RPGのカンスト主人公はダンまち世界ではレベル4弱位   作:アルテイル

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誰でも簡単に稼げるお仕事

「お疲れさん!坊主、小娘、アンタら結構やるじゃないか!見直したよ」

「アッ、アリヤス・・・」

「リヤス」

「途中のサボりは頂けなかったけどね、小娘もちっとはシャキッとしたみたいだし、今回は不問にしようかね」

 

2人分の日給の4000ヴァリスを受け取り、化粧を落とし、服を着替え、フリュネと共に酒場を後にする。何やらほかの店員に声をかけられた気がするが気にしていられない。

 

「少年なんか途中から死にそうな顔してたにゃ?まーウチの忙しさはってどこ行くのにゃ、この後歓迎会ーーー」

 

店を出てすぐ、夜遅くになり人も疎らな豊穣の女主人の前には、7人の人影があった。

 

「レイニー様?説明して頂けますか?」

「フリュネ雇う代わりにお前も女として給仕しろと女装させられていただけで決して私の趣味ではございません」

 

事実をそのまま伝えるしかない。やましい事をしていた訳では無いのだから。ありのままに真実を伝えたと言うのに、リリは俺を疑っているようだ、失敬な。

 

「・・・相当強引な店主様なのですね」

「コイツが何でもするから雇って下さいとか簡単に言っただけじゃないの〜?」

 

鋭いじゃないかダフネ君、正直に言うとまた呆れられそうだから言わないけどね。

 

「まぁまぁ、そういう事もあったかもしれないですね・・・」

 

あの後フリュネは、多少の怯えは残っていたものの一般冒険者相手に最低限の接客をこなし、たどたどしいながらも華麗なアマゾネスから放たれる美味しくなる魔法(萌え萌えきゅん)は、酔っ払い達の心を鷲掴みにした。多分、まだスキルはマイナスのままだろうが、生活に支障が出るレベルでは無くなったんじゃないか?

 

まぁ今はそれよりも

 

「急に留守にしてごめん、心配かけたかな」

 

俺を心配して見に来てくれたみんなに謝らないとな。

 

「それは別に良いんですが・・・レイニー様って時々突拍子も無いことを始めますよね」

「類稀なる鬼才だなんてそんな」

「そんな事言ってないですからね!?」

 

よし、話題(女装)は反らせたぜ。冗談はさておき、いきなりの就職ではあったが上手く行って良かった。女装させられたのには驚いたが普段には無い経験だったし、酒場の業務も新鮮で楽しかったな。手渡されていた日給をフリュネにも分ける。

 

「このアタイがあんなに働いて2000ヴァリス・・・?」

「そう言うな、命の危険が無いんだからこれぐらいが普通だろ」

 

1級冒険者ともなれば、軽く中層に潜るだけで数万を余裕で稼ぐことができる、それがあれだけ慣れない業務で精神をすり減らして2000ヴァリスとなると文句も言いたくはなるだろう。

 

「ミアさんの指導はどうだった?」

「最悪に決まってるだろ・・・」

「カハハッ!あのフリュネが見る影もねぇな!」

 

疲れた様子で吐き捨てるフリュネを、サミラがバンバンと背中を叩きながら揶揄う。原作では好き勝手振る舞うフリュネを嫌っているような描写があった気がするので、今の弱っているフリュネはいい玩具として扱っているみたいだ。

 

戦闘力的にも、周りに男がいる時のフリュネと【闘争欲求】を発動させたサミラなら良い勝負をするだろうし、以前とは違った関係になりそうだな、この2人は。

 

フリュネも多少イラッとしている様子はあるものの、立場からか理性からか溜息を吐き反論もしなかった。

 

「よしよし、良い子だ、そんな良い子のリュネには1万ヴァリスをやろう」

「え、あ、ありが・・・ってこれ元々貰う筈のヴァリスだろう!恩着せがましく言うんじゃあないよ」

 

適当な事を言いながら約束の1万ヴァリスを手渡す、勿論ポケットマネーからでファミリアの金には手を付けてないから怒らないでくれないかリリルカさん?

