おっさんに連れてこられたのは、地下のとあるバー。
「俺、未成年なんですけど」
「酒が飲めないだけでバーに来ることは禁止されてねぇだろ」
「ううん、禁止されてるんだけどなぁ…。何年前の価値観なんだろ」
やがておっさんが扉を開けると、老若男女、様々な人が集まっていた。
扉が開かれた事で、その人達の注目が俺に集まる。
「おらよ、新入りだ。新しい常識人を見つけたぜ」
おっさんがぶっきらぼうに言い、カウンターの人に何か注文をした。
カウンターの人…このバーのマスターは、チラリと俺を見ると、口を開いた。
「…あなたは、この世界をどう思いますか?」
その言葉に、深みを感じた。
だから俺はこう答える。
「狂ってる。あんなモノに惑わされるなんて、人としてどうかしてる」
「…合格です。どうかしてる、は言い過ぎかもしれませんが、この言葉の意味を理解できただけで充分です」
次に口を開いたのは、初老の男性だった。
「あんたは、あれに抗いたいと思うか?」
「当たり前だろ」
「…ふむ、合格だ」
男性が髭を弄くりだしたところで、ハイハイと手があがる。
そこにいたのは、年齢は俺と同じくらいだろうか、女の子がいた。
「今の世の中を見て、君はどう思った?」
「それマスターが聞いてなかったっけ…。もう一度言うけど、狂ってるよ、この世界は」
「んふー、合格!」
さっきからなんのテストを受けているんだ…と思っていると、ふいに制服の袖がちょんちょんと引っ張られた。
視線を落とせば、小学二年生くらいの女の子の姿が。
「お兄ちゃんって呼んでい?」
「…お好きにどうぞ」
もしかしたらこのバーも狂ってるのかもしれない、そう思った俺は悪くないと思う。
「んでお前さん、ここに連れて来た理由だが…」
「この世に蔓延るハエを駆除して欲しいのだ!」
「おい。俺のセリフ取るなよバカ」
絶体話が進まないので、俺から話を進めることにした。
「駆除って?」
「見ての通り、コイツらはハエに洗脳されていない」
「…私たちは、洗脳にかかっていない人を、【常識人】と呼ぶことにしました」
「それで、俺達は考えた。せっかく洗脳にかかっていないんだ、常識人でハエを殺して行けば周りの常識も元に戻るんじゃないかってな」
「それでー、今までハエを倒して来たんだけど、さすがに人手が足りなくて!」
「たまたま見つけた常識人のお前さんを、引き入れようってワケだ」
つまりは、『俺たちと害虫駆使しねぇか?』ってことか。
願ったり叶ったりだ。
こんなチャンス、二度とない。
「じゃあ、お願いします。俺を、皆さんの仲間に入れてください」
「おおうっ、二つ返事!すごいよゴブさん!」
「だれがゴブさんだ。俺は
「…ありがとうございます」
「お兄ちゃん、ありがとう」
こうして、俺はこの組織の一員、【常識人】としてハエと戦う事になるのだった。