拝啓、ご先祖様。人類はハエに侵略されました。   作:翠晶 秋

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自己紹介

 

「よし、そうと決まれば武器だな、武器!」

「武器、ですか?」

「…そうです。私たちが戦っている(ハエ)は日常で見る大きさとは異なります」

「…ふむ、映像を見た方が良いかもしれんの。おい古部(ふるべ)、俺の戦闘資料があったろう。そいつをだしてくれ」

「おいおいじいさん、それ管理してるのは未夢(みゆ)だぜ?」

 

俺の前で、映画のような会話が盛り上がっていく。

未夢…きっと目の前の女子高生だろう、そう思っていると、足元から声があがった。

 

「わかった」

「…!?」

 

え!?こんなちっこいのが映像の管理なんかしてんの!?

ま、まぁ、最近の若い子は機械慣れしてるからな。

おっさんが管理するよか、そっちの方が良いかもしれんが…。

 

「あった。再生する」

 

カチリ、音がし、バーにあるテレビはその映像を映し始めた。

映っているのはじいさんと大きなハエ。

ずいぶんとでかいな。

大人一人呑み込めそうだ────ってえぇ!?

でかっ!!

超でかっ!!

 

樫牙(かしが)流剣術、(ほむら)の舞』

『ピチッ。ピチャッ』

 

んでもってハエの声気持ち悪ぃ!

と、俺が顔をしかめていると、画面のなかのじいさんは何もないところで腰の直刀を抜き、空を斬った。

なにしてんだじいさん…老眼か?そう思っていたとき…。

 

 

ズバアッ!!

 

 

画面内のハエは八つにカットされた。

じいさんがチン、と刀をしまったところで、映像が終わる。

俺の口から出た言葉と言えば。

 

「えぇ…」

 

いろんな意味を含めた『えぇ…』だった。

落ち着け、冷静になろう。

まず、じいさんが刀で何もないところを斬った。

そしたら、ハエがバラバラになった。

…意味わかんねぇよボケッ!!!!!

 

「…ふむ。まだ速さが足りないのう」

「速さ!?速さってなんぞ!?」

「なんだ、見てわからなかったのかえ?ちょっとまってろ…」

 

じいさんはもう一度映像を再生し、刀を振った辺りで映像を止める。

 

「ほれ、見てみい」

「…あ、なんか白いのがハエに向かってる」

「【斬激を飛ばす】…聞いたことないか?」

「知っててもできねぇしわかんねぇよ!」

 

一言で言って超人だった。

常識人ってなんだろうね、HAHAHA。

 

「まぁ、これでわかったろう?お前さんにも武器が必要だ。…まぁじいさんはちと異常だが…」

「だよね、良かった皆こんなんじゃなくて」

「あれ?俺、悪口言われてないかの?」

「まぁーとにかく!自分にピッタリな武器を探そうよ!えーと…」

 

女の子が言葉に詰まる。

あぁ、自己紹介がまだだったか。

来てからがショッキングすぎて忘れたわ。

 

「俺の名前は渡瓶(とがめ) 表都(ひょうと)

樫牙(かしが) 琴蔵(ごんぞう)。ネームは【じいさん】」

新立(にいだち) 日張(ひばり)。ネームは【ヒバリ】だよー」

 

え、何、【ネーム】って。

二つ名的な?

 

古部(ふるべ) 将慈(しょうじ)。ネーム、【コブ】。ヒバリにはゴブって呼ばれてるがな」

芦亜(あしあ) 未夢(みゆ)。ねーむは【アシア】」

「…最後に、小鳥遊(たかなし) (ひじり)です。【マスター】のネームを持っています」

 

う、うおう。

小鳥遊さんのからして、絶体にネームって通り名だろ。

アダ名とかそんなノリだろ。

 

「え、ええと」

「俺らのことはネームで読んでかまわん」

「別に、ネームってもそこまで名前隠れてないしねー」

「なら何故作った!?」

「んなこと良いから、さっさと武器決めんぞ。裏にこい」

 

そう言って古部さんはカウンターの裏にまわっていってしまった。

 

「ほれ、行ってこんか」

「大丈夫、なんも怖いことないから!」

「え、えぇ…?」

 

そんなわけで、俺は樫牙さんと新立さんに物理的に背中を押され、カウンターの裏のドアに押し込まれるのだった。

 

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