 

「コレは急にホールに引っ張り出してきた事へのお詫びというか、そう言うのだから、ちゃんと自分のお金だし・・・」

 

悪い事をしている訳じゃないのに胸が苦しくなる、後でこっそり渡せば良かったか?嫌でも、フリュネに皆の前で1万ヴァリスは?とか聞かれたら面倒かなとも思ったし・・・。

 

「あー、そう言えばレイニーの魔法注文したのに届かなかったよ、ダフネだけズルいって」

「レイニー様、不平等はファミリアにとってひじょーに大きな問題になり得ます。団長として、正しい判断をして頂けませんか?」

 

不満気な表情で俺を責め立てるニナとリリ、それに合わせるように残りのメンバーも俺の対応を糾弾しはじめる。

 

「私には『給仕はこの魔法を注文されたら断ってはいけないというルールがある』と仰っていたのに、レイニー様はお逃げになられましたね?」

 

それは正直すまんかった。

 

「そういやオレも頼んでたよな、レイニー、客は神様だぞ〜?」

 

タチの悪いクレーマーみたいな絡み方をしてきおってからに、男の俺が女装しながらそんな恥ずかしい台詞が吐けるかよ!恥ずか死ぬわ!

 

「わ、私は別に大丈夫なので・・・」

 

流石はカサンドラ、不当に(?)貶められている俺の心に回復魔法が染み渡るぜ。

 

「レイニーよ。春姫も言っているじゃないか、自分の言葉には責任を持つべきだろう?」

 

なんでこんな邪神が野放しにされてるんだよ、おかしいだろ。

 

何で皆そんなに男の萌え萌えきゅんが欲しいの!?癖なの!?良いじゃん結局皆フリュネの魔法で喜んでたんだし、もうおしまいで良くない!?

 

か、かくなる上は・・・!

 

「俺レベルの魔法となるとタダって訳には行かないな!1回1万ヴァリスでーーーッ!」

 

ジャラジャラジャラジャラ!

 

石畳に、金貨が落ちる音、それは俺の敗北を知らせる音だった。

 

月収?30万ヴァリスは超えたよ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

バベルの塔の最上階、とある美神の部屋の中に影が2つ。

 

「オッタル、あの子(・・・)はどうなってるの?」

 

その苛立ちを隠さずに美神、フレイヤは傍に控える男へと問いかけた。

 

「はっ、問題ございません、直に至るでしょう」

「そう、ならいいわ」

 

どれだけ日が経とうとあの存在には目が慣れそうにない。

 

魂を見通す私の知る限り、本来あの域に達するはずが無い存在、手を出さないと決めたはいいもののさすがに出しゃばりが過ぎるわ。

 

「ご命令があれば、私自ら」

「あの男が貴方に勝てない事は分かっているの、それでは試しにならない。私が知りたいのはもっと違う事」

 

最初はただ目障りなだけ、いつか排除してやろうと思っていた。その異質な在り方を毛嫌いしていた私はあの男を監視し、それに気が付く。

 

魂の構造の違いに。

 

見た目は人間そのもの、その魂も凡そ平凡な魂と相違ない、そう思っていたのだけれど、僅かに、しかし決定的に違った。この世の魂とて、全く同じ物は1つとしてなく、その色合いは千差万別ではあるものの、レイニーはそもそもの形が違う。

 

何故あんなものがオラリオに居るのかは分からないけれど、ただの平凡な魂では無いと分かってからは多少の興味も出て来た。それにあの男も私に魅了されない存在(・・・・・・・・)

 

「不思議な感覚ね、嫌なのに嫌いではない。なぜかしら、その理由が知りたいの」

 

『自分の意見に口答えしない、タダの人形達が欲しいなら引っ込んでろってんだ』

 

あの時は怒りが勝っていたけれど、思っていたよりも私に響いていたようね。

 

だから試すわ、貴方は何時まで人間でいられる(人形にならない)かしら。

 

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