだが、脇腹から肋骨の間あたりに突き刺さる結果になった、Bを盾で突き飛ばし追撃、袈裟斬りで切り捨てる。コレは俺が唯一マトモに出来る技で、きちんと刃も立てられるし、そこそこ威力もある。
それでも所詮素人の剣、切り捨てるなんて言ったけど途中で止まり、しかし魔石に傷をつけたようですぐに灰になる。
そして、ふらついているAに再び袈裟斬りを放つ、その剣はあっさりとAの体を切り裂き、Aも灰になる。
「・・・よしっ、よしっ!勝てたぞ、俺の力で!」
喜びを噛み締める、やはり守りに集中し過ぎていたのだろう。攻めに転じた瞬間、戦いは滑らかに進行して行った。しかし喜んでいたのもつかの間、ウォーシャドウA・Bの魔石をストレージに格納しようと灰の山に近づいた瞬間、
ビキビキビキビキィ!
嫌な音が後方から響き出す
「・・・えっ?」
後ろを振り向いてみると、そこには五体のウォーシャドウ。俺の命を絶たんと、爪をギラつかせ壁から次々と産まれてきていた。
耳をすませば、まだ音は響いていた。どうやらこれだけではないらしい。
達成感にも浸らせてくれないダンジョンはやっぱクソだなと思いました、まる