拝啓、ご先祖様。人類はハエに侵略されました。   作:翠晶 秋

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愛銃【フェザー】

 

通されたのは射撃場。

いつか見たダーツ場のように的がずらりとならび、机の上には様々な種類の銃器が置かれている。

 

「おし、撃ってみろ」

「いきなりすぎやしませんかねぇ!?」

「何事も経験だ」

「経験って言葉の意味間違えてません!?」

 

古部さんはため息を一つつくと、机の上の拳銃に手を伸ばした。

それを俺に渡し、説明を始める。

 

「銃を買うのは本来は違法なんでな、作った」

「作った!?」

「アシアと俺がな」

「あのちっこいのが…!?」

 

古部さんは机の上からライフルを掴み、的に向かって構える。

古部さんが引き金を引けば、カキャンという音と共に的に穴が空いた。

 

「こんな感じな、やってみろ」

「こんな感じなって…。始めてなんすけど」

「何事も経験だ」

「ソレ使い回してません!?」

 

不安ながらも手に持った銃を構える。

どんな風にやれば良いのかはわからないので、とりあえず刑事ドラマで見た構え方。

照準を合わせ、引き金を引く。

すると、目の前の的に火花が散り、穴が空いた。

特殊な構造をしているのか、反動は無い。

 

「筋は良いじゃねぇか。じゃあ次はマシンガンな」

「ハイスピードっすね…」

「何事も経験だ」

「もうツッコむ気力が無いです」

 

素直に銃器を受け取り、俺はしばらく試射を続けたのだった。

 

 

「おし、終わりだ」

「やっと、終わり、ですか」

「おいおい、そんなんでヘばってどうするんだ?これからハエと戦うんだぞ?」

 

…そうだ。

俺は、この世界の常識を取り戻さないといけないんだ。

 

「いい顔になったじゃねぇか。じゃ、結果発表に移るぜ。お前が良く撃てたのはスナイパーライフルとマグナムだ。お前のメインには、取り回しの良いマグナムだろうな」

 

マグナムってのは、ピストルの高威力バージョンだ、と古部さんが付け足す。

 

「マグナム、ですか。ありがとうございます」

「二万円だ」

「やっぱ金は取るんスね」

「当たり前だ。これでも良心価格だぜ?」

 

相場はわからないが、本来なら買った側が負うはずの責任を一緒に背負ってくれる。

それもそうか、と納得して財布からお札を二枚渡す。

ホルスターに仕舞われたマグナムが返って来る。

 

「今まで誰もマグナムは使ってなかったんでな、ソイツの名前は【マグナムβ】だったんだが、どうだ?いっそのこと、名前とかつけてみろよ」

「へ?名前?」

「そうだ。銃にだって名前はある。有名なマグナムだと【コルト・パイソン】とかな」

 

マグナムに名前…。

どうせなら呼びやすくて愛着のある名前がいいな…。

そんな事を考えていると、マグナムの端に羽のマークがあることにきづいた。

羽、羽か。

 

「決めました。【フェザー】。こいつは今からフェザーです」

「いい名前じゃねえか。よし、帰るぜ。スナイパーライフルはまた今度だ」

 

そういって笑う古部さんに押され、俺はバーに戻ることになった。

 

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